日刊IWJガイド・非会員版「ウクライナ軍がザポリージャ原発を攻撃! しかし欧州議会はウクライナに課したロシアへの攻撃制限を撤廃する決議案を採択!」2024.9.25号~No.4336


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~またしてもウクライナ軍がザポリージャ原発を攻撃! 変圧器が損傷し、安全が直接脅かされる! しかし、欧州議会は、ウクライナに課したロシア深部への攻撃制限を、直ちにすべて撤廃する決議案を採択! ロシア外務省のザハロワ報道官は西側諸国は「自らが自らに与えている脅威に気づいていない」と批判! 訪米したゼレンスキー氏は、「勝利計画」への承認を求めて各国首脳と会談! 世界で第2位の支援国となった日本の岸田総理は、ゼレンスキー氏に最高位勲章を贈られ、ご満悦!! しかも、退任間近なのに、「全力の支援」継続を約束するなど、無責任の極み! すべて無駄になることがわかっていることに血税を使うな!

■9月も残り6日! IWJの財政的状況は大ピンチです! 今年1月に初めてコロナに感染した岩上安身は、その後遺症のためか、体調不良が、7月、8月も続き、たいへんご迷惑をおかけしています! 9月は24日までの24日間で、243件、192万3787円のご寄付・カンパをいただきました! 第14期の月間目標額は400万円で、仮にその目標額に当てはめると、48%どまり! まだ相当に厳しい状況です! 他方で、「IWJしか報じられない情報」が、激増しています! こうした時だからこそ、ぜひご支援をお願いいたします!

■【中継番組表】

■EUの崩壊はドイツから始まる!?(後編)ノルドストリームの爆破と対露制裁以来、経済の大失速で、混迷を極めるドイツ! ドイツ産業界は没落の未来しかない!? EUの産業界でドイツとイタリアが真っ先に没落し、生き残れるのは、原発を稼働させているフランスと、再生エネルギーの豊富な北欧だけ!?

■ロシアとイランが二国間条約で同盟関係を深める! 米国・西側諸国・NATOが「ならず者同盟」扱いし、強引に追い詰めたことで、かえって逆に、急速に深まったロシア・イラン・中国・北朝鮮の結びつきに、米政府関係者は懸念を表明! 核弾頭も搭載できるミサイル配備合戦の末に、世界はやるか、やられるかの緊張状態に! ヒズボラとイスラエルとの全面戦争の可能性と、それにかこつけたイスラエルのレバノン侵攻の野心! フーシ派によるイスラエルへの極超音速ミサイル攻撃、イランとイラク武装勢力の連合体によるイスラエルへの無人機攻撃に加え、イランのハメネイ師は、イスラム諸国にイスラエルとの経済断交を呼びかけ!
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■はじめに~またしてもウクライナ軍がザポリージャ原発を攻撃! 変圧器が損傷し、安全が直接脅かされる! しかし、欧州議会は、ウクライナに課したロシア深部への攻撃制限を、直ちにすべて撤廃する決議案を採択! ロシア外務省のザハロワ報道官は西側諸国は「自らが自らに与えている脅威に気づいていない」と批判! 訪米したゼレンスキー氏は、「勝利計画」への承認を求めて各国首脳と会談! 世界で第2位の支援国となった日本の岸田総理は、ゼレンスキー氏に最高位勲章を贈られ、ご満悦!! しかも、退任間近なのに、「全力の支援」継続を約束するなど、無責任の極み! すべて無駄になることがわかっていることに血税を使うな!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 ロシアのメディアの日本語版である『スプートニク日本』は9月21日未明、X(旧ツイッター)に、「ウクライナ軍がザポリージャ原発のあるエネルゴダル市を攻撃し、変圧器が損傷した」と投稿しました。

 「ザポリージャ原子力発電所の安全が直接脅かされた、とザポリージャ原発の広報部が発表した」「ザポリージャ原発の職員は、原発の安全運転を確保するためにあらゆる手段を講じている」とのことです。

