日刊IWJガイド「今後は原発事故を起こしても責任は『有限』に!?『メルトダウン隠し』発覚も、着々と問題だらけの再稼働を進める安倍政権!嘘とごまかしを重ねつつ政治権力を握って放さないそのテクニックは、『成果』と誇る拉致問題がスタート点!?~岩上安身が蓮池透氏に再びインタビュー!!」2016.2.26日号~No.1261号~


 おはようございます!IWJで記者をしている佐々木隼也と申します。

 昨日の本ガイドでも触れましたが、3.11の福島第一原発事故について、東電が、当時の社内マニュアルに従えば「メルトダウン(炉心溶融)」としなければならないところを、事故から2カ月間ずっと、それより軽微な「炉心損傷」「被服管損傷」と嘘の発表をし続けていたことを、昨日突然発表し、謝罪しました。

 事故から5年経ってから、しれっと真実を発表する。あまりに不誠実で隠ぺい体質にまみれた東電の姿勢が、また一つ露呈しました。あの時すぐに、きちんと「メルトダウン(炉心溶融)です」と発表していたら、避難区域や放射能対策も、ずっと厳しいものになっていたでしょうし、その後の原子力行政についても、今よりずっと厳しいものになっていたのではないでしょうか。

 なぜ、当時発表しなかったのか?東電は「社内マニュアルの記載に5年間気づかなかった」という信じ難い言い訳を並べています。

 しかし、社内マニュアルは、社内で広く共有されているはずの文書。社員と関連企業も外部の下請けもすべて含めて、誰一人気づかなかった、という弁明は、到底素直に信じられるものではありません。

 今回も、新潟県の泉田知事の調査チームがマニュアルの存在を指摘したことがきっかけとなりました。東電の自発性はどこにもみられません。世界一迂闊で杜撰な企業という汚名を、さらに記録更新しても一向に気にしない様子を見ていると、「気づかなかった」のではなく、故意に「隠していたのではないか」という疑いがどうしても拭えません。

 昨日行われた東電の定例会見では、我々も含めて多くのメディアがこの件について、様々な観点から追及を行いましたが、東電側は「現在調査中につき答えられない」という、つまりはノーコメントを貫きました。事故当時、福島第二原発の所長であり、現場の指揮にあたっていた現・廃炉カンパニー代表の増田尚宏などは、「このマニュアルについて知っていたか?」という基本的な質問にすら、「言えません」「言わない方が良い」などと、謎の回答拒否を行いました。

 この会見の動画記事、詳細は本日後ほどアップいたしますので、そちらをご確認ください!

 …と、そんな不誠実極まりない東電に対して、なんと政府は、賠償責任を含めてきわめて寛大な免責措置をとっています。安倍政権はあの過酷な事故がまるでなかったかのように、原発再稼働を急いでいる始末です。本ガイド後半で、その点について詳しくお伝えしたいと思います!

 また、昨日と今日、さらに3月にも、ドイツで原発と核に関する2つのシンポジウムが行われ、IWJは現地に中継記者を派遣して配信いたします。その詳細も、後半で!

 また、本日は拉致問題をめぐって安倍総理の発言に嘘があること、そして拉致問題を政治利用して、総理にまでのぼりつめたと告発している蓮池透さんへ、岩上さんが再びインタビューします!

 まずは明日、明後日の【中継番組表】をご覧ください!

