日刊IWJガイド・非会員版「ロシア制裁で社会不安が増大! ウクライナへの武器が世界に拡散! 岩上安身による国際政治学者・六辻彰二氏インタビューを配信しました!」2023.7.25号~No.3967号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~<昨日の岩上安身によるインタビュー>ロシアに対する経済制裁で逆に自分の首が絞められた西側諸国で社会不安が増大! さらに、ウクライナへ提供した武器が世界に拡散! 岩上安身による国際政治学者・六辻彰二氏インタビューを配信しました!

■泣いても、笑っても、残りはあと7日間です! 7月も後半に入り、IWJの今期第13期の期末まであと7日間を残すのみとなりました! 7月に入ってからのご寄付は112件、123万6000円、月間目標額の32%にとどまります! この11ヶ月間の累積の不足額は、2039万3900円となっています!! 7月こそは月間目標額390万円を達成し、さらに累積した赤字幅をも、皆さまのお力をお借りして、少しでも減らしたいと願っています! 今月末の期末まで緊急のご支援・ご寄付・カンパを、どうぞよろしくお願いいたします!!

■【中継番組表】

■【本日のニュースの連撃! 3連弾!】

■【第1弾! パプアニューギニアのマラぺ首相が米国との防衛協定への調印直後に「太平洋諸国は、米国と中国のどちらか一方を選ぶことを拒否するだろう」と発言!】太平洋諸国の中では「超大国」のパプアニューギニアのマラぺ首相が、米国との防衛協定への調印直後に「もし紛争が起きれば、我々はどちらか一方を支持することはない。外部からの紛争が持ち込まれないことが、この地域の利益になる」と発言!『日経』が19日にパプアが米軍に基地供与と報じた事実はいまだに、なぜか後追い報道なし! 確認がとれないまま!(『The Times』、2023年7月17日)

■【第2弾! ここでも米中対立に巻き込まれるのはNo.という主張が!! EUと、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体の共同首脳会議で、中南米とカリブ海諸国が、「ロシアと西側諸国との紛争に巻き込まれたくない」と主張!】EUと、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の共同首脳会議で、ゼレンスキー大統領に対するのEUの招待を拒否し、共同宣言の草案からロシアのウクライナ侵攻に対する非難を削除させた中南米とカリブ海諸国は、ロシアと西側諸国とを対立させる紛争に巻き込まれたくない、という希望を主張した! パプアニユ―ギニアの主張とまったく同じ!!(『1945』、2023年7月19日)

■【第3弾! ロシアへの制裁が緩む!? ロシアの原油価格が制裁の上限価格を超えた!】ロシアの主力原油製品であるウラル原油が価格上限の1バレル60ドルの上限を突破! 価格上昇でロシアの石油輸出収入が増加!? 制裁によってロシアはもうすぐ経済的に破綻するロシア崩壊というデマが日本でも西側でもメディアで横行したが、すでにもう1年半! 実現せず!(ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)、2023年7月23日)

■【スタッフ募集・事務ハドル班】事務ハドル班は、岩上安身によるインタビューのアポ取りとスケジューリング、各種リサーチ、公共コンテンツの取材のためのアポ取りや、中継スタッフやテキストスタッフと連携して、IWJの活動予定を組み立て、指示を出す、重要な役割を担っています。翌日以降の中継・配信予定と、撮影後に記事化された動画の情報を整理し、翌日の日刊IWJガイドの番組表へ反映する、IWJコンテンツ構成の要となる部署です。

■【スタッフ募集・テキスト(赤反映担当)班】記者として日刊IWJガイドや記事の執筆、エディターとして編集業務を行っていただける方を募集します。特に深夜業務での校正作業を厭わない方は、優遇し、最優先で募集します! 深夜に及んだ場合は、社用車での帰宅が可能です。時給はスタート時は1300円から、能力・実績次第で昇給します。深夜業務は法にのっとった割り増し残業代を支払います。『サビ残』は一切ありません!
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■はじめに~<昨日の岩上安身によるインタビュー>ロシアに対する経済制裁で逆に自分の首が絞められた西側諸国で社会不安が増大! さらに、ウクライナへ提供した武器が世界に拡散! 岩上安身による国際政治学者・六辻彰二氏インタビューを配信しました!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 岩上安身は昨日7月24日、国際政治学者の六辻彰二氏に、ウクライナ問題についてインタビューを行いました。

