2014/12/02 【福島・大義なき解散総選挙】「強い経済で復興を加速化していく」アベノミクスを押し売り叩き売り?! 福島原発事故対応には言及せず~自由民主党 安倍晋三総裁 第一声
衆院選公示日である12月2日(火)、各地で第一声があがった。
福島県相馬市の漁港で第一声をあげた安倍晋三総理は、経済政策に力点を置いて安倍政権の成果をアピール。「3月の1日に常磐道全線を開通させます。これを東北復興の起爆剤に活用させようではありませんか」と訴えた。
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衆院選公示日である12月2日(火)、各地で第一声があがった。
福島県相馬市の漁港で第一声をあげた安倍晋三総理は、経済政策に力点を置いて安倍政権の成果をアピール。「3月の1日に常磐道全線を開通させます。これを東北復興の起爆剤に活用させようではありませんか」と訴えた。
福島県民は、過去二年間の安倍政権の復興対策をどう評価するのか――。
衆院選が公示された12月2日、自民党の安倍晋三総裁は、福島県相馬市の漁港で第一声を上げた。
「福島の復興なくして、日本の再生はなし」
「景気回復、この道しかない」と書かれたジャンパーを着用して登場した安倍首相。冒頭から、経済再生を強調し、5000人の雇用創出など、政府の復興政策が福島県にもたらした成果をアピールした。今後も、復興を加速化すると話し、来年2015年3月には計画を前倒しし、常磐自動車道を全線開通すると公言。ゴールデンウィークに向けて、福島県の観光客誘致を目指す。
自民党は連日の演説の中で、アベノミクスによる「経済再生」「景気回復」一点に、訴えを集中させている。福島でも、演説の後半は、アベノミクス効果と今後の展望に重点を移した安倍首相。「強い経済」を強調した。
しかし、アベノミクスが実感できていないというのが、福島県の大半の見方である。衆院解散を受けて福島民報社が実施した、県内59市町村長を対象にしたアンケートでは、安倍総理がこの日第一声を上げた相馬市の立谷秀清市長を除く、58の市町村長が回答。アベノミクスの好影響について、「実感していない」「今後も実感できないと思う」が7割近くと、厳しい評価を下した。
公明党の山口那津男代表は「アベノミクスを推進して、大きく経済は変わってきたではありませんか。株の値段は倍になった。ということは、企業の財産が増えた。経済活動がそれだけ大きく広げられるようになったということ」と、同じく与党としてアベノミクスの成果をアピールした。
「軽減税率は、主婦にとって素晴らしいプレゼントです」――。
12日間の総選挙に突入した12月2日、公明党の山口那津男代表は、神奈川県横浜市の相鉄線二俣川駅前で街頭演説に立ち、第一声を行った。
山口代表を一目見ようと、駅前に集まった有権者の多くは、60代~80代の女性が圧倒的。話を聞いた女性のほとんどは、「軽減税率」導入に大きな期待を寄せた。
8%の増税によって、大きな影響を受けていると話した70代の主婦は、「低所得者、年金生活者なので、増税で苦しんでいる。軽減税率について話を聞きたい」と、早朝に地元、旭区から駆けつけた。「軽減税率が導入されれば、主婦にとって素晴らしいプレゼントになる」と期待を膨らませる声も、裏を返せば、先の消費税増税によって、生活が逼迫(ひっぱく)しているということだ。
40代の主婦はIWJのインタビューに対し、「食品関係が税別表示になったので、8%の増税の影響が目に見えてよく分かる。毎日のことなので、やはり消費税の話が一番気になる」と、経済政策に注目して一票を投じると答えた。
他方で、野党は与党の政権運営を厳しく糾弾した。
安倍総理と同じく福島県で第一声を放った野党第一党・民主党の海江田万里代表は、「安倍首相は福島原発の過酷事故がなかったかのような振る舞いをしています。原発はベースロード電源というが、それは原発をずっと続けていくということですよ。民主党は30年代に原発稼働ゼロにします」と話し、再生可能エネルギーの発展に力を入れると訴えた。
