今の日本では、福島第一原発事故による健康被害を憂慮する発言をすると、「非科学的」「感情的」「風評被害」という言葉が飛んできます。しかし、それらの言葉は、被害の実態に本当にあてはまるのでしょうか?
本書は、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏と、北海道がんセンター名誉院長の西尾正道氏による対談です。それぞれ40年にわたって蓄積した専門分野の知見によって、「原発は事故が起こっても安全」「被曝しても安全」という新たな「安全神話」の嘘を暴き、「お金のための科学・医学」から「国民のための科学・医学」への転換を呼び掛けています。
小出裕章・西尾正道共著
『被ばく列島 放射線医療と原子炉』(角川ONEテーマ21)
角川学芸出版、2014/10/8
西尾氏は、ラジウムやイリジウムなどの低い放射能の線源をがん病巣にゆっくり照射する治療や、ストロンチウム89の注射によってがんの痛みを取る緩和医療を行なってきました。被曝について語る時、ほとんどの科学者や医者は、ICRP(国際放射線防護委員会)の報告書に準拠していますが、内部被曝の専門家である西尾氏は、このICRPがいかに科学的にも論理的にもおかしい点が多いかを論証します。
また、医療被曝についても詳しく述べられていますが、ベビーサイクロトロン(加速器)の話しは驚くべきものです。医療に使う放射性核種を作るためのベビーサイクロトロンは、日本中身近な病院にもたくさん導入されていますが、10~15年で老朽化し、40トンの鉄クズになるといいます。それをどのように廃棄するか、売る方も使う方も全く考えていないというのは、原子力ムラの構造とそっくりだと、読む者に示唆します
ここでは、2014年に大きな話題となった事故後の「鼻血」の問題にも触れられています。低線量被曝によって鼻血が出る機序(しくみ)についても考察されていて、「鼻血論争は、未解明なものはすべて非科学的として退け、自分たちに都合のよい内容だけを科学的と称する非科学的なICRP信奉者の発言の始まりでしかない」と厳しく批判しています。
本書は、他にも、放射性廃棄物は無害化出来るのか、原発を巡る世界の趨勢、日本がなぜ原発を続けようとするのか、などの問題を豊富なデータで論証し、これ一冊で福島や原発の問題の基本を網羅出来る本となっています。
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