日刊IWJガイド・非会員版「ロシア領への直接攻撃を認める西側諸国の決断に、ロシアが警告! しかしマスコミはまたも甘い見通し!」2024.6.6号~No.4246


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~ウクライナ対ロシアという2ヶ国間の「紛争」の枠組みを大きく踏み越える軍事的エスカレート! 西側諸国は、ウクライナに長距離攻撃可能な兵器を供与し、ロシア領内を直接、攻撃することを認める! 前ロシア大統領のメドベージェフ・ロシア安全保障会議副議長が、このエスカレーションに深刻かつ真剣な警告!「西側諸国との現在の軍事紛争は、最悪のシナリオ通りに発展している。NATOが使用する兵器の威力は絶えずエスカレートしており、紛争が最終段階に移行する可能性を誰も排除できない」! この警告を、日本のマスメディアはことごとく真剣に受け止めず、スルー!! またもや見通しを誤る可能性大!!

■6月です!「IWJしか報じていない情報」が、日々、増えてきています! IWJの情報価値は日々高まっています! そのIWJを支えるのは、皆さまからいただく会費とご寄付・カンパだけです。今期第14期の月間目標額の不足額は、合計976万6289円になってしまいました! 7月末の期末まであと2ヶ月です! 有料会員登録と、ご寄付・カンパで、どうか財政難のIWJが、独立メディアとして報道・言論活動を継続できるよう、皆さまのご支援をよろしくお願い申し上げます!

■【中継番組表】

■<岩上安身によるエコノミスト・田代秀敏氏への緊急インタビュー第5弾報告(その2) 前編 >「金利のない世界」から「金利のある世界」へ再突入!「複利」のローンの恐ろしさ! 岩上安身がバブル期に連帯保証人となって体験した、60年2世代ローン地獄の実体験を紹介! 元本1億8000万円の投資物件が、7%の固定金利で、60年後の完済時までに111億円超に膨れ上がることに!
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■はじめに~ウクライナ対ロシアという2ヶ国間の「紛争」の枠組みを大きく踏み越える軍事的エスカレート! 西側諸国は、ウクライナに長距離攻撃可能な兵器を供与し、ロシア領内を直接、攻撃することを認める! 前ロシア大統領のメドベージェフ・ロシア安全保障会議副議長が、このエスカレーションに深刻かつ真剣な警告!「西側諸国との現在の軍事紛争は、最悪のシナリオ通りに発展している。NATOが使用する兵器の威力は絶えずエスカレートしており、紛争が最終段階に移行する可能性を誰も排除できない」! この警告を、日本のマスメディアはことごとく真剣に受け止めず、スルー!! またもや見通しを誤る可能性大!!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 ウクライナ贔屓の西側マスメディアが、西側諸国とウクライナによる、ロシアに対する新たな「反転攻勢」が開始され、戦況が逆転するかのように、昨日から、大はしゃぎで報じています。

 今度は、長距離攻撃の可能な兵器をウクライナ軍に供与して、これまではウクライナ領内にとどめていた攻撃を、国境を超えて、ロシア領内への直接攻撃を認めるようにしようというのです。

 しかも、西側からウクライナに今後、供与する兵器の中には、核兵器の搭載可能なものまで含まれています。

 これは、ウクライナ対ロシアという、これまでの紛争の枠組みを超えて、西側諸国自らが、ロシアとの直接的な全面戦争へと踏み込む第一歩となる、重大な局面転換となりうるという、事の重大性を、日本を含め西側のメインストリームメディアも、西側の各国政府も、例の如く、まともに報じても、論じてもいません。

 日本を含む西側各国は、ロシアとの戦争への深入りに対する、自国民の反発を恐れて、事の重大性を曖昧にしか伝えていないのです。

 対照的に、西側諸国の「方針転換」の重大さを、深刻に受け止め、曖昧さを一切排除して、この問題に対する見解を表明しているのは、一方の当事国のロシアです。

 前ロシア大統領であり、現在はロシア安全保障会議副議長をつとめるドミトリー・メドベージェフ氏は、自国が対戦しているのはウクライナだけではなく、その陰から兵器と弾薬を送り込み続けている西側諸国であることを明記した上で、6月1日付『テレグラム』において、一切の曖昧さを省き、こう述べています。

