日刊IWJガイド・非会員版「イスラエルがレバノン南部に地上侵攻を開始! そもそも、ヒズボラはイスラエルの1982年の侵攻に対する抵抗組織として誕生した!」2024.10.4号~No.4344


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~10月1日、イスラエル国防軍はレバノン南部に地上侵攻を開始!「ヒズボラの脅威を排除するため」とイスラエルは主張しているものの、そもそも、ヒズボラはイスラエルによる1982年のレバノン侵攻に対する抵抗組織として誕生した! パレスチナ問題を解決しない限り、軍事力ではヒズボラもハマスの消滅しない!

■10月になり、IWJの第15期も3ヶ月目! 今年1月コロナ感染した岩上安身は、その後遺症か、体調不良が7、8、9月と続き、たいへんご迷惑をおかけしました。9月は30日間で269件、233万787円のご寄付・カンパをいただきました! 第14期の月間目標400万円に当てはめると58%どまり! IWJの財政状況は大ピンチです! 静養の結果、岩上安身の体調も上向きなので、10月から積極的にインタビューも入れていきます! 昨日は復帰第1弾で、立憲民主党の原口一博議員にインタビュー、録画収録! 近日公開です!!「IWJしか報じられない情報」激増中! こうした時だからこそ、ぜひご支援をお願いいたします!

■「休んでください」「日刊IWJガイドは、しばらく隔日または3日毎でもいいと思います」ご寄付をくださった皆さまからの応援・激励メッセージに、岩上安身がご回答いたします!

■【中継番組表】

■シーモア・ハーシュ氏が、ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師の殺害を受けて、追悼文を発表! ナスララ師は、「多くの宗教が長きにわたって平和的に共存してきた中東をスンニ派とシーア派の国家に分断する」米国の中東政策を強く非難していた!

■【本日のニュースの連撃! 2連弾!】

■【第1弾! 北方領土問題解決を目的として、故・安倍晋三元総理が設置した「ロシア経済分野協力担当相」の設置を、石破茂新総理は見送り!】岩屋毅外相は、就任会見で「ウクライナ支援と対露制裁を、引き続き、強力に推進していかねばならない」と、対米追従の姿勢を引き継ぐことを表明! 駐日ロシア大使は、日本政府が「ロシアとの関係を完全に断絶する方向に進んでいる」との認識を表明!(『スプートニク日本』、2024年10月1日)

■【第2弾! 米国に次ぐ第2位のウクライナへの武器供給国・ドイツのショルツ首相が、ロシアのプーチン大統領との電話会談希望を表明!】バイデン米大統領は10月にドイツで50ヶ国によるウクライナ軍事支援サミットの開催を表明! ドイツは2025年度予算でウクライナへの軍事支援50%削減を表明したばかり! プーチン大統領による核ドクトリン変更と、対露制裁が仇となってドイツ自身が経済苦境に陥ったため、ウクライナ紛争の外交的解決を求めるドイツだが、「このプロセス全体を実際に指揮している国」米国は、戦争継続へ! ロシアとともに、同盟国をもつぶしてしまう戦略!(『ディー・ツァイト』、2024年10月1日)

■9月発行の『岩上安身のIWJ特報!』は、前岸田政権が、まったく解決しなかった、自民党裏金問題について、2024年4月18日収録の「岩上安身による神戸学院大学法学部・上脇博之教授インタビュー 第2弾」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行しました! ぜひ『まぐまぐ』からご登録ください!! IWJのサポート会員になれば、IWJサイトでバックナンバーをすべて読めます! ぜひ、サポート会員にご登録を!!
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■はじめに~10月1日、イスラエル国防軍はレバノン南部に地上侵攻を開始!「ヒズボラの脅威を排除するため」とイスラエルは主張しているものの、そもそも、ヒズボラはイスラエルによる1982年のレバノン侵攻に対する抵抗組織として誕生した! パレスチナ問題を解決しない限り、軍事力ではヒズボラもハマスの消滅しない!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 10月1日、イスラエル国防軍は、レバノン南部に地上侵攻を開始しました。

 地上侵攻直前の9月27日、イスラエルは、レバノンの首都ベイルート郊外の住宅2棟を、米国製バンカーバスター6発を含む集中爆撃を行い、ヒズボラの最高指導者、ハッサン・ナスララ師とヒズボラの南部戦線司令官のアリ・カラキ氏ら最高司令官を殺害しています。

 このときの空爆を受けたエリアは、レバノンの人口密集地帯でした。民間人のまきぞえ被害も多数出ていると思われます。

 イスラエルによるレバノン侵攻で、ヒズボラとイスラエルが直接、地上戦を行ったのは、2006年の1ヶ月間にわたる戦争が最後ですので、10月1日のレバノン侵攻は、およそ、20年ぶりの直接の地上戦となります。

 10月1日付の『AP』は、イスラエルの短い声明と米国政府当局者の発表を次のように伝えています。

 「イスラエル軍は短い声明で、レバノン南部のヒズボラの標的に対して『限定的で局地的、かつ的を絞った地上攻撃』を開始したと発表した。

 『これらの標的は国境近くの村に位置しており、イスラエル北部のイスラエル人コミュニティに差し迫った脅威をもたらしている』と発表した。作戦がいつまで続くのかについては言及されなかったが、軍当局は数ヶ月前から兵士たちが訓練を受け、この作戦に備えていたと発表した。