┏━━【目次】━━━━━━━━━━━━
┠■【中継番組表】
┠■「原発推進」に舵を切る安倍政権に、世界の「脱原発」のリアルを突きつけろ!ドイツでの超重要イベントを赤字覚悟で中継配信します!!(佐々木隼也)
┠■40年超えの高浜1・2号機が「新規制基準」に事実上の合格!? 40年廃炉の原則は骨抜きにされてしまうのか?(葦澤美也子)
┠■北朝鮮が拉致被害者捜索を中止!「後退」し続ける拉致問題をどうみる?安倍総理ら政府の怠慢を告発する蓮池透さんに岩上さんが本日、再度インタビュー!(原佑介)
┠■原発事故を起こしても、電力会社には一定額以上の賠償責任を問われない法改正!?(山本愛穂)
┠■個性派揃いの「饗宴VI」!大好評をいただいているDVDは、もうお求めいただきましたか?『前夜増補改訂版』も合わせてお買い求めいただくことをおすすめします!(城石エマ)
┠■「おおさか維新」足立康史議員が公聴会で公述人の郷原弁護士に対しあまりに酷い暴言!しかし問題は「お馬鹿議員一人の暴走」では済まない…(佐々木隼也)
┠■「テキストスタッフ」と「Webスタッフ」として一緒に働きませんか?(城石エマ)
┠■わとはぷ~What happened today?「今日は2.26事件の日ですね…」(平山茂樹)
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※※※中継番組表※※※

■「原発推進」に舵を切る安倍政権に、世界の「脱原発」のリアルを突きつけろ!ドイツでの超重要イベントを赤字覚悟で中継配信します!!

 再び、佐々木です。

 昨年夏、安保法制に対する国会前抗議を取材していた時、ドイツから来ていた男性が、「ドイツですら原発ゼロを達成できていないのに、日本はすぐに原発ゼロを実現した。すごい!」と話していたのを思い出します。

 原発は停止していました。たしかに原発による発電量はゼロ。それでも何のトラブルもありませんでした。大げさに喧伝された大規模停電も、企業活動や国民の暮らしを大きく制約するような節電は必要なかったのです。火力発電等、原発以外の発電手段で必要な発電量はまかなえていた。そのドイツの男性がほめていたのは、見事なバックアップぶりだったのだろうと思います。

 それから半年。「原発ゼロ」だったはずの日本はどうなったでしょうか?

 安倍政権は川内原発1、2号機、そして高浜原発3号機を再稼働させ、本日には高浜原発4号機も再稼働します。ドイツ人もうらやむ日本の原発事情は、原発事故から5年経ち、事故前へと逆行しています。

 一方のドイツでは、着実に、原発ゼロに向けて歩んでいます。

 放射性物質の危険性や、被曝の実態、発電手段としての原発の合理性の欠如から目をそむけ続ける日本に対し、ドイツでは、チェルノブイリ原発事故、そして福島第一原発事故から、多くのことを学ぼうとしています。

 本日から明後日28日まで、そのドイツの首都ベルリンで「5年後の福島と30年後のチェルノブイリ」と題する大規模なシンポジウムが開かれます。さらに、3月9日から11日には「原子力リスクに反対する正義と信仰」と題するイベントが、ドイツの経済の中心地・フランクフルトで開催されます。

 フランクフルトのイベントでは、最終日の11日に、SEALDsの奥田愛基さんとフランクフルト大学の学生の対話集会も行われます。

 IWJはこの重要な2つのイベントを、もちろん可視化したいと考えています!

 そこで、オランダのアムステルダムに駐在している鈴木樹里記者をドイツへ派遣し、取材・中継を行います!さらに日本の視聴者のために、シンポジウム・イベントの様子を、通訳を雇って日本語訳しながら配信を行います!

 ベルリン取材でかかる経費の概算見積は、合計164,808円で、そのうち通訳料として84000円ほどかかる見積もりです。フランクフルト取材でかかる経費の概算見積は、合計160,895円ですので、合計で345,703円の経費がかかる見込みです。

 これは交通費・宿泊費・通訳料などの最低限のコストの合計であって、人件費や食事代などは含まれていません。すべての経費を合計したら、50万円を越える見込みです。しかし日本からカメラマンや記者を派遣したら、もっと高くついてしまいます。欧州駐在のスタッフがいるからこそ、この金額で抑えられています。

 IWJの財政状況は、言うまでもなく、たいへん厳しい状態が続いています。しかし、世界の脱原発のリアルを報じ、ガラパゴス化した意識に閉じ込められている安倍政権や、その支持者の目を醒まさせるためにも、こうしたシンポジウムも、日本中に届けたいと考えています。

 しかし、こうしたIWJの取材活動は、支えてくださるみなさまのご支援があってこそ成り立ちます!引き続き、ベルリン・フランクフルト取材のために、緊急カンパを募っています!どうぞ、IWJの取材活動をご寄付・カンパによってご支援ください!

