┏━━【目次】━━━━
┠■はじめに~トランプ大統領は「プーチン大統領との会談は、8月15日アラスカで行われる」と発表! ロシア側も「アラスカでの開催は理にかなっている」と表明! 会談ではウクライナの領土割譲が焦点に? ゼレンスキー氏は猛反発! 欧州もゼレンスキー氏を支持! ウクライナ・欧州外しの米露会談で停戦を決められるのか? ギルバート・ドクトロウ博士は、アラスカ会談の裏で多くのことが起きていると推測!
┃
┠■8月です! 第16期が始まりました! 7月末までの第15期は、残念ながら赤字が避けられなくなりました。しかし、IWJも、岩上安身も、めげません!! 困難は、国内外からやってきます! 向こう少なくとも10年は、日本が戦争に巻き込まれず、対米自立を果たして、日本が生存できるように、死力を尽くして頑張るつもりです! より質の高い情報をお送りしつつ、今期16期こそは、黒字化し、累積する債務も少しでも返済したいと思います! どうぞ今期16期も、ご期待ください! 緊急のご寄付、カンパをどうぞよろしくお願いいたします! 会員登録もぜひとも、よろしくお願いいたします!
┃
┠■【中継番組表】
┃
┠■<岩上安身による最新インタビュー報告>日本で持ち上げられている哲学者、ユヴァル・ノア・ハラリ、マルクス・ガブリエル、ユルゲン・ハーバーマスの共通点は、「そろいもそろって無意識の西洋中心主義者のグループ、植民地主義者、そしてレイシストだということ」! イスラエルの自衛権は認めても、ハマスやイランの自衛権は決して認めない!! 欧米諸国政府の対中東政策を批判的に論じる思想家ハミッド・ダバシの新著『イスラエル=アメリカの新植民地主義:ガザ〈10.7〉以後の世界』を読む! 岩上安身によるインタビュー第1202回ゲスト 東京経済大学教授 早尾貴紀氏 第1回(前編)
┗━━━━━
■はじめに~トランプ大統領は「プーチン大統領との会談は、8月15日アラスカで行われる」と発表! ロシア側も「アラスカでの開催は理にかなっている」と表明! 会談ではウクライナの領土割譲が焦点に? ゼレンスキー氏は猛反発! 欧州もゼレンスキー氏を支持! ウクライナ・欧州外しの米露会談で停戦を決められるのか? ギルバート・ドクトロウ博士は、アラスカ会談の裏で多くのことが起きていると推測!
IWJ編集部です。
8月6日にトランプ大統領の特使であるスティーブ・ウィトコフ氏が、モスクワでプーチン大統領と3時間に及ぶ会談を行い、帰国したあと、プーチン大統領とトランプ大統領の直接会談が実現に向けて大きく動き始めました。
<トランプ大統領とプーチン大統領は、8月15日、アラスカで会談する>
トランプ大統領は8日(日本時間9日)、トゥルース・ソーシャルに、プーチン大統領と8月15日にアラスカで会談すると発表しました。
「米合衆国大統領である私とロシアのウラジーミル・プーチン大統領との、待望の会談が、来週の金曜日、2025年8月15日にアラスカ州で開催されます。詳細は後日お知らせいたします。この件にご関心をお寄せいただき、ありがとうございます」
実現すれば、2021年6月にバイデン大統領(当時)が、スイスのジュネーブでプーチン大統領と会談して以来、現職の米大統領とロシア大統領の間で行われる初の会談となります。
※ドナルド・トランプ米大統領のトゥルース・ソーシャルへの投稿(2025年8月9日)
https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/posts/114995403653615328
ロシア側も、プーチン大統領の補佐官、ユーリ・ウシャコフ氏が、トランプ大統領の投稿を認める発言をしています。
ウシャコフ補佐官「米国側は、8月15日金曜日にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と米国のドナルド・トランプ大統領の会談を、アラスカで開催することで合意したと発表した。
ロシアと米国は隣国であり、(アラスカとシベリアで)国境を接している。そのため、我々の代表団が、ベーリング海峡を飛行機で渡り、両国首脳による重要かつ待望の首脳会談をアラスカで開催することは、まったく理にかなっているように思える」
トランプ大統領とプーチン大統領が、15日アラスカで会談することは、米露ともに合意済み、ということになります。
※Ушаков подтвердил, что встреча Путина и Трампа пройдет на Аляске 15 августа(ウシャコフ氏は、プーチン大統領とトランプ大統領が8月15日にアラスカで会談することを確認した、Interfax、2025年8月9日)
https://www.interfax.ru/russia/1040408
<アラスカ会談の主要テーマは、ウクライナ危機の長期的な平和的解決を達成するための選択肢を議論すること>
一方で、ウシャコフ大統領補佐官は、第1回目の米露首脳会談が行われる前から、「2回目の会談をモスクワで」と提案しています。
8月9日付『インターファクス』によると、ウシャコフ氏は、ロシアと米国の大統領は、ウクライナ紛争の長期的な解決に向けた協議に重点を置くと述べています。
ウシャコフ補佐官「両国の経済的利益は、アラスカと北極圏で交差しており、大規模で相互に利益のあるプロジェクトを実施する見込みがある。
しかし、もちろん、大統領自身は、ウクライナ危機の長期的な平和的解決を達成するための選択肢を議論することに焦点を当てるだろう」
また、プーチン大統領とトランプ大統領の次回の会談はロシア領内で行われる可能性があり、「当該の招待状は、既に米国大統領に伝えられている」ということです。
つまり、会談の中心的テーマはウクライナ紛争だとしても、今後、航路が開けるなどして、重要性の高まる北極海の利権などの米露の直接的な利害関係が関わるテーマも話しあわれると、ウシャコフ補佐官はみています。
ウシャコフ補佐官は、少なくともロシア側は、米露の会談は1回で終わるようなものではなく、継続的に行われるべきだ、という認識を持っています。
※Путин и Трамп на Аляске сосредоточатся на долгосрочном урегулировании конфликта на Украине(プーチン大統領とトランプ大統領、アラスカでウクライナ紛争の長期的解決に焦点、Interfax、2025年8月9日)
https://www.interfax.ru/russia/1040411
※Ушаков заявил, что РФ и США ждет напряженная подготовка к встрече на Аляске(ウシャコフ氏は、ロシアと米国はアラスカでの会談に向けて激しい準備をするだろうと述べた、Interfax、2025年8月9日)
https://www.interfax.ru/russia/1040413
<ウクライナも欧州も参加しない、米露だけのアラスカ会談の有効性は?>
トランプ大統領が、ロシア産原油を輸入するインドに対して報復的な2次関税をかけるといった、従来以上にロシアとその友好国に対し、攻撃的・敵対的な姿勢を見せる中、突如として開催が決まった米露首脳のアラスカ会談は、ウクライナ紛争を停戦または終結させ、2次関税を含めた対露制裁を解除するような大きな転換点になるのでしょうか?