 イスラエルは、国境沿いの地域から避難したイスラエル人が自宅に戻れるまで、同組織(ヒズボラ)への攻撃を続けると発表している。

 イスラエルの発表に先立ち、米国政府当局者は、イスラエルがレバノン国内で小規模な地上攻撃を開始したと発表した。

 そして、イスラエルは3つの国境沿いの小規模な地域を『閉鎖軍事区域』に指定し、軍関係者以外は立ち入り禁止とした」。

※Israel begins ground offensive against Hezbollah in southern Lebanon(AP、2024年10月1日)
https://apnews.com/article/israel-lebanon-hezbollah-gaza-news-09-30-2024-83ea5f243688f309754ec74850de4238

 地上侵攻を始めたイスラエル国防軍の声明だけを読むと、イスラエルがイスラエル北部市民にとって危険な脅威であるヒズボラを排除して、イスラエル北部へ市民の帰還を可能にするための侵攻であるかのように読めます。

 しかし、そもそも、ヒズボラという組織は、1982年のイスラエル軍によるレバノン侵攻(イスラエルでは「平和のためのガリラヤ作戦」と呼ばれる)に対する抵抗組織として、イランのイスラム革命防衛隊の軍事的・経済的な支援を受けて、誕生したものです。

※What is Hezbollah and why is Israel attacking Lebanon?(BBC、2024年10月1日)
https://www.bbc.com/news/world-middle-east-67307858

 イスラエルは、レバノン南部に拠点を移したPLO(パレスチナ解放機構)を攻撃するため、1982年6月6日にレバノン南部に侵攻しました。

 1982年のイスラエルによるレバノン侵攻について、それがどれだけひどいパレスチナ人難民の虐殺を生んだのか、2022年9月16日付『アルジャジーラ』がコンパクトにまとめています。

 2022年9月16日付『アルジャジーラ』は、1982年のイスラエルのレバノン侵攻の目的と、そのときに起きたサブラとシャティーラの難民キャンプでの虐殺事件についてこう説明しています。

 「1982年6月、イスラエルは、15年間にわたるレバノン内戦(1975年―1990年)のさなかに侵攻を開始した。その目的は、ベイルートを拠点とし、レバノン南部からイスラエルに攻撃を行っていたパレスチナ解放機構(PLO)を壊滅させることだった。

 PLOは、1982年9月1日までにレバノンから撤退した。その後、米国と多国籍軍が、残されたパレスチナ難民や市民が保護されることを保証した。

 しかし、その2週間後、イスラエル軍はサブラとシャティーラの難民キャンプ(主に1948年の第一次中東戦争(イスラエル建国に伴う紛争)や、その後のアラブ・イスラエル戦争で故郷を追われたパレスチナ人たちが住んでいた)を包囲し、同盟関係にあったレバノンの右翼民兵組織『ファランヘ党』に虐殺を実行するための支援を提供した。

 この虐殺は1982年9月16日木曜日の午後6時から、9月18日土曜日の午後1時まで、43時間にわたり続いた。

 正確な死亡者数は不明だが、推定では2000~3500人のパレスチナ難民が殺害されたとされている。この大量虐殺に関する証言では、恐ろしい暴力、虐殺、強姦、集団墓地への遺体投棄が報告されている。虐殺後の映像は、世界中のテレビで放映され、国際的な非難を引き起こした」。

※Sabra and Shatila massacre: What happened in Lebanon in 1982?(アルジャジーラ、2022年9月16日)
https://www.aljazeera.com/news/2022/9/16/sabra-and-shatila-massacre-40-years-on-explainer

 要するに、イスラエルが脅威だと騒ぎ立てているヒズボラの起源は、イスラエル自身が引き起こしたイスラエル建国による1948年5月15日の第一次中東戦争(ナクバ)に端を発する、先住民の虐殺と追放、土地の収奪に、そもそもの原因があるのです。

 ヒズボラもハマスも、この根本問題が本質的に解決されない以上は、イスラエルと米国がいくら軍事力を行使しても、完全に消滅することはないでしょう。名前を変え、世代をつないで、新たな抵抗の組織が生まれてくることは避けられません。

 2024年10月1日のイスラエル軍のレバノン地上侵攻は、入念に計画されたものであることは明らかです。

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■10月になり、IWJの第15期も3ヶ月目! 今年1月コロナ感染した岩上安身は、その後遺症か、体調不良が7、8、9月と続き、たいへんご迷惑をおかけしました。9月は30日間で269件、233万787円のご寄付・カンパをいただきました! 第14期の月間目標400万円に当てはめると58%どまり! IWJの財政状況は大ピンチです! 静養の結果、岩上安身の体調も上向きなので、10月から積極的にインタビューも入れていきます! 昨日は復帰第1弾で、立憲民主党の原口一博議員にインタビュー、録画収録! 近日公開です!!「IWJしか報じられない情報」激増中! こうした時だからこそ、ぜひご支援をお願いいたします!

 10月になり、IWJの第15期も3ヶ月目に入りました。

 9月は1日から30日までの30日間で、269件、233万787円のご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます。

 第14期の月間目標額は400万円で、仮にその目標額に当てはめると、58%どまりであるとわかります。

 8月のご寄付・カンパは、85件、156万2260円で、400万円の39%どまりでした。第15期が始まってから2ヶ月連続で、かなり厳しい状態にあると言わざるをえません。

 この8月1日から始まった今期・第15期の見通しは、7月中に立案するはずでしたが、今年1月に新型コロナに感染して、以降、岩上安身の体調不良が続き、毎月のように新たな病気が見つかり、入退院を繰り返したことで、経理とのミーティングが十分にできておらず、ご寄付の月間目標額を今すぐただちにお示しすることができません。

 もう少しお待ちください! 皆さまのご理解とご容赦のほど、よろしくお願いいたします!