 そしてみなさんが会員登録され、会費を納めて下さることが、IWJの取材活動の基盤となります。財布の中身も厳しいご時勢ではありますが、可能な範囲で、ご寄付・カンパ、会員登録をいただければとても助かります。よろしくお願い致します!

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 続いては、葦澤美也子記者より、先ほど紹介した高浜原発3、4号機に続き、1、2号機も再稼働「合格」となったニュースをお伝えします。しかも気づいたら、原発の安全基準が事故前よりも緩いものとなっていた…という、看過できないニュースです。

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■40年超えの高浜1・2号機が「新規制基準」に事実上の合格!? 40年廃炉の原則は骨抜きにされてしまうのか?

 おはようございます。IWJで兼業記者をしております葦澤美也子です。

 2月24日、原子力規制委員会は、関西電力高浜原子力発電所1、2号機について、新規制基準適合の事実上の合格証と言える「審査書案」を決定しました。

 福島原発事故を受けて策定された新規制基準では、老朽原発については「40年」を原則の運転上限として、ごくごく例外、「例外中の例外」のケースとして「20年延長もあり得る」とされていました。しかし、今回40年を超過した老朽化原発で初めて事実上の合格が出されたことで、早速「20年延長」という「例外中の例外」が使われました。

 新規制基準が骨抜きにされ、老朽化原発の審査が一気に「ザル」になってしまうのではないか、という懸念が指摘されています。

 24日の原子力規制委員会の定例会見で田中委員長は、「審査に対する影響があったわけではない」としながらも、電力会社が再稼働実現のためにかけた2000億円という費用の大きさを挙げるなど、電力会社寄りともとれる発言をしています。お金をかければいいという問題なのでしょうか?会見の詳細は、ぜひ下記の動画でご確認ください。

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・2016/02/24 原子力規制委員会 田中俊一委員長 定例会見(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/288878
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 高浜原発をめぐっては、1、2号機より10年後に運転を開始した、比較的新しい3、4号機ですら、一度は「運転差し止めの仮処分」が福井地裁で出ていました。しかし、12月にはその差止め決定を「覆す決定」が同地裁で出されたことで、政府はここぞとばかりに再稼働を進めました。

 その結果、今年に入って1月29日には3号機が再稼働され、今日にも4号機が再稼働されます。

 しかし、その4号機では先日、放射性物質を含む水漏れが見つかり、問題となったばかりです。この高浜原発の危険性については、元東芝の原子炉格納容器設計者である後藤政志さんも厳しく指摘しています。また、脱原発運動の一人者である河合弘之弁護士は、岩上さんのインタビューで、2015年4月に出た高浜原発再稼働禁止の仮処分は、「新規制基準にノーをつきつけたものである」と厳しく断じています。

 さらに、かつて裁判官として、志賀原発の運転差し止め訴訟をめぐり、住民側勝訴の判決文を書いた経験を持つ井戸謙一氏にも岩上さんはインタビューを行い、この仮処分決定の意義と、今後の原発訴訟の見通しについて聞いています。

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・ 2015/12/17 【京都】後藤政志さんに聞く高浜原発再稼働の危険性(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/279080

・ 2015/04/15 「新規制基準自体にノーをつきつけた」 高浜原発再稼働禁止の仮処分、何が画期的だったのか~弁護団共同代表の河合弘之弁護士に岩上安身が聞く
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/242735

・2015/04/19 「死せる魂」だった司法から微かに見えた「希望」
志賀原発を止めた元裁判官・井戸謙一弁護士に、高浜原発差し止め決定から司法の戦争責任まで岩上安身が聞く
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/243041

