日刊IWJガイド・非会員版「『ウクライナ紛争は戦争はまだまだ続く』!岩上安身によるロシアNIS経済研究所 所長・服部倫卓氏インタビュー報告」2022.5.27号~No.3543号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~<インタビュー報告>「ウクライナ紛争は戦争はまだまだ続く」! 5月26日、「ロシアによるウクライナ侵攻から3ヶ月、紛争は長期化するのか、対露制裁が世界、日本に及ぼす影響は?」、岩上安身によるロシアNIS経済研究所 所長・服部倫卓氏インタビューを中継しました。

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■【中継番組表】

■26日の衆院予算委で小野寺五典元防衛大臣が「台湾有事が起きれば先島諸島は戦域」と述べ、米国と一体になることで日本が攻撃対象となる危険性を指摘しながら、反撃能力の保有や防衛力増強と「仲間を多く作ること」を主張! 一方、立憲民主・泉代表による、日米首脳会談後記者会見でのバイデン大統領の台湾有事軍事関与発言に関する質問に、岸田総理は「日米の立場は従来と変わっていない」と答弁!

■<IWJ取材報告1>「環境により遺伝子の発現パターンが変わってしまい、子や孫の世代まで伝わってしまう場合がある」~5.21 新ちょぼゼミシリーズ「オルタナティブな日本をめざして」第75回『化学物質とエピジェネティクス』―講師:澁谷徹氏(環境エピジェネティクス研究所所長)

■<IWJ取材報告2>松井一郎・大阪市長から告訴された水道橋博士が、れいわ新選組から参院選出馬を表明!「スラップ訴訟という言葉の使い方も含めて、遊説しながら、もう空中戦ですね!」~5.26 れいわ新選組 山本太郎代表 街頭記者会見

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■【スタッフ募集・テキスト(パワポ作成担当)班】書物や資料を読み砕いていく読解力やリサーチ能力が必要とされる「岩上安身によるインタビュー」のパワポ作成に責任をもってかかわっていただける方。時給は1500円です。
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■はじめに~<インタビュー報告>「ウクライナ紛争は戦争はまだまだ続く」! 5月26日、「ロシアによるウクライナ侵攻から3ヶ月、紛争は長期化するのか、対露制裁が世界、日本に及ぼす影響は?」、岩上安身によるロシアNIS経済研究所 所長・服部倫卓氏インタビューを中継しました。

 おはようございます。IWJ編集部です。

 5月26日夜7時から、「ロシアによるウクライナ侵攻から3ヶ月、紛争は長期化するのか、対露制裁が世界、日本に及ぼす影響は?」、岩上安身によるロシアNIS経済研究所 所長・服部倫卓氏インタビューをお送りしました。

 冒頭、岩上安身が、服部氏のご経歴について、「ロシアの研究者で、ベラルーシやウクライナに目を向ける方は多くはないのでは?」と問うと、服部氏は「大学でロシア語を専攻して、ロシアとはまた微妙な差異のある民族や国家に興味が湧いたという、感覚的なものでした」と答えました。服部氏が編集長を務める『ロシアNIS調査月報』の「NIS」とは「New Independent States」、旧ソ連邦とその構成国の総称です。

 岩上は、ウクライナ紛争は、少なくとも2014年のユーロ・マイダンから「線」で見ないといけないと思うが、現在、マスメディアなどで伝えられているウクライナ紛争は、この2月24日に始まったという「点」でしか見ていないことを危惧しています、と述べました。

 最初の話題は、戦況でした。5月20日に、アゾフ大隊が立てこもっていたマリウポリが陥落しましたが、停戦交渉は一向に進む気配がありません。いったいどのようになっているのでしょうか?

岩上「5月20日にマリウポリのアゾフスタリ製鉄所が陥落したというのは、ウクライナ側にとって大きな痛手だったように見えますが、停戦交渉や歩み寄る兆しは見られないように思います。これはどのようにご覧になっていますか?」

服部氏「言ってみれば、ウクライナをネオナチから解放すると称して始めたこの戦争ですが、アゾフスタリに立てこもるアゾフ連隊というのは、ロシア側にとってみれば、その『エビデンス』として使える、という面があるわけです。

 このアゾフ大隊を生け捕りにして、まあ、手荒な手段も使いながら、『確かに私たちはネオナチです。ドンバスの住民を虐殺しました』というような映像を、ロシアのテレビで流す。そういう政治利用するという目的があったと思います。

 マリウポリは戦略的要衝と言われますが、ロシア側が主張する戦争の大義名分に関わってくる部分なので、お互いにこれだけこだわってて、非常に長期化するという結果になったと思うんですよね」。

 服部氏は、ここからの焦点はロシア側が、そうした自白を引き出せるかというところになってくるだろうと述べました。

岩上「ウクライナにとっては、これはどういう意味を持つでしょうか? ゼレンスキーさんは感情の起伏が激しくて、それが素直な感情なのか、演じているものなのか。ただ、当初、アゾフスタリの部隊に、がんばれ、徹底抗戦せよというところから、諦めたというか。玉砕姿勢から、降伏とは言わなかったけれども投降したと。そういうところで、落胆した感じがありました」

服部氏「ネオナチの動かぬ証拠といったロシア側のストーリーっていうのは、ウクライナ側も百も承知だと思うんですね。それを阻止するためにできるだけ抵抗したかったということ。

 もう一つは、なるべくロシア軍をここに引きつけて、他の戦線を有利に運びたかった。その二面があったと思うんですよ。でもさすがに抵抗も耐えきれなくなって、やむを得ないと」