※SPUTNIK日本のXへの投稿(2024年9月21日)
https://x.com/sputnik_jp/status/1837167605162905974

 この2年半あまり、ザポリージャ原発をロシア軍が砲撃しているなどの、あからさまなデマ報道を、西側マスコミもネットでたれ流し続けてきました。

 しかし、ロシア軍が実効支配しているウクライナのザポリージャ原発に対して砲撃やドローンによる攻撃をしかけて、自国ウクライナだけでなく、欧州全体の安全を脅かしてきたのは、明らかにウクライナ軍です。今回もウクライナ軍の攻撃と断定して、間違いありません。

 当初から、IWJは一貫して指摘していますが、ロシア軍には、自分達が確保した上で、安定的な運転を行わせているザポリージャ原発に対し、ドローン攻撃を仕掛ける理由も動機もありません。しかも、のちになって、ウクライナの幹部は、自分達が原発攻撃を行ってきたことを認めています。

※【IWJ号外】ウクライナ情報総局のブダノフ局長、昨年ウクライナ軍がザポリージャ原発に攻撃をかけたと認める!「ロシア軍が攻撃という主張は不合理」と指摘した岩上安身とIWJの報道は正しかった! 2023.10.15
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/519115

 それにもかかわらず、まだ日本を含む西側メディアの中には、「原発攻撃~ロシア」というテンプレで報じる、どうしようもないクズメディア、クズ有識者らがいて、日本人の多くの人々を「洗脳」し続けています。

 こんな状態ですから、日本を含めて、西側諸国は、ウクライナに武器を支援することの真の怖さをわかっていないのではないでしょうか。

 ロシア軍は、原発など、狙っていません。

 より重要な、戦争に勝つための戦略的目標を空爆しています。地上戦で接触線を破り、進撃するだけでなく、ロシア軍はこの間に、西側諸国からウクライナに輸送中の兵器や、ウクライナの弾薬庫を攻撃し、さらにウクライナの防衛産業を担う工場や、工場に電気を送るエネルギーインフラを破壊し続けています。その攻撃目標は陸上だけでなく、洋上の武器運搬船も含まれるようになりました。

 9月21日付のロシア『RT』は、ロシア国防省が21日、「ロシアの戦闘機、ドローン、ミサイル、砲兵部隊が、ウクライナの弾薬庫2ヶ所を破壊し、また、西側諸国がウクライナに提供したミサイルと弾薬を積んだ貨物運搬船を攻撃した」と発表したことを報じました。

 「ウクライナは、西側からの海上輸送での武器や弾薬の受け取りに、主に黒海とドナウ川の航路を利用している」とのことで、「ウクライナ当局は、輸送船の損傷の程度や、攻撃がどこで行われたかについては、明らかにしていない」ものの、「地元メディアは、ハリコフ、ドネプロペトロフスク、ポルタヴァ、スームィ、クリヴォイログ、その他いくつかの都市で爆発があったと報じた」と、『RT』は伝えています。

※Russia reports strike on ship carrying Western weapons to Ukraine(RT、2024年9月21日)
https://www.rt.com/russia/604437-russia-hit-ship-weapons-ukraine/

 また、この『RT』の記事は、ロシア国防省が「ロシア軍は、キエフの防衛産業団地につながるウクライナのエネルギーインフラや、無人機工場、軍の展開地域に対して、高精度兵器とドローンを使った攻撃を実施した」「攻撃の目的は達成された。指定された標的はすべて攻撃された」と発表したことも報じています。

 一方、9月20日付『スプートニク日本』は、欧州議会本会議で、「これまでウクライナに課してきたロシア深部への攻撃の制限を、直ちにすべて撤廃するようEU加盟国に求める決議案が、賛成多数で採択された」と報じました。

※欧州議会 西側の兵器によるロシア攻撃に関する制限撤廃を呼びかけ(SPUTNIK日本、2024年9月20日)
https://sputniknews.jp/20240920/19108000.html

 9月11日には、英『ガーディアン』が、「米英はウクライナに対し、ロシアへの超距離ミサイルの使用制限を、非公式に解除」したのではないか、と報じ、これに対してロシアのプーチン大統領は、ウクライナがNATOの提供する長距離兵器で、ロシア領内を攻撃することを認めれば、「NATOの戦争への直接参加とみなし、脅威に対してしかるべき決定を下す」と警告していました。つまり、報復としてウクライナを攻撃するのではなく、武器を提供した欧州や、海を隔てていても、英国や米国にも、報復を行う意思を示したのです。