 「西側諸国との現在の軍事紛争は、最悪のシナリオ通りに発展している。NATOが使用する兵器の威力は絶えずエスカレートしており、今日この頃、紛争が最終段階に移行する可能性を誰も排除できない」。

 ここでメドベージェフ氏の言う「最終段階」とは、ロシアと西側諸国の長距離兵器による直接対決であり、そのエスカレートした先には、西側とロシアの双方の核兵器使用が想定されています。日本のほとんどのマスメディアの浅薄きわまりない報道は、このような「敵国」の深刻かつ真剣な認識と警告に、一切、耳を傾けておらず、国民に対してまともに伝えようとしていません。

 メドベージェフ氏の発言のような警告に言及したとしても、「ロシアの脅し」程度の伝え方しかしていません。これは、ジャーナリズムの装いをまとった、視聴者・読者に対する背信であり、悪質な情報操作であるといっても過言ではありません。

 戦争や、戦争に至りかねない緊迫した対立は、どんな戦争・対立であれ、敵と味方の両サイドの「認識」を知る必要があります。その「認識」のズレが大きければ、悲劇はより深刻なものとなります。その「認識」のズレをあえて大きくするために行われるプロパガンダや情報操作は、自国民を欺くためのものであり、許されるものではありません。

 今日、西側諸国がロシアを直接攻撃できる兵器としてウクライナに供与するものの中には、核兵器が搭載できるF-16戦闘機などが含まれています。核攻撃の準備をしているのは、ロシア側だけでなく、西側諸国およびウクライナも同じなのです。むしろ、西側が先手を打って、ウクライナ領内からロシア領内に攻撃を行うことを決め、その配備を行うというのですから、当事国である西側諸国の国民は、自国の政府やNATOが何をやらかそうとしているのか、明確に知る必要と権利があり、同時に西側諸国の政府とジャーナリズムは、甘い見通しを排除して、真剣かつ明晰に報じる義務と責任があるはずです。

 メドベージェフ氏は、西側諸国に対し、「ロシア領土(その新旧に関わらす)への長距離兵器の使用を『承認した』とされる国々は、以下のことを明確に理解すべきだと、『テレグラム』の中で述べています。

 日本のマスメディアが「明確に理解」し、伝えようとしないメドベージェフ氏の『テレグラム』の内容を、以下、仮訳して、お伝えします。

 「1. 我々(ロシア)に対する戦闘に参加する全ての軍事装備と兵士は、ロシア領土への攻撃が仕掛かけられた場合、ウクライナ領土だけでなく、攻撃の出撃地となった他の国々の領土においても破壊されるだろう(兵器をウクライナに供与しただけで参戦していない、という弁明は認めず、供与した国々の軍事施設と軍隊に対し、報復攻撃を行うということ)。

2. ロシアは、ウクライナが使用する全ての長距離攻撃兵器は既にNATO軍によって直接操作されているものとみなしている。これは『軍事支援』ではなく、我々に対する『戦争への参加』である。そしてそのような行為は十分にcasus belli(戦争の正当な理由)となり得る。

3. NATOは、ワシントン条約(NATO条約)の第4条と第5条の文脈において、個々の加盟国に対する報復攻撃の結果をどのように認定するかを決定しなければならないだろう。

 おそらくNATO指導部は、北大西洋条約機構加盟国によるキエフ政権支援は、個々の国の主権的決定であり、1949年条約の『集団的自衛権』に関する規則を適用する理由はない、と装おうとしているのだろう。

 これは、危険で有害な誤解である。NATO加盟国によるこのような『個別の支援』は、長距離巡航ミサイルの提供であれ、ウクライナへの部隊派遣であれ、紛争の重大なエスカレーションである。

 かつてのウクライナと、そのNATO同盟国は、NATO自体が紛争に巻き込まれるのを防ぎきれないほどの破壊力をもって対応されるだろう(NATOに対して、ロシア軍は徹底的に応戦する)。

 そして、引退したNATOの高官たちが、『ロシアは非戦略核兵器(戦術核兵器)をかつてのウクライナに対してはもちろん、NATO加盟国に対してさえ決して使用しない』とどれだけ語ろうとも、現実の方が、彼らの軽はずみな思弁よりもはるかに恐ろしいものだ。

