みんなで語る「改憲への危機感」寄稿文 Vol.34 「憲法裁判所の設置」で対峙すべき 自営業 本牧の海さん

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 いつも拝読並びに視聴しています。

 さて改憲論議ですが、緊急事態条項の危険性、並びに、安倍個人がそれをお試し改憲の材料に、と意図しているのは、貴兄の危機意識として十分理解できます。これに対して、反改憲あるいはリベラル側として、「あっという間にやられてしまうぞ」「基本的人権も制限されとんでもない不自由な社会になるぞ」と言いたい気持ちもわかります。

 だからといって、「改憲議論には乗ってはいけない」「安倍政権のもとでは、入り口での抵抗が唯一の選択肢」というのも、少し単純な整理だと思います。私は野党並びにリベラル揃って、ここは、<憲法裁判所の設置>一点に絞って対峙すべき、と考えています。

 昨年の戦争法案では、解釈改憲があれよあれよという間に進められ、憲法違反の法整備が行われました。この違法性を、司法に救済を求めようにも、現行ではこれら法律によって何らかの具体的な権利侵害が発生しなければ、裁判所ではほとんど門前払いです。

 もし、そこを越えても、最後には統治行為論が出てきて、司法は憲法との関わりを逃げる道が用意されています。内閣法制局が政権側に落ちたいま、これからも憲法違反の立法を、安倍政権は数の力で押してくるでしょう。そのときに我々を本当に守ってくれる武器は、見当たらない状況です。

 そこで、違憲立法審査権を有効たらしめ機能させるためには、憲法裁判所の設置がどうしても必要におもわれます。もちろんこれが実現しても、政権が憲法裁判所の裁判官の人選を恣意的に行えば、返って違憲な法律に有効とのお墨付きを与えてしまう危険性も十分あります。それでも、今ここでこの議論を進めることは大いに意味があり、安倍政権側がこれに難色と嫌悪感を示せば、「権力者が憲法を守らなくてはいけない」という立憲主義への理解が、国民にも広がり深まっていくのでは、と思います。

 おおさか維新の会の改憲議論を素直に読めば、彼らも憲法裁判所設置を掲げている以上、さすがのおおさか維新の会でも嫌とは言えないのでは。むしろ、いわゆる改憲勢力とひとくくりにしているのを分断するテコにもなるのでは、と思います。もちろん、おおさか維新の会の胡散臭さには十分な注意が必要ですが。

 野党として入り口での拒否でなく、憲法裁判所設置の一点で理論武装を重ね、国民への周知に努め、大きな運動を背景にした改憲論議の巻き起こしに取り組んでもらいたいと思います。

 最後にますますのご健闘をこころから祈念いたします。

(自営業 本牧の海さん)