※はじめに~第3次世界大戦直前の危機! 米英がウクライナに提供した長距離ミサイルでのロシア領内攻撃を許可! しかしロシアのプーチン大統領の「長距離兵器の提供国もウクライナと同じく共同交戦国とみなして相応に報復する」との発言に怖気付いた英スターマー首相は、公表直前に許可を「撤回」!? しかも英国を焚きつけてきた米バイデン大統領は、英国だけを生贄にしようと騙していた可能性が! これはまだ米英の最終決定ではない! まだまだ続く第3次世界大戦の危機を、日本の大手メディアは一切報じず!(日刊IWJガイド、2024年9月16日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20240916#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/53919#idx-1

※【IWJ号外】元米国防副次官スティーブン・ブライエン、NATOが提供した長距離兵器のロシア領内への使用を米英が認めれば、「ロシアへの宣戦布告。他に解釈の余地はない。第3次世界大戦につながる」と警告! 2024.9.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/524615

※ここから先は【中略】とさせていただきます。御覧になりたい場合は、ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して御覧ください! 会員へのご登録はこちらからお願いいたします。

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 昨日のこの『日刊IWJガイド』でもお伝えしたように、日本はすでに世界第2位のウクライナ支援国です。

※はじめに~米国のご機嫌取り一本やりの岸田文雄政権は、どこの国の政権なのか! 能登半島の激甚災害に追い打ちをかける豪雨災害そっちのけで、日本はウクライナ支援額で世界第2位の支援国に! 日本の政府債務(対GDP比)は、2024年6月に218.7%! 支援対象国のウクライナの政府債務(対GDP比)は79.4%! 国内貧困問題も激甚災害対策もそっちのけで、借金まみれでウクライナ支援の狂気!(日刊IWJガイド、2024年9月24日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20240924#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/53940#idx-1

 日本の大手メディアは、岸田総理が勲章を授与されたことばかり、大きく報じていますが、その中で24日付『読売新聞』は「両首脳は、両国で安全保障に関する機密情報の交換を可能とする『情報保護協定』の締結交渉が実質合意に至ったことを確認した」と報じています。

※岸田首相がゼレンスキー大統領と会談、安全保障の機密情報交換で実質合意…首相に最高勲章(読売新聞オンライン、2024年9月24日)
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240924-OYT1T50061/

 前述のゼレンスキー氏のXへの投稿を見れば、岸田総理もゼレンスキー氏の「勝利計画」への承認を求められたか、少なくとも詳細を明らかにされたであろうことは、想像に難くありません。

 ウクライナの「勝利計画」に加担すれば、その「敗北」のために、力を尽くす、ということになり、ロシアと本格的に事を構えることは避けられなくなります。ロシアの北海道侵攻を呼び込むつもりなのでしょうか?

 岸田総理の頭の中が、あまりに愚か過ぎて、読み取ることができません。

■9月も残り6日! IWJの財政的状況は大ピンチです! 今年1月に初めてコロナに感染した岩上安身は、その後遺症のためか、体調不良が、7月、8月も続き、たいへんご迷惑をおかけしています! 9月は24日までの24日間で、243件、192万3787円のご寄付・カンパをいただきました! 第14期の月間目標額は400万円で、仮にその目標額に当てはめると、48%どまり! まだ相当に厳しい状況です! 他方で、「IWJしか報じられない情報」が、激増しています! こうした時だからこそ、ぜひご支援をお願いいたします!

 9月もあと1週間を切り、残すところ6日となりました。

 9月は1日から24日までの24日間で、243件、192万3787円のご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます。

 第14期の月間目標額は400万円で、仮にその目標額に当てはめると、48%どまりであるとわかります。

 8月のご寄付・カンパは、85件、156万2260円で、400万円の39%どまりでした。第15期が始まってから2ヶ月連続で、かなり厳しい状態にあると言わざるをえません。

 この8月1日から始まった今期・第15期の見通しは、7月中に立案するはずでしたが、今年1月に新型コロナに感染して、以降、岩上安身の体調不良が続き、毎月のように新たな病気が見つかり、入退院を繰り返したことで、経理とのミーティングが十分にできておらず、ご寄付の月間目標額を今すぐただちにお示しすることができません。

 もう少しお待ちください! 皆さまのご理解とご容赦のほど、よろしくお願いいたします!