※動画全編を見るにはサポート会員登録が必要です。ぜひこの機会にご検討下さい!会員登録はこちら!
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php
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 高浜1、2号機は、今年の7月7日までに合格が出なければ廃炉になることが決まっている原発ですが、それまでに「安全対策の基本方針の許可、詳しい設計の認可、運転延長の認可」がおりれば、再稼働は認められてしまいます。問題だらけの原発に対し、次々に「OK」を出す規制委の姿勢を見ていると、東電はいわずもがな、規制委にもまっとうな「良識」は期待薄のようです。

 廃炉となるべき原発を再稼働させてしまう可能性が濃厚です。

 であれば、なおのこと「良識」である市民が声をあげること、その声を多くの国民に届けて広げていくしかありません!

 ということでIWJでは本日、関西電力東京支社前で行われる緊急抗議行動を中継します。ご視聴と応援をよろしくお願いします!

【Ch4】
高浜現地行動に連帯 高浜原発4号機再稼働反対 関西電力東京支社緊急抗議
http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4

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 葦澤記者でした。続いては、本日行われる、岩上さんによる超注目インタビューについて、原佑介記者から紹介させていただきます!

■北朝鮮が拉致被害者捜索を中止!「後退」し続ける拉致問題をどうみる?安倍総理らの「嘘」と政府の怠慢を告発する蓮池透さんに岩上さんが本日、再度のインタビュー!

 おはようございます。IWJ記者の原です。

 本日は岩上さんが、「拉致被害者家族会」元事務局長の蓮池透さんにインタビューします。今回は、前回の1月27日に行なったインタビューに引き続き、蓮池さんが昨年末に上梓した『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)に関してお話をお聞きする「後編」のインタビューになります。

 僕も蓮池さんの新刊は読みましたが、透さん自身が自らが明らかにする拉致問題の舞台裏は、衝撃的でした!拉致問題に関する世間一般の常識を覆すものでした。

 蓮池さんは、世間一般では「拉致問題解決の功労者」であると思われている安倍総理と中山恭子・元拉致担当大臣が、実際には「いかに何もしていなかったか」を、生々しく告発しています。

 2002年に、蓮池さんの弟である蓮池薫さんら5人の拉致被害者が、「一時帰国」として帰国した際、日朝両政府の間では「10日程度で北朝鮮に帰る」という取り決めがありましたが、当時の安倍晋三官房副長官が断固として5人を日本に引き止めた、という「武勇伝」が真偽不明なまま、吹聴されてきました。

 しかし、岩上さんのインタビューで蓮池さんは、安倍総理らが5人を日本にとどめようとした事実はないと指摘し、「5人を日本に止めようと一番尽力したのは私です」と断言。「安倍総理は、朝日の記者に『北朝鮮には帰らない、という了解を5人から得るため、5人の携帯電話に電話し、確認をとった』と語ったと言っている。しかし、弟たちは携帯電話なんて持っていなかった」と衝撃の事実を明らかにし、「明らかにおかしい」と矛盾を指摘されました。

 拉致問題に対する、政府の知られざる杜撰で冷淡な対応の実態は、ぜひ「前編」のアーカイブをご覧ください!

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※2016/01/27 国会で議員に北朝鮮の「工作員」と名指しで侮辱!?された『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』著者「拉致被害者家族会」元事務局長蓮池透氏に岩上安身が聞く!(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/284584
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 事態は進展するどころか、北朝鮮は今月12日、北朝鮮の弾道ミサイル発射実験を受けて日本政府が独自制裁を強めたことに反発し、拉致被害者を含む日本人行方不明者の調査を全面中止し、調査を担当していた「特別調査委員会」を解体すると発表しました。

 「被害者全員を取り戻す!」と勇ましく連呼するだけで、一向に出口が見えない拉致問題。進展をみせるどころか、ますます後退しているわけですが、蓮池さんはこの現状をどう評価し、拉致問題をどのように進展すべきと考えているのか。政府の怠慢や家族会の分裂の舞台裏などと合わせて、岩上さんが詳しくうかがいます。

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 原記者でした。安倍政権の嘘とごまかしは、経済やTPP、安全保障だけでなく、彼らが最も成果と誇る「拉致被害者奪還」にも及んでいたのですね。ネトウヨもびっくりの、売国ぶりです。続いては、安倍政権下における不誠実な原子力行政の、その最たるもの、「東電の免責」について、山本愛穂記者から、お伝えします!

