【IWJすこやかブログ】愛くるしいペットとのプライベートを「そのまま」お届け!~写真集「PANDY&MIKO ITALY」「PANDY&MIKO JAPAN」のご紹介(IWJ関西・柏原亮資)

 いつもIWJをご覧いただき、ありがとうございます。

 2月21日、IWJ代表・岩上安身が取材先の北海道・帯広で倒れて以降、皆さんにはご心配、ご迷惑をおかけしています。「冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)」の発作でした。今(2月25日現在)はまだ、自宅で静養を続けています。

 ハードワークが災いしましたが、次から次へと重大ニュースが降りかかり、なかなかペースダウンできる状況ではありませんでした。今後はもっと身体に気を使うよう、本人だけでなく、スタッフ全員が心がけて健康管理に努めていきたいと思います。暗いニュースが続き、皆さんもなかなか心を休めることができないかと思います。

 そこで今回は、皆さんに少し趣向を変えた記事をお届けしたいと思います。

 先日、関西のIWJスタッフでスチールカメラマンの柏原亮資が、「2匹の愛犬」の愛くるしい姿を記録した写真集『PANDY&MIKO』を発売いたしました。

 これを受け、著者の柏原が写真集の紹介記事を書きましたので、愛くるしいワンちゃんたちの姿をご覧いただきながら、本稿を読み進めていただいて、少しでも皆さんの「癒やし」になれば幸いに思います。(IWJ 編集部)

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愛くるしいペットとのプライベートを「そのまま」お届け!~写真集「PANDY&MIKO ITALY」「PANDY&MIKO JAPAN」のご紹介

執筆者:柏原亮資

 こんにちは。IWJで関西を中心に取材活動を行なわせていたただいている柏原資亮です。

 2014年10月初旬に、2匹の愛犬と嫁さんとの10年の日々を撮りためた写真が、イタリア編「PANDY&MIKO ITALY」日本編「PANDY&MIKO JAPAN」の2冊の写真集として出版されました。

IWJ 書店で、【柏原夫妻サイン入り写真集】数量限定販売中!
イタリア編「PANDY&MIKO ITALY」
日本編「PANDY&MIKO JAPAN」

 現在は東京の山本現代( http://www.yamamotogendai.org/ )で1月17日から2月14日の期間、巡回展が開催中です(※こちらの展示は終了しました)。

 そして関西では、大阪のアメリカ村にあるdigmeout ART&DINER ( http://www.digmeout.net/ )で2月19日から3月1日の期間で巡回展を開催させていただきます。

▲IWJ関西で著者の柏原亮資

▲柏原の奥さんで画家の できやよい さん

自己紹介

 簡単に自己紹介を書かせていただきます。

 1977年 大阪生まれ。2011年、公募写真展「御苗場」にて写真家/総合プロデューサーのテラウチマサト氏よりレビュアー賞を受賞。

 東日本大震災によって起きた福島原発事故を切っ掛けに30半ばでDAYS JAPANフォトジャーナリスト学校に3期生として転がり込み、広河隆一さんの下で報道とは何ぞやを学ばせていただいた後、2013年 オランダの写真センター「ノーデリヒト」でマスタークラスの講座を教える写真キュレーターマーク・プルースト氏が講師を務めるWorkshopを修了。

 そして現在は、写真家として作家活動と広告撮影等の仕事をしながら、関西を中心にIWJで報道取材を行なっています。

 嫁さんは、できやよい という絵描きです。

(山本現代 Exhibition 紹介文より) できやよいは、「日本ゼロ年」(水戸芸術館、1999年)や「六本木クロッシング2007 未来への脈動」(森美術館、2007年)などの数々の 展覧会を始め、「第7回建築展ヴェネツィア・ビエンナーレ」(2000年)や「第7回リヨン・ビエンナーレ」(2003年)などの国際展にも出展してお り、デビューから現在まで大変注目を集めてきた作家です。ほかに2013年には森ビルの1月の広告のメインイメージを担当するなど、企業広告やミュージ シャンとのコラボレーションワークにも数々起用され、時代と呼応した多彩な活動を繰り広げています。

 できやよいの絵画作品といえば、非常に鮮やかな極彩色に彩られた多幸感に溢れる無邪気な画面と、作品に近づくと見えてくるびっしり描き込まれた細密描写の狂気の世界が魅力です。
 