 第15期こそは、赤字にならないようにするために、有料会員登録と、ご寄付・カンパで、財政難のIWJへのご支援をよろしくお願い申し上げます!

 8月末現在、IWJ会員の総数は2254人、このうちサポート会員の方は860人でした。ぜひとも、サポート会員様におかれましては、会員をそのままご継続いただき、一般会員様におかれましては、サポート会員へのアップグレードをお願いします!

 また、休会中の皆さまは、メールやお電話をいただければ、すぐに会員を再開できます。一度退会された方でも、会員番号は変わりませんので、改めて申し込みをいただくことで再び会員になっていただくことが可能です!

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※以下は、IWJの活動へのご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です(各金融機関ごとに口座名が非統一ですが、どれも、各銀行の仕様に従ったもので、間違いではありません)。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします!

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル

 IWJホームページからも、お振り込みいただけます。

※ご寄付・カンパのお願い
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 どうぞ、皆さま、欧州と同じく、米国に操られたまま、無謀な戦争へと向かう日本の対米従属権力に対し、リスクを負い、一切忖度しないで真実をお伝えしてゆく独立メディアIWJの存在意義と必要性について、多くの人に口コミでも、SNSを通じてでも、広めてください!

 よろしくお願いします!

 岩上安身拝

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◆中継番組表◆

**2024.9.25 Wed.**

調整中

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◆中継番組表◆

**2024.9.26 Thu.**

調整中

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◆「2024年9月25日」まで、フルオープン! 動画をご視聴になり、記事をお読みになった方々は、ぜひ、この機会に会員登録をお願いします!◆

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必見! カマラ・ハリス氏はどのようにして米大統領候補まで政界を登りつめていったのか、仰天の真相が明らかに! 神に祝福されたかのようにふるまうヘゲモニー国家・アメリカの「超大国神話」と「悪」を真正面から暴く!(第2回)~岩上安身による評論家、元日経新聞・朝日新聞記者塩原俊彦氏インタビュー
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/524297

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自民党は39人処分するだけで幕引きをはかる!?「裏金問題はまだ始まったばかり」! 自民党議員らと岸田総理と後援会を次々と刑事告発!~岩上安身によるインタビュー 第1153回ゲスト 神戸学院大学法学部・上脇博之教授 2024.4.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/522485

「1994年の政治制度改悪が裏金作りを生み『米国の利益のための戦争をする国作り』に直結した!」~岩上安身によるインタビュー 第1154回ゲスト 神戸学院大学法学部・上脇博之教授 2024.4.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/522670

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■EUの崩壊はドイツから始まる!?(後編)ノルドストリームの爆破と対露制裁以来、経済の大失速で、混迷を極めるドイツ! ドイツ産業界は没落の未来しかない!? EUの産業界でドイツとイタリアが真っ先に没落し、生き残れるのは、原発を稼働させているフランスと、再生エネルギーの豊富な北欧だけ!?

 ドイツ産業・経済の崩壊が、鮮明になってきました。

 ドイツ産業の象徴のひとつであるフォルクスワーゲンが、国内工場の閉鎖を検討しているというのです。

 グローバル・エネルギー市場の調査分析を行っている非営利団体、エネルギー調査研究所(IER)は、9月11日、「フォルクスワーゲンは、コスト削減と中国との競争に対応するため、ドイツ国内の工場閉鎖を検討している。これは、電気自動車(EV)への移行が停滞している中での対応策である」という記事を配信しました。

※Volkswagen May Close Factories in Germany to Cut Costs and to Compete with China as the EV Transition Falters(IER、2024年9月11日)
https://www.instituteforenergyresearch.org/renewable/volkswagen-may-close-factories-in-germany-to-cut-costs-and-to-compete-with-china-as-the-ev-transition-falters/

 この記事の中で、フォルクスワーゲンの現状を、次のように論評しています。

 「フォルクスワーゲンは、87年の歴史で初めて、競争力を維持する必要性を理由に、ドイツ国内の工場の閉鎖を検討している。

 この決定は、ドイツ最大の雇用主であり、収益では欧州トップの自動車メーカーであるフォルクスワーゲンの『基盤を揺るがす』ものである。

 ある評論家は、『このような産業の巨人が工場閉鎖に追い込まれるのであれば、それは(ドイツの)経済政策を大幅に強化する必要があるという、長らく遅れていた警鐘なのかもしれない』と述べている」。