■原発事故を起こしても、電力会社には一定額以上の賠償責任を問われない法改正!?

 おはようございます。事務と記者の兼業の、この頃、事務所内にたまった書類整理に取り組んでいる山本愛穂です。

 今後、原発事故が起きた場合、電力会社の損害賠償責任に「上限」を設ける制度を導入する動きがあることを、みなさんはご存知でしょうか?

 昨日25日、衆議院議員会館で行われIWJも取材・中継した、日本弁護士連合会主催の院内学習会で、日弁連の原子力事故等対策本部の副部長を務める浅岡美穂弁護士らが指摘したのが、この「賠償責任有限化議論」です。

 「賠償責任有限化議論」――法律用語が並ぶとつい難しく考えてしまいますが、学習会で浅岡弁護士も言っていましたが、「話の内容は、いたってシンプル」。

 現在、「原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)」第3条に則り、原子力事業者は、原発事故に対する責任を無制限に負い、償う義務が定められています。一回の事故が、最悪の場合この国を破滅させる危険性を考えれば、その罪の重さ、また抑止のためにも、「無限責任」であるというのは当然ですよね。

 しかし2015年5月21日、原子力委員会の下に設置された原子力損害賠償制度専門部会で、ひっそりと「有限責任化」が議論されるようになりました。この重大な議論については、大きく報道されることがありませんでした。

 事故を起こしながら、被害者への賠償責任は一定以上は負わなくてもよい――こんなことが、許されていいのでしょうか。「賠償責任は無制限」と定められている現在でさえ、福島第一原発事故の被害者の方々には十分な救済がなされていません。賠償責任が有限化されれば、今後、重大な原発事故が発生したとしても、電力会社は多額の賠償金を合法的に免除されることになります。

 さらに、浅岡弁護士らは、「有限責任化」は原発事業におけるモラルハザードを引きおこす危険性があると指摘しています。つまり、原発事故を起こしても、高額の賠償責任を問われず、倒産の危険性にも直面することがないならばぬるま湯につかるようなもので、事業者が事故リスクを低く見積もる可能性があるということです。

 そうなれば、再度、原発が過酷事故を起こす可能性が高まるでしょう。本当に、恐ろしいことです。

 こうした法改正への道筋が整えられていくことに対して、私たちは何もできないのだろうかと、自らの無力さに絶望的な気持ちにすらなります。しかし、報告を行った海渡雄一弁護士は、力強くこう述べていました。

 「東電は情報を隠してきた。政府も検察もグルだ。日本の司法制度が、いかに脆弱かということです。でも、そんな中で不正や事実を明らかにしてきたもの、それは市民の力でした。だからこそ、東日本大震災後5年を迎える今、この問題について考えていく必要があるのです」――。

 今回の院内学習会では、賠償責任有限化の何が問題なのか?という基本的な説明から、モラルハザードの危険性について、原子力発電を有する他国との比較を通じて検証がなされました。

 私も中継現場に到着した直後は、法的専門性の高い配布資料にたじろぎましたが、学習会が始まってみると、弁護士の方々の説明が分かりやすく、1時間半がすぐに過ぎました。法律の知識には自信がない・・・という方にも、おすすめの学習会です。大変貴重な学習会の映像を、ぜひご覧いただければと思います!

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・2016/02/25 院内学習会「原子力事業者の賠償責任有限化議論をどうみるか」(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/288999
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 続いては、学生記者の城石エマより、とても重要なお知らせをさせていただきます!

■個性派揃いの「饗宴VI」!大好評をいただいているDVDは、もうお求めいただきましたか?『前夜増補改訂版』も合わせてお買い求めいただくことをおすすめします!

 おはようございます、IWJ学生記者の城石エマと申します!