 第15期こそは、赤字にならないようにするために、有料会員登録と、ご寄付・カンパで、財政難のIWJへのご支援をよろしくお願い申し上げます!

 また、9月に静養しつつ、仕事もセーブしてきた結果、私、岩上安身の体調も上向いてまいりました。10月からは積極的にインタビューを入れてまいります。第1弾として、昨日は新刊『プランデミック戦争~作られたパンデミック』を上梓した原口一博衆議院議員にインタビューしてきました。今回は中継ではなく、録画収録となります。近日中に配信しますので、皆さま、ご期待していてください。

 9月末現在、IWJ会員の総数は2208人、このうちサポート会員の方は840人でした。ぜひとも、サポート会員様におかれましては、会員をそのままご継続いただき、一般会員様におかれましては、サポート会員へのアップグレードをお願いします!

 また、休会中の皆さまは、メールやお電話をいただければ、すぐに会員を再開できます。一度退会された方でも、会員番号は変わりませんので、改めて申し込みをいただくことで再び会員になっていただくことが可能です!

※会員の再開、新規会員登録はこちらからお願いします。
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※以下は、IWJの活動へのご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です(各金融機関ごとに口座名が非統一ですが、どれも、各銀行の仕様に従ったもので、間違いではありません)。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします!

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル

 IWJホームページからも、お振り込みいただけます。

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 どうぞ、皆さま、欧州と同じく、米国に操られたまま、無謀な戦争へと向かう日本の対米従属権力に対し、リスクを負い、一切忖度しないで真実をお伝えしてゆく独立メディアIWJの存在意義と必要性について、多くの人に口コミでも、SNSを通じてでも、広めてください!

 よろしくお願いします!

 岩上安身拝

■「休んでください」「日刊IWJガイドは、しばらく隔日または3日毎でもいいと思います」ご寄付をくださった皆さまからの応援・激励メッセージに、岩上安身がご回答いたします!

 IWJにご寄付をいただいた皆さまから、応援・激励のメッセージをいただきました。ありがとうございます! ここに感謝を込めてご紹介させていただき、岩上安身がご回答させていただきます!

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 岩上様

 休んでください。

 日刊IWJガイドは、しばらく隔日または3日毎でもいいと思います。

 また、一日でも急がなければならないニュースは、日刊IWJガイドにタイトルだけで詳報後日としておけばいいと思います。

 お大事にしてください。

(K.K.様)

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K.K.様

 ありがとうございます!

 ここのところ5割程度のペースで、日刊IWJガイドの執筆・フィニッシュ以外は、なるべく控えて、睡眠と休息をしっかり取るようにしていたためか、ようやく元気が戻ってまいりました。

 猛暑も遠ざかったこの10月からは、本格的にインタビューも含めて、復帰します。再余波7~8割のペースで、次第に上げていきますので、どうかご支援のほど、よろしくお願いいたします!

岩上安身 拝


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◆中継番組表◆

**2024.10.4 Fri.**

調整中

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◆中継番組表◆

**2024.10.5 Sat.**

調整中

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

【IWJ号外】ウクライナ劣勢顕著となり、ポーランド軍をウクライナに送り込む口実として、ポーランドとウクライナは「ロシアがウクライナの原子力発電所(NPP)を攻撃する」という偽旗作戦に打って出る!?
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/524921

◆「2024年10月10日」まで、フルオープン! 動画をご視聴になり、記事をお読みになった方々は、ぜひ、この機会に会員登録をお願いします!◆

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「袴田事件のような捜査機関による証拠捏造は珍しいことではない」~岩上安身によるインタビュー 第415回 ゲスト 袴田事件弁護団長・西嶋勝彦弁護士
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/133093

「日本には、いかに冤罪が多いかを身を持って知った」~岩上安身によるインタビュー 第168回 ゲスト 元労働大臣村上正邦氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/6925

群馬県警の裏金を告発し冤罪逮捕された真相を赤裸々に語った!~岩上安身によるインタビュー 第166回 ゲスト 元群馬県警警部補大河原宗平氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/696

岩上安身によるインタビュー 第73回 ゲスト 高知白バイ事件冤罪被害者 片岡晴彦氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/341

岩上安身によるインタビュー第6回 佐藤栄佐久福島前知事、収賄容疑で「冤罪」主張 ~地検特捜部の聴取を「恫喝まがい」と強く批判
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/12309

「検事は血尿に苦しむ私に『クズ!』と罵倒、虚偽自白を迫った」密室の取り調べを激白!!~岩上安身によるインタビュー第13回 ゲスト 談合事件で無罪を勝ち取ったブラックボックスからのサバイバー 大阪府枚方市 元副市長 小堀隆恒氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/12254

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自民党は39人処分するだけで幕引きをはかる!?「裏金問題はまだ始まったばかり」! 自民党議員らと岸田総理と後援会を次々と刑事告発!~岩上安身によるインタビュー 第1153回ゲスト 神戸学院大学法学部・上脇博之教授 2024.4.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/522485

「1994年の政治制度改悪が裏金作りを生み『米国の利益のための戦争をする国作り』に直結した!」~岩上安身によるインタビュー 第1154回ゲスト 神戸学院大学法学部・上脇博之教授 2024.4.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/522670

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■シーモア・ハーシュ氏が、ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師の殺害を受けて、追悼文を発表! ナスララ師は、「多くの宗教が長きにわたって平和的に共存してきた中東をスンニ派とシーア派の国家に分断する」米国の中東政策を強く非難していた!