 そもそも、約68万人を雇用する、ドイツ自動車産業最大のメーカーのフォルクスワーゲンが、国内工場の閉鎖に追い込まれた原因について、エネルギー調査研究所は、こう述べています。

 「フォルクスワーゲンは、閉鎖の可能性について、厳しい経済情勢、欧州における新たな競争、ドイツ経済における競争力の低下をその理由としてあげている。過去5年間で、同社の価値はほぼ3分の1下落しており、欧州の大手自動車メーカーの中で最も業績が悪い状況となっている。

 欧州、米国、そして特に(中国の)BYDなどの国内電気自動車(EV)メーカーが市場シェアを獲得している中国において、数多くの課題に直面している。世界の電気自動車のサプライチェーンにおける中国の優位性は著しく、石油市場におけるOPECのシェアをはるかに上回っており、競合他社にとって大きな課題となっている。

 フォルクスワーゲンは、長年にわたる経済停滞と成長のない構造変化の結果、過去2年間で主要な競合他社よりも多くの株式価値を失った。一部では、同社の経営陣は近年、『多くの誤った判断』を下してきたと見られており、ハイブリッド車への投資を行わなかったことや、手頃な価格のバッテリー式電気自動車の開発を迅速に行わなかったことなどが含まれている。(中略)

 欧州最大の経済規模を誇るドイツ経済は、4月から6月にかけて縮小し、前年同時期と比較して0.1%縮小した。この数値は、高いエネルギーコストと人件費に牽引された停滞から抜け出すのではないかという期待を打ち砕いた。ドイツは環境移行計画により、欧州で最も高い電気料金を課している。

 フォルクスワーゲンにとって、ドイツ国内の工場を閉鎖することは、1937年にウォルフスブルクで創業して以来、初めての歴史的な出来事となる。しかし、このような閉鎖や雇用保障契約の終了には、会社の監査役会の半数の議席を占める労働組合のリーダーや労働者代表から強い反対意見が出ている。

 労働組合は、フォルクスワーゲンの世界的な労働力のほぼ半数がドイツに拠点を置いていることから、今秋に予定されている賃金交渉に備えている」。

※Volkswagen May Close Factories in Germany to Cut Costs and to Compete with China as the EV Transition Falters(IER、2024年9月11日)
https://www.instituteforenergyresearch.org/renewable/volkswagen-may-close-factories-in-germany-to-cut-costs-and-to-compete-with-china-as-the-ev-transition-falters/

 エネルギー調査研究所は、工場閉鎖の原因に、ハイブリッド車への投資やバッテリー式電気自動車の開発において、フォルクスワーゲンの経営陣が判断ミスを犯したことをあげると同時に、そもそも、ドイツでは、エネルギーコストと人件費コストが高いことを指摘しています。

 このエネルギーコストが、ドイツでは、どの程度高いのか、見てみましょう。

 ノルウェーの「Beneficial Apps AS」が提供する2024年9月24日時点での欧州全域のリアルタイムの卸売電力市場価格のマップがあります。

※Map of electricity spot price in Europe today, 24. September 2024(Beneficial Apps AS、2024年9月24日)
https://www.energyprices.eu/

 これを見ると、驚くべきことが見えてきます。

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■ロシアとイランが二国間条約で同盟関係を深める! 米国・西側諸国・NATOが「ならず者同盟」扱いし、強引に追い詰めたことで、かえって逆に、急速に深まったロシア・イラン・中国・北朝鮮の結びつきに、米政府関係者は懸念を表明! 核弾頭も搭載できるミサイル配備合戦の末に、世界はやるか、やられるかの緊張状態に! ヒズボラとイスラエルとの全面戦争の可能性と、それにかこつけたイスラエルのレバノン侵攻の野心! フーシ派によるイスラエルへの極超音速ミサイル攻撃、イランとイラク武装勢力の連合体によるイスラエルへの無人機攻撃に加え、イランのハメネイ師は、イスラム諸国にイスラエルとの経済断交を呼びかけ!