 みなさん、「饗宴VI」のDVDはもう、お求めいただきましたか?「『国民』非常事態宣言!
露わになった『ナチスの手口』/国家緊急権を阻止せよ!」というおどろおどろしいタイトルにある通り、昨年の饗宴では自民党の「緊急事態条項」の怖さを、16名のパネラーと岩上さんが、なんとまる一日かけて議論しました!

 今日は、そんな16名のパネラーの方々の中でも、私が当日、特にお世話になった、中央大学名誉教授で会計学をご専門とする富岡幸雄先生からの「警鐘」と、当日のこぼれ話を少し、ほんのすこーしだけ、ご紹介します!(全部知りたい方は、ぜひ、DVDをお買い求めになってくださいね)

 多くのパネラーの方々が、それぞれのご専門の観点から安倍政権の改憲について検証と批判を展開されましたが、会計学がご専門の富岡先生は、化けの皮がはがれてきたアベノミクスの過ちについて、猛批判してくださいました。

 「アベノミクス」の失策については、最近の日刊ガイドの中でも、たびたびお伝えしてきました。

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・2月15日日刊IWJガイド
http://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/24166

・2月13日日刊IWJガイド
http://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/24145
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 そうした安倍政権の経済政策の失策を、いち早く指摘していたのが、富岡先生です。一昨年の12月には、岩上さんが富岡先生に直接インタビューもしています。こちらも必見ですので、ぜひ、この機会にチェックしてみてください!

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・2014/12/01 【大義なき解散総選挙16】「所得税と法人税の欠陥を直せば、消費税はなくてもよい」――『税金を払わない巨大企業』著者、富岡幸雄・中央大学名誉教授に岩上安身が聞く
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/210287
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 こちらのアーカイブは、サポート会員にご登録いただいた方のみ、全編をご視聴いただけます。この機会にぜひ、IWJのサポート会員にご登録ください!

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※IWJ定額会員へのご登録はこちらから
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php
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 アベノミクスの失策もここまで来たら、「明日にも自分の生活は破綻するのでは!?」と恐ろしくなりますが、こうした日本経済を救うべく、富岡先生はある提案をしています。「なるほど~」というその答えは、ぜひ、「饗宴VI」をご購入いただき、ご覧になってくださいね!

 ご購入はこちら!

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※『饗宴VI~国民非常事態宣言! 露わになった「ナチスの手口」/国家緊急権を阻止せよ!』
https://iwj.co.jp/ec/products/list.php?category_id=25
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 今年、御年91歳になられる富岡先生は、19歳のときに学徒動員を経験。饗宴にご登壇いただいた先生方の中で、唯一、兵隊として戦争に参加した経験をお持ちの方です。

 饗宴会場は、300人近くの方にお越しいただくためとても広くスケジュールもタイトだったため、「こんなハードなイベントにお付き合いさせてしまって、申し訳なかったのではないか…」と思ったりもしました(案の定、私の不手際が重なり、「こんなに歩かせるな!」とこっぴどく怒られもしました。申し訳ございません…)。

 ところが、舞台にご登壇された先生のかくしゃくたること!とても91歳とは思えない講演をしてくださいました。ときおり会場の笑いを誘いつつ、びしっと安倍政権を批判する富岡先生のご講演は、必見です!!

 ちなみに、『饗宴VI』をご覧になり、自民党本願の「ナチスの手口」の恐ろしさをお知りになった方は、ぜひ、『前夜・増補改訂版』もお読みになってください!こちらは、自民党改憲草案を逐一読み解き、その危険性をわかりやすく解説しています。これから『饗宴VI』のDVDをご購入される方は、こちらも合わせてご購入いただくと、日本で一番、自民党改憲草案の恐ろしさに詳しくなれます。

 7月の参院選まで、あと4カ月です!大急ぎでみなさんが詳しくなって、まわりの方に広めていただかないと、麻酔薬を打たれ憲法秩序が一挙に眠らされ、あんなことやこんなことを一方的に迫られてしまう「睡眠薬強盗(岩上さんの表現です)」のような改憲の悪だくみは止められません!

