日刊IWJガイド・非会員版「NATO加盟国のトルコと、NATOへの加盟を求めているスウェーデンとの関係に、緊張が走る!!」2023.1.27号~No.3788号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~トルコとスウェーデンの関係に緊張が走る! スウェーデン系デンマーク人の右派政治家、ラスムス・パルダン(Rasmus Paludan)氏が、約1時間にわたってスウェーデンのトルコ大使館前でイスラム教と移民を攻撃する演説を行った後、コーランに火を放った! スウェーデンのNATO加盟に暗雲! スウェーデンはPKKの聖域だった! トルコのエルドアン大統領はスウェーデンのNATO加盟を拒否! 他方、トルコ内では、野党リーダーがNATO離脱を求める!

■2010年12月の創業以来、IWJは最大の経済的危機です! 第13期が始まった8月から12月までの5ヶ月間の累積の不足額は970万9900円です。1月に入って24日間のご寄付・カンパは単独の月間目標額の38%にとどまっています! 先月12月に岩上安身は500万円を、今月1月になってもキャッシュフローが不足するため、500万円を経理から依頼を受けて、IWJに貸すことになりました。岩上安身からのIWJの借り入れ総額は、現時点で1600万円になります! 岩上安身の私財には限界があります! このままでは、皆さまのご支持・応援、会費、そしてご寄付・カンパによるご支援がなければ、活動が立ち行かなくなります。米国が自らの覇権維持のために世界の緊張を高める「新しい戦争前夜」にあって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張ってまいりますので、緊急のご支援のほど、よろしくお願いします!

■【中継番組表】

■南米ペルーで海外企業による開発・搾取から鉱山の利益を国民の手に取り戻そうとした左派大統領が、右派議会による弾劾決議で失脚、拘束! 直後にCIA出身の米国大使がエネルギー・鉱山大臣と鉱山投資で握手!! ウクライナ紛争による対露制裁でペルーのLNG輸出は倍増! 再生可能エネルギーの時代に「銅は新しい石油」とも言われる! 銅を含め鉱物資源に恵まれたペルーに対し、米国がまたもエネルギー資源奪取の謀略を画策か!?
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■はじめに~トルコとスウェーデンの関係に緊張が走る! スウェーデン系デンマーク人の右派政治家、ラスムス・パルダン(Rasmus Paludan)氏が、約1時間にわたってスウェーデンのトルコ大使館前でイスラム教と移民を攻撃する演説を行った後、コーランに火を放った! スウェーデンのNATO加盟に暗雲! スウェーデンはPKKの聖域だった! トルコのエルドアン大統領はスウェーデンのNATO加盟を拒否! 他方、トルコ内では、野党リーダーがNATO離脱を求める!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 NATO加盟国のトルコと、NATOへの加盟を求めているスウェーデンの関係に、緊張が走っています。問題が拡大していけば、ウクライナ紛争の帰趨にも影響してくる問題です。

 22日付『アルジャジーラ』が、トルコとスウェーデンの関係をタイムラインでまとめています。

 2023年1月21日に、スウェーデン系デンマーク人の右派政治家、ラスムス・パルダン(Rasmus Paludan)氏が、約1時間にわたってスウェーデンのトルコ大使館前でイスラム教と移民を攻撃する演説を行った後、イスラム教の聖典であるコーランに火を放ちました。

 トルコ当局は、パルダン氏が大使館前で抗議行動を行うことをスウェーデン政府が許可したことに対して、非難をしています。

※Timeline of political relations between Sweden and Turkey(アルジャジーラ、2023年1月22日)
https://www.aljazeera.com/news/2023/1/22/timeline-political-tensions-between-sweden-and-turkey

 トルコのエルドアン大統領は23日、「スウェーデンはNATO加盟について、トルコの支持を期待するべきではない」と怒りをあらわにし、スウェーデンのNATO加盟を認めない姿勢を示しました。

※トルコ大統領 スウェーデンのNATO加盟は「期待するな」(テレ朝news、2023年1月24日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/54672f6a8969faabf535cf20292b088ea931df93

 『アルジャジーラ』は、「スウェーデン警察は、このデモが同国の自由な言論の自由に関する法律に該当すると判断し、許可を出した。しかし、トルコの大統領報道官イブラヒム・カリンは、デモを許可することは『ヘイトクライムとイスラム恐怖症を助長する』ことになると述べた」と報じています。