 レバノン南部を拠点とするシーア派武装組織ヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララ師が、イスラエルによる爆撃(おそらく米国が提供したバンカーバスターが用いられた)で殺害されてから、1週間になります。

 レバノンの首都ベイルートや複数の地域で、9月17日火曜日に、ヒズボラのメンバーが使用する携帯用通信機ポケットベル数千台が一斉に爆発するテロ事件がおき、少なくとも9人が死亡し、3000人近くの負傷者がでました。

 翌日18日水曜日には、ベイルート郊外をはじめレバノン各地で、ヒズボラの戦闘員が使用していたトランシーバーが一斉に爆発するテロ事件が起き、20人が死亡し、450人以上の負傷者が出ました。

 振り返れば、まったく新しいタイプのテロ攻撃として、世界を震撼させた2つの爆破テロ事件は、その後に続く、イスラエルのレバノン爆撃の序曲に過ぎませんでした。

 ナスララ師は、2つの爆破テロ事件を受け、19日木曜日、テレビ演説で、イスラエルは「すべての越えてはならない一線を越えた」と述べ、宣戦布告に相当すると非難しました。

ナスララ師「これは虐殺であり、レバノン、その人々、その抵抗、主権、そしてその安全に対する大きな侵略である。それは戦争犯罪または宣戦布告と呼ぶべきものだ」

※Hezbollah leader says exploding device attacks crossed ‘all red lines’(BBC、2024年9月20日)
https://www.bbc.com/news/articles/c79n1v4d203o

 しかし、イスラエルによるレバノンへの攻撃はこれで終わりませんでした。むしろ、20日金曜日以降、首都ベイルートおよびレバノン全土への空爆と絨毯爆撃を拡大し、民間人や民間施設の犠牲を出しながら、ヒズボラの活動拠点や幹部らを殺害していきました。イスラエルのふるう武力は、10月7日の1日だけ、奇襲攻撃を行ったハマスの攻撃とは、質量ともにケタがいくつも違う暴力性です。

 そして、9月27日金曜日、イスラエル軍は、ナスララ師と、カラキ司令官らの4人の最高司令官とその直属の複数の幹部などのヒズボラ幹部を殺害したと発表しました。イスラエル軍は「ヒズボラの指揮系統はほぼ消滅した」と発表しました。

 『ワシントン・ポスト』は、「イスラエル国防軍が公開した映像を検証すると、ナスララ師を殺害した攻撃で、米国製の2000ポンド(約907キロ)爆弾が使用された可能性が高い」と報じました。

※Israel kills Hassan Nasrallah in Beirut: What does this mean for Hezbollah?(ALJAZEERA、2024年9月28日)
https://www.aljazeera.com/news/2024/9/28/hassan-nasrallah-killed-what-does-this-mean-for-hezbollah

※Israel likely used U.S.-made 2,000-pound bombs in Nasrallah strike, visuals show(The Washington Post、2024年9月29日)
https://www.washingtonpost.com/world/2024/09/29/israel-bomb-beirut-nasrallah-death/

 2日付『アルジャジーラ』は、ナスララ師の死を悼む声と怒りが、レバノンだけではなく、イラクでも上がっていると報じました。

 イラク北部モスル北東のニネベ平原出身のイマド・クサイ・アッバスさん(30歳)は、『アルジャジーラ』の記者に「シオニスト国家はパレスチナ人を絶滅させており、今度はレバノン人を絶滅させている。今度はイラクの番だ。/私達は迫りくる危険を感じている」と語っています。

※Iraqis mourn Nasrallah, vow to ‘continue resisting Israel’(ALJAZEERA、2024年10月2日)
https://www.aljazeera.com/news/2024/10/2/iraqis-mourn-nasrallah-vow-to-continue-resisting-israel

 ナスララ師を哀悼する声は、中東だけではなく、意外なところからも上がりました。

 米国の独立ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏は、10月2日、『サブスタック』で、「ナスララとの会談―――暗殺されたヒズボラの指導者は、自国に対するビジョンを持っていた」と題する記事を公開しました。

 ハーシュ氏自身は、シカゴ生まれのユダヤ系アメリカ人です。ハーシュ氏と、ハッサン・ナスララ師の関係はどのようなものであったのでしょうか。また、ハーシュ氏はナスララ師をどのようにみていたのでしょうか。

※MY MEETINGS WITH NASRALLAH ――― The assassinated Hezbollah chief had a vision for his country(SEYMOUR HERSH、2024年10月2日)
https://seymourhersh.substack.com/p/my-meetings-with-nasrallah

 ハーシュ氏による追悼文の冒頭は、以下のように始まっています。

 「正直に告白すると、私はハッサン・ナスララが好きだった。2003年の冬以来、彼との数回の長時間にわたる会談をしたことがある。それは、イラクに世俗派のサダム・フセインが政権を握っており、アルカイダとは何のつながりもなかったにもかかわらず、ジョージ・W・ブッシュとディック・チェイニーが、9.11事件の余波を受けて2年前(2001年)に決定した、米国によるイラク侵攻の数ヶ月後のことだった」。