岩上「もう一つ、逆の結果が出たのはハリコフ。『NHK』は5月14日に、ウクライナ軍が一部集落を奪還し、ロシア軍を押し戻したと報じています。ハリコフ周辺では、ウクライナ側が勝っている、と。

 どういう状態なのか、こちら側ではウクライナ軍が優勢で、全体としても、西側が供与してくれた武器が奏功してウクライナ軍が優勢であるというのが基本のトーンで、多くのメディアが報じています」。

 岩上は、報じられている戦況をどう評価したらいいのかと問いました。

服部氏「ハルキウ(ハリコフ)は開戦当時から激しい砲撃を受けながら耐え抜いて、ロシア側は占拠できなかったわけですよね。

 街の周辺は包囲して支配して、という状況が続いていたと思うんですが、ハルキウがなかなか落ちないので、そこにこだわるよりも、やはりドンバスに集中すべきだという判断で、ロシア側が意図的にハルキウ周辺から、配置転換し、引いていき、それを追撃するような形で、ウクライナ側がロシア国境まで到達したというような経緯だったんじゃないでしょうか」。

 ウクライナ側にとって、ハルキウの奪還は大きな前進で、ここから反撃に出て、全支配領域を奪還できるという見方はどうか、と岩上は問いました。

服部氏「そんなに簡単ではないと思います。

 ここ1、2日はロシア軍の方が立て直しています。ルハンシク州、ドネツク、リマンといった街もいよいよ危ないとなって、ルハンシク州全域を支配すれば、次はドネツク州という順番で支配地域を広げていく。そういう戦略をロシア側が明確に打ち出してきていますので。

 戦線によってはウクライナがかなり戦果を上げているところもあるけれども、それはロシア側の重点の置き方によっても変わってきます。ロシアがいったん占領した地域を反転攻勢をかけて奪い返すとなると、それは相当な困難が予想されます」。

 服部氏は、ドンバス地方の戦況について、以下のように語りました。

服部氏「ドネツク州が、あれだけロシアが重点をおいても攻め落とせなかったのは、そこにウクライナ軍側が防衛戦を敷いて『絶対にそこを守る』と。

 今までは、ドニプロっていう中部の町から補給線が機能していて、持ちこたえていましたが、ハルキウ方面のイジウムから、ロシア軍が南下するような動きを見せていて、それによってウクライナ軍を包囲するんじゃないかと、前から言われていました。

 ここ1、2日ぐらいの動きを見ると、そういうことになってもおかしくないぞ、と」

岩上「ハルキウでウクライナ軍が勝ったといっているけれども、それはロシア軍が南下してきて、挟み撃ちにしてしまうかもしれないと。つまり二つの地点をあわせて見る必要があるということですね」

服部氏「そうですね。その時々のロシア軍の意図とか」。

 服部氏は、ウクライナ軍は非常に英雄的に善戦しているかもしれないが、ドンバスからクリアまで含めた全面奪還となると、「気の遠くなるような課題だ」と述べました。

 一つ一つの戦況のニュースを聞いているだけでは、わからない分析をおうかがいしました。

 岩上は、以前、プーチン大統領が、仮にハルキウにNATOがミサイルを配備すればモスクワまで5分だと話していたと指摘し、これまではウクライナ領土での戦いであったが、最近国境付近のロシア領側で火事が続くなど、国境を超えてロシアにウクライナ軍側が攻め入ってくるという事態はあり得るだろうかと問いました。
 
 服部氏は、今のウクライナ軍にそこまでの余裕はないだろうと、軍事基地や石油備蓄基地をピンポイントで叩くならばともかく、ウクライナ軍がロシア領を占領してもあまり意味がないので、現実味はないだろうと答えました。

 続いて、停戦交渉が話題に上がりました。服部氏はブログの中でウクライナ側が示す4項目をまとめています。

1)クリミア・ドンバスも含めた占領地の解放。
2)ロシアによる戦争賠償。
3)ロシアの戦争犯罪、人道に対する犯罪の訴追。
4)ウクライナの欧州統合路線(EU加盟)が固まること。

岩上「ウクライナがロシアに対する『勝利』で譲れない4項目がありますが、これはロシアも譲れない。というと、紛争はまだまだ続くんでしょうか?」

服部氏「『領土の一体性』っていうのは、どの国も譲れない原則で、ロシアに奪われたクリミアおよびドンバスを奪還しなければならないというのは、ウクライナの政治家として当然掲げるものなんですけど。

 ゼレンスキー大統領の元々の立場は、クリミアとドンバスは10年くらい棚上げしてもいいというようなことを一貫して言ってきたんです。4月に和平交渉が前進しそうだった時も」

岩上「その後、反転して一切譲らないと発言していますよね?」

服部氏「一切譲れないというのは、ロシアに割譲することを認めないという意味で、今すぐ返せということではないと思います。

 ゼレンスキー大統領は基本的にクリミアとドンバスについては『10年棚上げ』って言いますが、要するに『棚上げ』です。

 ところが、ゼレンスキー政権の幹部である、クレバ外相とか、ポドリャク大統領顧問などは、自分たちが戦争で勝っている、という認識があるので。欧米からどんどん武器が来ているという自信があるので、この機会にクリミアとドンバスまで含めて、軍事解放、奪還するという立場です。