 トルコ国内では、この事件を受けて、「抗議者のグループがイスタンブールのスウェーデン領事館前の集会でスウェーデン国旗に火をつけ、トルコにストックホルムとの国交を断絶するよう要求した」ということです。

 トルコ政府は、パルダン氏の今回のデモでスウェーデン大使を召喚した翌日、スウェーデンのNATO加盟に対するトルコの反対を克服する目的で27日に予定されていたスウェーデンのパル・ジョンソン国防相のトルコ訪問が中止されたと発表しました。

 問題の中心には、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえて、昨年5月18日、スウェーデンとフィンランドが行ったNAT0加盟申請があります。

 この申請が許可されるためには、NATO加盟国30ヵ国すべての承諾が必要となります。トルコ1ヶ国だけでも反対すれば、スウェーデンとフィンランドはNATOに加盟できないことになります。

 トルコは、NATO加盟国の中で唯一のイスラム教国として、当時のソ連の軍事的脅威を背景にして、1952年にNATOに加盟しています。

 現在、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟に反対しているのは、トルコとハンガリーですが、ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相は、フィンランドとスウェーデンの加盟申請について、議会が近く承認すると述べています。

※Sweden says cannot fulfil Turkey’s demands for NATO application(アルジャジーラ、2023年1月8日)
https://www.aljazeera.com/news/2023/1/8/sweden-cannot-fulfil-turkeys-demands-for-nato-application-pm

 トルコと、スウェーデン、フィンランドの間には、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟問題を巡って、克服すべき問題が複数存在します。

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■2010年12月の創業以来、IWJは最大の経済的危機です! 第13期が始まった8月から12月までの5ヶ月間の累積の不足額は970万9900円です。1月に入って24日間のご寄付・カンパは単独の月間目標額の38%にとどまっています! 先月12月に岩上安身は500万円を、今月1月になってもキャッシュフローが不足するため、500万円を経理から依頼を受けて、IWJに貸すことになりました。岩上安身からのIWJの借り入れ総額は、現時点で1600万円になります! 岩上安身の私財には限界があります! このままでは、皆さまのご支持・応援、会費、そしてご寄付・カンパによるご支援がなければ、活動が立ち行かなくなります。米国が自らの覇権維持のために世界の緊張を高める「新しい戦争前夜」にあって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張ってまいりますので、緊急のご支援のほど、よろしくお願いします!

 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 第13期が始まった8月から12月末まで、月間目標を下回る月が続き、この5ヶ月間の累積の不足額は970万9900円にまで膨れ上がってしまいました。1月はこの金額に月間の目標額である390万円とあわせ、1月末までに1360万9900円が必要となります。

 IWJの内部留保も底を尽き、12月は、キャッシュフローが不足したため、経理から報告を受け、私、岩上安身が、個人的な私財から、500万円をIWJにつなぎ融資することでしのぎました。そして、今年に入り、1月も同じように、キャッシュフローが不足し、私が、さらに500万円をIWJにつなぎ融資することを決めました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けてまでまだ返済が残っている貸付金は約600万円。この2ヶ月間のつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の現在の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 1月も残り5日となりましたが、1日から24日までの24日間でいただいたご寄付は114件、146万3700円です。これは、単独月間目標額390万円の38%に相当します。月間目標額の62%に相当する244万円が月末までに必要であり、集まらなければ累計の赤字がまた膨れ上がってしまいます。

 長引くコロナ禍、そして円安と物価高で厳しい状況の中、ご寄付をお寄せいただいた方々、誠にありがとうございました。

 しかし、このままではどうにも立ち行きません。IWJの活動、規模を縮小し、コンパクトで最優先の情報をお届けする体制を再構築したいと思っています。人員、活動ともに引き締めています。コンパクトなオフィスも探していますが、インフレと不況による変化が急激すぎて、なかなか対応が追いつけないのが現実です。

 加えて今年に入って年頭からスタッフの中にコロナ感染者が出て、現在まで6人の感染者を出しており、予定されていたインタビューを2件延期せざるをえなくなりました。ご期待いただいていた会員や応援・支援くださっているIWJファンの皆さまには、大変申し訳なく思っています。

※<岩上安身によるインタビュー延期のお知らせ>PCR検査の結果、IWJのスタッフが複数名、陽性に! 岩上自身は陰性で、無事に勤務していますが、慎重を期して、本日予定していた、岩上安身によるJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)原田大輔氏へのインタビュー第3回を延期します! 申し訳ありません!(日刊IWJガイド、2023年1月20日号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51784#idx-1