 ハーシュ氏は当時、『ニューヨーカー』誌で「テロとの戦い」を担当していました。ハーシュ氏は、ナスララ師とイスラエル高官との「奇妙なつながり」に興味を惹かれていました。

 例えば、「イスラエル軍で最も機密性の高い特殊部隊であるセイェレット・マトカルの司令官を務めた経歴を持つ元首相のエフード・バラク氏」とナスララ師は、捕虜交換について何度も水面下で非公式の交渉を繰り返していました。

 あるいは、「1982年にイスラエルによるレバノン攻撃を指揮し、レバノン国内の2つのパレスチナ難民キャンプで悪名高い大量虐殺」を行ったアリエル・シャロン首相(2001~)とも、非公式の交渉を続けていました。ハーシュ氏は、「シャロンとナスララは、最も奇妙な組み合わせであった」と振り返っています。

 ハーシュ氏とナスララ師との最初の会談は、時期と場所が曖昧にされていますが、「ベイルートにいるヒズボラの幹部と知り合いの友人」を通じて、セッティングされました。その時の印象を、ハーシュ氏は以下のように記しています。

 「宗教的な服装に身を包んだナスララは丸々と太っていた。私は通訳を介して、イスラエルとの国境での絶え間ない小競り合いにおいて、彼自身は『テロリストなのか、それとも自由の戦士なのか』、と尋ねた。

 彼は、軍が国境沿いでイスラエル兵を攻撃し、『戦争になればまた攻撃する』と述べた。そして、『イスラエルの占領下で暮らすパレスチナ人とイスラエル人の間で、完全な権利と意味のある和平合意が何らかの形で成立すれば、もちろんそれを尊重する』と付け加えて、私を驚かせた。

 クッキーとお茶が供され、彼は私たちにも食べるようにと、クッキーの皿を私の方に押しやった。

 話のほとんどは、彼の見解による、米国のイラク戦争についての講義のようなものだった。ナスララの予測は、米国の早期勝利の後、解体されたイラク軍が部族や政治的反対勢力と手を結ぶことで、何年にもわたる苦しい戦いが続くというものだった。彼の予測は、ほぼ正しかった」。

 ハーシュ氏は、2005年1月30日のイラク議会選挙の数週間前に、ナスララ師と2度目の会談をした、と述べています。その選挙は、2003年に米国が一方的に仕掛けたイラク戦争で、サダム=フセイン政権が同年4月に崩壊したあとの、初めての総選挙でした。

 ハーシュ氏は、「ブッシュ政権は、ホワイトハウスが支援するスンニ派候補が多数派を占めるように、投票結果を操作するために全力を尽くしていた」と振り返り、「米国の情報機関に属する友人から、おそらく白紙ではないと思われる投票用紙が米国で印刷され、イラクに空輸されていると聞いていた」と説明しています。民主主義を誇り、他国にも押しつける米国は、その歪め方をも、誰よりも認知し、実行しているというわけです。

 ハーシュ氏は、その時の会談で、ナスララ師が選挙結果を極めて正確に予測した、と記しています。

 「ワシントンがイラクについてほとんど知識がなく、アラビア語も話せない外交官やその他の役人をイラクに派遣している愚かさを、ナスララは面白がっていた。

 彼は私に、アメリカは選挙のやり方をまったく理解しておらず、勝利政党には50パーセント以上の得票率が必要だと信じているようだと語った。そして、勝利政党はシーア派で、得票率は48.1パーセントになるだろうと私に言った。

 『アメリカ人は、この国の選挙をどうやって正しく行うかを知らない』と彼は言った(この発言を含むナスララとの他のインタビューの全文記録は、私の書類の95箱に保管されており、急な確認には対応できない)」。

 果たして、「選挙はシーア派のイブラヒム・アル=ジャアファリが48.19%の票を獲得して勝利」しました。ナスララ師の予測通りです。

 ハーシュ氏によれば、この選挙は多くのスンニ派アラブ人は「この選挙が不正に操作されるというメッセージをはっきりと受け取っていた」ため、選挙をボイコットしていました。ハーシュ氏は、「ナスララ師がどのようにしてジャアファリが勝利するだろうと知ったのか、また、彼の得票率を100分の1ポイントの誤差で予測できたのか」を尋ねようと思ったことはなかった、と振り返っています。

 どうしてナスララ師は、選挙の結果を予測できたのでしょうか。ナスララ師は、米国が持ち込んだ投票用紙の票数を正確に掴み、スンニ派が選挙をボイコットすることを知っていたとすれば、イスラエルと非公式の交渉を繰り返していたように、米国やスンニ派ともパイプを持っていたということになるのでしょうか。

 ハーシュ氏は、最後にナスララ師に会ったのは、「ヒズボラがイスラエルを圧倒し、残忍な戦争で膠着状態に追い込んだ数ヶ月後」の2006年12月だった、と振り返っています。

 ナスララ師は、2006年のヒズボラとイスラエルの戦争が始まって以来、身を隠しており、ハーシュ氏は「窓が目隠しされた黒塗りのセダン」に乗せられて、何度も車を乗り換え、複雑な経路を通って、ナスララ師のいるところまでたどり着いた、と記しています。