 同じ政権内で、結構ニュアンスが異なるんですよね。これが意図的に使い分けているということならばいいんですが、もしこれが政権内の不一致だったりすると、今後のウクライナの政権運営の不安材料ですよね。これはかなり原則的な問題ですので」。

 服部氏は、ゼレンスキー政権内部に、停戦に向けて温度差があると指摘しました。これまで、ゼレンスキー政権内部の不一致や戦略については報じられたことはほとんどなかったのではないでしょうか。

 ゼレンスキー政権内部に不一致があるとすれば、停戦交渉の大きな障害にもなりかねません。

服部氏「この4項目を改めて見て、つくづく思うのは、1番から4番までのひとつとしてプーチン政権は認めないでしょうね」

岩上「プーチン大統領の立場から言えば、これはもちろん論外でしょう。ロシアは、アゾフなどのネオナチを捕まえて、ロシア語話者への虐待を問題にしたいと思っているわけですから、冗談じゃない、逆だろう、くらいのことをいうだろうと思いますし。

 『ウクライナの欧州統合路線』がEUのことだけを指しているのかわかりませんが、すくなくともNATOには絶対加盟させないというところから始まっているわけですから」

服部氏「ロシアの停戦交渉団の団長であるメジンスキーが、ウクライナのEU加盟は問題視しないと言いましたが、正直、個人的には『眉唾』ですね。絶対に認めたくないと思います。

 別にロシアが決めることじゃないんですが、ロシア側の思惑からしたら、それはあってほしくないシナリオでしょう。

 ウクライナがこれを譲れないと言っていると。ロシア側は一つも受け入れないと。ということは、結論としては戦争はまだまだ続くという」

岩上「なるほど…。今、ある種膠着状態にあるように見えるけれども、この後の展開はどのようにお考えですか?

 テレビや新聞などでは、ロシアはかつての旧ソ連のようにウクライナ全土を占領する意図を持っていると述べる専門家が多くいて、彼らは『全部占領するのは無理だろう』という変な言い方をしています。

 しかし、本気でロシア側は『ウクライナ全土』を占領することを目指していたんでしょうか。ちょっと違うんじゃないかと思っています。

 やはり、ロシア語話者の多い地域をカバーしていくこと。それ以外の地域にどこまでも行くということは考えにくいのではないかと思うんですが」

服部氏「2月24日に軍事侵攻を始めたわけなんですけど。それに先立って21日に、ドンバスのドネツクとルガンスクという2つの地域の国家承認を行っているんですね。ということは、恐らく、ドンバスの2つの地域と、残りのウクライナ本土を、区別しようとしていたことは間違いないと思うんですよね。

 私が当初思ったのは、おそらくドンバスの2つの地域をロシア連邦に併合するんだろうな、と。今でもその可能性はあると思います。残りのウクライナの地域については、併合というよりも、ゼレンスキー政権は打倒して国として弱体化して、ロシアの意に沿うような傀儡政権をつくる、と。

 ただ、ロシアが当初思い描いたような軍事的成果は得られなかったので、この3ヶ月の間に変化してきたということはあったと思います」

岩上「西側のメディアでは、ほとんど取り上げられないんですが、生物学研究所などをロシア軍が捜索をしました。その捜索資料を持って、米国と一緒になって生物兵器を開発しているのではないかというエビデンスを集めていたのではないか。

 捜索と収集が終わったらさっと引き上げるというような行動もしています。なんのために中央部まで行ったのか。あれは軍事行動というよりも、ある種、警察的行動や捜索が目的だったのかなと。

 本気で占領をしていくような展開ではなかったように感じます」

服部氏「ゼレンスキー政権を崩壊に追い込んでしまえば、国全体をコントロールできる、というような認識はあったかもしれません」。

 服部氏は、ロシア軍はやはり首都キエフを陥落させたかったという見立てです。

 インタビューの後半では、米国や欧州諸国のウクライナ紛争への過剰とも言える介入や、長期化の様相を呈してきたウクライナ紛争の最終的な勝者は誰になるのか、ウクライナが中立国として欧州とロシアの架け橋になる可能性はないか、といった話題にも及びました。

 インタビュー詳細はぜひ、近日中にIWJサイトにアップされる動画を御覧ください。

※冒頭オープン【ライブ配信 19:00頃~】岩上安身によるロシアNIS経済研究所所長 服部倫卓氏インタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=eC7JKbxWEh4

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 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 IWJでは、今期第12期の年間の予算を立てる上での見通しとして、代表である私、岩上安身への報酬をゼロにすることを筆頭に、支出をぎりぎりまでにしぼった上で、IWJの運営上、1カ月の間に必要なご寄付・カンパの目標額を月額400万円と見積もらせてもらっています。

 昨年8月から始まったIWJの今期第12期は、5月で10カ月目に入りました。

 今期スタートの8月1日から4月30日までの9カ月間の累計の不足分は、309万5534円となっています。

 5月は1日から25日までの25日間で、125件、157万0955円、目標額の39%分に相当するご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます! とはいえ、5月も残り5日ですが、月間目標の4割に届いておらず、IWJの財政は、今月すでにピンチとなりつつあります!!

 4月末までの不足分309万5534円に、5月の未達成分242万9045円を足し合わせると、5月末までに552万4579円が必要となります! 今月5月を含めて、7月末に迎える今期末までの残り2カ月と1週間で赤字を削って、不足分をゼロにできるかどうか、どうか皆さまのお力で、ご支援ください!