 今回ご紹介いたします作品は平面・立体共にフィンガー・スタンピングのシリーズで、色彩の世界を形作っているエレメントが無数の小さな「顔」で、その集 合体で構成されています。色とりどりの人の顔だけでなく、時折パンダらしき動物の顔も描かれており、できやよいの永遠の「少女性」をうかがわせます。彼女 の作品を「絵画」たらしめているもの、それは手法によってだけではなく、溢れる色彩に表された快楽、イノセンス、そして呪術的とも言える細密描写から立ち 上る、人間が秘めている根源的狂気のアンビバレンスであると言えるでしょう。

 そんな僕たち夫婦と愛犬の写真集なのですが、それでは一体、どんな内容かとゆう説明を、出版社さんが用意してくださったプレスリリース用の紹介文を載せさせていただき、それからエピソードやこの本に込めた気持や何かを書かせていただきたいと思います。

イタリア編「PANDY&MIKO ITALY」「別の惑星にいるみたいだ。」
加瀬亮(帯文より)

チワワのカップル「パンディ&ミコ」が、イタリアで結婚式を挙げました! タキシードとドレスを着ておすまししたり、ビーチではしゃぎまわったり、とっておきの笑顔で笑ったり……。 愛くるしさ満点の、その豊かな表情は、見る者をふっと笑顔にさせる、ハッピーでキュートなパワーであふれています。 お父さん(写真家)がとらえたカメラ目線ばっちり な写真と、お母さん(絵描き)の鮮やかな絵に彩られて、ワンちゃん好きにはもちろん、お子さんからご老人まで、たくさんの人に癒しと笑顔を届ける、とって おきの写真集が誕生しました。

日本編「PANDY&MIKO JAPAN」

「私はもっぱら猫好きなのですが、この犬ちゃんは別腹です」
和田ラヂヲ(帯文より)

チワワのカップル「パンディ&ミコ」はいつも一緒、日本全国を旅するのが大好き。桜のかぶりものをして吉野山でお花見をしたり、ハチマキを巻いて お祭りに行ったり、もみじの精になりきってみたり、たまにコスプレをしてみたり……。愛くるしさ満点の、その豊かな表情は、見る者をふっと笑顔に させる、ハッピーでキュートなパワーであふれています。お父さん(写真家)がとらえたカメラ目線ばっちりな写真と、お母さん(絵描き)の鮮やかな絵に彩ら れて、ワンちゃん好きにはもちろん、お子さんからご老人まで、たくさんの人に癒しと笑顔を届ける、とっておきの写真集が誕生しました。

ほとんどがプライベートフォト

 動物は、愛情を注いで共に暮らせば、まるで無垢な愛情の塊の様に育って、(多くの苦労もありますが、必ずそれ以上に)僕たちを毎日、幸せにしてくれます。
 かけがえのない時間と経験を、僕たちに与えてくれます。

 この写真集は、そんな2匹の愛犬を、夫婦2人3脚で、ひたすらとことん溺愛しながらハチャメチャに面白くて笑える日々を綴った、家族の(ペットは家族だ!)ドキュメンタリーでもあるのです。

 実際、この2冊の写真集は、そもそも作品として撮ったものでは無くて(自分は写真家なので写真を撮る以上、全て作品となり得る可能性はありますが)
出版が決定してからの編集中にレイアウトデザインの都合上、追加撮影した2カットと、巻末の著者近影的な家族ポートレイトを除いて、全て僕たちの10年余りの日々の、プライベートフォトや旅先での記念写真といったものばかりなのです。

 その事を踏まえて、この2冊の写真集を観て頂ければ、ページをめくる度に、より一層、幸せやアホさ具合を感じて、笑ってご覧になっていただけるのではないかと思います。

写真の奥深さに触れて

 写真というモノは、本当に奥の深いもので、多くの芸術がそうであるのと同じく、表現者の数だけその表現が無数に存在します。

 特にデジタル化が進んだ現代、かつては困難であった様な加工も容易となり、写真=真実と捉えられがちであった方程式ももはや写真の世界には存在しないに等しい時代となりました。

 例えば、写真は並び順を入れ替えるだけでも、原因や結果を変えてみせる事は簡単に行なえますし、作為を持って情報を伝えたり、鑑賞者の感情を誘導するには非常に容易いツールでもあります。

 また、写真史や美術史、その作家のバックグラウンドを知らなければ、読み解く事のできない秘められた意味や意図、見えることのないストーリーも沢山存在します。

 例えば、今回の写真集の中でいえば、僕は被写体である2匹の愛犬に、僕たち夫婦の自己投影を行なっていますが、それは写真家のよくある1人遊びであると同時に、この日本で最も偉大な写真家の1人、アラーキー(荒木経惟)へのオマージュのつもりであったりもします(余にも世界観がかけ離れているので、よほどの写真好きの方でもそれを連想される方は稀だと思いますが)。

 これを読んで、そういった散りばめられた遊びを理解したうえで、様々な角度でまた写真集をみて頂ければ、また違った面白さで楽しんでいただけたりする事と思います。

「愛犬バカ」ランキング、上位入り?