 インタビュー冒頭、ウクライナ紛争で、大手メディアが一斉に「ウクライナ=善、ロシア=悪」と、プロパガンダを報じている中で、六辻氏がこうした不毛な二項対立に巻き込まれないで、現実を指摘し続けてこられたのはなぜか? という岩上安身の質問に、六辻氏は次のように答えました。

 「私なんかは逆に、なぜ、状況の変化によって論説が変えられるのか、そっちの方が不思議(笑)。

 以前から見ていたことを、そのまま、その視点で持って見続けたならば、ロシアによる軍事侵攻そのものは批判されるべきだとしても、かといってウクライナが全面的な真っ白っていうことはないでしょう。

 8年間のドンバス戦争に関しても、(大手メディアが)まるでなかったかのように扱うことに対する違和感というか、不信感みたいなものは、強く、私なんかは持っています。

 それは、元がアフリカ研究っていう、かなりマイナーなところをずっとやっていたっていうことがあります。

 メインのメディアが取り上げることって、本当に、目立っているところの話しか出てこないんですよ。それ以外、何も問題がないかのように扱うことに対する不信感は、大学院生の頃から長く持っていました。

 そういうバックボーンがあったから、なおのこと、いきなり情報量がどんと出てきた時に、逆に疑ってかかるんです」。

 また、六辻氏はインタビューの中で、西側諸国によるウクライナへの武器支援や、ウクライナ軍への軍事訓練について、次のような懸念点を指摘しました。

 「ドンバス戦争をずっと戦ってきた民兵が、形式上はウクライナ軍に統合されたことになっていても、予算でも人事でも、縦割りのばらばらな状態になっているんですね。その中で最大勢力に近いアゾフ連隊が、実質的に正規軍を動かす状況さえ、生まれてきている。実際に、マリウポリで、アゾフの副司令官が正規軍を指揮していたという報告があがってきていますので。

 実態として、そういうところがあるとすると、もう、ウクライナ軍に対する(海外からの)支援というのは、たとえ形式的には窓口が正規軍であったとしても、いわゆる極右勢力民兵に対する支援にもなるわけです。

 そういうところに、外部から外国人戦闘員がたくさん集まってくる。その人たちみんながみんな、いわゆる極右思想を持っているかというと、そうでないという調査報告も結構あるんです。

 ただ、ずっとそこにいるわけですから、その傾向(の影響)を少なからず受ける人が多くても、不思議ではない。

 それが、いざ『終わりました』という時に、出身国にみんなばらばらっと帰って行った時に、その人たちが何をしでかすか?

 1980年代にアフガニスタンで、イスラム世界から、(ソ連軍によるアフガン侵攻に対して)当時ムジャヒディンと呼ばれた義勇兵が集まって、一大勢力に膨れ上がったけれど、彼らは1988年に、ソ連が侵攻をやめて引き上げると、大義名分がなくなったので、国に帰ったわけです。

 ですが、結局居場所がないとか、あるいは自分たちの国の政府に対する不信感、不満だけが募る中で、ビンラディンを筆頭とするアルカイダグループが再編成されていった」。

 無神論者である共産党支配下のソ連と戦ってきたムジャヒディンが、六辻氏の言う通り、アルカイダに再編されてゆく過程で、かつて、自分たちに武器を支援し、訓練を施した米軍とCIAに対して敵対心を抱き、米国を敵視するようになっていったのは、ご承知の通りです。

 六辻氏は、同じような状況が反復されている、と懸念を示します。

 「そういうことを考えた時、パターンとして非常に、途中までかなり近いものが、もうすでに生まれつつある。

 終わったあとに本国へ帰って、この人たちが普段の元の市民生活に戻るのか、戻れないのかというのが、非常に疑問なんです」。

 このあと、インタビューでは7月17日に起きたクリミア橋(ケルチ橋)の爆発とロシアによるウクライナへの報復攻撃、ロシアが黒海穀物合意延長を拒否したという、最近のニュースを紹介する中で、ロシア側が「ウクライナは黒海穀物合意を民間船での武器密売や無人機テロ攻撃に利用してきた」と主張していることをパワポで示しました。

