2012年9月8日(土)、ウェルパルくまもとにて、『「内部被ばくを生き抜く」上映後の鎌仲ひとみ監督おはなし会』が行われた。
(IWJテキストスタッフ・富田)
2012年9月8日(土)、ウェルパルくまもとにて、『「内部被ばくを生き抜く」上映後の鎌仲ひとみ監督おはなし会』が行われた。
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映画監督の鎌仲ひとみ氏はこの9月8日、自身が手掛けたドキュメンタリー作品「内部被ばくをいき抜く」の上映会終了後、講演を行った。場所は同じ熊本市内の会場。
今の日本人には“被曝リテラシー”が欠けているとする鎌仲氏は、「日本の医師に内部被曝に関する本物の専門家がいない」といった持論を展開。「(チェルノブイリの事例に照らすと)もう何年かたってから(ガンなどの形でフクシマショックの)恐ろしさが具現化し始めるだろう」と語った。
「放射線被害をめぐり、今の日本では“分断”が起こっている」。鎌仲氏は言う。日本列島における放射能汚染度合いの濃淡がこれに当たるが、フクシマショックが「局地問題」に回収され始めている現状にも、「分断」との表現は有効だろう。今回の作品の完成を急いだ鎌仲氏は、ことに放射線問題を楽観視している向きに、この作品DVDが回ることを願っている。
さらに鎌仲氏は、さかのぼること70年近く前に広島・長崎に起こった“原爆被害”の例を引き、「外部被曝(ケロイド)とは違って目視が無理な内部被曝に関しては、今回のフクシマショックでも日本政府は被爆認定しない公算が大きい」と指摘。その上で「だからこそ、そのための地ならしとして、放射線被害の過小評価を(大メディアを動員しながら)行っているのだろう」とトーンを強めた。
質疑応答では、放射能汚染からの避難で家族が一枚岩になれない現実が話題に。「人間には、被曝回避主義では生きていけない面はある」と述べた鎌仲氏は、「とはいえ、(フクシマショック後の)東京に暮らすことにどれだけリスクがあるのかを、家族で話し合うことが肝要だ。それでもお父さんは東京で働く、息子さんは夏休みは東京で友達と、となった場合は、食事などの面で、最低限これだけは守りながら東京で暮らそうというルールを家族で決めるべきだ」と言葉を重ねた。