※<インタビュー延期のお知らせ>本日予定していた岩上安身によるエコノミスト 田代秀敏氏インタビューを諸事情により、延期いたします。(日刊IWJガイド、2023年1月13日号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51754#idx-6

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、私が私財を投じて一時的に支えても、私の蓄えなどたかがしれたものですので、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費とご寄付・カンパの両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 今、日本は、戦後最大級の危機に見舞われています。

 岸田文雄総理は、昨年末閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて岸田総理は鼻高々でした。

 しかし国会での議論と承認がなされなくても、閣議決定し、米国からの承認があれば軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が代わりに犠牲となり、日本は米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。

 バイデン大統領は、「これほど日米関係が緊密になった時はなかった」などと全面的に支持を表明、岸田総理は「トマホーク」の購入まで約束してしまいました。たしかに、これほど緊密に自衛隊が米軍の支配下に組み込まれたことはなく、日本が米国の対中「代理戦争」のコマとして米国の戦略に組み込まれたことはかつてなかったことでしょう。

 中国メディア『環球時報』は15日、「日本が米国の戦略方針に従えば『アジアのウクライナ』になる危険性がある」とする論説を出しました。

 これは脅しとして、聞き流すべきではありません。ロシアとウクライナの紛争は、実のところ米露戦争の「代理戦争」であるように、東アジアで起こる米中の戦いは、台湾や日本を戦場とする「代理戦争」となり、日本の国土は、焦土となって、陸続きのウクライナと違って国民は難民にもなれず、石油も手に入らず、燃料もなく兵器も動かせず、餓死せざるをえなくなります。

 「地域を見渡せば、米国の戦略を忠実に踏襲し、地域情勢を危機の淵に追いやっているのは日本である。東京の動きには、大いに警戒に値する。もし、日本がアジア太平洋地域で米国の手先となり、ここで問題を巻き起こし続けるのであれば、日本自身が米国の犠牲になるか、あるいは東アジアのウクライナになることを覚悟しなければならない」(環球時報、15日)

 『環球時報』は、「改定版安保3文書」の内容が中国に対していかに敵対的であるかを述べ、7月に中国外交部の趙立堅報道官(当時)が述べた言葉を引用しています。

 「日本が本当に平和で安定した東アジアを望むのであれば、軍国主義の侵略の歴史を真剣に反省し、そこから教訓を引き出すべきであり、問題をあおったり炎をあおったりしてはならない」

※Japan risks turning itself into ‘Ukraine of Asia’ if it follows US’ strategic line(Global Times、2023年1月15日)
https://www.globaltimes.cn/page/202301/1283843.shtml

 残念ながら、今の日本は趙報道官の言葉とはまったく逆の方向へ、つまり、「東アジアのウクライナ」への道をまっしぐらに突き進んでいます。

 日本がこのまま米国追従を続け、米国の一極覇権を支えるのか。独立した主権国として中立を確立し、地域の勢力均衡をめざす多極的な外交姿勢をめざすのか。日本がどの道を進むかで、米中覇権争いの行方すら変わってしまう可能性があります。

 米国のシンクタンクが描く米中覇権争いのシナリオは、日本が米国に従属し続け、米国の軍需産業を太らせ、米国の覇権を維持するために、日本の国富と国土と国民を対中戦争の最前線に差し出させることです。

 ランド研究所は昨年(2022年)、『大国戦争の再発――米国と中国の間の体系的衝突のシナリオ(仮訳、The Return of Great Power War ――Scenarios of Systemic Conflict Between the United States and China)』と題するレポートを公開しました。

 レポートは、日本列島全体が中国軍の攻撃対象となり、破壊的なミサイル攻撃が行なわれる可能性があると、以下のように指摘しています。

 「中国の戦争目的は、戦域全体における米国の戦闘力の破壊を最優先とするものであろう。戦争に至るまで中国と日本との確執がエスカレートし続けた場合、中国は日本軍に対する大規模な攻撃を検討し、戦域における米国の最も有能な同盟国の1つ(日本のこと)を機能不全に陥れることもあり得るだろう。その結果、地域全体の米軍と同盟軍および施設に対する壊滅的な先制攻撃から始まる広範囲な戦争になる可能性がある」(p.135)