 数年前、彼ら(引退したNATOの高官たち)は、『西側諸国と対立しないために、ロシアはバンデラ主義政権(ナチスと一体化したウクライナ民族主義者、ステパン・バンデラを奉じるゼレンスキー政権のこと)との公開軍事衝突には至らないだろう』と言っていた。

 彼らは誤算した。戦争は、起きている。

 彼らは、核兵器の使用についても、誤算するかもしれない。それは、致命的な間違いになるだろう。

 ロシア大統領(プーチン大統領)が正しく指摘したように、欧州諸国の人口密度は、非常に高い。そして、戦域核兵器(戦術核兵器の別称で、射程が短く、数千キロメートル以内の敵対地域を攻撃するために使用される核兵器)の射程外にある敵国に対しては、最終的に戦略核兵器(大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、核兵器を搭載した戦略爆撃機等)という選択肢が残されている(ロシアから地理的に離れており、NATO内部でイニシアチブをもつ米国や英国へも届く戦略核兵器の使用も覚悟しているということ)。

 そしてこれは、残念ながら、威嚇でも、核のブラフ(はったり)でもない。西側諸国との現在の軍事紛争は、最悪のシナリオ通りに発展している。NATOが使用する兵器の威力は、絶えずエスカレートしており、今日この頃、紛争が最終段階に移行する可能性を誰も排除できない」。

※ドミトリー・メドベージェフ氏の6月1日の『テレグラム』へのポスト
https://t.me/medvedevdada/620

 今後、西側諸国がウクライナに許可を与えようとしている西側製長距離兵器によるロシア領への直接攻撃や核兵器の使用、フランス軍のような、NATO加盟国軍のウクライナへの派兵は、ロシア側から、戦術核兵器による反撃を含む、壊滅的な反応を招くとメドベージェフ氏は警告しているのです。

 このメドベージェフ氏の警告の背景にある危険な現実を、実は、米国のバージニア州選出の元上院議員、リチャード・H・ブラック氏がリアルに分析しています。

 ブラジルのジャーナリスト、ペペ・エスコバール氏は、このブラック氏のリアルな分析を、5月30日付の『スプートニク・インターナショナル』で紹介しています。

※ここから先は【会員版】となります。会員へのご登録はこちらからお願いいたします。ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して、御覧になってください!

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■6月です!「IWJしか報じていない情報」が、日々、増えてきています! IWJの情報価値は日々高まっています! そのIWJを支えるのは、皆さまからいただく会費とご寄付・カンパだけです。今期第14期の月間目標額の不足額は、合計976万6289円になってしまいました! 7月末の期末まであと2ヶ月です! 有料会員登録と、ご寄付・カンパで、どうか財政難のIWJが、独立メディアとして報道・言論活動を継続できるよう、皆さまのご支援をよろしくお願い申し上げます!

 5月のご寄付・カンパ総額の暫定額は、5月1日から5月31日までで、114件、234万4400円でした。目標達成率は59%でした。6割に届かず、かなり厳しい数字です。

 6月も月間目標に届かない事態になると、IWJは独立メディアとしての活動が、本当にできなくなる可能性が高くなります!

 今期第14期、IWJへのご寄付・カンパは、11月から5月まで、7ヶ月連続で目標金額に到達しませんでした。この7ヶ月間の不足額の合計は、976万6289円です。零細な企業であるIWJにとって、非常に厳しい赤字額です!

 IWJは収支を合わせるべく、徹底的に支出を減らす努力を、今も続けています! オフィスを移して、スモール化することも模索中です! そうやって支出を減らしても、収入が減り、赤字が積み上がっていけば、活動が続けられなくなります!

 もし、7月の期末まで、これ以上目標に達しない月があれば、年の半分が未達確定となってしまい、財源不足は深刻な上にも深刻で、IWJは、本当にこの先、活動できなくなってしまう可能性が出てきました。

 第14期の期末である7月末まで、あと2ヶ月です! ぜひとも、期末までの間に、不足分の972万6289円の赤字分をなくし、少なくとも収支をトントンにさせてください!

 第13期は、2000万円を超える赤字でした。この時は、私、岩上安身が、老後の蓄えを崩してピンチを切り抜けました。しかし、2年連続大幅な赤字となると、私、岩上安身個人にも、もうこれ以上、投じる私財はありません!

