【声明文#11】「安全保障関連法案」に反対する静岡大学有志の会

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 私たちが学内で最初に行動を起こしたのは衆院特別委員会の強行採決目前という7月14日のこと。当日午前、急遽、昼休みに宣伝行動をやろうという声が起こり、可能な者が集まって安保法案強行採決反対の声を上げました。

 そして、衆院本会議採決の日には静岡駅前で弁護士グループと合同の宣伝活動、翌日は学内集会、そして7月18日は総がかり行動と、私たちの意識と行動は一気に盛り上がりました。

 今にして思えば、皆、声を上げずにはいられなかったのです。そして、そうした我々の思いを社会にアピールすべく、7月24日、「安全保障関連法案」に反対する静岡大学有志の会としてネット上に声明を発表し、静岡大学関係者を対象に呼びかけ人・賛同者を募ることにしました。そして、180名以上の賛同を得た8月19日に県庁で記者会見を行い、安保法案の廃案をアピールしました。

 私たちの声明は、戦後間もなく憲法研究会の事務局として「憲法草案要綱」の作成に携わり、GHQ案さらには日本国憲法の成立に大きな影響を与えた在野の憲法学者・鈴木安蔵の名をあげています。彼はその後静大の初代憲法担当教授として招聘され、多くの学生の教育にあたりました。

 そうした静岡大学の歴史に思いを致しつつ安保法制廃案の声を上げているところに声明の特徴があります。そのおかげで、実際に鈴木安蔵から憲法を学んだという卒業生から賛同の声を寄せていただきました。今後も引き続き賛同者の輪を広げていくつもりです。全国の静大関係者の皆さん、とくに卒業生の皆さん、ぜひ賛同の声をお寄せ下さい。よろしくお願いします。


「安全保障関連法案」の強行採決に抗議し、廃案を求める声明

「安全保障関連法案」に反対する静岡大学有志の会

1、「安全保障関連法案」の強行採決に抗議し、廃案を求めます。

 7月15日に開かれた衆議院特別委員会、翌16日に開かれた衆議院本会議において、安全保障関連法案が、廃案や審議継続を求める声をおしきって強行採決されました。私たちは、この法案の強行採決に抗議し、廃案を求めます。

2、「安全保障関連法案」は憲法違反、強行採決は立憲主義の破壊につながるものです。

 この法案は、他国への攻撃を日本への攻撃と見なし、日本が戦争に参加する集団的自衛権の行使を容認するもので、憲法9条に違反します。法案について衆議院憲法審査会に出席した3人の憲法学者がそろって「違憲」とし、歴代の内閣法制局長官やほとんどの憲法研究者だけでなく、最高裁判所の元判事までが「違憲」と指摘しています。

 さらに、この法案については、多くの地方議会から慎重な審議や反対を求める表明がなされ、世論調査では今国会での成立は不必要とする声が8割を超えました。強行採決は、主権者である国民の声を無視し、民主主義に反するものです。また、憲法で国家をつくり国家権力の濫用を防ぐという立憲主義を破壊するものです。私たちは、民主主義と立憲主義の破壊を放置できません。

3、この立法で国民の命や安全の危険性は高まります。

 安倍首相は、法案の閣議決定後の会見で、この法案を「国民の命と安全を守る」ためのものであると言い、アメリカの戦争に巻き込まれることは「絶対にあり得ない」と言い切りました。しかし、何ら根拠を示すことのないこのような強弁を、私たちは信頼することはできません。この法案は、自衛隊がアメリカを含めた他国の軍に対して弾薬を提供したり、他国軍の武器や兵士を輸送したりすることを可能とするものです。国内で「後方支援」と呼んでみても、自衛隊の活動は軍の武力行使と一体と見なされます。相手国・軍からみれば、当然、自衛隊は攻撃の対象となり、日本国民がテロの対象となる危険性は高まることでしょう。

4、静大名誉教授・鈴木安蔵による「憲法草案要綱」と日本国憲法、そして私たちの決意。

 およそ70年前、日本国憲法の制定を前に、のちに静岡大学で教鞭をとることになる鈴木安蔵は、民間の立場から「憲法草案要綱」を起草・公表しました。この要綱は、日本国憲法における基本的人権の尊重、主権在民(国民主権)、前文にかかげられた平和への決意や誓いに継承される内容をもつものでした。これを一つの土台として制定された日本国憲法は、その前文において「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と記しました。

 私たち有志は、静岡大学で学び、働き、教育・研究をする者として、こうした日本国憲法に込められた願いや努力から真摯に学ぶとともに、安全保障関連法案とその強行採決が、日本国憲法の規範や原理とあいいれないものであることを踏まえ、断固として反対するものです。

5、あきらめず廃案を求めていきます。

 安全保障関連法案は、参議院で否決されれば、いわゆる「60日ルール」の適用によって衆議院でふたたび採決にかけられます。そこでは3分の2以上の賛成による議決が求められ、議決へのハードルは高くなります。それだけに法案に反対する国民世論が高まれば選挙への影響を考え、法案への賛成を踏みとどまる議員がでてくることも考えられます。あきらめることはありません。私たちは、それぞれができる行動や意見表明を通して、安全保障関連法案の廃案を強く求めていきます。

2015年7月24日

 
※安保法制に反対する団体の声明文はこちら