 このレポートは米国の同盟国である日本が、米国のいうがままに中国を挑発し、確執をエスカレートし、「機能不全」に陥れられるまで、米国の忠実な同盟国であり続けることをまったく疑っていません。日本は、「国家意志」のない従属国扱いされているのです。

 第2次安倍政権から数えて11年目に入る今年、2023年は、日本が第2次大戦後、最も次の戦争に近づいている「新しい戦争前夜」となります。

 ウクライナ紛争で展開された驚くべき偏向メディアキャンペーンと、周到に用意された対露制裁をみれば、米国の覇権を維持する戦いの本丸である対中戦略は、さらに大規模に用意されており、あらゆる次元でのメディアキャンペーンが張られることになると思われます。ウクライナ紛争におけるメディアキャンペーンは、その前哨戦だと言えます。

 その場合、ウクライナが「善なる英雄の国」にもちあげられたように、日本は「正義と善を体現するサムライ・カミカゼの国」と祭り上げられ、自分たちが米国に「利用」されていることも理解できないまま、日本にとって何の利益もない戦争で自らを滅ぼしてしまうでしょう。

 そんなことがあってはなりません。私たちは「日米同盟」の真実、米国に利用されるだけの「代理戦争」の現実に気づくよう、一刻も早く目を覚ます必要があります。

 2023年「新しい戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、全力で頑張ってゆきたいと思います。

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支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身

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◆中継番組表◆

**2023.1.27 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】12:20メド~「林芳正 外務大臣 定例会見」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 林芳正 外務大臣による記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた外務大臣関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%a4%96%e5%8b%99%e5%a4%a7%e8%87%a3
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【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach5

 「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee

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◆中継番組表◆

**2023.1.28 Sat.**

調整中

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■南米ペルーで海外企業による開発・搾取から鉱山の利益を国民の手に取り戻そうとした左派大統領が、右派議会による弾劾決議で失脚、拘束! 直後にCIA出身の米国大使がエネルギー・鉱山大臣と鉱山投資で握手!! ウクライナ紛争による対露制裁でペルーのLNG輸出は倍増! 再生可能エネルギーの時代に「銅は新しい石油」とも言われる! 銅を含め鉱物資源に恵まれたペルーに対し、米国がまたもエネルギー資源奪取の謀略を画策か!?

 昨年12月にペルーのペドロ・カスティジョ前大統領が議会によって一方的に罷免され、その後逮捕・拘束されたことに対し、カスティジョ前大統領の釈放を要求するデモが激しさを増しています。

 1月21日付け『ロイター』は、「当局との衝突でこれまでに46人が死亡」「首都リマでは警察がマヨール・デ・サン・マルコス大学に不法侵入して電子製品などを盗んだ疑いで200人以上を逮捕」「南部クスコの当局は21日、世界遺産マチュピチュと遺跡につながるトレッキングの道路を閉鎖した」などと報じています。

※デモ激化のペルー、マチュピチュ遺跡閉鎖 リマでは200人逮捕(ロイター、2023年1月23日)
https://jp.reuters.com/article/peru-politics-protest-idJPKBN2U10GR

 急進左派「ペルー・リブレ党」のカスティジョ前大統領は、2021年7月の大統領選で、日系のアルベルト・フジモリ元大統領の娘で中道右派「Fuerza 2011(人民勢力党)」党首のケイコ・フジモリ氏を破って大統領に就任しました。

 昨年12月8日付けの『BBC』によると、12月7日に議会では、汚職の疑惑で「カスティジョ氏に対する弾劾決議案の採決が予定されていた」とのこと。

 これに対してカスティジョ氏は、この汚職疑惑を「陰謀」だと訴え、国営テレビで「国民の要求に応え、法の支配と民主主義を再び確立する」ために、「非常事態を宣言するとともに、野党主導の議会を解散させ、『特別臨時政府』を樹立すると発表した」ものの、議会はこれを無視して弾劾決議案の採決が行われ、「決議案は賛成101、反対6、棄権10の大差で可決された」とのことです。

 その後、ディナ・ボルアルテ副大統領が大統領就任を宣誓し、カスティジョ氏は「憲法の秩序を破った反逆の疑いで逮捕」されました。

※ペルー大統領、弾劾され失職 副大統領が初の女性大統領に就任(BBC、2022年12月8日)
https://www.bbc.com/japanese/63897914