 「ヒズボラがイスラエルに抵抗して成功を収めたことで、シーア派とスンニ派の両方からヒーローとして崇められていることを私は理解した。

 ナスララは、私の身体検査をしようとした補佐官を追い払った。私はその警備の厳重さに驚き、本音で『いったいどうなっているんだ?』と尋ねた。もっと丁寧な言葉遣いでではあるが。

 彼は、夏に始まった戦争は、国境を越えた奇襲作戦でイスラエルの兵士2人を誘拐したときに始まったと説明した。『それは間違いだった。捕虜を捕らえたかっただけだ。捕虜交換のためにね』と彼は私に言った。『決してこの地域を戦争に巻き込むつもりはなかった』。

 クッキーとお茶を囲んで、再び話題が戦争に戻ると、明らかに感情を昂らせたナスララは、多くの宗教が長きにわたって平和的に共存してきた中東をスンニ派とシーア派の国家に分断することで『この地域の新しい地図を描く』というブッシュ大統領の狙いを非難した。

 『早ければ1年か2年以内に、完全にスンニ派の地域、完全にシーア派の地域、完全にクルド人の地域ができるだろう。バグダッドでさえ、スンニ派とシーア派の2つの地域に分割される恐れがある』と」。

 ナスララ師との最後の会談の数ヶ月後、ハーシュ氏は、ブッシュ政権の中東政策の転換に関する記事を書きました。「穏健な」スンニ派に肩入れし、「過激な」シーア派とを分裂させる政策への転換です。

 「レバノンでは、(ブッシュ)政権は、スンニ派であるサウジアラビア政府と協力し、イランが支援するシーア派組織ヒズボラを弱体化させることを目的とした秘密作戦を展開してきた。

 米国はまた、イランとその同盟国であるシリアを標的とした秘密作戦にも参加している。これらの活動の副産物は、イスラム教の過激な思想を信奉し、米国に敵対的なアルカイダに共感するスンニ派過激派グループの強化であった」。

 ハーシュ氏は、米国の政策転換は実現し、イランとヒズボラを現実的な脅威だとみなすサウジアラビアとイスラエルは、「アブラハム合意」によって新たな戦略的関係を結ぶ瀬戸際にまできていた、と述べています。少なくとも、ハマスが奇襲をかけた2023年10月7日までは、「アブラハム合意」は完遂に王手をかけていました。

 ハーシュ氏はまた、「イランの新しい大統領は、間もなくネタニヤフの『暗殺リスト』に載るかもしれない」と懸念しています。

 ハーシュ氏は、最後に、ナスララ師亡きあとのレバノン情勢、そしてヒズボラの行く末について、悲観的な見方を示しました。

 「レバノン生まれのナスララは、ヒズボラをレバノンの政治、経済、社会により深く関与させようと決意していると私に何度も語っていたが、それが成功していたかどうかは、我々は永遠に知ることはないだろう。

 地上と空から攻撃を仕掛ける強大なイスラエルを前に、今、進むべき道は暗く、ひどく危険である」。

 ハーシュ氏の記事からは、ナスララ師が、西側メディアでイメージづけられているような単なる「テロ組織・武装集団のリーダー」ではなく、米国やイスラエル、スンニ派の人々をも含めたパイプをもつ政治家であったこと、そしてレバノンを改革する意思を持っていたことがうかがえます。

 バイデン大統領は、ナスララ師殺害の一報に対して、28日、以下のように述べました。

バイデン大統領「ハッサン・ナスララと彼が率いるテロ組織ヒズボラは、40年にわたる恐怖政治で何百人ものアメリカ人を殺害した。イスラエルの空爆による彼の死は、何千人ものアメリカ人、イスラエル人、レバノンの民間人を含む彼の多くの犠牲者に対する正義の実現である。(中略)

 米国は、ヒズボラ、ハマス、フーシ派、その他イランが支援するテロ集団からイスラエルが自国を防衛する権利を全面的に支持する。ちょうど昨日、私は国防長官に対し、侵略を抑止し、より広範な地域戦争のリスクを減らすために、中東地域における米軍の防衛態勢をさらに強化するよう指示した。(後略)」

※Statement from President Joe Biden on the Death of Hassan Nasrallah(The White House、2024年9月28日)
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2024/09/28/statement-from-president-joe-biden-on-the-death-of-hassan-nasrallah/

 ナスララ師は、「多くの宗教が長きにわたって平和的に共存してきた中東をスンニ派とシーア派の国家に分断する」米国の中東政策を強く非難していました。

 イスラエルが、どれほど国際法を違反しようとも、戦争犯罪を重ねようとも、バイデン大統領は、米国はまだまだイスラエルを「全面的に支持する」と明言しています。モラルの順守も法の支配も、バイデン大統領の念頭にはありません。国際法という法を超えた、神授された王権をふるう絶対的な帝王のごとき立ち居ふるまいです。

 米国の、経済制裁から軍事行動、イスラエル支援などの介入が、これほど多くの犠牲を出してきたにもかかわらず、米国が「全面的支持」を約束している限り、イスラエルの「暴虐」は続くことでしょう。

 その「暴虐」が、自分達だけは許されると信じている根拠は何か。ユダヤ=キリスト教に共通する「旧約聖書」の「神」の実在への信仰ゆえか。それが問われなくてはなりません。