 IWJの会員数は現在3241人です。そのうちサポート会員は1108人です(2022年4月30日現在)。本当に心苦しいお願いではありますが、会員の皆さま全員が1705円ずつカンパしてくださるか、サポート会員の皆さまが全員1人4986円ずつカンパしてくださったならば、なんとかこの赤字は埋められます!

 伏してお願いいたします! どうか皆さまのお力で、この窮状をお助け願います!

 また、3月16日に宮城県・福島県で震度6強を記録した地震の際に大規模停電が起きて、その影響で、インタビューや動画配信に必要なIWJの設備が故障し、その修理費用が約70万円かかります。

 この故障を完全に修理することができないと、再配信ができません。現在、対応中ですが、いまだに再配信ができず、ご不便をおかけしていて、申し訳ありません。1日も早く復旧できるように、ご支援と、ご理解をたまわれればと思います。

 引き続き、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

 ロシアによるウクライナへの侵攻と、それに対する世界中からの反発・非難は、米英とNATOによる、ウクライナへの事実上の「参戦」という段階に至っています。

 米国の真の狙いは、実現できるかどうかは別として、恒久的に米軍が欧州を軍事的に支配し、ロシアを米国に抵抗できないレベルにまで弱体化することにあります。それが米国の単独覇権の維持・強化になると、一般の米国国民はともかくとして、少なくとも米国の支配的な一部、軍産複合体やネオコンらは思っているからです。

 ロシアのウクライナ侵攻は、その米国の単独覇権の維持・強化戦略を推し進めるための口実として、巧妙に利用されました。

 バイデン大統領は、5月3日、「ロシアとの戦いは、民主主義と中国などの専制主義との戦いの戦線のひとつに過ぎない」と指摘したと、『AFP』は伝えています。

 また、同日『RT』は、「中露に対する『文明の戦い』の最初の『実戦の戦闘』を戦っている」とバイデン大統領の言葉を伝えました。

 これらのバイデン大統領の言葉を、驚くべきことに日本のマスメディアはほとんど報じていませんが、これは重要な発言です。

 ところがバイデン大統領は、本音がぽろりとこぼれ出たのでしょう。「主体」は米国であり、「民主主義」対「専制政治」というイデオロギー上の戦いのために、中国とロシアに対する「文明の衝突」をこれから戦うというのです。そして、「ウクライナはその最初の実戦なのだ」というわけです。次の標的は中国です。当然、「実戦」は、これからも続く予定なのでしょう。

 そして、さらに23日の訪日の際の記者会見で、バイデン大統領は「台湾を守るために軍事介入するか?」という記者の問いに対して、はっきりと「YES」と答え、「そう約束しましたから介入します」と明言しました。

 IWJは、侵攻直後から、このウクライナ侵攻から始まった動きが、極東に飛び火して、台湾をめぐる米中の対立と連動する可能性があると、散々、警鐘を鳴らしてきました。バイデン大統領の一連の発言は、対露戦線と対中戦線を直接、つなげるものです。2つの地域での戦争を連動させようとしている「主体」は米国なのです。

 バイデン大統領は、彼が口にしている言葉通り、ロシアの次の標的は中国だ、と言わんばかりに、中国の排除を目的としたIPEFをひっさげて、アジアへやってきました。

 問題なのは、日本の岸田総理はIPEFの中身が何なのか、まだわからない段階で参加を表明してしまっていることです。しかも、TPPやRCEPなど、日本が既に参加している自由貿易協定のルールと、IPEFのルールが異なる場合、どちらを優先するのか、など、大切なことが国内で何も議論されていないうちから、バイデン政権の方針に盲従を表明してしまっています。これは、国会軽視もはなはだしいというべきでしょう。

 米国の「同盟国」という名の「従属国」である日本は、国民の大多数が気づかないうちに、米国が段取りしたロシアと中国を相手に「世界大戦」を戦う「連合国」のメンバーに加えられています。日本国民はまず、1人でも多く、この事実に気づかなければなりません。

 極東まで米国が戦線を広げてきた場合、ウクライナや東欧・西欧がそうであるように、日本が米国にとって都合の良い対中ミサイル最前線基地とさせられてしまう危険性があります。日本がウクライナのような運命をたどり、国土を戦場として提供して、米国の戦争の道具と化してしまうようなことは絶対に避けなければいけません!

 日本が台湾有事によって、米国の戦争に巻き込まれた時、中国だけでなく、北朝鮮やロシアをも同時に相手して、日本が戦わなくてはならない可能性が出てきます。しかもミサイル戦の時代であり、日本全土がミサイルの射程距離内に収まっているので、すぐに列島全土が戦場となります。

 米国の支援があっても、そんな戦いを現実に遂行できるのか、その上で、核を保有したその3カ国に勝つことができるのかといえば、誰が考えてもまったく不可能でしょう。

 勝敗以前に、日本は開戦早々、全土をミサイルで空爆されて、軍事拠点と重要なインフラを破壊されます。日本は現在のウクライナのような状態となり、経済や、国民生活は破綻します。

 ウクライナの今年のGDPは、現時点で昨年の半分となる予想です。日本も参戦した場合は、GDPはそうしたレベルにまで落ちるでしょう。

 そんな状態に陥ったとき、少子高齢化に直面している「老いた」日本国民が、過酷な現実を受け入れ、乗り切れるでしょうか。仮に敵国に対して、日本列島に配備された自前のミサイルによって一時的に一定の痛撃を与えることができたとしても、相手には最後の手段として、3カ国とも核攻撃というカードが残されています。日本に勝ち目はありません。