 これについて六辻氏は、次のように語りました。

 「ウクライナという国は、ロシアによる侵攻が始まるより、はるか以前の冷戦終結後から、武器の集積地になっているということは、その筋では有名な話です。

 1990年代に旧ユーゴスラビアで内戦が激しくなった時も、ユーゴスラビア一帯に武器がわっと入ってきて、それが転売される時にウクライナあたりを経由して、中東とかアフリカとかにさばかれていった。そういう構図自体は、30年前からできあがっていたものなんです。

 これが、去年から戦闘が本格化・大規模化した中で、危険度が上がっているだろうという予測はしていたんですが、無視できないところまできていると見た方がいいんでしょう。

 それが武器だけではなくて、薬物なんかも同じようなことが言えます。裏のマーケットの一大集積地みたいになっていまして、それが破壊されたところもあるんですが、逆に活気付いてしまっている部分もある。

 例えば、薬物なんかに関して言えば、ロシアに流れてしまうものもあるので、ロシア側は止めたい。武器に関しても同じことが言えます」。

 詳しくは、ぜひIWJのYouTubeチャンネルでアーカイブを御覧ください。

※【ライブ配信 7/24 16時頃~】ロシアに対する経済制裁で逆に自分の首が絞められた西側諸国で社会不安が増大!さらに、ウクライナへ提供した武器が世界に拡散!~国際政治学者 六辻彰二氏インタビュー
https://www.youtube.com/live/jcZfxcMWtBA

■泣いても、笑っても、残りはあと7日間です! 7月も後半に入り、IWJの今期第13期の期末まであと7日間を残すのみとなりました! 7月に入ってからのご寄付は112件、123万6000円、月間目標額の32%にとどまります! この11ヶ月間の累積の不足額は、2039万3900円となっています!! 7月こそは月間目標額390万円を達成し、さらに累積した赤字幅をも、皆さまのお力をお借りして、少しでも減らしたいと願っています! 今月末の期末まで緊急のご支援・ご寄付・カンパを、どうぞよろしくお願いいたします!!

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます!

 泣いても、笑っても、残りはあと7日間です!

 7月も後半に入り、昨年8月1日から始まったIWJの第13期も、いよいよ7日間を残すのみとなりました!

 7月は1日から24日までの24日間で、112件、123万6000円のご寄付をいただきました。ありがとうございます! これは、月間目標額390万円の約32%にとどまります。

 厳しい経済状況の中、ご寄付をお寄せくださっている皆さまには、心から感謝申し上げます! 誠にありがとうございます!

 しかしながら、あと7日間で、月間目標額に到達するには、目標額の68%、196万4000円が必要です! どうぞ7月末まで緊急のご支援をよろしくお願いします!

 また、今期第13期6月末までの、11ヶ月間の累積の不足額は、2039万3900円と、2000万円を超えてしまいました! 今月7月は第13期最後の月です! 月間目標額を達成した上で、さらに残り半月でこの2000万円の累積の赤字幅を少しでも圧縮できるように、どうぞ本当にご支援をよろしくお願いします!

 今月末の会期末まで、ぜひ、皆さま、緊急のご寄付・カンパ・会員登録・YouTube登録による、皆さまのご支援の力で、ご支援をよろしくお願いいたします!!

 また、現状の会員数をお知らせします。

 6月末時点での会員総数は2630人(前年同日比:1061人減)でした。会員の方々の会費と、ご寄付が、IWJの運営の二本柱です。ご寄付も、連日お伝えしているように、目標額を下回っていますが、会員数も会費も減少しています!

 経営は本当に赤字が連続し、厳しい運営状況が続いています。どうぞ、会員登録、あるいは元会員の方は、再開をよろしくお願いします!

 IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、IWJにつなぎ融資をいたしました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けて、まだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。近いうちに、また私がIWJにつなぎ融資をしなければならない見込みですが、本当にもう貯金が底を尽きます!

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます!

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、会費も減少し、ご寄付までもが急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJも支出を減らし、業務を縮小し、効率化をはかるなどしておりますが、限界もやはり、あります。

 ウクライナ紛争に続き、「台湾有事」を口実とする米国の「代理戦争」が、東アジアで画策されている今、私、岩上安身とIWJは、破滅的な戦争を回避すべく、また、ウクライナ紛争報道で明らかになった、偏向マスメディアの不誠実な「情報操作」に代わるべく、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるよう走り続けたいと存じます!

 その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために、今後も全力で頑張ってゆきたいと思います!

 日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として立つべきです。同時に、エネルギーと食料の自給ができず、資源をもつ他の国々からの海上輸送に頼らなければならない、孤立した「島国」であるという「宿命」を決して忘れず、国外にそもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか!?

 皆さまにはぜひ、マスメディアが真実を伝えない、こうした問題について、IWJが追及を続けてゆくために、どうか、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます!

 下記のURLから会員登録いただけます。ぜひ、会員登録していただいてご購読・ご視聴お願いいたします!

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 ぜひとも、サポート会員様におかれましては、会員をそのままご継続いただき、一般会員様におかれましては、サポート会員へのアップグレードをお願いします!

 また、無料で日刊IWJガイド非会員版を読み、ハイライト動画を御覧になっている無料サポーターの皆さまにおかれましては、有料の一般会員登録をぜひともお願いいたします!

 また、休会中の皆さまは、メールやお電話をいただければ、すぐに会員を再開できます。一度退会された方でも、改めて申し込みをいただくことで再び会員になっていただくことが可能です!

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みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

 IWJホームページからも、お振り込みいただけます。

※ご寄付・カンパのお願い
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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

 どうぞ、皆さま、IWJを知人・ご友人、地域の皆さまへIWJの存在をお知らせいただき、米国に忖度し、隷従を深める日本政府、大手主要メディアの、連日の「情報操作」の積み重ねの恐ろしさと、権力に忖度しないで真実をお伝えする独立メディアの意義と必要性について、多くの人に口コミでも、SNSを通じてでも、広めてください!

 岩上安身


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◆中継番組表◆

**2023.7.25 Tue.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】11:00~「日本外国特派員協会主催 袴田秀子氏、小川秀世氏(袴田弁護団事務局長・弁護士)記者会見 ―内容:検察当局、数十年間死刑囚として過ごした袴田巌氏の再審を強行」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 「日本外国特派員協会(FCCJ)」主催の記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた袴田事件関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e8%a2%b4%e7%94%b0%e4%ba%8b%e4%bb%b6

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◆中継番組表◆

**2023.7.26 Wed.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh6・大阪】19:00~「7.26施設障碍者虐殺 7年目の追悼アクション」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach6

 「726 追悼アクション有志」主催の追悼アクションを中継します。これまでIWJが報じてきた相模原殺傷事件関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%9b%b8%e6%a8%a1%e5%8e%9f%e6%ae%ba%e5%82%b7%e4%ba%8b%e4%bb%b6

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■【本日のニュースの連撃! 3連弾!】

■【第1弾! パプアニューギニアのマラぺ首相が米国との防衛協定への調印直後に「太平洋諸国は、米国と中国のどちらか一方を選ぶことを拒否するだろう」と発言!】太平洋諸国の中では「超大国」のパプアニューギニアのマラぺ首相が、米国との防衛協定への調印直後に「もし紛争が起きれば、我々はどちらか一方を支持することはない。外部からの紛争が持ち込まれないことが、この地域の利益になる」と発言!『日経』が19日にパプアが米軍に基地供与と報じた事実はいまだに、なぜか後追い報道なし! 確認がとれないまま!(『The Times』、2023年7月17日)

 7月20日のこの日刊IWJガイドでもお伝えしましたが、7月19日に『日本経済新聞』は、米国がパプアニューギニアと5月に結んだ防衛協定を入手したとし、協定の内容として、米軍はパプアニューギニアの海軍基地など6カ所を米軍の施設として15年間提供することが決まったと「速報」で報じました。米国が「中国に対抗する」ためであると、『日経』は、その「速報」で明記しています。