ミサイルとドローンの飛びかう戦争はやめろ、しかし、米国を中心にしてロシアを締めつけている対露制裁もまた、明らかに経済戦争であり、それはウクライナ紛争とは無関係に、継続する、というのでは、ロシアは受け入れられないでしょう。それらは必ず、バーター(交換)条件として、交渉のテーブルの上に乗るはずです。
しかし、狭い意味での戦争の当事国であるウクライナの代表者も、ウクライナ支援を続ける欧州諸国も参加しない米露会談で、どれだけのことが決められるのでしょうか?
米露だけのアラスカ会談の有効性について、ロシアはウクライナにおける支配地域を広げるために戦闘のための時間稼ぎをしたいだけ、トランプ大統領は、約40%にまで下がってしまった支持率の低下を止めるために外交的な成果を欲しがっているだけ、といった冷ややかな意見もあります。
そうした見方によると、紛争の根本原因は取りのぞかれず、一時的な沈静化はあっても、いずれ再発するだろう、という見通しになります。
<アラスカ会談では、「領土の交換」が議題に?>
トランプ大統領とプーチン大統領が「ウクライナ紛争の長期的な解決」に向けて、どのような条件を考えているのかは、まだはっきりとはわかりません。
トランプ大統領は、アラスカ会談を発表する直前、8日の記者会見で、記者からウクライナ紛争について問われ、「これは起こってはならなかった戦争であり、私が大統領であれば決して起こらなかったでしょう」「これは私の戦争ではなく、バイデンの戦争です」と述べて、責任をあくまで、バイデン前大統領に押しつけた上で、3年半に及んでいるウクライナ紛争で、多くの命が失われたと指摘した上で、領土の交換について言及しました。
トランプ大統領「多くのロシア人とウクライナ人が命を落とした。私達はその状況を直視し、一部を取り戻し、一部を交換する複雑なプロセスを検討している。
これは、決して簡単なことではない。非常に複雑だ。一部を取り戻す。一部は交換する。領土の交換が行われる。両国の利益のためだ。
その件については、後でか明日か、いずれにせよ、話しあう」
「ロシアと交換する」という領土が、おそらくはロシア語話者が集住する地域を指し、その一帯までウクライナが奪回するのは現実的ではない、ということを意味していると思われます。
しかし、ウクライナ側が「取り戻す一部」とは、どこなのでしょうか?
※President Trump Participates in a Trilateral Signing with Armenia and Azerbaijan
Streamed live on Aug 9, 2025(The White House、2025年8月9日)
https://www.youtube.com/live/EKHlDnl2tQg
『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、欧州とウクライナの当局者からの情報として、領土交換では、東部ドンバス地域全体(ルガンスク州とドネツク州)をロシア側に割譲し、代わりに、ザポリージャ州とヘルソン州をウクライナに返還する案が出ている、と報じています。
ウィトコフ特使の報告から、欧州は、ロシア側はクリミア半島と、ルガンスク州とドネツク州の両州を含むドンバス地方全体、つまり現在ロシアの支配がまだ及んでいない地域を含めて、両州へのロシアの支配を求めており、その見返りとして、一部の地域を支配している、ヘルソンとザポリージャ周辺を含む、他の地域での戦線を凍結することを求めていると考えており、このロシア側の提案に沿って、アラスカ会談が行われることを予想し、懸念しています。
※Putin Tells U.S. He’ll Halt War in Exchange for Eastern Ukraine(The Wall Street Journal、2025年8月9日)
https://www.wsj.com/world/putin-russia-ukraine-ceasefire-proposal-0021453b?mod=world_lead_pos2
<ゼレンスキー氏は猛反発:ウクライナ抜きのどのような解決策も平和に反する解決策であり、死んだ解決策である>
トランプ大統領が「領土の交換」に言及したことに対して、ゼレンスキー氏は激しく反発しました。
ゼレンスキー氏は、アラスカ会談に言及し、「私達の大地で、私達の人々に対して続いている、私達抜き、ウクライナ抜きで終わらせることはできない、(アラスカは)この戦争からとても遠いところだ」と述べています。
「ウクライナ人は自分のものを守っている。ロシアと一緒にいる者ですら、ロシアが悪を犯していることを知っている。当然、私達は、ロシアが行ったことに対して、報酬を与えることはない。
ウクライナの人々は、平和を得るに値する。しかし、すべてのパートナーは、立派な平和というのがどのようなものかを理解せねばならない。
この戦争は、終わらせねばならないし、ロシアがそれを終わらせねばならない。ロシアがそれを始めて、あらゆる期限に耳を傾けずに、長引かせているのであり、それこそが問題であって、それ以外のものではない。(中略)
ウクライナの領土問題に関する答えは、すでにウクライナ憲法の中にある。誰もそこから後退することはないし、後退し得ない。ウクライナ人が、占領者に自らの大地を与えることはない。(中略)
私達に反するどのような解決策も、ウクライナ抜きのどのような解決策も、それは同時に平和に反する解決策である。それらは何ももたらさない。それは死んだ解決策であり、それらは決して機能しない。
私達全員が必要としているのは、人々が尊重する真の、生きた平和なのだ。私達は、トランプ大統領とすべてのパートナー達と一緒に、真の、そして重要なのは、永続的な平和のために作業していく準備がある。モスクワの願望で崩壊することのない平和のためにだ」。
ゼレンスキー氏は、相変わらず、自分の前任者のポロシェンコ大統領が、2014年のユーロマイダン・クーデターでヤヌコヴィッチ元大統領を追放して、ロシア系のウクライナ国民に対する、法制度的、政治的、物理的な差別、迫害、虐殺、といった民族浄化が、この紛争を激化させたのだという、ウクライナ側の、今も続く非を認めていません。
それは、イスラエルが、ユダヤ人最優先の国家であって、パレスチナ人の人権を、域内でほとんど認めないこととよく似ています。それが不服なら、出て行けと、武力行使を伴った追放が行われている点も、民族浄化そのものである、という点で、よく似ています。
