資源エネルギー庁は、福島第一原発で深刻化している汚染水の海洋流出問題について、山側から流れてくる地下水を認識しながらも意図的に遮断せずにいたことを明らかにした。6日に開かれた阿部知子議員らによる「原発ゼロの会」主催の政府ヒアリングで、菅直人元総理の質問に答えた。
菅議員は「2年以上前に地下水問題を想定し、あらかじめサイト全体を遮水壁で囲もうという議論があったはずだ」と指摘。「1000億円以上の予算がかかるからやらなかったとも聞いているが」と、汚染水対策が後手になった理由について質問した。
エネ庁は「2011年4月からその年の秋まで検討した。山側から流れてくる地下水を止めてしまえば、建屋内の汚染水が周りに拡散する、という結論になり、まずは海側の遮水壁を作ろうという話になり、工事に着手した」と説明した。
なぜ、地下水の流入を止めることが、建屋内汚染水の拡散に繋がるのか。逆ではないのか。エネ庁はこれを「水封」とし、「流入する地下水で、建屋汚染水位のバランスをとった」いうが、菅直人議員含め、会場内の多くの人が説明に首を傾げた。
現在、一日400トン流れてくる地下水を遮断するため、1〜4号機を囲む形で遮水壁を建設する予定だ。エネ庁は結局、2011年当時に一度、廃案となったこの案を、今年5月になってようやく採用したと明かし、この二年間の「水封構想」が根本的に誤りだったことを認めた。この判断ミスが、今回の海洋流出を引き起こした大きな原因の一旦といえるだろう。