※日刊IWJガイド(2023年7月20日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230720#idx-6
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52548#idx-6

 『日本経済新聞』は、このスクープ記事を英語版でも報じています。おそらく、全世界の報道関係者、軍事専門家らが、この『日経』のスクープに目を通したはずです。

※U.S. military to use Papua New Guinea naval base for 15 years(NIKKEI Asia、2023年7月19日)
https://asia.nikkei.com/Politics/Defense/U.S.-military-to-use-Papua-New-Guinea-naval-base-for-15-years

 しかし、せっかく『日経』が英語でも報じたのに、「米国が中国に対抗するため、米軍がパプアニューギニアの海軍基地6カ所を15年間使用する」というこのスクープを後追いする記事は、『ニューヨーク・タイムズ』、『ワシントン・ポスト』、『ウォール・ストリート・ジャーナル』など、米国の主要なマスメディアを見渡しても、今のところどこも、引用も後追い報道もしていません。

 しかも、不可解なことに、『日経』の子会社である『フィナンシャル・タイムズ』も、後追いしていません。これはどうしたことでしょうか?

★ところが、英国で1785年に創刊された世界最古の日刊新聞『ザ・タイムズ』が、7月17日、「パプアニューギニア、米中のどちらかを選ぶことを拒否」と題した記事を掲載しました。

 『日経』の「スクープ記事」を読むと、パプアニューギニア国内の6ヶ所も軍事基地として使用を認めるというのだから、これは日米安保のような条約を結んで、かわりに米軍に「中国の脅威」から守ってもらうという話なのだろう、と読めてしまいます。そうした報道内容と、『ザ・タイムズ』の記事は、まったくベクトルが違うのです。

 『ザ・タイムズ』の記事タイトルの主語は「パプアニューギニア」ですが、記事本文では、パプアニューギニアのジェームズ・マラペ首相が、「太平洋諸国は、米国と中国のどちらか一方を選ぶことを拒否するだろう」と語ったと報じています。

 以下は、IWJによるその全文の仮訳です。

 「『太平洋諸国は、米国と中国のどちらか一方を選ぶことを拒否するだろう』。パプアニューギニアの首相はこう述べ、『核保有国は、この地域から競争を遠ざけるべきだ』と語った。

 ジェームズ・マラペ首相は、南太平洋における中国の軍事的野心への打撃と見なされる、米国との防衛協定への調印から数週間後に発言した。しかし彼は、『条件が正しければ、パプアニューギニア(PNG)が他国と安全保障協定を結ぶことは、この協定によって阻止されない』と主張した。

 『中国からの提案があれば、その提案の是非を検討します。もし紛争が起きれば、我々はどちらか一方を支持することはありません。外部からの紛争が、我々の領域に持ち込まれないことが、この地域の利益になるのです』。

 驚くべき内容です!

 あの『日経』の「速報スクープ」記事は何だったのか!?

 協定文書の読み込み間違いなのか!? それともマラペ首相が嘘を言っているのか!?

 それともそもそも『日経』は誤報したのか!?

 誤報ならば他紙と同様の後追い報道がない理由が理解できます。それとも『ザ・タイムズ』が誤報なのか。『日経』は、早々にこの食い違いについて読者に説明すべきです。

 以下、『ザ・タイムズ』の記事を続けます。

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■【第2弾! ここでも米中対立に巻き込まれるのはNo.という主張が!! EUと、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体の共同首脳会議で、中南米とカリブ海諸国が、「ロシアと西側諸国との紛争に巻き込まれたくない」と主張!】EUと、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の共同首脳会議で、ゼレンスキー大統領に対するのEUの招待を拒否し、共同宣言の草案からロシアのウクライナ侵攻に対する非難を削除させた中南米とカリブ海諸国は、ロシアと西側諸国とを対立させる紛争に巻き込まれたくない、という希望を主張した! パプアニユ―ギニアの主張とまったく同じ!!(『1945』、2023年7月19日)