※ウクライナ人が占領者に自らの大地を与えることはない=ゼレンシキー宇大統領(ウクルインフォルム、2025年8月9日)
https://www.ukrinform.jp/rubric-polytics/4023786-ukuraina-renga-zhan-ling-zheni-zirano-da-dewo-yuerukotohanaizerenshiki-yu-da-tong-ling.html
しかし、プーチン大統領は、ゼレンスキー氏との会談に反対ではないが、会談には条件が整う必要があると述べています。この中には、彼が、大統領としての任期が切れており、選挙も行われていないというウクライナ国家の指導者としての法的資格があるか疑問である、という主張も含まれていると思われ、アラスカ会談にゼレンスキー氏が参加する可能性は低そうです。
※Putin not against meeting Zelensky, conditions should be created(TASS、2025年8月7日)
https://tass.com/politics/1999223
<欧州諸国はゼレンスキー氏を支持:マクロン「ウクライナの未来はウクライナ国民なしには決められない」>
ゼレンスキー氏は8月9日、フランスのマクロン大統領、英国のスターマー英首相、デンマークのフレデリクセン首相、スペインのサンチェス首相らと電話会談を行いました。
ゼレンスキー氏は、各国の首脳が、ウクライナを支持していると述べています。
※ゼレンシキー宇大統領、欧州複数の国の首脳と電話会談(ウクルインフォルム、2025年8月9日)
https://www.ukrinform.jp/rubric-polytics/4023927-zerenshiki-yu-da-tong-ling-ou-zhou-fu-shuno-guono-shou-naoto-dian-hua-hui-tan.html
ゼレンスキー氏は8月8日、イタリアのメローニ首相、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長との会談を行なっています。
※ゼレンシキー宇大統領、メローニ伊首相と電話会談 他の首脳とのやりとりにつき協議(ウクルインフォルム、2025年8月8日)
※ゼレンシキー宇大統領、フォンデアライエン欧州委員会委員長とトランプ米大統領とのやりとりにつき協議(ウクルインフォルム、2025年8月8日)
https://www.ukrinform.jp/rubric-polytics/4023426-zerenshiki-yu-da-tong-lingfondearaien-ou-zhou-wei-yuan-hui-wei-yuan-zhangtotoranpu-mi-da-tong-lingtonoyaritorinitsuki-xie-yi.html
8月9日付『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、欧州諸国とウクライナは、「領土割譲」案(停戦と引き換えに、ドネツク地域のウクライナ領土の一部を放棄するというロシアの提案)に対し、対案を示した、と報じています。
※ここから先は【会員版】となります。会員へのご登録はこちらからお願いいたします。ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して、御覧になってください!
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php
―――――――
■8月です! 第16期が始まりました! 7月末までの第15期は、残念ながら赤字が避けられなくなりました。しかし、IWJも、岩上安身も、めげません!! 困難は、国内外からやってきます! 向こう少なくとも10年は、日本が戦争に巻き込まれず、対米自立を果たして、日本が生存できるように、死力を尽くして頑張るつもりです! より質の高い情報をお送りしつつ、今期16期こそは、黒字化し、累積する債務も少しでも返済したいと思います! どうぞ今期16期も、ご期待ください! 緊急のご寄付、カンパをどうぞよろしくお願いいたします! 会員登録もぜひとも、よろしくお願いいたします!
会員の皆様、ご寄付・カンパによってご支援くださっている皆様、IWJの第15期をお支えいただき、誠にありがとうございました。
8月1日から、IWJは、第16期に入りました!
8月は1日から8日までの8日間で、11件、20万2000円のご寄付・カンパをいただいています。これは、これまでの月間目標額350万円の6%にあたります。今期はまだ、予算が立てられていませんが、収支ともに縮小し、月間目標額も下げていくつもりです。
ご支援くださった皆様、本当にありがとうございます。
残念ながら、昨年8月から今年7月末までの第15期は、12ヶ月間で一度も、ご寄付が月間目標額に達することができませんでした。
ラストの7月は、1日から31日までの31日間で、88件、182万3000円のご寄付・カンパをいただきました。残念ながら、7月も月間目標の350万円に届きませんでした。167万7000円のマイナスとなりました。
第15期の期首の2024年8月1日から、11ヶ月経過した6月末の段階で、当初に設定したご寄付の年間目標額3850万円に対して、2025年6月30日現在の実績は、1750万円にとどまり、マイナス2100万円となっています。
これに7月末までのマイナス167万7000円を加えると、第15期12ヶ月間のマイナスは2267万7000円となります。
IWJの活動運営費は、約半分が、会員の皆様からの会費によって支えられています。残りの約半分が、ご寄付・カンパによって支えられています。
2025年7月31日時点での会員数は1694名で、うちサポート会員様が654名、一般会員様が1040名です。
会員数は、第15期は、前年度比で、サポート会員が208名、一般会員が375名、合計583名減少していて、会費収入に換算すると、前年度に比べて約930万円の減少となる見通しです。
即ち、ご寄付・カンパの収入のマイナスと合計すると、収入は予定していた目標値を3197万7000円も下回ることになってしまいました。
ちなみに、遅れて納入する方もいらっしゃるので、これはまだ確定値ではありません。ぜひ、会費納入をお忘れになっている方、納入が遅れている方は、お早めに会費をお納めください!
