2011年10月30日(日)13時半、大阪市北区のPLP会館にて、「橋下流『ハシズム』にどう対抗するか」と題した講演会が開かれた。「社会主義ゼミナールin近畿」が主催したもので、講師は中京大学国際教養学部教授の大内裕和氏が担当した。
(IWJテキストスタッフ・久保元)
2011年10月30日(日)13時半、大阪市北区のPLP会館にて、「橋下流『ハシズム』にどう対抗するか」と題した講演会が開かれた。「社会主義ゼミナールin近畿」が主催したもので、講師は中京大学国際教養学部教授の大内裕和氏が担当した。
大内氏は、大阪府知事および大阪維新の会代表を務める橋下徹氏の異常ともいえる人気について、その背景を分析した。政治家経験のなかった橋下氏が知事選に打って出る上で、その仕掛け人として、経済評論家の堺屋太一氏が大阪財界とのパイプ役で貢献し、自民・公明の支持を取り付けたことや、その結果として183万票も集めて当選したことなどを解説した。そして、大阪府は全国の都道府県で生活保護受給者がワースト1であることや、失業率が全国ワースト3であることを挙げ、「閉塞感の打破と、現状を変える強いリーダーシップに期待する人が増えた」ことが橋下氏の人気の背景にあると分析した。
その上で、「橋下氏が知事になってから大阪府民の生活がよくなったとは思えない」と述べ、それでもなお大衆の強い支持を集めている理由について、持論を展開した。例えば、橋下氏が、「仮想敵を定め、激しく攻撃する」「支配対象を分断する」などの手法を用いていると指摘。府知事に就任した第一声で、「大阪府職員は破産会社の従業員」と述べ、労働条件などの不満の声をあらかじめ封殺したことや、「大阪を変えたいという職員とは一緒に汗をかいていきたいが、意気込みのない職員は府庁から去っていただきたい」と述べたことを挙げ、「敵の中に味方を作り、職員間に分断を生む手法である」と指摘した。
また、橋下氏が唱える大阪都構想や、大阪府の職員基本条例案や教育基本条例案の問題点を指摘し、「憲法で保障された生存権・社会権が脅かされる」とした。さらに、メディアを利用したパフォーマンス的な政治手法を批判し、『ハシズム』による新自由主義の推進に警鐘を鳴らした。