 米国のエコノミスト、スコット・B・マクドナルド氏が、軍事、防衛、国家安全保障に関するウェブサイト『1945』に、7月19日、ロシアとラテンアメリカに関する記事を寄稿しています。

 この中でマクドナルド氏は、7月17日から18日に、ベルギーのブリュッセルで開催された、EUと、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の共同首脳会議において、「ラテンアメリカにおけるロシア外交が成果を上げた」として、次のように報じています。

 「ウクライナのウラジミール・ゼレンスキー大統領に対するEUの招待は、ラテンアメリカとカリブ海諸国の反発を受けて取り消された。さらに、準備協議では、一部のラテンアメリカ諸国が、結論草案から、ロシアのウクライナ侵攻に対する非難の削除を要求した。

 これにより、中南米とカリブ海諸国は、ロシアと西側諸国とを対立させる紛争に巻き込まれたくない、という希望を主張し、EU・CELAC首脳会議は、やや友好的なものではなくなったが、これをロシア政府は大いに評価した」。

※Russia And Latin America: Riding Through The Geopolitical Rapids(1945、2023年7月19日)
https://www.19fortyfive.com/2023/07/russia-and-latin-america-riding-through-the-geopolitical-rapids/

★EUとCELACの共同首脳会議で、CELAC側が、EUが提案した共同宣言の草案から、ウクライナ寄りで反ロシアの姿勢で書かれた「ウクライナに関する記述をすべて削除」するよう求め、ゼレンスキー大統領の招待にも反対して、見送られたことは、7月8日付けのこの日刊IWJガイドでもお伝えしました。

※はじめに~欧州の独立系メディア『ユーラクティブ』がスクープ! ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)がEUとの共同首脳会議へのゼレンスキー大統領の出席を阻止し、欧州に植民地賠償を求める! 一方、上海協力機構(SCO)が、首脳会談を開催し、「ニューデリー宣言」を採択!「より公正で民主的な多極世界秩序の構築」をめざすと宣言! アフリカ・中南米・中近東・中央アジア・東アジア等、中国・ロシア・インドを含めたグローバルサウスの連帯が広がる!(日刊IWJガイド、2023年7月8日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230708#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52502#idx-1

 本日取り上げた『1945』の記事は、共同首脳会議の準備中のプロセスが、IWJが報じた時点からどう進み、どんな影響を与え、どんな反響を受けているか、というものです。

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■【第3弾! ロシアへの制裁が緩む!? ロシアの原油価格が制裁の上限価格を超えた!】ロシアの主力原油製品であるウラル原油が価格上限の1バレル60ドルの上限を突破! 価格上昇でロシアの石油輸出収入が増加!? 制裁によってロシアはもうすぐ経済的に破綻するロシア崩壊というデマが日本でも西側でもメディアで横行したが、すでにもう1年半! 実現せず!(ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)、2023年7月23日)

 23日付『ウォールストリート・ジャーナル』は、「ウクライナ戦争に必要な資金をモスクワから奪うために西側諸国が設定した上限価格を、ロシアの原油価格が上回った。

 商品データ会社アーガス・メディアによれば、米国とその同盟国が昨年12月に新たな制裁政策を導入して以来、主力原油であるウラル原油の価格が1バレル60ドルの上限を突破したのは、初めてのことだという。これは、クレムリンが少なくとも部分的には、制裁に適応することに成功したことの表れである」と報じました。

※Russia Defies Sanctions by Selling Oil Above Price Cap(WSJ、2023年7月23日)
https://www.wsj.com/articles/russia-defies-sanctions-by-selling-oil-above-price-cap-bae1c271

 上限を突破した要因として、23日付『WSJ』は、2つあげています。

 一つは、OPECプラスによる減産と、アジアの高い需要です。

 「モスクワが署名したOPECプラスによる減産も、ロシアの原油価格の上限を押し上げる一因となっている。ウラル(山が多く、石油が豊富な地域であることにちなんで名付けられた)の価格は、アジアの高い需要によって、さらに押し上げられた」