また、会員として再開される方、新規に会員となられる方、大歓迎です! ぜひとも、よろしくお願いいたします!
支出については、今期も、経費などを大幅な削減に努め、前年度比約1000万円ほど削っています。あくまで現時点の推計です。これから請求が上がってくる経費も当然、あります。差し引きますと、収支は約2198万円ほどのマイナスです。
このままでは、大幅な赤字となってしまいますので、非常手段として、万が一の時に備えて、セーフティネットとして積み立ててきた役員生命保険(受取人はIWJです)を解約することを決断いたしました。解約金1640万円を計上して、赤字の穴埋めとします。残りは、558万円のマイナスです。
これは、最後の手段です。こうしたセーフティネットはもうIWJに残されていません。
昨年も、私、岩上安身が年頭にコロナに感染し、その後も後遺症に苦しめられてきたため、インタビューなど、オリジナルのインタビューなどがすこぶる減ってしまい、厳しい決算となりました。
今期は、健康回復につとめるとともに、インタビューなどオリジナルコンテンツ制作のため、挽回するよう頑張りましたが、今年は、不況、インフレ、会員の方々の高齢化など、さまざまな要因で経済苦を訴える方のメールも多数、受け取っており、IWJを取り巻く外部の経済状況は、さらに厳しくなったと言わなければなりません。
今回のように、長いこと積み立ててきた保険の解約のような非常手段も、これで最後です。第15期は、支出を思いきって、しぼりこまなければならないと覚悟しています。
しかし、IWJも、岩上安身も、めげません! 困難は、国外からも日本国内からも、続々、やってきます。向こう10年が、東アジアでも、全世界においても、第3次世界大戦に巻き込まれるか否かの正念場です!
今期16期は、中身やポリシーは一切変えず、より質の高い情報を、なおもエッジをきかせて情報をお届けしつつ、経営面は、黒字に転換し、累積していた借金をバリバリ返済していきたいと思います!
そのためにも、経営面では、思い切った改革を、断行します!
どうぞ、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。
損益に直接の関係はありませんが、私の会社への貸付金はIWJからの返済が滞っていて(逆の言い方をすると、自分への返済を後回しにしていて)、2025年6月30日現在の貸付残高が、約1150万円あります。
また、コロナ期に融資を受けた金融機関からの借入金残高は、2025年6月30日現在で、約1870万円となっています。こちらは、毎月、必ず返済していかなければなりません。この連帯保証人は、私、岩上安身1人です。事実上、IWJの代表取締役である私が借りて、私が返済する借金です。
したがって、今期の収支とは無関係に、私の負っている借金は現在3000万円ほどになります。これらは、今期の赤字とは、また別の借金となります。
今期の最終的な収支は、決算を終えないとわかりませんが、機材の故障のため、新機材の購入でまとまった出費が必要になるなど、突発的な出費がない限り、おおよそこの予測からは、大きく外れることはないと思われます。最終的な数字が固まり次第、皆様にご報告をさせていただきます。
どうか、皆様のご寄付・カンパ、そして会費の納付によって、今月の目標額を達成し、さらには、赤字額を少しでも減らすことができれば、と存じます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
岩上安身 拝
※以下は、IWJの活動へのご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です(各金融機関ごとに口座名が非統一ですが、どれも、各銀行の仕様に従ったもので、間違いではありません)。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします!
みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル
城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル
ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
IWJホームページからも、お振り込みいただけます。
※ご寄付・カンパのお願い
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html
※会員の再開、新規会員登録はこちらからお願いします。
(会員登録済みの方)https://iwj.co.jp/ec/mypage/login.php
(新規会員登録の方)https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php
年会費をまとまってお支払いいただければ、12ヶ月中2ヶ月分がサービスとなります。即ち、一般会員が月1100円で、年間だとその12ヶ月分1万3200円のところ、一括払いなら、1万1000円(消費税込み)となります。
同じくサポート会員が、1ヶ月3300円で、毎月支払ってゆくと、12ヶ月で3万9600円のところ、一括払いですと、3万3000円(消費税込み)ですみます! 2ヶ月分おトクです! ぜひ、ご検討ください!
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
◆中継番組表◆
**2025.8.11 Mon.**
調整中
========
◆中継番組表◆
**2025.8.12 Tue.**
調整中
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
◆昨日テキストアップした記事はこちらです◆
イスラエルによるパレスチナ人の虐殺は、欧米人らの手による世界的な災厄の集大成!「理性はヨーロッパ人だけが持つ」と述べたカントら西洋哲学者の傲慢の延長線上にある! 欧米諸国政府の対中東政策を批判的に論じる思想家ハミッド・ダバシの新著『イスラエル=アメリカの新植民地主義:ガザ〈10.7〉以後の世界』を読む! 岩上安身によるインタビュー第1202回ゲスト 東京経済大学教授 早尾貴紀氏第1回(後編)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528735
【IWJ号外】トランプ大統領の制裁期限直前に、ウィトコフ特使がモスクワ入り! クレムリンのウシャコフ補佐官は、ウィトコフ氏とプーチン大統領が「ウクライナ問題でシグナルを交換した」と発表!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528792
第56回 福島県「県民健康調査」検討委員会
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528484
【IWJ号外】訪米中の赤沢経済再生担当相が、日本政府が合意したとしている軽減措置が適用されなかったのは「米側の事務処理ミス」と会見! 誤った大統領令は「適時」修正される見込み!?
