島根大学では、6月中旬から教員有志が安保関連法案反対アピールへの賛同を募る活動を開始しました。その結果、松江キャンパス教員の4割を超える現役教員と、OBの賛同、合わせて220名以上の賛同を集め、7月9日に県庁記者クラブにて記者会見しました。7月21日には強行採決への学内抗議集会も実施しています。
研究、教育、地域貢献に日々取り組んでいる私たち島根大学の教員はその活動の基盤たる平和を脅かすこの法案の廃案を求めています。また、大学の自治や学問の自由を擁護のため、さらには、東アジアとの国際交流事業を実際に担ってきたものとして、この法案の廃案を求めています。また、教育者という観点からも、自衛隊へ就職していった少なくない教え子たちを危険に巻き込むこの法案に対して強く反対しています。
7月に立ち上げた組織ですが、9月5日(土)には、県民集会を、島根県立大学の有志の会と共同で主催します。無謀にも、会場は800名定員です。反対の県民はもちろん、慎重審議を求める方々も含め多くの幅広い県民の皆さんに参加してもらいたいと思っています。
安保関連法案のすみやかな廃案を求める島根大学 大学人アピール
2015年6月21日 学内呼びかけ開始 7月9日発表
今国会で審議されている安保関連法案は、地球の裏側にまで出向いて他国による軍事行動に協力・加担していくことを可能にするものであり、武力行使を認めていない憲法9条に明確に違反するものです。私たちは、島根大学の大学人として、今国会に上程されている安保関連法案の反対・廃案を訴えます。
私たちは、広く学術発展を目指し、また教育・研究・地域貢献を追求して日々活動しています。こうした活動の基盤こそが平和です。法案名に「平和」を冠しているとはいえ、武力によって平和や秩序を維持することなどできるはずもありません。私たちが追求する学術発展、教育・研究・地域貢献の活動を根本から掘崩す安保関連法案の廃案を求めます。
戦争はこれまでもたびたび、「学問の自由」や「大学の自治」を脅かし、踏みにじってきました。軍事研究の解禁をはじめとして、近年の大学をめぐる状況への危機感を共有しながら、私たちは「学問の自由」と「大学の自治」を擁護するためにも、安保関連法案に反対します。
また、中国をはじめとした近隣諸国とのあいだで教育・学術交流を展開している私たちは、これらの国々の行為の一部を固定的にみなし、これを安保関連法制整備の根拠としていることに大きな危惧を抱きます。ユネスコ憲章は「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」と謳っています。微力ながらも「平和のとりで」を築くべく努めてきた私たちは、安保関連法案に反対します。
私たち大学人は、かつて日本が行った侵略戦争において多くの有為な学徒を戦場に送り出さなければならなかったという痛恨の歴史に鑑み、二度と戦争に協力しないことを誓っています。また、現在においても自衛隊に就職していった少なくない卒業生たちを思い、自衛隊の活動範囲や武器使用を大幅に緩和し、戦争に巻き込まれ、彼らが実際に傷つく危険を著しく高める安保関連法案に強く反対します。
6月4日の衆議院憲法審査会における全ての憲法学者証人の違憲答弁に示されるように、この法案は日本が第二次大戦の惨禍のなかから築き上げ、堅持してきた国際紛争の武力による解決の放棄という恒久平和主義の根幹を、解釈改憲と違憲立法によって一挙に否定し、再び私たちが「加害側」に立ってしまう危険性を高めるものです。私たちは日本や世界の歴史を大きく後戻りさせようとするこうした企てに強く抗議し、法案の廃棄を求めます。
※安保法制に反対する団体の声明文はこちら