 写真には、そうした知らなくても良い事だけれど、知る事によって、より一層、写真が楽しくなる面白さが沢山あるのですが、何はともあれ写真とは、写真という名の視覚言語であり、どの様な状況であれ最終的には、そのアウトプットされた状態で伝わるものが(ほぼ)全てであります(後に情報知識の付加によって分かる場合はあるにしろ)。

 ですからきっと、この写真集からは、僕たち夫婦のアホさと愛犬への愛情、2匹の表情から溢れ出る可愛さを、存分に感じて貰える事だと思います。

 ハッキリ言って、この2冊の写真集は、プライベートの範疇を越えて人の目や批評の場に曝し発表する事が、僕の人生で、最も恐ろしく恥ずかしい写真達でした。

 それは、お前どんだけ犬可愛がっとんねん! 赤ちゃん言葉とかで喋ったりしとるんやろ! とか思われたりするんちゃうのみたいな理由も含め、しかも全てその通りどころかそれ以上。日夜、1人或るいは2人で、1人3役(自分と犬2匹分)併せて最大2人6役のコントさながらの大芝居を繰り広げているわけですが、そんな事すら一目瞭然に全てさらけ出す事であろうと思います(これを読んでいる愛犬家や愛ネコ家の方々だけは、ウンウンその気持ちわかるわかるよ! と首を縦に振って下さっている事を祈ります)。

 つまり、この本が出た事は嬉しい事と同時に、僕たち夫婦は一躍、愛犬バカ夫婦ランキング(そんなものが有るとすれば)堂々の日本ランカー上位入りを果たしてしまったのです。

写真や芸術に、意味やメッセージはあってもなくてもよい

 しかし、僕の怯え恐れとは裏腹に、そんな愛犬と嫁さんとの日々を撮りためた写真たちは、こうしてFOILから写真集を出版していただけるという僕にとって奇跡の様な幸運を運んでくれました(奈良美智さん、荒井良二さん、川内倫子さんといった日本を代表する作家の方々の本を出版しているFOILはリトルモアを設立された竹井正和さんが2004年に設立された出版社/ギャラリー。)。

 そして生まれでたこの写真集と展覧会をみて下さった、よしもとばななさんにとても喜んでもらえたり、尊敬する木村二郎さんの築いたgallery traxでの展覧会や、日本のトップギャラリーの一つに数えられる山本現代での展示といった夢を次々に叶えてくれたのでした(山本現代の展覧会では、伝説の写真家 高橋恭司さんに写真を誉めて頂けるという、とてつもない奇跡も!!!)。

 人生、本当に何が起きるか分かりませんが、兎に角、生きてて良かった、写真を諦めずに続けてきて本当に良かった、と心からそう思いました。

 写真や芸術に、意味やメッセージはあってもなくても良いし(実際、やよいの作品には意味やメッセージが込められている類いのものではありません)、時代や環境、偶然のタイミング(その日そこに来る途中、犬のうんこを踏んでしまったとか、恋人と喧嘩したとか、天気の具合とか)、それぞれの鑑賞者によって、意味も解釈も感動も、無限に変化するものなので、作家の込めた思いと受取り側の解釈は必ずイコールではありませんが、僕たちは、芸術にしろ報道にしろ、商いにしろ、全てにおいて、する自由/しない自由(天才芸術家デュシャンは、時代の激動の中で翻弄される事なく、それどころか作品すら殆どつくらず、ひたすらチェスをしていた。その姿勢だって貫かれていればカッコイイ)、それによって起る未来への可能性(勿論それに伴う結果や責任も)を有しています。

 そしてそれが巡り巡って、絶望の縁にいる人の心の支えとなったり作品をみた誰かの人生を決定付けるような感動や、人生の道しるべとなる事だって有るかも知れないし、可能性という意味では、いつかこの国の選挙結果を変える事だって出来るかもしれないし、戦争や貧困を無くす事さえ出来るかもしれません。

 人は、そうした無限の可能性と力を持っているのだと僕は信じています。三十代の後半にさしかかった今でも、いつかきっと、そんなふうに人を感動させれる写真家になるんだと、本気で思っています。

 今の僕の写真(集)には、残念ながらまだまだそんな大きな感動を生み出す力はありませんが、この写真集を見てくれた誰かの、クスっとした笑みや、安らぎの一時になってくれれば、それは十分に素敵な事だな、と思っています。

柏原資亮

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