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528801
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■<岩上安身による最新インタビュー報告>日本で持ち上げられている哲学者、ユヴァル・ノア・ハラリ、マルクス・ガブリエル、ユルゲン・ハーバーマスの共通点は、「そろいもそろって無意識の西洋中心主義者のグループ、植民地主義者、そしてレイシストだということ」! イスラエルの自衛権は認めても、ハマスやイランの自衛権は決して認めない!! 欧米諸国政府の対中東政策を批判的に論じる思想家ハミッド・ダバシの新著『イスラエル=アメリカの新植民地主義:ガザ〈10.7〉以後の世界』を読む! 岩上安身によるインタビュー第1202回ゲスト 東京経済大学教授 早尾貴紀氏 第1回(前編)
8月6日午後7時より、「岩上安身によるインタビュー第1202回ゲスト 東京経済大学教授 早尾貴紀氏 第1回(前編)」を撮りおろし初配信しました。
パレスチナ/イスラエル問題の専門家である早尾教授は、今年、すでに4冊の新刊を上梓しました。
・『イスラエルについて知っておきたい30のこと』(平凡社、2025年2月)
・『パレスチナ、イスラエル、そして日本の私たち』(皓星社、2025年4月)
・『いつの日かガザが私たちを打ち負かすだろう』(青土社、2025年6月)
・ハミッド・ダバシ著、早尾貴紀訳『イスラエル=アメリカの新植民地主義~ガザ〈10.7〉以後の世界』(地平社、2025年6月)
このうち、『イスラエル=アメリカの新植民地主義~ガザ〈10.7〉以後の世界』は、イラン生まれのハミッド・ダバシ米コロンビア大学教授が、英国の中東専門メディア『ミドル・イースト・アイ』に掲載したコラムを、早尾教授が抜粋し、翻訳したもので、日本における独自出版です。
岩上安身によるインタビューでは、「欧米諸国政府の対中東政策を批判的に論じる思想家ハミッド・ダバシの新著『イスラエル=アメリカの新植民地主義:ガザ〈10.7〉以後の世界』を読む!」と題し、著書の内容に沿って、早尾教授に連続シリーズで、お話をうかがっていく予定です。
その第1回となる今回のインタビューでは、『イスラエル=アメリカの新植民地主義~ガザ〈10.7〉以後の世界』についての詳しい解説や、ハミッド・ダバシ(※)教授の人物像、インタビューでのエピソードなどについて、ダバシ教授と親交の深い早尾教授に語っていただきました。
(※)ハミッド・ダハシ:1951年、イラン南部アハバーズ生まれ。1976年に渡米。在米イラン人の中東研究者、米コロンビア大学教授。「故エドワード・サイードの同志で思想的継承者」とされる。
『ポスト・オリエンタリズム――テロの時代における知と権力』(2017、作品社、原著は2009年)、『イラン、背反する民の歴史』(2008、作品社)、『闇からの光芒 マフマルバフ、半生を語る』(共著2004、作品社)などが邦訳されている。
・”ポスト・オリエンタリズム”を理解するための30冊(作品社)
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://sakuhinsha.com/philosophy/postorientalismfair.pdf
・イスラエル=アメリカの新植民地主義――ガザ〈10.7〉以後の世界(地平社)
https://chiheisha.co.jp/2025/05/27/978-4-911256-22-0/
ダバシ教授は、『イスラエル=アメリカの新植民地主義』のなかで、「イスラエルがガザで現在行なっていることは、フランス、イギリス、ポルトガル、ドイツ、スペイン、アメリカなどが歴史を通じて世界中でやってきたことの繰り返しである。ガザ地区のパレスチナ人は今や、欧米人らの手による世界的な災厄の集大成となっているのだ」(p.20)と述べています。
岩上安身は、日本人が明治以来、近代化する時に、実学だけではなく、哲学も受け入れていったが、それらの哲学はレイシズムを含んでいた、と指摘しました。
岩上「『聖人』のようにあがめられているエマニュエル・カントみたいな人間が、『ニグロには理性がないから、そもそも純粋理性批判の対象ではなくて、理性だとか悟性というものには当てはまらない』と論文に書いているんですよね。
これは、ナチスが、ドイツ人以外の人間(特にユダヤ人)を、『亜人間(ウンターメンシュ)』と言っているのと同じなんですよね。(中略)
イスラエル人によるパレスチナ人の虐殺は、『欧米人らの手による世界的な災厄の集大成』だ。ただ単に、ユダヤ人達がだけやっているという話じゃないんです。ヨーロッパの思想、そして500年に渡ってやってきたこと、世界に対してやってきたことの、いわば最後の集大成みたいなものだと」
岩上安身は、『永遠平和のために』を書き、今なお世界に大きな影響を与えているカントは、「ヨーロッパ人だけが理性をもっているから、永遠平和が可能なんだ」と言っているだけで、その思想には「根本的なレイシズム」が含まれていると指摘しました。
岩上「結局、ユダヤ人とは、欧州から来ているユダヤ人なのであって、彼らが本当に典型的なユダヤ人かどうかというのは、全然別の話だし、ユダヤ教徒であるかどうかも怪しい」
2023年10月7日に起きた、ハマスのイスラエルに対する奇襲攻撃から、もうすぐ2年になろうとしています。
この間、イスラエルによるガザの徹底的な破壊と、ガザのパレスチナ人に対するジェノサイドが続いています。過半が女性と子供であるガザのパレスチナ人の犠牲者数は、すでに6万人を超えています。
岩上安身は、2023年10月7日以後、イスラエルが「お前達が1人もいなくなるようなところまで更地にしてやる」と言わんばかりに行ってきた破壊行為が、この21世紀に許されているということ、米国はそれでもイスラエルを支持し続けているということについて、早尾教授のお考えをうかがいたいと、インタビューの趣旨を説明しました。
早尾教授には、まず、冒頭でご紹介した、今年に入って次々と出版されているご著書の内容を、ご紹介いただきました。それぞれ、シオニズム思想と運動、ヨーロッパの対中東政策、ヨーロッパの哲学者らとシオニズムの関係、欧米の植民地主義、日本による植民地問題を扱っています。
