日本国憲法第9条は、第二次世界大戦への深い反省から作られた崇高な理想に基づくものです。それに対して今回の法案は、アメリカの強い要請に基づくアメリカ軍支援法案であり、また、戦前の軍国主義への大きな一歩となる極めて危険なものです。
また、今回の法案は、憲法改正という手続きを経ると、憲法改正を実現できないと考えた安倍政権が、憲法の条項を潜脱する形でその内容を実現しようとするものです。このようなことを許すとするならば、憲法のあらゆる重要な条項が、骨抜きにされてしまいます。
これに法曹資格を有する国会議員を含め、政府与党の議員が誰一人として反対を唱えない事態も、極めて異常です。すでに戦時体制にあるかの如くです。
以上の次第で、今回の法案については、直ちに撤回を求めます。
生熊長幸 立命館大学教授(法律学)