 以前にも書きましたが、私には、進行性の難病の線維筋痛症で、ほぼ寝たきりに近い次女がいます。

 賃貸のアパートで療養している彼女のために終の住処を、これから用意してあげなければなりませんし、生活費を出せる小さな物件も用意しておかないと、死ぬに死ねません。

 「ジャーナリズムバカ一代」として、すべてをなくすまで赤字経営を続けて、破産とともに「前のめりに死ぬ」などということは、自分の中の「人の親」という「情」が許さず、赤字が手に負えなくなるほど膨らむ、その一歩手前で、倒産の前に、誰にも迷惑をかけないよう、自らの手でIWJをたたみ、娘のために何かしら残せるようにするつもりです。

 もともとは健康に生まれ育ち、国立看護大学校を出て、看護師としてはつらつと働き、自活もしていた娘が、20代で発病し、働くこともできなくなり、年々病状が悪化して、ついには障害手帳をもつに至ってしまいました。そんな難病になってしまったことについて、彼女には、何の罪も落ち度もありません。

 ですので、私は、残念ながらIWJとともに心中することはできません。倒産する一歩手前で、未払いの給与や売掛、債務がないように始末して会社を自分の手で解散しますし、人様に迷惑のかかるような最後にはしない、と覚悟を定めています。

 ただ、余力ある限り、自らのジャーナリストとしての使命・天命から逃げ出すようなことはいたしません!

 世界と日本が未曾有の危機に直面しており、既存ジャーナリズムが機能しない現状だからこそ、最後の一歩手前まで、真実を伝える、ジャーナリズムの本道を貫き通します!

 皆さまのご支援のある限り、全力で前進を続けます!

 今月こそ、なんとか月間目標額の400万円に届きますよう、また、できれば目標額以上のご支援をいただき、積み重なっている今期の1000万円近い目標不足分を、期末の7月末までに削ってしまい、収支がマイナスにならないよう、有料会員登録と、ご寄付・カンパで、財政難のIWJへの強力なご支援をよろしくお願い申し上げます!

 また、ぜひとも、サポート会員様におかれましては、会員をそのままご継続いただき、一般会員様におかれましては、サポート会員へのアップグレードをお願いします!

 また、休会中の皆さまは、メールやお電話をいただければ、すぐに会員を再開できます。一度退会された方でも、会員番号は変わりませんので、改めて申し込みをいただくことで再び会員になっていただくことが可能です!

※会員の再開、新規会員登録はこちらからお願いします。
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※以下は、IWJの活動へのご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です(各金融機関ごとに口座名が非統一ですが、どれも、各銀行の仕様に従ったもので、間違いではありません)。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします!

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル

 IWJホームページからも、お振り込みいただけます。

※ご寄付・カンパのお願い
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 どうぞ、皆さま、権力に対し、一切忖度しないで真実をお伝えする独立メディアIWJの存在意義と必要性について、多くの人に口コミでも、SNSを通じてでも、広めてください!

 よろしくお願いします!

 岩上安身拝

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◆中継番組表◆

**2024.6.6 Thu.**

調整中

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◆中継番組表◆

**2024.6.7 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach5

 「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee
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【IWJ・Ch5】18:00~「PFAS汚染と都政を考えるつどいPart2」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 「多摩地域の有機フッ素化合物(PFAS)汚染を明らかにする会」主催の集会を中継します。これまでIWJが報じてきたPFAS関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/pfas
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【IWJ・エリアCh6・岩手】18:30~「第318回 脱原発盛岡金曜デモ」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach6

 「脱原発盛岡金曜デモ」を中継します。これまでIWJが報じてきた脱原発盛岡金曜デモ関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e8%84%b1%e5%8e%9f%e7%99%ba%e7%9b%9b%e5%b2%a1%e9%87%91%e6%9b%9c%e3%83%87%e3%83%a2

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

IWJ記者「IHR改正を拒否又は留保することができるが、5.31のWHOから命を守る国民運動『大決起集会』で示された1万人の民意を受け止めた上で、IHR改正について、再度議論を行い、国民の信を問う考えはあるか?」~6.4上川陽子外務大臣定例記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/523392

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■<岩上安身によるエコノミスト・田代秀敏氏への緊急インタビュー第5弾報告(その2) 前編 >「金利のない世界」から「金利のある世界」へ再突入!「複利」のローンの恐ろしさ! 岩上安身がバブル期に連帯保証人となって体験した、60年2世代ローン地獄の実体験を紹介! 元本1億8000万円の投資物件が、7%の固定金利で、60年後の完済時までに111億円超に膨れ上がることに!