早尾教授は「日本近現代史、欧米思想史、それから南アフリカ、東アジア、そのあたりの植民地、あるいはレイシズムの歴史の中に示される問題」をまとめたと説明しました。
岩上安身は、日本の近現代において、「一気に国家神道として盛り上がってきた」のは、キリスト教やユダヤ教を参照したのではないかという気がしてならない、との思いを述べました。
岩上安身は、ウクライナ、イスラエル・中東とくれば、次は日本・東アジアで代理戦争が発動されるリスクがあるということについて、どのようにお考えになっているか、と質問しました。
早尾教授「日本の近現代史を書きましたけれども、明治維新以降、明治期に次々と、また戦争、植民地。北海道と沖縄、アイヌモシリ、琉球王国、そしてそれからは朝鮮半島、そして中国大陸」
岩上「台湾もですよね」
早尾教授「そうですね。という中で、日英同盟等、欧米列強と常に緊張し、共犯関係になりながら日本を膨張し続けて。
日本列島に関しては、あたかも古代から一貫してひとつの日本であったかのような神話をつくり、そこに近代天皇制が裏づけるイデオロギーとなっていくという。
この時期に、シオニズム運動も展開していくわけですね。同じくやはり、19世紀の後半から、すでにシオニズム運動は政治運動に発展していく。
そして、欧米の手先となって入植していくわけですから、そこにはっきりと平行関係がある。単に平行しているだけじゃなくて、やはり世界単位の植民地主義として、リンクしている。この観点はとても大事ですよね。
そのことを、しかし露骨な植民地主義があって、自ら開き直るのではなくて、あたかも思想的な、あるいは歴史的な正当性があるかのように描き直し、歴史を捏造しようとする。これもシオニズムと、日本も、共通しているというのがありますね。
そして、純粋な日本だとか、純粋なユダヤ人国家みたいなものを捏造してしまう。そのことで、だから排外主義が(起こり)、『いや、アメリカと仲良しないのは、やっぱりアメリカと共犯だから』と。かつ、排外主義の標的にするのは、中国・朝鮮。
実は古代史までさかのぼれば、どれだけ深く中国・朝鮮と交わって、たくさんのものを取り入れて学んで、これはもうずっと長くそういう関係があったから、だからこそ逆にそれを断ち切るというか、なかったかのようにと。
ですから、排外主義者が標的にするものが、とても選択的ですね」
岩上安身は、「帰化人や帰化議員を暴いて、売国奴とレッテル貼り」することが一種の流行のようになっているが、帰化したということは日本国籍をとっているのであり、筋が通らないと述べました。岩上安身は、「一言で言わせていただければ、弥生人であろうと縄文人であろうと、全員日本人は渡来人」であると付け加えました。
岩上安身は、「21世紀の知の巨人」と持ち上げられている、イスラエル在住の歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ(※)氏が、10.7(ハマスの奇襲攻撃)に怒り狂っていることを述べ、ハラリ氏が日頃、初期仏教の瞑想法のヴィパッサナーを実践していると言いながら、そこには仏教の不殺生(ふせっしょう、殺さない)、不偸盗(ふちゅうとう、盗まない)という、仏教の基本の五戒、あるいは十善戒の思想がまったくない、「殺して盗んでいるのが、シオニズムの本質」なのではないか、と問いました。
(※)ユヴァル・ノア・ハラリ:1976年イスラエル生まれ。イスラエル在住、ヘブライ大学教授。2011年に出版した『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』が世界的なベストセラーとなり、「知の巨人」と呼ばれるようになった。
2016年の『ガーディアン』のインタビューでは、食肉産業や乳製品産業における動物の扱い方を知り「あまりにも恐ろしくて、もう関わりたくなかった」のでビーガンとなったこと、学生時代に親友に仏教由来のヴィパッサナー瞑想を勧められたことによって人生が変わったなどと述べている。にもかかわらず、ガザで、イスラエルによって子供達が餓死させられていることには動揺をを覚えないらしい。ヴィパッサナーの都合のよい利用方法である。
ハラリは、2023年10月20日、『ANN』のインタビューで、10月7日のハマスによる攻撃について、「テロリストは意図的に民間人を襲っただけでなく、考えうる最も残虐な方法で拷問・殺害し、それを公開しました。その目的は、イスラエルと地域全体の数百万人の心に、『憎しみの種』を植え付けることでした。主な問題は、過去の傷を癒す代わりに、人々が過去の傷を利用して、さらなる傷を与えることを正当化していることです」と述べた。
・AIを民主主義の味方に「知の巨人」歴史学者ハラリ氏(日本経済新聞、2025年4月5日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD270JS0X20C25A3000000/
・Yuval Noah Harari: ‘We are quickly acquiring powers that were always thought to be divine’(The Guardian、2016年8月27日)
https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2016/aug/27/yuval-noah-harari-we-are-quickly-acquiring-powers-that-were-always-thought-to-be-divine
・「絶対的な悪も正義もない」歴史学者として…ハラリ氏に聞くイスラエル情勢(ANNnewsCH、2023年10月20日)
https://youtu.be/iXWpvHIFXWI
この10月7日の、奇襲攻撃よりも、はるかに前から、シオニストは残酷な侵略を行なっており、また、7日以降報復として、残酷さの質的にも、量的にも、比較にならない殺傷とパレスチナ人の住居や建物や彼らのすべてを破壊し尽くしています。ハラリの言葉は、学者としての知的公正性や誠実性を著しく疑わせるものです。
ユヴァル・ノア・ハラリの著書、『ホモ・デウス』(河出書房新社、2018年)、『サピエンス全史』(河出書房新社、2023年)は、どちらも世界で何千万部も売れています。