 米国から核弾頭をシェアリングされ、中距離ミサイルの弾頭を核弾頭に切り替えたとしても、核抑止が効くかどうか。

 日本に配備されたミサイルの弾頭を、通常弾頭から核弾頭に取り替え終わるまで、中・露・北朝鮮という、すでに核を保有済みの3カ国が、お人よしだとは思えません。

 イスラエルのように沈黙のうちに、秘密裏に核武装を行うのではなく、元首相の安倍晋三氏のような人が、国民的雑誌『文藝春秋』5月号で「ニュークリアシェアリング(核共有)」の必要性を鐘や太鼓を鳴らすように宣伝しているのですから、始末におえません。かえって敵の先制攻撃を誘発してしまうリスクとなります。

※「核共有」の議論から逃げるな 中国・ロシア・北朝鮮からこの国を守るために(安倍晋三・文藝春秋2022年5月号
https://bungeishunju.com/n/n6dd51d4070f0

 しかも、日本は島国です。

 海上を封鎖されれば、エネルギー資源もなく、食糧自給もできない日本は、たちまち身動きもできなくなり、国民は飢餓に直面します。ウクライナ国民の多くは陸続きの隣国ポーランド等へと難を逃れましたが、日本国民の多くは陸伝いに「難民」になることもできません。海を越えていこうとしても、渡航の安全性は保証されていません。

 どこをどう考えても、米国と同調し、ロシアに制裁を下し、いたずらにロシアとの緊張を高めることは、日本にとって負担やリスクが増えるだけで、何もメリットがありません。

 同様に、米国に同調して、中国に対していたずらに敵対的となり、ミサイル配備や、ニュークリアシェアリングの可能性を大声で喧伝して回るなど、自ら戦争リスクを高めるだけですし、日本が火ダルマになるだけで何のメリットもありません。

 日本には原発が54基(そのうち稼働中のものは9基、稼働していない原発もプールに燃料がたくわえられている)存在するのです。これらは核自爆装置のようなものです。自国にミサイルが飛んでくる可能性のある戦争を、日本は遂行できるような国ではないのです!

 IWJは、中立の立場を守り、ロシアとウクライナの間でどのような確執が起きてきたのか、8年前、2014年のユーロ・マイダンのクーデターの時点から、ずっと注目して報じてきました。ぜひ、以下の特集を御覧ください。

※【特集】ウクライナ危機 2013年~2015年 ~ユーロ・マイダンクーデターからウクライナによるロシア語話者への迫害・殺戮まで~
https://iwj.co.jp/wj/open/ukraine

 2022年の2月23日、それまで何の前提もなく突然、ロシアのプーチン大統領が狂気にとりつかれて、ウクライナに侵攻し始めたのではありません。

 そこに至るプロセスがあります。独自取材を続けてきたIWJだからこそ、この事態に対してしっかりと客観視する視点をもつことができた、と自負しています。

 ロシア軍によるウクライナへの「侵攻前」のプロセスを伝えず、「ロシア侵攻」のみを大騒ぎして伝える思考停止のイエローペーパーに頼っていては、真実は見えてきません。

 公平に見て、ウクライナと米国のプロパガンダは、ロシアのプロパガンダよりはるかに巧みで、大胆かつ強引であり、ウクライナをロマンチックに見せたり、ロシアを悪魔に仕立て上げたりして、ハリウッド映画のように、多くの人を惹きつけています。

 しかし、その米国とウクライナのプロパガンダを、日本のマスメディアまでが鵜呑みにして垂れ流ししているようでは、ジャーナリズムの本来の役割を放棄していると言わざるをえません。

 我々IWJは、どんなに石つぶてを投げられようとも、メディアの王道を歩み、客観的で、中立的で、事実にもとづいた、公正な報道をし続けます。

 米国につき従っていきさえすれば、安全で繁栄も約束される、というのは、第二次大戦後の米国が、ゆるぎなく、軍事力も経済力も圧倒的に強大で、余裕があり、そしてまだしもモラルが残っていた時代の話です。現在の米国は、昔日の米国ではありません。

 既存の大手新聞、テレビなどの御用マスメディアは、日本政府と同様、米国追従を続けていますから、それらに頼っていては、こうした現実は、まったく見えてきません。現実には記者クラブメディアは国民の目を真実からそらせるような情報操作ばかり行い続けています!

 IWJは、国民をないがしろにして戦争準備を進める政府と、そのプロパガンダ機械と成り果てたマスメディアに対して、これでいいのか! と声を上げ続けていきます!

 こうしたことがIWJに可能なのは、市民の皆さまに直接、支えられているからです。特定のスポンサーに頼らずとも、活動することができる独立メディアだからです! 何者にも縛られず、権力に忖度せずに、真実をお伝えしてゆくことができるのは、市民の皆さまのご支援のおかげです!

 非会員の方はまず、一般会員になっていただき、さらに一般会員の皆さまには、サポート会員になっていただけるよう、ぜひご検討いただきたいと存じます!

 その会費と、ご寄付・カンパの両方によって、支えられてはじめて、IWJは、市民の皆さまのために役立つ、真の独立市民メディアとして活動を継続し、その使命を果たすことが可能となります。

 マスメディアが報じない事実と真実を報道し、売国的な権力への批判を続け、主権者である日本国民が声をあげ続けることができるようにすることが、今、絶対に必要なことであり、それが我々IWJの使命であると自負しています。

 本年、2022年は、7月に参院選もあります。主権を外国に売り渡すがごとき、売国的な改憲勢力は、改憲による緊急事態条項の憲法への導入を狙っています。この緊急事態条項は、国民主権と議会制民主主義を根こそぎ奪うものです。その先には、終わりのないファシズムと、国民の声に一切耳を貸さない、問答無用の戦争が待ち受けています。今年は、本当に日本の分水嶺の年となります!