「『国民本位の政治をやってください』という声を安倍首相につきつけるのが、皆さんの一票です」
民主党の海江田万里代表は12月2日(火)11時45分より、福島県いわき市のJRいわき駅南口で街頭演説を行なった。
冷たい北風が吹きすさぶ中、民主党衆議院議員候補・金子恵美氏の応援演説に駆けつけた海江田代表。駅前の街路に横付けにした選挙カーの上から、衆議院解散総選挙の大義のなさを批判し、同党公約の三本柱を訴えた。加えて、安倍政権の推進してきた秘密保護法や、原発政策に対する反対意見を表明し、徹底抗戦の構えをみせた。
田中角栄元総理大臣に弟子入りした当時のエピソードなども披露した生活・小沢一郎代表は、新潟県で第一声をあげ、「かつての自民は地方を甘やかす、農業を甘やかすと批判されたが、どんな地方でも安定して生活できる日本を作らなければいけない、という思いを自民の政治家は持ち続けてきました。今は、自由競争で勝ったものだけが生き残ればいい、という考えになっています」と指摘。
「弱肉強食の世界に政治はいらない」と訴えた。
「どんな地方でも安定して生活できる日本を作らなければいけない、という思いをかつての自民の政治家は持ち続けてきた。しかし今は、『自由競争で勝ったものだけが生き残ればいい』という考えになっている」
生活の党の小沢一郎代表が衆院選公示日の12月2日午後1時に、新潟県魚沼市・JA北魚沼入広瀬前で第一声をあげた。
小沢代表は、田中角栄元総理大臣に弟子入りした当時のエピソードを披露。地方や農業に寄り添う政治をしていた自民党はなくなり、今は大企業の利益のみを優先する新自由主義政党になってしまったと批判。「政治を変えなければいけない」と訴えた。
日本共産党の志位和夫委員長は新宿駅西口で「安倍総理は『この道しかない』というが、この道は危ないんです」と力を込め、沖縄に言及。「県知事選で翁長さんが圧勝しました。しかし、安倍政権は辺野古推進に変わりはない、と言い張っています。県民の審判にも関わらず、基地建設を進める。これが民主主義ですか?」と疑問を呈した。
「『この道しかない』というが、この道は危ないんです」
衆院選公示日の12月2日午前10時、東京都・新宿駅西口で日本共産党が選挙演説会を開き、志位和夫委員長が第一声をあげた。東京1区から立候補した富田直樹氏、比例東京ブロック候補者の笠井亮前衆議院議員などもスピーチした。
志位委員長は、安倍政権の「暴走の2年間」を批判し、安倍政権の進む道に未来はない、と主張。アベノミクスや集団的自衛権、辺野古新基地建設などへの対案として「5つの転換」を打ち出し、聴衆に支持を訴えた。
地元・岡山で第一声をあげた次世代の党・平沼赳夫党首はアベノミクスについて「地方にはその恩恵がありません。第3の矢は成長戦略でありますけれども、その第3の矢の見通しが明確でない」と苦言を呈しながらも、憲法改正に向け努力しているとPR。外国人の生活保護を打ち切りたいと主張した。
衆院選公示日の12月2日(火)11時45分より、岡山県津山市の事務所前で、次世代の党の平沼赳夫党首が第一声を上げた。
「日本維新の会」から石原慎太郎氏を中心とした派閥が分離し、2014年8月に結党された次世代の党。
原発再稼働や、集団的自衛権の行使容認など、安倍自民党政権の基本政策に同調しつつ、アベノミクス「第三の矢」である成長戦略に具体的なアイデアを提案した。
維新の党・江田憲司共同代表は横浜で第一声をあげ、「安倍総理は『今のうち解散』で、もう4年間政権を延命しようと保身を目論んだわけです」と安倍政権の姿勢を批判。
「私たちは、9月の結党時に『こりゃダメだ』と判断し、秋の国会で消費増税凍結法案を提出しました。安倍総理はこれに賛成さえすれば、わざわざ600億円以上も費やして国政多難、師走の繁忙期に『国民そっちのけ解散』などしなくてもよかった。増税の『先送り』だけなら、すぐにできたのです」とので、安倍総理の国会私物化を批判した。
「安倍総理は『今のうち解散』で、もう4年間政権を延命しようと保身を目論んだわけです」
維新の党の江田憲司共同代表は、衆院選公示日の12月2日午前10時半頃、神奈川県・横浜駅西口で第一声をあげた。