 6月3日の午後5時半ごろから、岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏への緊急インタビュー・シリーズ「『歴史的円安』が凄まじい勢いで進行中! 悪性インフレ、株高、都市部では地価高騰を引き起こす一方、地方では逆に空洞化! 二極化が進み、富裕層が高笑いする一方で庶民はどう『生活防衛』すればいいのか!?」の第5回を、生配信でお送りしました。

 8時間近くに及んだインタビューの中で、冒頭部のみを、『日刊IWJガイド』6月4日号でお伝えしました。どうぞ、以下でお読みください。

※はじめに~<昨日の岩上安身によるインタビュー報告>昨夜、岩上安身による、エコノミスト田代秀敏氏緊急インタビュー第5回を、生配信でお送りしました!「投資は分散投資が原則です! 損をしたくなければ、絶対にこれだけは儲かりますといったセールスや番組に騙されてはダメ」!(日刊IWJガイド2024.6.4号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20240604#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/53558#idx-1

※【フルオープン6/3】17時頃~岩上安身による エコノミスト 田代秀敏氏インタビュー 第5回
https://www.youtube.com/watch?v=VQCnXXUrifk&t=567s

 インタビュー報告(その2)では、「金利のある世界」に戻ってきた日本で、「ゼロ金利」に慣れてしまった若い世代が頭を切り替えられるのか、個々人が背負う最大のローン、住宅ローンに焦点を当てます。

 長期金利が上がれば、変動金利のメリットは失われ、固定金利も押し上げられます。岩上安身は、固定金利も金利が上がるんだということを、「金利のない世界」にどっぷりつかってきた現在の働き盛りくらいまでの世代の人間は、ほとんど認識していない、と危機感を示しました。

 また、住宅ローンに限らず、あらゆるローンは「単利」ではなく、「複利」で計算されます。この「複利」によって、雪だるま式に膨れ上がる借金の恐ろしさを、若い世代の人々もきちんと理解すべきだし、メディアやバブル期に苦しんだ記憶のある世代は、きちんと後継世代に伝えるべきだと、岩上安身は訴えました。

岩上「ちょっと実務的な話に落とし込むと、金利が0.7%を超えると。変動金利で(住宅ローンを)組んでいる人が少なくないと思うんですが、そういう住宅ローンのメリットというのは、相殺されてしまう。

 変動ではなくて、ずっと低金利だったら、『固定でいい』と思っている人。固定で住宅ローンを組むということは、(金利の変動に)一切関係なく、『固定のまんま』だと思い込んでいる人も結構いるんです」。

田代氏「(金利は)増えますね」。

岩上「固定というのは、上がるんです」

田代氏「銀行が設定した基準金利との、金利の『上乗せの幅』が固定されているのであって、ベースの部分は銀行は変える権利があるわけですよね」。

岩上「ですよね。政策金利のところは上がったら、それはもう押し上がるわけで、その上の市中金利のここの幅だけ固定しましょう、と」。

田代氏「上乗せ部分の、『上乗せ幅が固定する』というふうに言うべきなのです。ちゃんと、正式な文書(契約書)にはそう書いてあるんだけど、それを、メディアが(詳しく事実を伝えることなく)『固定金利』って言い方するから困るんですよ」。

岩上「そうですよね。さらに、市中変動金利の場合は、そこすらも変動してしまう。

田代氏「それは市場における、需給で決めよう、と」。

岩上「年末のローン残高の一定比率・控除率を、所得税などの本来の納税額から引く住宅ローン減税の控除率は、0.7%なんですね。

 だから、住宅ローンを組んでいると、『税金が少し控除されますよ』という部分があるんだけど、変動型ローンの適用金利の平均は、0.4%程度で、0.7%の控除率をかなり下回っている。これは、今までですよ、あくまで。今までの話ですね。

