集団的自衛権容認の危険性を明確に示す単純な事実があります。
1.アメリカは1776年の建国から現在に至る239年間のうち218年間、何らかの戦争に関与していました。平和だった期間はわずか21年間しかありません。
(参照:http://www.loonwatch.com/2011/12/we-re-at-war-and-we-have-been-since-1776/)
2.2014年のストックホルム国際平和研究所の統計では、世界の軍事費の三分の一以上はアメリカのものであり、軍事費を急増させる第二位の中国と比較しても、依然、その約3倍にあたります。
(参照:http://www.sipri.org/research/armaments/milex/recent-trends)
これらの数字は、アメリカが現在世界で最も好戦的な国であるということを、はっきりと示しています。そのようなアメリカとの軍事的な一体化を進める集団的自衛権を容認することは、近隣諸国の「脅威」よりも、遥かに現実的な脅威です。
また、今回の安保法案は手続き的に、日本の民主主義の歴史的汚点となるものです。ごく一握りの人間だけが関わる閣議で、重要な憲法解釈の変更をできるとするのは、自分たちが民意に選ばれた“国民の代表”なのではなく、“国民の支配者”である、という宣言のように思えます。「大事なことは、国民ではなく、自分たちが決めるのだ」。安倍政権が一貫して出して来るそういった「支配者意識」が問題の根本にあります。
私は現在の憲法九条、特に第二項には問題があると思っている改憲派ですが、今回の安保法案には以上の二点から、断固として反対します。
(神戸大学農学研究科 中屋敷均)