【IWJ・争点山盛り選挙日報13】不支持率が上回った安倍政権 「知る権利」の専門家が秘密保護法の危険性を指摘~11月30日の動き まとめ 2014.12.2

記事公開日:2014.12.1 テキスト
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(IWJ・佐々木隼也)

安倍政権の不支持率47.3%、安保政策支持せず53.3%、景気回復実感せず84.2%

 選挙戦が中盤に差しかかり、安倍政権への不支持率47.3%となり支持率を上回った。望ましい選挙結果は「与党と野党の勢力が伯仲する」が53%と過半数を占め、安倍政権の安保政策「支持しない」が53.3%となった。さらに、経済政策で景気が良くなったと実感しているかについては「実感していない」が84.2%と圧倒的多数を占めた。

 共同通信社は二十八、二十九両日、衆院選に向けた有権者の支持動向などを探る全国電話世論調査(トレンド調査、第二回)を実施した。内閣支持率が43・6%、不支持率47・3%となり、前回調査(十九、二十日)から逆転した。第二次安倍政権発足後、共同通信が実施した電話世論調査で不支持が支持を上回ったのは初めて。比例代表の投票先政党は自民党が28・0%、民主党10・3%で傾向は変わらなかった。望ましい選挙結果は「与党と野党の勢力が伯仲する」が53・0%と過半数を占めた。

(略)

 第二次安倍政権の経済政策で景気が良くなったと実感しているか聞いたところ「実感していない」が84・2%。集団的自衛権の行使容認など安倍政権の安全保障政策について「支持しない」が53・3%だった。

 望ましい選挙結果で「与野党伯仲」は前回の51・4%から微増。ほかに今回は「与党が野党を上回る」が30・2%、「与党と野党が逆転する」が8・7%。憲法改正に反対は45・1%、賛成36・8%だった。(「内閣不支持が上回る 衆院選世論調査」中日新聞 11月30日)

 しかし比例投票先は自民党が前回比2.7ポイント増となり、小選挙区での投票先も自民党は29.4%と大きく変わらず、安倍政権への不満が高まりつつも、「他に選択肢がない(よく分からない)」という状況をあらわしている結果と言える。

 ただ、投票先を「まだ決めていない」と答えた人が41.2%おり、投票率が上昇することで、状況が大きく変わる可能性はある。

「公約」の評価が高い自民党、しかし過去には国民との約束を反故に

 国民の評価が低い安倍政権の政策だが、全国知事会の評価は違った。各党の公約について知事会が評価した結果、自民党が最も高得点を得たのだ。

 全国知事会(会長・山田啓二京都府知事)は29日、自民、公明、民主など7党の地方に関わる衆院選公約の評価結果を発表した。(100点満点で)自民の69・9点がトップで、公明65・1点、民主60・2点、維新50・1点などと続いた。(「2014衆院選:知事会公約評価、自民がトップに」毎日新聞 11月30日)

 いくら良い公約を掲げようと、その評価の際には、公約をどの程度実現しているのかも、同時に吟味しなければならないだろう。安倍総理・自民党は、前回の衆院選・参院選で「TPP反対」を掲げて農家の支持を得て圧勝したにも関わらず、その約束を反故にしてTPPを前のめりに推進した前科がある。

 また、前回の衆院選・参院選では、「消費税増税」は公約に掲げていなかった。今回も、国民を二分する集団的自衛権、秘密保護法については公約で触れていない。

「人間を監視する」秘密保護法で米国への軍事属国化が加速する

 国民の「知る権利」に影響はないと豪語しながら、「信を問う」必要がないと公約に盛り込まず、国民の声を無視して進めようとしている秘密保護法。ここまで自民党が徹底的に国民議論を避ける背景には、一体どんな「都合の悪いこと」があるのだろうか。

 市民の知る権利の保障拡大を目指すNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の理事長、三木由希子氏が岩上安身のインタビューに答えた。

岩上安身「すでに政府情報の多くは秘密なので、それが特定秘密保護法でより厳重に囲われても、元来、一般市民からは見えないものだからほとんど影響はないと、与党などは主張しています。この辺について、改めてお話ください」

三木由希子氏「まず、目を向けたいのは安全保障分野。日本ではこれまで、この分野では情報を公開しながらの政策的議論が実現してこなかった。限られた官僚が秘密性の高い情報を持つことを前提に、政策決定がなされてきたわけで、それに対しては政治のチェックも十分ではありませんでした。

 秘密保護法の施行によって、その閉鎖性が高まり、内部の情報コントロールが強くなる。その結果、情報流通がより制約され、何か問題が起きても公益通報などが難しくなる恐れが発生します。

 また、情報を扱う人間が限定されていると、何か問題を感じても、情報アクセス権のない人に相談すると情報漏洩になるので、内部で声が上がりにくい。

 今回、防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4つが特定秘密の対象になりますが、スパイ防止とテロ防止は人間への監視です。つまり、この分野では監視活動を民主的にコントロールすることが、特に重要になってくるわけです」

岩上「保守派や右派の人たちは北朝鮮や中国、さらにはロシアの存在を指摘して、『日本国内にはスパイが活動している。もっと警戒すべき』と主張しますが、『米国をどう警戒すべきか』の視点がすっぽりと抜け落ちている。

 9.11の米国同時多発テロ以降、急に自衛隊法改正が進んだのは米国から要請があったから。特別防衛秘密は、米軍の秘密を守る措置です。すでに日本には米国の対テロ戦略に連動する流れがあり、今後は集団的自衛権の行使で米軍と一体化することが起こり得る。米国への軍事属国化が進むタイミングで、秘密保護法が施行される意味は、実に大きいと思います」

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