 大統領失脚の政変で、なぜ南部のクスコや世界遺産のマチュピチュといった名前がニュースに出てくるのか、不思議に思った方も多いのではないでしょうか。

 独立ネットメディア『ジオポリティカル・エコノミー』が、1月19日付けで報じた記事の中で、その理由が明らかにされています。

 「CIAとつながりのある米国大使がペルーの鉱物資源に投資」と題したこの記事は、「ペルーの米国大使であるリサ・ケンナは、元CIAだ。左翼大統領のペドロ・カスティジョを打倒した12月の議会クーデターを支援した」と報じています。

※Peru’s natural resources: CIA-linked US ambassador meets with mining and energy ministers to talk ‘investments’(GEOPOLITICAL ECONOMY、2023年1月19日)
https://geopoliticaleconomy.com/2023/01/19/peru-resources-mining-gas-investment/

 米国務省のホームページには、確かにケンナ米国大使の経歴について「国務省入省前は中央情報局(CIA)の職員として9年間勤務した」と書かれています。

※Kenna, Lisa ― Republic of Peru ― May 2020(U.S.DEPARTMENT of STATE、2020年5月14日)
https://www.state.gov/kenna-lisa-republic-of-peru-may-2020/

 またツイッターでは、「議会クーデター」のあった12月8日、ケンナ米国大使は次のように連投ツイートし、議会側を支持しています。

 「合衆国は、カスティジョ大統領による、議会がその権限を遂行するのを妨害するいかなる憲法違反の行為も断固として拒否する」

※リサ・ケンナ在ペルー米国大使のツイート(2022年12月8日)
https://mobile.twitter.com/USAmbPeru/status/1600552518056308736

 「米国は、カスティジョ大統領に対し、議会を閉鎖しようとする彼の試みを撤回し、ペルーの民主的機関が憲法に従って機能することを許可するよう強く求める。この不確実な時期に、ペルー国民が落ち着いて行動することをすすめる」

※リサ・ケンナ在ペルー米国大使のツイート(2022年12月8日)
https://mobile.twitter.com/USAmbPeru/status/1600552520123752448

 この『ジオポリティカル・エコノミー』の記事は、「カスティジョは適正な手続きなしに18ヶ月間投獄される。ペルー全土で発生した大規模な抗議運動に対し、選挙で選出されていない政府は極端な暴力で対応し、わずか1ヶ月強で約50人の抗議者を殺害した」と批判しています。

 記事は、「議会クーデター」の前日の12月7日に、ケンナ米国大使がペルーの国防大臣と会談し、国防大臣はカスティジョ大統領に反対するよう軍に指示したと指摘しています。

 実際、前述の『BBC』の記事は、8日のカスティジョ大統領のテレビ演説の直後に、「憲法裁判所の長官は、カスティジョ氏がクーデターを起こしたと非難」「警察と軍隊は共同声明を出し、憲法による秩序を尊重するとした」と報じています。

 そして、『ジオポリティカル・エコノミー』の記事は、「議会クーデター」後、ケンナ米国大使が新政権のボルアルテ大統領や閣僚と定期的に会合をもち、1月18日には「エネルギー・鉱山大臣、炭化水素担当副大臣、鉱山担当副大臣と同席した」と報じています。

 「ペルーのエネルギー・鉱山省は、『投資』の機会や採取産業の『開発』と『拡大』の計画について話し合ったと自慢している」

 このように書かれた記事の直後には、ケンナ米国大使とにこやかに握手するガルグレビッチ大臣や、副大臣らを交えた会合の写真入りで、ペルーエネルギー・鉱山省の連投ツイートが貼られています。

 「鉱業部門の開発問題に対処するペルーと米国間のハイレベルの制度的対話が、今日、オスカル・ベラ・ガルグレビッチ大臣とペルーの米国大使リサ・ケンナによって開催されました」

※ペルーエネルギー・鉱山省のツイート(2023年1月19日)
https://twitter.com/MinemPeru/status/1615863013868707841

 「炭化水素副大臣のエンリケ・ビセッティと鉱山副大臣のハイメ・チャベス・リヴァも会議に参加し、わが国における天然ガスの大量生産、鉱業への投資、再生可能エネルギーの開発に関する問題に取り組みました」

※ペルーエネルギー・鉱山省のツイート(2023年1月19日)
https://twitter.com/MinemPeru/status/1615863044944306177

 『ジオポリティカル・エコノミー』の記事は、以下のように続きます。

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 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

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IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、尾内達也、前田啓、中村尚貴)

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