法が力によって空洞化されようとしている。それによって露わになるのは、法の拠って立つ基盤が、法ならざるものに存しているということである。
法が法たりうるのは、法でない何ものかによってでしかない。
この事実を、あれほどあからさまに見せつけている力(現政権)に抗するのであれば、わたしたちもまた、批判の声を向ける矛先を、法に対して実際に力を行使する者たち(現政権)だけに限るべきではないだろう。
それだけでなく、彼らという力が拠って立つ基盤、彼らが力を行使することを可能ならしめているもの、彼らを彼らたらしめている彼らならざるものにも向けねばならないだろう。
(龍谷大学 増田靖彦)