2014年10月27日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。福島第一原発2号機海水配管トレンチの凍結止水について、台風18号に伴う大雨の影響で氷の壁が減少していることが判明した。間詰め充填、凍結管凍結は継続する考えだという。
2014年10月27日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。福島第一原発2号機海水配管トレンチの凍結止水について、台風18号に伴う大雨の影響で氷の壁が減少していることが判明した。間詰め充填、凍結管凍結は継続する考えだという。
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福島第一原発2号機原子炉建屋の西側(山側)にあるサブドレンピット(地下水くみ上げ井戸)No.18、No.19にて、一時的に高いセシウムが検出された。しかし、翌日には低下した。さらに近傍のNo.2、No.8では有意な変化がなかった。他のサブドレンピットでは、放射性物質濃度の大幅な上昇はないという。
サブドレンは建屋周辺にある井戸、地下水をくみ上げ、建屋地下へ流入する地下水を抑制するのが目的。くみ上げた地下水は浄化設備で浄化し、最終的には海洋放出する計画だ。現在、システムとしての能力を確認する”系統運転試験”を行っている。
くみ上げた地下水を分析した結果、Cs-134とCs-137の合計濃度は次のように変化した。
サブドレン No.18 No.19 [Bq/L]
H25 12/2 480 500
H26 10/22 424,000 460,000
H26 10/23 321,000 425,000
H26 10/24 5,200 470
H26 10/25 5,000 430
サブドレンピットNo.18、19は、サブドレンピットNo.15、16、17と地下部分が横穴で繋がっている。No.15、16、17は井戸内に瓦礫が落下している。さらにその付近は、1-2号機間排気筒に近く、線量も高い。こうしたことから、井戸内のがれきを取り除くことができず、復旧が難しい状態だ。No.15、16、17に雨水が流れ込んだり、フォールアウト成分がNo.18、19の方へ流れ、一時的に高いセシウム濃度を検出したと、東電は考えている。
サブドレンピットNo.15から19までを繋いでいる横穴は、地下深く塞ぐことはできないと東電は判断。しかし、No.18、19はセシウム濃度が低下したため、くみ上げに使用していく考えだという。
今回は一時的にセシウム濃度が上昇したが、翌日には2桁も大きく低下している。過去にこのような例はなく、東電は「(ピットの洗浄等の)特別な操作は行っていない」と原因は不明だ。今後も測定を継続して、原因を推論するしかない。推論する以外に方法はないため、「測定できる核種は全て測定して公表してほしい」と記者から要望が出た。
東電は、サブドレンで地下水をくみ上げることにより、建屋地下に地下水が流入し、汚染水の増加を抑えることを期待して、当初11月から本格的サブドレンくみ上げ運用を開始する計画だった。しかし、承前のように高い放射性物質が検出されることもある。そのため、サブドレンは「いつから本格稼働するか明確に言えない」と計画を見直している。
サブドレンの稼働が延期されることで、今後必要な汚染水処理用の貯留タンク容量等が変わってくると思われるが、東電は、水処理バランス、タンク容量の増設計画に問題はないという見方を示している。
8月29日に3号機SFP(使用済燃料プール)内へ落下した瓦礫の撤去作業中、誤って瓦礫がプール水内に落下した。落下した瓦礫は燃料交換機(FHM)の操作卓。燃料集合体の上部へ滑り落ちたが、プール水質に変化はなく、燃料に損傷はない状態だ。しかし、今後燃料を取り出すためには、FHM操作卓をはじめ、瓦礫を取り除かなければ作業できない状態だ。
東電は、FHM操作卓の落下原因を分析し、落下防止策をとりまとめて発表した。
瓦礫を重機のフォークでつかみ、吊り上げる際、事前に現場の状況、操作手順を3D-CADで確認してから作業を行う。今回、事前確認の状況と実際の状況に相違があったが、現場判断で作業を工夫して続けたことで、瓦礫から重機フォークがはずれて落下したと判断。今後は相違があった場合はそこで作業を中断し、改めて作業手順を確認する。重機フォークがはずれないこと、確実に瓦礫をつかむことを確認してから作業を再開するとした。
万が一落下した場合に備え、燃料集合体の上に養生板を追加することも発表した。現在も燃料集合体の上にラック養生板が敷かれている。しかし、撤去する瓦礫の下に必ず敷くルールではないこと、落下した瓦礫の衝撃を受け止めることを想定した強度でないことから、新たに養生板を作り、敷くことにしたという。
12月中旬からFHM操作卓の撤去、瓦礫の撤去を再開する予定だ。
2号機海水配管トレンチの凍結止水は難航している。
復水器冷却海水を排出する地下水路―海水配管トレンチは、海側出口が土砂で埋まり、地下水路に汚染水が溜っている。さらに、建屋地下からも汚染水が流れ込んでいる。建屋出口部分を塞ぎ、海水配管トレンチ内の水抜きを行う計画だ。建屋出口を塞ぐ方法として、氷の壁で塞ぐ”凍結止水”工法を開始、半年近くが経過したものの、いまだ難航している。
2号機海水配管トレンチの”立坑A”箇所は、4月28日から、”開削ダクト”は6月13日から凍結を開始している。氷の壁の成長を妨げる原因の一つに、水の流れがある。建屋地下と海水配管トレンチの間で水の流れがあることが解かっている。水流を抑えるため、水中不分離コンクリートや可塑性グラウドで”間詰め充填”を10月中旬から開始している。
10月初旬まで氷の壁が成長していた。しかし、10月7日にカメラで観察したところ、氷が減少していることが判明した。台風18号に伴う大雨の影響によるものと東電は判断しており、現状のまま、間詰め充填と凍結を続行する考えだという。
10月31日に原子力規制委員会「特定原子力施設監視・評価検討会」が予定されていることから、ここで詳細議論が行われると予想される。
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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示
2014年10月27日
2014年10月26日
2014年10月25日
2014年10月24日