 ロシアとイランの両国が、その関係を急速に深化させています。

 9月10日、ロシア前国防相のショイグ安全保障会議書記は、イランとの新たな二国間条約に署名するために、必要な手続きがほぼ完了したと明らかにしました。

※ロシア、イランとの新二国間条約締結の手続きほぼ完了=前国防相(ロイター、2024年9月11日)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/5SDAHLUVO5P43M5UVWAA2RGACY-2024-09-10/

 また、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領が、10月22日から24日にロシアで開催されるBRICSサミットに出席する予定であることが伝えられています。

※イラン大統領、ロシアで開催されるBRICSサミットに出席(ARAB NEWS Japan、2024年9月9日)
https://www.arabnews.jp/article/middle-east/article_129180/

 米国・西側諸国との軍事的な緊張が高まる中での、このイランとロシアの急接近の動きに対して、米国は過敏に反応し、アントニー・ブリンケン国務長官が、また突拍子もない発言を口にしました。

 ブリンケン米国務長官は、訪問先の英ロンドンで、イランからロシアに提供された短距離ミサイルが「数週間以内に」使用される恐れがあると言い出したのです。

 米国と英国、フランス、ドイツの4ヶ国は、9月10日、イランがロシアに短距離ミサイルを供与したとして、新たな対イラン制裁を発表しました。

 制裁は、イランとの航空協定を停止するとともに、国営イラン航空を対象にしたものです。

※米英独仏、イランに新たな制裁 ロシアへのミサイル供与で(AFP、2024年9月11日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3538147

 これに対し、イラン外務省のナセル・カナニ報道官は、「西側の主張は虚偽であり、イスラム組織ハマスに対するイスラエルの戦いを、米国が支援していることから目をそらすためのものだ」と反論しました。

 9月16日には、イランのペゼシュキアン大統領が、首都テヘランで記者会見し、このロシアへのミサイル供与を巡り、「過去に引き渡しがあった可能性はあるが、(今年7月の)自分自身の大統領就任以降はないと断言できる」と反論しています。

※イラン大統領、対ロシア兵器供与を否定 「就任以降ないと断言」(ロイター、2024年9月17日)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/A23ZRTE4YNLHBH6PSTGRPTLDWM-2024-09-16/

 冷戦期の初めから、ロケットやミサイルの開発は、核弾頭の開発とともに、米ソがしのぎを削ってきました。宇宙開発競争と称して、ロケット開発でしのぎを削ったのも米ソ両国です。

 海に隔てられた米国に対して、戦略核を届かせることができる弾道ミサイルは、ロシア(ソ連)自ら開発してきた長い歴史があります。

 それなのに、何を今さら、まだ核保有もしていない、米露と比べれば軍事超大国とはとても呼べず、ミサイル開発競争で先行しているわけでもないイランから、ロシアがミサイルを供与されなければならないのでしょうか?

 普通に考えて、ミサイルを供与するとしたら、ロシアがイランに供与する、というのが自然な話ではないか、と誰でも気づくと思われます。

 それとも、イラン製ミサイルが、イラン製ドローンのように格別に安いのでしょうか? しかし、ウクライナ戦争で、ロシアの勝利がほぼ決定的となっている今、ロシアが短距離ミサイルをイランから追加で手に入れる必要性はないはずです。

 米国の流すディスインフォメーションは、権力によるメディア支配の強化によって、批判されることがなくなったからか、近年、ますます質が劣化しているように思われます。嘘とすぐわかる嘘をつく。これが、毎度のパターンとなっています。

 こうして米国と西側諸国が、ロシアやイランを国際社会から排除してゆき、追い込み、その結果、ロシアやイラン、そして中国や北朝鮮との間で結びつきが強くなっています。結びつけているのは、結局のところ、欧米の「排除の論理」なのです。

 軍事的なつながりだけでなく、ロシアとイランは経済関係においても、2022年2月のウクライナ侵攻にともなうロシアへの国際社会からの制裁をきっかけに、盛んになっています。

 2023年5月には、イラン・イスラム共和国中央銀行(CBI)は、イランの2つの銀行がロシアに事務所または支店を開設する予定だと発表しました。

 こうした動きは、米ドルを使わない新しい貿易決済システムを開発する取り組みと並行して行われています。

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 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

 ご支援のほども、よろしくお願いします。

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IWJ編集部(岩上安身、尾内達也、佐々木隼也)

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