 二つ目は、制裁の適用されない代替タンカー網の構築です。

 「カーネギー・ロシア・ユーラシア・センターのアナリストで、ロシアの石油会社の元エグゼクティブであるセルゲイ・ヴァクレンコ氏は、原油価格の上昇は、ロシアが、制裁の適用されない代替タンカー網を構築しようとしていることにより、輸出品に対する欧米の影響力を削いでいることを示唆している、と語った」

 先進7カ国(G7)加盟国の企業は、ロシア産原油の価格が1バレル60ドル以下の場合に限り、輸送と保険を許可されています。米国、欧州、日本の保険会社は、モスクワの国営タンカーを含め、ウクライナ紛争前のロシアの海上輸出のほとんどすべてをカバーしていたといいます。

 インターナショナルP&Iクラブ・グループと総称されるこれらの会社は、原油流出事故の影響を受けた沿岸産業など、第三者からの賠償請求に対して保険をかけています。

 この代替タンカー網は、西側諸国以外で所有、保険、チャーターされたタンカーからなる新しい物流システムを意味します。

 この分量は「キエフ経済学院のボリス・ドドノフによると、4月までにロシアの原油出荷の半分と精製品出荷の3分の1が、このインターナショナルP&Iクラブ・グループの保険に加入していないタンカーで輸送された」と報じられています。

★代替タンカー網は、まだまだ未整備です。一番の問題は、タンカーの流出事故が起きたとき、流出事故の責任をとり、処理をする人がいなくなることです。テロ攻撃を辞さずと考える者にとっては、攻撃するには格好の標的、という状態でしょう。

 しかし、そのような事態は、ロシアが一方的に作ったものではないことは明らかです。対露制裁枠を主導した米国とその従属国である西側が、ロシアに代替タンカー網を造らせる方向へと追いつめたのです。

 欧州諸国は、安価で安定的なエネルギーを、ユーラシア大陸でロシアと地続きという「特権」を享受して、パイプラインによって手に入れてきたわけですが、米国主導のウクライナの政権転覆クーデター、さらに米国が後押ししたウクライナ・ロシア紛争、そして今や「ウクライナ」が「主犯」扱いとなっているノルドストリーム・パイプライン爆破によって、ロシアに対して経済制裁を加えたあげく、気づけば、一番大きな損失を被っていたのは欧州――だった、というオチを迎えています。

 欧州は、長年享受していた「特権」を失ったことの損失に気づくべきです。米国主導の対露制裁の馬鹿馬鹿しさに欧州が気づき、方向転換してロシア敵視をやめ、ロシアからのパイプラインによるエネルギー供給を再開できれば、現在の経済的苦境もだいぶ楽になるでしょう。しかし、NATOに頼りきりの欧州に、そんな米国にたてつくようなマネができるでしょうか!? 日本と同様に、です。

 ロシアが中心になって作り上げつつある石油輸出の代替網が、保険面でも充実してゆくことがあれば、ロシアはアジア中心に石油・天然ガスを売って、西に背を向けた貿易立国として進んでゆくことでしょう。

 米国主導の対露制裁は、「同盟国」という名前の「従属国」である欧州に、不利益を被らせただけに終わることとなるでしょう。欧州は、米国に追随していって、本当に馬鹿を見たことになります。同じ「従属国」である日本の国民のひとりとして、心配です。彼らのことも、我が身のことも、です。

 もっともトランプ氏が大統領になった場合、米国がNATOを抜けるという噂もあります。欧州より先に、米国がこのスキームから抜け出してしまうかもしれません。現状、確認できない話ですが、米国は、自ら仕掛けてTPPを作ろうとし、ラストの段階で、トランプ大統領の際に離脱した「前科」があります。そうならない、と断言もできません。

 米国内の支配層内部の権力関係も絡んでくるので、米国の大統領選は、外国人は蚊帳の外です。しかし、他人事ながら、日本にも、欧州にも、世界全体にも、影響が出かねないので、今後の米大統領選の行方や、米国・欧州内部の議論や政治動向は、目を離さず、見ておく必要があります。(IWJ)

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IWJ編集部(岩上安身、尾内達也、前田啓)

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