安倍政権の衆院解散の判断は、政権を延命するためだけに国民無視で行われた、大義なき解散であると痛烈に批判した。
さらに、「まず私たちは自ら身を切り、国会議員の定数も歳費も3割カットします。これだけみなさんが苦しんでいる時、さらに増税を求める前に、民間より年金は1.5倍、給与も相当高い国家・地方公務員人件費25兆円は2割、5兆円削減するのです」と、議員定数削減を主張した。
他にも、各候補者が各地で第一声をあげ、聴衆に政策を訴えた。
「今の沖縄自民党は、安倍政権の使いっ走りの自民党だ」
辺野古新基地建設反対の一点で「保革共闘」し、翁長雄志元那覇市長が歴史的勝利を収めた沖縄県知事選。今回の衆院選でも、沖縄の全選挙区から「保革共闘」の候補者が立つこととなった。
沖縄4区から無所属で出馬したのは、かつて沖縄県議会議長を務めた、元自民党沖縄県連顧問の仲里利信氏。仲里氏は、自民党県連が公約を破棄して、辺野古移設容認に転じたことで、同党を離党した。
2009年の衆院選で政権を執った民主党から初当選した平智之候補。今回の衆院選では、無所属として立候補する。公示日の12月2日(火)9時30分より、京都市下京区の阪急四条烏丸交差点・南西角で第一声を上げた。
軍事国家への道をひた走る自民党と、対抗軸を打ち出せない民主党、維新の党を批判し、自らは無所属として立候補する決意を語り、しがらみのない立場から新たな政治の軸を打ち立てる必要性を力強く訴えた。
「私は愛国者です。本当の愛国者は決して戦争を起こさない。政治の最大の失敗は、戦争を起こすことです」
生活の党公認、民主党新潟県連推薦、連合新潟支持で新潟5区から立候補した森ゆうこ前参議院議員が、衆院選公示日の12月2日の朝9時半頃、新潟県長岡駅アオーレ前で第一声をあげた。森候補は、集団的自衛権をめぐる閣議決定などで戦争準備を進める安倍政権の危険性を指摘し、「ストップさせる」と訴えた。
「公明党を切り離し、次世代と自民党が連立を組まなければ、日本は取り戻せない」
岡山県津山市で、次世代の党の平沼赳夫党首が第一声をあげている頃、東京・新宿の小田急百貨店前では、石原慎太郎最高顧問や田母神俊雄候補、アントニオ猪木参議院議員ら次世代の党のメンバー6名が、有権者に向かって支持を訴えた。
「国交大臣を公明党に任せていては、日本の領海は守れない」。自公分断を訴えた田母神俊雄候補は、太田昭宏公明党候補と闘うため、東京12区から立候補。田母神氏は終始、公明党批判を展開し、「打倒公明党」をアピールした。
第一声をあげた候補者の中には、衆院解散前、日本を騒がせた元大臣らの姿もあった。
「もう一度スタートラインに戻って、一からやっていく覚悟です」。政治資金問題で経済産業相を辞任した自民前職の小渕優子氏(41)=群馬5区=は2日、出陣式で涙を浮かべながら支援者らに改めて謝罪し、かつてない逆風下の中で再出発を誓った。
小渕氏をめぐっては、関連政治団体が開いた「観劇会」の収支がずれていることが10月に判明。東京地検特捜部が、元秘書で群馬県中之条町長だった折田謙一郎氏(66)の自宅や小渕氏の地元事務所を家宅捜索し、捜査を進めている。
こうした中で出馬を決意した小渕氏はこの日、同県渋川市の渋川八幡宮で当選を祈願。支援者らに「今の私があるのは皆さんに支えてもらったおかげ。私にとっても、もうこの道しかない」と支援を呼び掛けた。
「うちわ」配布問題で法相を辞任した衆院東京14区の松島みどり候補(自民)は午前9時10分頃、トレードマークの赤い服で東京都墨田区内の選挙事務所に姿を見せた。
選挙カーに乗り込むと、法相辞任に触れ、「地元に迷惑を掛け、心からおわびします。一から出直して、墨田のため、日本のために全力で働きます。どうかもう一度チャンスを与えて下さい」と、神妙な表情でおわびを繰り返した。狭い路地で約30秒間あいさつし、すぐに移動というスタイルで選挙区内を巡った。
本格的な冬の訪れとともに始まった選挙戦。日本海側などでは降雪した地域も。投開票日まで12日。IWJは明日以降も可能な限り、選挙戦の模様をお伝えする。