■【本日のニュースの連撃! 2連弾!】

■【第1弾! 北方領土問題解決を目的として、故・安倍晋三元総理が設置した「ロシア経済分野協力担当相」の設置を、石破茂新総理は見送り!】岩屋毅外相は、就任会見で「ウクライナ支援と対露制裁を、引き続き、強力に推進していかねばならない」と、対米追従の姿勢を引き継ぐことを表明! 駐日ロシア大使は、日本政府が「ロシアとの関係を完全に断絶する方向に進んでいる」との認識を表明!(『スプートニク日本』、2024年10月1日)

 石破茂総理が10月1日に発足させた内閣で、北方領土問題解決を目的として、故・安倍晋三元総理が2016年に設置した、「ロシア経済分野協力担当相」の設置が見送られたことが明らかになりました。

 10月1日付『スプートニク日本』によると、2022年のウクライナ情勢を背景とした対露制裁による日露関係の悪化以降も、「岸田政権下では露日経済協力は凍結されたものの、ロシア経済協力担当相のポストは残されていた」とのことです。

※石破新内閣、ロシア経済協力相の設置見送り(SPUTNIK日本、2024年10月1日)
https://sputniknews.jp/20241001/19158069.html

★ロシア経済分野協力担当相のポストは、これまで経済産業相が兼任していました。

 10月1日に経済産業大臣に任命された武藤容治氏は、原子力経済被害担当大臣と、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)、GX(グリーントランスフォーメーション)実行推進担当大臣、産業競争力担当大臣と、4つの担当大臣を兼務しています。

 武藤経産大臣は、2日の就任記者会見で、ロシア経済協力担当相が設置されなかったことについては、特に何もコメントしていませんが、石破総理が総裁選の最中に「原発をゼロに近づける努力を最大限していく」と発言したことについては、「特に脱炭素の電源が必要ということになりますと、(原発は)やっぱり我が国、経済成長を左右する重大な要素ということもあり、石破総理とも認識は共有しているものと私は思っております」と述べ、「(『原発ゼロ』の発言は)今は訂正されていると私は承知してございます」と、明らかにしました。石破総理総裁の総裁選挙中の公約ともいえる言葉を、勝手に否定する「面従腹背」ぶりを見せました。

※武藤経済産業大臣の就任記者会見の概要(経済産業省、2024年10月2日)
https://www.meti.go.jp/speeches/kaiken/2024/20241002001.html

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■【第2弾! 米国に次ぐ第2位のウクライナへの武器供給国・ドイツのショルツ首相が、ロシアのプーチン大統領との電話会談希望を表明!】バイデン米大統領は10月にドイツで50ヶ国によるウクライナ軍事支援サミットの開催を表明! ドイツは2025年度予算でウクライナへの軍事支援50%削減を表明したばかり! プーチン大統領による核ドクトリン変更と、対露制裁が仇となってドイツ自身が経済苦境に陥ったため、ウクライナ紛争の外交的解決を求めるドイツだが、「このプロセス全体を実際に指揮している国」米国は、戦争継続へ! ロシアとともに、同盟国をもつぶしてしまう戦略!(『ディー・ツァイト』、2024年10月1日)

 米国が主導するウクライナ支援と対露制裁、対露制裁の影響による経済的な苦境、さらにはロシアのプーチン大統領が示した「核ドクトリンの見直し」で、苦悩するドイツを象徴するようなニュースです。

 ドイツのメディア『ディー・ツァイト』が10月1日、「政府関係者によると、オラフ・ショルツ首相は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との電話会談を検討している」と報じました。

 記事によると、「ショルツ首相は、今年11月にブラジルで開催されるG20会合に向けて、電話会談を希望しているものの、ロシア側への申し込みは、まだされていない」とのことです。

※Olaf Scholz erwaegt Telefonat mit Wladimir Putin(ZEIT ONLINE、2024年10月1日)
https://www.zeit.de/politik/ausland/2024-10/ukraine-krieg-olaf-scholz-wladimir-putin-telefonat-russland

★この『ディー・ツァイト』の記事は、「ショルツ氏とプーチン氏との最後の電話会談は、2022年12月だった。ジョー・バイデン米国大統領、エマニュエル・マクロン仏国 大統領、ボリス・ジョンソン元英国首相も最後にプーチン大統領と直接会談したのは、2022年だった」として、「(電話会談が実現すれば)プーチン大統領との直接接触を再開する、ウクライナの最も重要な支援国で最初の政府首脳となる」と報じています。

 この『ディー・ツァイト』の記事は、以下のように指摘しています。

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■9月発行の『岩上安身のIWJ特報!』は、前岸田政権が、まったく解決しなかった、自民党裏金問題について、2024年4月18日収録の「岩上安身による神戸学院大学法学部・上脇博之教授インタビュー 第2弾」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行しました! ぜひ『まぐまぐ』からご登録ください!! IWJのサポート会員になれば、IWJサイトでバックナンバーをすべて読めます! ぜひ、サポート会員にご登録を!!