 決して負けられないこの戦いに、私は、IWJのスタッフを率いて全力で立ち向かいたいと腹をくくっています! 皆さまにはぜひ、ご支援いただきたくIWJの存続のために、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

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店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

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預金種目 普通
口座番号 3080612
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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身拝

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◆中継番組表◆

**2022.5.27 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh1・大阪】11:30頃~「橋下徹氏による大石晃子衆議院議員への名誉棄損訴訟・第2回 口頭弁論後の記者会見―登壇:弘中惇一郎弁護士ほか」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach1

 橋下徹氏による大石晃子衆議院議員への名誉棄損訴訟・第2回 口頭弁論後の記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた大石晃子氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%a4%a7%e7%9f%b3%e6%99%83%e5%ad%90
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【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach5

 「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee

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◆中継番組表◆

**2022.5.28 Sat.**

調整中

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「環境により遺伝子の発現パターンが変わってしまい、子や孫の世代まで伝わってしまう場合がある」~5.21 新ちょぼゼミシリーズ「オルタナティブな日本をめざして」第75回『化学物質とエピジェネティクス』―講師:澁谷徹氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/506143

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■26日の衆院予算委で小野寺五典元防衛大臣が「台湾有事が起きれば先島諸島は戦域」と述べ、米国と一体になることで日本が攻撃対象となる危険性を指摘しながら、反撃能力の保有や防衛力増強と「仲間を多く作ること」を主張! 一方、立憲民主・泉代表による、日米首脳会談後記者会見でのバイデン大統領の台湾有事軍事関与発言に関する質問に、岸田総理は「日米の立場は従来と変わっていない」と答弁!

 昨日26日午前、衆議院では、岸田総理出席の予算委員会が行われました。

 質問に立った自民党の小野寺五典元防衛省大臣は、台湾海峡問題をめぐり、「米国の太平洋軍元司令官等が『近いうちに中国と台湾が衝突するかもしれない』と、さまざまなところで警告している」と述べました。

 その上で小野寺元防衛大臣は「今回の日米首脳会談で、バイデン大統領が記者会見で、記者から『軍事力をもって台湾を守るか』ということに対して『イエス』と言った。この瞬間、世界中が大変驚いた」と述べ、次のように主張しました。

 「そのあと、アメリカ政府もバイデン大統領自身も『従来のスタンス(曖昧戦略)は変わらない』と訂正された。

 ただ、この一瞬の流れで私が感じるのは、何かあった場合、アメリカはやはり台湾を支援するんだ。それは直接武力をもって一緒に守るのか、あるいは台湾関係法によって台湾に軍事物資を支援するのか、おそらくどちらかを、台湾に対してアメリカはすることになります。

 そのとき考えなきゃいけないのは、台湾は島国ということです。今、ウクライナだから、隣国ポーランドから陸路を通じて支援物資を運ぶことができます。でも、島国の台湾に対しては、どうしても船か航空機で支援武器を運ぶことになります。

 当然、台湾有事が起きれば、島の周りは中国が海上封鎖をし、空を守ることになります。ここに、台湾を支援する武器を積んだアメリカの艦船、航空機が行けば、必ず衝突事案になります。残念ながら、衝突事案が起きる可能性は、どちらにしても大変高い」

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■<IWJ取材報告1>「環境により遺伝子の発現パターンが変わってしまい、子や孫の世代まで伝わってしまう場合がある」~5.21 新ちょぼゼミシリーズ「オルタナティブな日本をめざして」第75回『化学物質とエピジェネティクス』―講師:澁谷徹氏(環境エピジェネティクス研究所所長)

 5月21日午後1時30分より、東京都千代田区のたんぽぽ舎にて、環境エピジェネティクス研究所所長の澁谷徹氏を講師に迎え、新ちょぼゼミシリーズ「オルタナティブな日本をめざして」第75回「化学物質とエピジェネティクス」が開催されました。

 講師の澁谷氏は、名古屋大学大学院農学研究科修了の農学博士(発生遺伝学)であり、そのまま研究職には進まず、財団法人・食品薬品安全センターで30年間、遺伝毒性の試験・研究(遺伝毒性学)に従事し、退職。その後、文献検索を中心として「環境エピジェネティクス」特に「継世代エピジェネティック遺伝(TEI)」についての研究を行っています。

 「エピジェネティクス」とは、澁谷氏によれば「突然変異によらないで、さまざまな環境要因によって遺伝子発現が変化する、生物が進化の過程で獲得した遺伝子の高度な制御機構」とのこと。

 澁谷氏は、次のように説明しました。

 「ヒトの遺伝子は2万5000ぐらいだが、ハエやマウスなどとほとんど変わらない。じゃあ、ヒトは一体どういうことをやっているかというと、やはり高度な遺伝子制御があるということです。それによって、高度な『発生』とか『生命の維持』をしている。これがエピジェネティクス。