早尾教授「ユヴァル・ノア・ハラリ氏という人は、一見すると平和主義者で、『イスラエルの過度な暴力を占領地で使うことには、自分は批判的である』というようなことも、言っていたりします。
リベラルっぽく振る舞わうわけですが、しかし、人類史のような本当に巨視的な目を持っているはずなのに、今の、1948年以降のイスラエル国家が、ユダヤ人国家であるということに関しては、何も、微塵も疑いを抱いていない。
西岸ガザの占領地で、過度な暴力を使うことに関して、ちょっと自分は批判的だということをスタンスとして示していながら、イスラエルという国家そのものが(中略)、こういう暴力と覚醒のもとで、これまで植民地主義によってつくられたなんていうこと(批判)が、まったくないわけですよ。
そして10.7が起こるや、『イスラエル国家には自衛権がある』と。
そして、『ハマスが行っていることは、イスラエルの存在を脅かすことだから、これはハマスは許しがたいテロ組織である。だからハマス攻撃は正しい』と。
(ハラリ氏は)もろにシオニズムも、むき出しなわけですね」。
岩上「これを(逆に)言わせれば、先に(パレスチナに住んで)いた先住民であるパレスチナ人が、(入植してきたユダヤ人に対して)自衛権を持つのは当たり前じゃないか。
これは、G7でも認めませんでしたね。パレスチナ人(やイラン人)の自衛権を認めないで、ユダヤ人の自衛権だけは認める。
で、(G7の共同声明に)ハンコ押しちゃったわけですよね。石破総理は、残念ながら。
(G7の)前は、(イランに対するイスラエルの先制攻撃について)国会で、『こういうような暴力というのは許されない』というようなこと(を言っていたのに)。
(イスラエルは)イランに対して先制攻撃を行ったじゃないですか。それに対しては『決してそういうことは起こしてはならない』と。――また、『パールハーバー』と言われるから、日本人として嫌な気持ちになるんですけれども――、そう言っておきながら、あのイラン(への攻撃)に対しても、それからパレスチナに対する攻撃に対しても、全部、『イスラエルは自衛権をもつ』。
だけれども、イラン側にもパレスチナ側にも自衛権は認めないと政府は言うわけです。そのG7の中に、日本も加わっていて、ハンコ押してしまうんですよね。
許されないでしょう、それって。というふうに思うのです」
早尾教授「ハラリの話というのは、つまり、イスラエルの存在、イスラエルのユダヤ人国家である。(中略)
それを無条件に認めて、そしてその自衛権を一方的に認める。
この発想というのが、多分そろそろ本題に入った方がいいのでしょうけれど、ハラリの議論というのは、まさにこの中で、ダバシが批判をしている、ハーバーマス(※)ですね。ユルゲン・ハーバーマスもまた、同じように、『ハマスは、ユダヤ人国家のイスラエルを攻撃している。これは許しがたいこと』だと。
ハーバーマスは、ドイツでこれを発表した、声明を出したわけですけれども、『我々はイスラエルと連帯するべきで、イスラエルが行っているガザへの攻撃戦闘を批判するべきではない。これは自衛だ』と。
ハーバーマスについては、まだ後で。
日本の政治倫理にも触れ、ハラリに触れました。ついでに言うと、マルクス・ガブリエル(※)ですね。これも、日本で人気のドイツの哲学者ですが、マルクス・ガブリエルもまったく同じことを言っているんですね」
(※)ユルゲン・ハーバマス:1929年ドイツ生まれ。フランクフルト学派の伝統を継承するドイツの哲学者。フランクフルト大学教授、マックス・プランク研究所所長などを歴任。
『公共性の構造転換――市民社会の一カテゴリーについての探究』(1973、未來社、原著は1962年)は、「市民的公共性の自由主義的モデルの成立と社会福祉国家におけるその変貌をカント、ヘーゲル、マルクスにおける公共性論を援用しながら論じる」ものであり、広く読まれている。
その他、『コミュニケーション的行為の理論』(未来社、)『道徳意識とコミュニケーション行為』岩波書店、(1991、岩波書店、原著は1983年)など、著書多数。
・公共性の構造転換 市民社会の一カテゴリーについての探究(未来社)
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624011239
・コミュニケイション的行為の理論(上)(未来社)
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624010751
・道徳意識とコミュニケーション行為(岩波書店)
https://www.iwanami.co.jp/book/b258273.html
(※)マルクス・ガブリエル:1980年ドイツ生まれの哲学者。ボン大学哲学科教授。
著書『なぜ世界は存在しないのか』(2018、講談社選書メチエ、原著は2013年)は、「新しい実在論」を提唱し、世界で哲学書としては異例のベストセラーとなった。
日本に向けて書き下ろした『倫理資本主義の時代』(2024、早川書房)が話題になり、「哲学界のロックスター」と呼ばれている。
・なぜ世界は存在しないのか(講談社)
https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000195628
・倫理資本主義の時代(2024、ハヤカワ新書)(早川書房)
https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0000240028/
・倫理資本主義の下でビジネスは成り立つのか?(東洋経済、2024年10月23日)
https://toyokeizai.net/articles/-/835013
岩上「彼もユダヤ系ですか?」
早尾教授「ではないですね。ただ、ここで触れたのはハーバーマスの流れで呼ばれる、新たな流れというか、日本で人気の哲学者あるいは思想家。
マルクス・ガブリエルも、いわゆる新カント派の流れを汲む哲学者です。日本では、NHK出版が、ばんばん本出して、インタビューもテレビで流して、新聞にもあちこちコメントが出るような人気の哲学者で、天才哲学者だと。天才などと名前がつくのは、ろくな先生ではなくて、怪しい」
岩上安身はハラリも日本で「21世紀最大の知性」などと呼ばれて、何千万部も本が売れているとコメントしました。
