【再掲】【IWJブックレビュー】「治安維持法の拡大」「関東大震災の朝鮮人虐殺」「ナチス独裁」――「国家緊急権」が招いた歴史上の悲劇!永井幸寿著『憲法に緊急事態条項は必要か』(岩波ブックレット)

 永井幸寿弁護士から発せられた切迫した警告である。

 「これは『独裁条項』というべきものです。つまりナチスの場合の国家緊急権より危険な内容です」――。

 自民党改憲草案に明記されている緊急事態条項が、いかに民主主義を眠らせ、心停止に追いこむ危険性をはらんでいるか。阪神・淡路大震災以降、21年間にわたって被災者の救済、災害関連法制にかかわってきた永井幸寿弁護士が、2016年3月5日に『憲法に緊急事態条項は必要か』(岩波ブックレット)を上梓し、その実態を暴いた。

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【IWJブックレビュー】巨匠たちの想像力〔戦時体制〕『あしたは戦争』 企画協力 日本SF作家クラブ(ちくま文庫)

 本書は、SF界の巨匠10人が「戦争」をテーマに描いた作品を収めた小説集である。

 小松左京『召集令状』は、差出人不明の「召集令状」が戦後派の若者たちに届くところから始まる。かつての赤紙そっくりの「召集令状」を手にしても、彼ら戦後派が抱くのは、恐怖よりは戸惑いである。むしろ強烈な反応を示したのは、「あの時代を知っている」世代だった。

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