 これがさらに、環境によって、遺伝子の発現パターンが変わってしまう。そして、それが子の世代、孫の世代まで伝わってしまう場合がある」。

 質疑応答では、「母性の人権」という観点から「カネミ油症事件」に長い間携わってきたという女性から、以下のような質問がありました。

 「カネミ油症の患者について、原爆も水俣も行わなかった『次世代調査』が国により初めて実施され、その中間報告が示された。その報告会が実施されるが、そこで国側に釘を刺したいと考えている。何かヒントを頂けないか?」

 この質問に対して、講義に参加していた男性から以下のようなアドバイスがありました。

 「問題は『次世代調査』の中身。患者の症状だけではダメだ。その背後にある人間の体の生理メカニズムが、どういうふうにおかしくなったのか? その中でも最も重要だと思われるものの一つがこのエピジェネティクス的機能に異変が起きていないかをちゃんと調べること。

 単に(ダイオキシンの)生殖毒性だけじゃなく、エピジェネティクス的な異常はないのか調べろ、と。(中略)エピジェネティクス的な、科学的な技術を、ちゃんとそれを追求・追跡しろ、と。患者の二世だけでなく、三世、四世についてもちゃんと追跡させること。そこのところが、今日の(澁谷氏の)ご講演の教訓の一つだと思います」。

 「カネミ油症事件」とは、1968年に、福岡県北九州市にあるカネミ倉庫株式会社で作られた食用油の製造過程で、PCB(ポリ塩化ビフェニル)が混入し、加熱されてダイオキシンに変化、これを摂取した人々に健康被害をもたらしたものです。

 IWJは2013年に元化学会社社員の原田和明氏による講演「カネミ油症事件から『フクシマ』が見える」を記事にしています。ぜひあわせて、以下のURLより御覧ください。

※日本最大の食品公害・カネミ油症事件から「フクシマ」が見える 原田和明氏講演 2013.8.31
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/99178

 澁谷徹氏の講義とその後の質疑応答について、詳しくはぜひ全編動画を御覧ください。

※「環境により遺伝子の発現パターンが変わってしまい、子や孫の世代まで伝わってしまう場合がある」~5.21 新ちょぼゼミシリーズ「オルタナティブな日本をめざして」第75回『化学物質とエピジェネティクス』―講師:澁谷徹氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/506143

■<IWJ取材報告2>松井一郎・大阪市長から告訴された水道橋博士が、れいわ新選組から参院選出馬を表明!「スラップ訴訟という言葉の使い方も含めて、遊説しながら、もう空中戦ですね!」~5.26 れいわ新選組 山本太郎代表 街頭記者会見

 5月26日午後1時より、東京・新宿駅西口小田急デパート前にて、れいわ新選組の山本太郎代表による街頭記者会見が開催されました。

 この街頭記者会見では、6月22日公示、7月10日投開票予定の第26回参議院選挙の比例区候補予定者として、山本代表から、お笑いタレント・漫才師・著述家・コメンテーターの水道橋博士(本名・小野正芳)氏が紹介されました。

 水道橋氏は、現在、日本維新の会代表の松井一郎・大阪市長から名誉毀損で告訴されており、それをきっかけとして、「スラップ訴訟」の実態を世の中に伝え、広めるために、このたびの出馬を決意したとのことです。

 会見は冒頭から質疑応答の形で進められ、IWJ記者は以下のとおり、2つの質問をしました。

IWJ記者「水道橋博士さんは、このたび、参院選出馬の目的として、先ほどもご説明頂きましたけれども、世の中に『スラップ訴訟』の実態を伝え、広めること、また、もう一つは、日本でも『反スラップ訴訟法』を作ることとおっしゃっています。

 水道橋さんが当選されたあかつきには、資金や権力を持った者が、市民・市民団体・ジャーナリストなどによる批判や反対運動を封じ込める目的で訴訟を乱発し、言論の自由を侵害する『スラップ訴訟』を規制する法整備について、どのように進めていくか、可能であれば具体的なビジョンをお聞かせ願えますでしょうか?」

水道橋博士氏「公示後に、僕自身が描いている法律を進める方法については、文書で提出します。もちろん、山本代表に、その方法論については、経験的なものは少ないので聞いていきます。

 国会に法律を出すために、あるいは、党の勢い、まだ結果はわからないので、そういうことも含めてですね、ほかの国会議員との連携、話し合いをしていきます。問いかけます。

 賛同を得て、多くの、与党そのものが、スラップ法案を出している方なので、与党側は、多分、賛同を得ないのではないか。でも、与党の中にも心ある議員の方が、『あ、これおかしい』と思われる方もいるかもしれません。

 党議拘束を抜けてですね、そこも賛成して投票してくださる可能性もあると思います。左右どちらから見たって、『反スラップ法案』というのは賛成しやすい法案だと、僕は思っています」。

 ここで山本代表から、補足の発言がありました。

山本代表「今回の、水道橋さんが私たちれいわ新選組から立候補する予定になったということのきっかけは、すべては、維新の松井一郎さんが、水道橋博士さんのネット上での引用リツイートを訴えるという、損害賠償請求する、内容を見てみると、損害賠償請求されるようなものではないんですけど、ある意味でこれは、権力側が『お前、黙れ』ということで、潰しにくるやり方なんですね。

 これっていうのは、皆さんにリスクがあることなんです。誰しもが、その立場に、水道橋さんのような立場に置かれる可能性があるということ。そんな、権力者のやりたい放題でいいんですか? その賛同を広めていくのが一番だと思います。