ハラリの言説が、危ういと特に感じられるのは、ホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人のような同類の交合可能な仲間と地球で共存していたはずだったが、ホモ・サピエンスだけが残りました。
実は、ホモ・サピエンスが他の人類種をジェノサイドしてしまった可能性がある、とさらりと述べています。まるで我々、ホモ・サピエンスは、実はホモ・ジェノサイドであるかのように。そして、決して自ら言及しないが、パレスチナ人に対するジェノサイドは、ホモ・ジェノサイドの本質からみて、致し方ない、とでも言いたげなように。
早尾教授「マルクス・ガブリエルも(ハラリと)似たようなポジションにあって。日本で同じように消費されていて。
この人達が口をそろえて、『ハマスが行っていることはテロである、イスラエルはそれに対する自衛権がある。ですから、イスラエルに対して連帯すべきだ』ということを言っている。
ハラリ、マルクス・ガブリエル、ハーバーマスですね。
みんな共通しているのは、そろいもそろって無意識の西洋中心主義者のグループ、植民地主義者、そしてレイシストだということが言えると思うんですね」
岩上「これが広く、抜き差しがたく西欧というものに根ざしていて、いくら立派なことを言っていても、一皮めくれば、そういうものが出てくる。
ハイデガーであれ、あるいはヘーゲルであれ、そうしたものが次々出てくるということですよね。(後略)」
早尾教授は、岩波の『世界』の9月号(岩波書店、8月8日発売)に執筆した記事を紹介しました。今年6月のイスラエルと米国によるイラン爆撃を受けて、早尾教授がダバシ氏に行った緊急インタビューです。
6月に『イスラエル=アメリカの新植民地主義~ガザ〈10.7〉以後の世界』を出した後に、イスラエル・イラン戦争が勃発し、『世界』から「イラン出身の在米のダバシ氏にインタビューを」と依頼があり、急遽インタビュー・翻訳したものだということです。
ダバシ氏は、故・エドワード・サイード氏の後継者とみられている知識人です。
早尾教授によると、サイード氏は在米パレスチナ人で、コロンビア大学の教授を務め、英国国教会のキリスト教徒でした。一方、ダバシ氏はイラン出身で、シーア派のイスラム教徒だということです。
早尾教授「ダバシ氏は、イラン出身で、イランで大学まで行ったわけですから、この中には、本人がアメリカに到着してまだ慣れていない頃、まだ英語も苦手で、みたいな話をしている章もあります。
つまり、イラン出身でイスラム教徒で、英語ネイティブではもちろんない。そういう他者性を非常に強く帯びていて、そして、しかもイラン革命以降は、アメリカからすると、もうその存在自体が許しがたい敵だと認定されるような。イラン出身で、アメリカの中からやはり本物を見ている。
しかも、単にイランを語るだけではなくて。
ダバシさんの面白いところでいうと、ハミッドと、英語的に呼んでますけど、『ハミード』というのは、アラビア語由来の名前で。
彼の生まれ育ちは、イランのアフガン・イラク国境に近いところで、生まれた頃からもう、アラビア文化はずっと自分の中に入っていた」。
岩上「これはアラビア語なんですか」
早尾教授「はい、アラビア語由来の名前をつけています」
岩上「ペルシャ語というよりは」
早尾教授「そうです。
『ダバシ』というのは、サンスクリット語由来の名字で、サンスクリット語圏とアラビア語圏の間に挟まれているのがペルシャで。
それこそ、『純粋なるペルシャなんてものはないんだ』と。『常にこの辺というのは、インド亜大陸から中東地域にかけて、常に文化的な交流、人の交流があって、自分の名前の中にそういう多文化性というか、歴史の多層性が反映しているんだ』、というようなこと言っていますね。
これは、『ポスト・オリエンタリズム』(作品社、2017年)の中で語っています」
岩上安身は『ポスト・オリエンタリズム』は重厚な研究書だったのに対して、今回の著書は、時事的な問題を扱っており、ヒラリー・クリントン、バイデンとリベラル保守、ニューヨークタイムズの報道などが扱われており、いろんな人に興味を持って読んでもらえる本ではないかと述べました。
「岩上安身によるインタビュー第1202回ゲスト 東京経済大学教授 早尾貴紀氏第1回(前編)」の詳細は、会員向けサイトのアーカイブにて、ぜひ以下のURLから御覧ください! 会員にまだなっていない方は、この機会にぜひ、会員登録をお願いします! 会員となって、IWJの活動をお支えください!
※日本で持ち上げられている哲学者、ユヴァル・ノア・ハラリ、マルクス・ガブリエル、ユルゲン・ハーバーマスの共通点は、「そろいもそろって無意識の西洋中心主義者のグループ、植民地主義者、そしてレイシストだということ」! イスラエルの自衛権は認めても、ハマスやイランの自衛権は決して認めない!! 欧米諸国政府の対中東政策を批判的に論じる思想家ハミッド・ダバシの新著『イスラエル=アメリカの新植民地主義:ガザ〈10.7〉以後の世界』を読む! 岩上安身によるインタビュー第1202回ゲスト 東京経済大学教授 早尾貴紀氏 第1回(前編)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528676
※会員登録のご案内
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php
この早尾教授へのインタビューは、続編が予定されています。ぜひ、続けて御覧になってください。
― – ― – ― – ― – ― – ― – ― – ― – ― – ― – ― – ― – ― – ―
それでは、本日も1日、よろしくお願いします。
YouTubeへの高評価とチャンネル登録も、よろしくお願いします。10万人登録まであと少しです!
ご支援のほども、よろしくお願いします。
※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20250811
IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵)
IWJ 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
岩上安身サポーターズクラブ事務局
公式サイト【 https://iwj.co.jp/ 】
公式X(旧ツイッター)アカウント【 https://twitter.com/iwakami_staff 】