 IWJでは、メルマガサイト『まぐまぐ』で、毎月『岩上安身のIWJ特報!』を発行しています。

※「岩上安身のIWJ特報!」ご購読はこちらから(月額税込880円、初月無料)
https://www.mag2.com/m/0001334810

 9月は、2024年4月18日収録の「岩上安身による神戸学院大学法学部・上脇博之教授インタビュー 第2弾」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行しました。

 9月27日に投開票が行われた自民党総裁選挙は、過去最多となる9人が立候補し、1回目の投票ではどの候補者も過半数を獲得できず、1位の高市早苗経済安全保障担当大臣と、2位の石破茂元幹事長との決選投票にもつれ込みました。

 決選投票では、石破茂氏が、新総裁に選出されました。

※はじめに~新たな自民党総裁は、無所属推薦人を集めた石破茂氏! 決戦投票は石破氏と旧安倍派が推したタカ派の高市早苗氏を逆転で破る! 下馬評の高かった小泉進次郎氏は3位、旧岸田派が推した林芳正氏は4位、麻生派が推した河野太郎氏は8位に沈む! 麻生太郎副総裁・派閥の影響力の低下で、石破氏が新総裁に浮上!しかし石破内閣を待ち受けるのは『中国との3年以内の戦争』!?(日刊IWJガイド、2024年9月28日)
会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/53956#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20240928#idx-1

 現職の岸田文雄総理が不出馬を表明した理由は、派閥の裏金問題が表面化して、国民の信用を失ったからです。「表紙」が同じでは、選挙に勝てないとの思惑が、自民党のどこをきっても、顔をのぞかせます。

 「自民党が変わる姿を国民にしっかり示すことが必要。最初の一歩は私が身を引くこと」と述べた岸田総理ですが、裏金に関する自身の責任については棚上げし、「個人的な政治資金の修正はなかった」と繰り返しました。また、裏金疑惑に対する、根本的な対策や、法の厳格化によって禁じるようなことは、一切、行っていません。

 高市早苗経済安全保障担当大臣、小林鷹之氏、林芳正官房長官、小泉進次郎氏、上川陽子外務大臣、加藤勝信元官房長官、河野太郎デジタル大臣、石破茂元幹事長、茂木敏充幹事長といった総裁選の候補者9名も、裏金問題の解明には消極的で、「追加調査などは考えていない」と、党内を根本的に浄化しようという候補者は、1人も見当たりませんでした。

 自民党の調査によれば、2018~2022年の間に、派閥の政治資金パーティー券の売り上げを、85人の議員らが政治資金収支報告書に記載せず、総額5億7949万円を裏金化していました。しかし、このような組織的な裏金作りが、自民党の歴史の中で、いつ、どのように始まったのか、詳細は未解明のままです。

 そもそも、岸田総理は刑事告発されているのですから、自民党の看板を掛け替えるために「身を引く」ことだけで済む話ではありません。告発したのは、自民党の政治資金パーティー裏金問題を暴いてきた、神戸学院大学法学部の上脇博之(かみわき ひろし)教授です。

 政治資金オンブズマンの代表でもある上脇教授は、2022年6月12日に開催された「岸田文雄内閣総理大臣就任を祝う会」が、実際は岸田後援会が仕切る政治資金パーティーであリ、1000万円以上の収入を得ていながら、有志による集まりのように偽装していたことを問題視して、岸田総理と後援会代表者らを刑事告発しています。

 「祝う会」の案内状などには、政治資金パーティーであることが明記されておらず、告知義務違反にあたる上に、収支の記載もしていません。このようなことは、事務方が独断でできることではないため、上脇教授は、岸田総理自身が後援会代表者や会計責任者らと共謀した、と分析しています。

 インタビューで上脇教授は、議会制民主主義とは、民意を政治に反映することであり、「裏金、企業献金、政党助成金などのお金の多寡によって、民意を歪める政治制度は根本から改めないといけない」と強く語りました。

 以下、9月発行の『岩上安身のIWJ特報!』の目次です。IWJ会員ではない方も、ぜひご購読ください。

(第658号の目次)
◆総理就任を「祝う会」を「政治資金パーティーではない」と言い訳する岸田総理。すでに刑事告発されている身なのだから、国民に説明責任を果たすべき!
◆なぜ、岸田総理は政治資金パーティーを「任意の集まり」に偽装するのか? 法律をすり抜け、税務署に捕捉されない裏金を作り、課税からも逃げている!
◆政治資金パーティーは書面で告知しないと違法! しかし「祝う会」は記載せず!「そんなこと、岸田さんに相談なしに勝手にできることではない」

(第659号の目次)
◆パーティーで1000万円以上を集めた「祝う会」から岸田総理の選挙区支部に寄付のかたちでお金が回る! これは「不記載と虚偽記載」で政治資金規正法違反!
◆上脇教授は「岸田総理を中心に共謀があった」として告発!「亡くなった事務担当者1人の責任にされないように、きちんと捜査してほしい」と訴える!
◆岸田後援会の事実上の代表は岸田総理、選挙区支部の代表も岸田総理! 自分でパーティーを開いて、自分に寄付をする仕組みが、自民党内で長年、確固として出来上がっている!?

(第660号の目次)
◆政治資金パーティーは政治活動費をつくるために開催。支持者はそれを承知で参加し、事前告知や収支報告は必須! それがなければ「闇の集金パーティー」に!
◆民意を歪曲する小選挙区制の下、裏金、企業献金、政党交付金で腐敗した権力は簡単に暴走する! そして、今を「新しい戦前」にしてしまった!
◆富国強兵の明治時代と違い、日本国民は誰も戦争したいと思っていない。それなのに自民党によって「アメリカのために戦争させられる国づくり」が進む!
◆「企業献金も政治資金パーティーも廃止すべき!」と上脇教授。それを続けてきたから裏金がつくられ、自民党は権力の座に居座り続けることができた!

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IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、尾内達也)

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