 つまりは、国会の中の硬直した状態を、まず参議院選挙で数を入れ替えていく。何よりも、その『スラップ裁判』というようなことで、権力側のやりたい放題が許されていいのかということを、お一人お一人に考えていただくために、全国を回りながら、水道橋さんがお話していくことなんだろうと、その話が広がっていきながら、皆さんの中に、『ヤバいよな、そんなこと』というような考えが共有された時にこの話は進んでいくんだろうと。

 何も、国会の中だけの力関係のみのことではない。私はそう考えています。まずは民意。そういうことだと思います」。

水道橋氏「現状ですね、スラップ裁判って『SLAPP』、略語です。で、概念上は、アメリカにあります。法律がどんどん施行されたのは90年代からで、調べたら、今31州でしたね。30州とあと1地区。31州で採用されています。

 ですから、どんどんとオーストラリアでも採用されて、世界でこの『反スラップ法案』というのは採用されています。僕が、日本で広がりにくいと思うのは、『スラップ』という言葉です。

意味が分からないという方が、多くいると思います。

 あと、有権者の中の20代の方、裁判にも接することはないし、とても危機感がない方もいると思うんですね。そういう方々にどうやって広げていくかということも、その言葉の使い方も含めて、話し合いながら、遊説しながら、もう空中戦ですね。

 ユーチューバーの方にですね、僕はYouTubeにどんどん出ますから。特に20代のユーチューバーで政治に興味がある方、どんどん僕をYouTubeに呼んでください。ユーチューバーで影響力のある方、そこで、僕は10代、20代の方がわかるような話をしていきたいと思っています」。

 IWJ記者の2つ目の質問は、次のとおりです。

IWJ記者「博士は、5月18日の阿佐ヶ谷ロフトAでのイベントの質疑応答の時に、女性の政治参加の促進や、パワハラやセクハラの問題を例に挙げて、『民主国家の中の不公平な構造』、それに加えて、それを政治が進めている、というお話をされていて、そのことについて、今、お話していただけますでしょうか?」

水道橋氏「これはもう、政策提言のような形で、まあもちろんすり合わせるんですが、最初の出馬表明にも書いていますけれども、議会における女性の数を(男性と)同一にするということに対して、具体的にプランを進めていくということに関して、もし国会に入れば、議連にも参加するし、具体的な法案を出していきたいと思います。

 例えば、この、供託金を女性のほうをより下げるということなどはひとつではないでしょうか? 600万かかるということに対して、躊躇するのが男性か女性かというと、女性の方が躊躇しますよ。それに関しては、女性は50万でいい、であるとか。

 まあ、供託金そのものをなくしてもいいわけですよ。そういうような、目に見える形でやるべきであるし、とにかく、本当に日本の報道の姿勢自体は、本当にどんどんと後退しているんですよ。

 マスコミの人たちは自分たちで恥ずかしいと思いません、それを? 報道姿勢に自由がないということのランキング何位ですか? 69位? 71位? そんなランキングですよ。こんな先進国だと言われているのに、それを本当に、マスコミの中にいる人も記者の人、一人ひとりも、考えてくださいよ。

 僕のスラップ裁判が起きた時に、報道してくれたのは、赤旗と東京新聞だけですよ。そのほかの新聞は一切、テレビも無視しました。なぜですか、それって? みんなが上の芸能界の偉い人、あるいは、スポンサーの偉い人の(顔色を)窺っているだけで、本当にひどくないですか? 恥ずかしくないですか?

 本当に、マスコミにいる方に、本当に目を見て訴えたいです。それ、恥ずかしくないですか?」

山本代表「おそらく、報道の現場にいらっしゃる方々は、それぞれが事実を伝えたいということで、闘ってらっしゃると思います。でも、実際は報道の自由が認められるのは、スポーツ新聞とフリーライターの間だけなのかなという感想を、私自身は持ちます」。

 街頭記者会見の詳細については、ぜひ全編動画を御覧ください。(本日の午後にアップ予定です)。

※松井一郎・大阪市長から告訴された水道橋博士が、れいわ新選組から参院選出馬を表明!「スラップ訴訟という言葉の使い方も含めて、遊説しながら、もう空中戦ですね!」~5.26 れいわ新選組 山本太郎代表 街頭記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/506297

■【スタッフ募集・テキスト(赤反映担当)班】日刊IWJガイドや記事の執筆、編集業務を行っていただける方、特に深夜業務での作業を厭わない方は優遇し募集します。深夜に及んだ場合は、社用車での帰宅が可能です。時給は1300円から、能力・実績次第で昇給します。深夜業務は法にのっとった割り増し残業代を支払います。

 日刊IWJガイドや記事の執筆、編集などの作業のうち、主に日刊IWJガイド校了前の赤反映業務に携わってもらいます。パソコンのスキルが必要です。時に深夜まで及ぶことがありますが、社用車での帰宅、あるいは自宅への送りが可能です。雇用形態はアルバイトまたは契約社員で時給1300円からのスタートになります。能力と実績次第で昇給します。正社員登用の途もあります。在宅勤務や業務委託契約も相談に応じます。残業代、深夜残業代もきっちりお支払いします。

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 テキスト班で「岩上安身によるインタビュー」のためのパワーポイント作成に責任をもって携わっていただける方を募集します。時給は1500円です。雇用形態はアルバイト又は契約社員からのスタートになります。正社員登用の途もあります。業務委託契約も相談に応じます。残業代、深夜残業代もきっちりお支払いします。

 パワポ作成には、書物や資料を読み砕いていく読解力やリサーチ能力が必要なため、基礎的な学力や広範な教養・知識力が必要です。優れた人員を募集します。

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