党首討論で各党党首舌戦~安倍総理、「年金生活者支援給付金」の先送りを表明
衆院選公示の前日である12月1日(金)、与野党8党の党首が、日本記者クラブで討論会を行った。
衆院選(2日公示・14日投開票)を巡り、各党党首による討論会が1日午後、東京・内幸町の日本記者クラブで行われた。
安倍首相(自民党総裁)や民主党の海江田代表、維新の党の江田共同代表、公明党の山口代表ら8党の党首が出席した。
冒頭に発言した首相は、「15年苦しんだデフレから脱却できるチャンスをつかんだ。まだ道半ばだが、この道しかないとの確信の下に全力で前に進んでいく決意だ」と語り、自身の経済政策「アベノミクス」の継続を訴えた。
- 読売新聞(12月1日)
安倍総理は今回の解散を「アベノミクス解散」だとしているが、この日の党首討論でも、話題は経済政策に集中した。民主党の海江田万里代表が、安倍総理に消費税や賃金について問いただすと、安倍総理は「景気がよくなって働く先が増え、夫妻が共働きすると、世帯の収入は増えても一人ひとりの賃金が下がる」と説明した。
他にも安倍総理は、この日の党首討論で、年金の受給額が少ない人にひと月あたり5000円を支給する「年金生活者支援給付金」の導入時期を、当初予定していた2015年10月から2017年4月に1年半先送りする、と発表した。
低年金者への月5000円の支給は年金充実策の柱の1つで、消費増税と合わせて導入する予定だった。首相は消費増税の延期の影響について「できる社会保障の充実とそうでないものがある。子育て支援についてはしっかりやるが、低年金者への給付は17年4月まで延ばしたい。給付と負担のバランスのためだ」と述べた。
- 日本経済新聞(12月1日)
一部の大企業や富裕層にのみ富が集中する「アベノミクス」では、年金生活者や低所得者を支援するための社会保障費は確保できないのではないか。それでも政府は、一部の大企業のための「成長戦略」だけを唱え続けるつもりだろうか。
原発再稼働、自民の立候補予定者の90%が賛成
今回の解散総選挙は、アベノミクスだけが争点ではない。集団的自衛権行使容認をはじめとする外交・安全保障政策や、従軍慰安婦問題などの歴史認識、原発の再稼働をはじめとするエネルギー政策も重要な争点だ。
このうち、原発の再稼働について、今回の選挙に立候補する自民党の議員の90%が、賛成であるというアンケート結果が明らかになった。
共同通信社は第47回衆院選の立候補予定者に政策アンケートを実施し、11月30日までに947人から回答を得た。原発再稼働について、自民党の90.7%、公明党の79.4%が賛成したのに対し、民主党の72.2%が反対した。維新の党では反対が90.9%を占めた。選挙後の最優先課題(複数回答)では、全体で「景気・雇用対策」が84.6%となりトップだった。
12月10日に施行される特定秘密保護法について、自公両党では、現状で良いとする答えが大多数を占めた。一方、全体では「廃止」や、国民の知る権利に配慮する内容への改正を求める回答が計58.3%あった。(共同通信・12月1日)
安倍政権は、新しいエネルギー基本計画で、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけるなど、原発の再稼働に突き進んでいる。鹿児島県の川内原発に関しては、地元自治体の合意も取り付け、再稼働は秒読み段階に入った。
今回のアンケートでは、自民党の「原発推進」の姿勢が、改めて明確になったかたちだ。
維新、小沢鋭仁元環境相を近畿比例に
橋下徹・大阪市長が共同代表を務める維新の党が、関西で動きをみせた。12月1日、同党の関係者が、元環境相の小沢鋭仁・国会議員団幹事長を、比例代表近畿ブロックの単独候補とし、名簿順位を1位とする方針を固めたと話した。
関係者によると、11月30日夜、松井一郎幹事長が大阪市の党本部に大阪府内の選挙区の立候補予定者らを集めて伝達した。理由について「選挙区調整などで尽力してくれた小沢氏を落とすわけにはいかない」などと説明したという。(共同通信・12月1日 )
維新と民主は、巨大与党である自民党に対抗するため、各県の県連が公認候補を互いに支援する選挙協力協定を結んだ。小沢氏は、維新の党幹部として、選挙区の調整に奔走し、そのことによる論功行賞の意味合いをもった優遇措置であると見られる。小沢氏は当初、山梨1区から出馬する予定だった。
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衆議院選挙は、いよいよ明日、公示を迎える。
IWJでは、各党党首の第1声を、全国各地から中継。その後も、可能な限り、今回の選挙戦を可視化するので、ぜひ、ご覧ください。