 変動型住宅ローンを組んでいる場合、金利0.7%までは、利払いよりも戻ってくる税金の方が多くなるとされているんですが、これが0.4から0.7まで、この十何年か、『そんなに上がることなかったじゃないですか』という『金利のない世界』にいたわけですよね。

 でも、政策金利が1%台、1.何%って、パパパパと上がってくるのを見ると、どうなんですか、と。これは『上がらざるを得ないんじゃないでしょうか』と。税金控除の対象を超えるローン金利になってくるんじゃないか。

 もう既に(住宅ローンを)組んじゃった人も、これから組もうとしている人も、あるいは、借り換えを考えている人も、ちょっといろいろなことを考えなきゃいけないんじゃないか、と思うんです。

 田代さんに、エコノミストというより、ちょっと少し、一般庶民の目線まで降りていただいて、一般の人はこういう風な歴史的な端境期に、『どう動いて、どういうふうに買ったり、売ったりしたらいいのか』ということを、生活の知恵として教えてもらいたいなと思うんです」。

田代氏「まず、その1として、『金利って怖いんです』。めちゃくちゃ怖いんです。なぜかというと複利計算だから。

 金利があるってことは、元本に金利が加わって、次の新しい元本になっていく。だから、『金利に金利がかかっていく』という形になっているわけですね。複利計算になるわけです。

 だから、金利のことっていうのは、非常に(計算が)難しくなって。金利というものを扱うために、数学はかなり発達したんですね。

 どの時代においても、金利というのが、通常の水準であれば、必ず、自分が受け取る金額、支払う金額にすごく影響あるわけです。

 過去十数年の平均が0.4%とすると、控除率を考えると、お得ですよね。0.4%程度の金利を払っておけば、0.7%は、控除を受けるわけでしょ。差の0.3%が、純利益になっていく。それには課税されないんだから、大型のローンを組めば組むほど、お得ですよね」。

 田代氏は、ある天才的な経済アナリストが、ゼロ金利時代に、この仕組みをフルに活用して、最大18件の億ションや高級住宅を買って、値上がりしたら売り逃げていき、莫大な利益を上げたエピソードを紹介しました。

 田代氏は、ただし「そのような天才的頭脳を持ってる人だから、常に金利計算を冷静に行って、必ず、支払うローンをショートしないようにしてるわけです」と補足し、そんなことは普通の人にはできない、「普通の人が絶対マネしちゃいけない」手法であると付け加えました。

 岩上安身は、昭和バブルの時代の実体験を披露しました。

岩上「実は、『利子のない世界』に、『単利』も『複利』もないに等しいわけです。そんなことは、あんまり考えなくて良かったわけです。

 ところが、これが『利子ある世界』に戻って来たら、途端に、『複利』というものがある、ということを知らないと、大変なことになるんですよね。

 (視聴者の中でも)経済に通暁していて、『何をいまさら、君、言ってるんだ』という御年配の方にはお許しいただいて、今日見てくださっている方には若い、十代・二十代の方から、三十代・四十代・五十代はじめまで、いらっしゃると思うんですけれども。

 『これから、大きなローンを組むんだ』というような方は、長期のローン(に気をつけていただきたい)。『長期』って大事ですよ。(元本が)大きなローンで、利率が高くて、『長期』で、かつ『金利が変動する世界』ですからね。

 金利が、ただあるんじゃないんです。金利が変動する世界。その金利の変動によって、大変、大きな影響を受けます。

 それについて、基本的なことだけでも、ちょっと勉強していただこうかなというふうに思います。

 私自身は、時々こういう話をする時に、自らの傷をさらしながらお話ししています。

 両親が、昭和バブルの時に、投資の失敗で、私は連帯保証人になってしまった。29歳か、30歳だったと思いますけれども、泣きながら『頼むよ』と、老親に言われて、(連帯保証人としてサインを)書いてしまったために、その返済を全部かぶるという、地獄の日々を送ったという経験がありまして。

 時々、この話をお話ししているんですけれども。何もそれは、自虐ネタでも、一種の武勇伝でも、まったくないんです。そうじゃなくて、『それほど怖いもんなんですよ』と、『身をもって経験してますよ』ということを、お話しさせていただいているんですね。例として。

(後編に続く)

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 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20240606

IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、尾内達也)

IWJ 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
岩上安身サポーターズクラブ事務局
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