 ご購入はこちら!

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※【増補改訂版・岩上安身単独サイン入り】『前夜~日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』
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※【増補改訂版】『前夜~日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=169
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■「おおさか維新」足立康史議員が公聴会で公述人の郷原弁護士に対しあまりに酷い暴言!しかし問題は「お馬鹿議員一人の暴走」では済まない…

 佐々木です。安倍政権の憲法改正がいかに危険かは、国会でそれを盲目的に応援する議員たちの実態を見れば、明らかです。その筆頭が、「おおさか維新」の足立康史議員ではないでしょうか?

 一昨日、衆院予算委員会で行われた公聴会で、民主、維新両党が推薦して招いた郷原信郎弁護士が、甘利昭氏の「政治とカネ」の問題について触れ、「この問題が、大臣辞任だけでなんら真相解明されず、うやむやにされるとすれば、国会議員の政治活動への倫理観の弛緩(しかん)を招きかねない」として、甘利氏や秘書の証人喚問や参考人招致により事実解明を行うことが国会の責務だと主張しました。

 これに対し、「安倍政権に楯突く奴は許さない」という「義憤」にかられたのか、質問に立った足立議員は、「専門家ではなく政治屋だ。予算委の場で売名行為をしたことを批判する」などと暴言を放ったのです。

 政党に招かれて公聴会に出席した専門家に対し、「売名」などと言う暴言がいかに的外れで下品なものかは言うに及ばずですが、そもそも公聴会とは、公述人に議論をふっかけたり、批判をしたり、暴言を放ったりすることなどは、言語道断の場です。安倍政権を応援するためなら、そんな常識、良識、マナー、ルールなど破り捨てて良いと思ったのでしょうか?

 あまりにも幼稚で、暴力的、非常識な足立議員の行為に、さすがの与党も問題だと思ったのでしょう(そう思わなければ、それこそ問題です)。自民党の竹下亘委員長は郷原氏に謝罪することを決めました。

 この足立議員のあまりに酷い行為については、稿を改めて詳しく報じたいと思いますが、この足立議員の暴挙はしかし、一人の「お馬鹿議員の暴走」で済む話ではありません。彼のようなメンタリティの議員が、安倍政権の憲法改正を強力に(何も考えずに)推し進め、本気で、独裁国家化を構築しようとしているのですから、寒気を覚えます。

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■「テキストスタッフ」と「Webスタッフ」として一緒に働きませんか?

 再び、城石エマです。

 IWJでは記者を「テキストスタッフ」と呼んでいます。「スタッフ」と言うと気軽な感じですが、実は体力と精神力の求められるけっこうハードな仕事です。日刊IWJガイドや各種記事の執筆、実況ツイートや岩上さんインタビューのパワーポイント作成など、「なんでもやる」のがテキストスタッフです。

 もちろん、最初からなんでもできる「スキル」はなくても構いません。しかし、「なんでもできるようになるぞ!」という「気迫」は、テキストスタッフには欠かせない要素です。

 私はまだ大学生で、できる仕事もIWJの数ある仕事のうちのほんの一握りですが、「なんでもできるようになるぞ!」の気概で日々、学んでいるところです。

 記事の書き方、取材の仕方、渉外のやり方、ウェブの操作など、IWJでしか学べないことはたくさんあります。毎日、少しずつできることが増えるのは、本当に嬉しいー!

 打たれ強さに自信のある方、どんなに大変でも少しずつできることが増えるのは、とても楽しいことです。ぜひ、IWJのテキストスタッフにご応募ください!

 さらにIWJでは、ホームページの利便性を高めるために、現在「Web大改造プロジェクト」が進行中です!
今年の7月に向けて、IWJの記事アーカイブ検索を充実させるべく日夜奮闘中です。そこで、WebデザインはCSS言語の得意な方や、WordPressなどへ大量にデータ入力することに慣れている方で、IWJコンテンツに精通し、日々の記事コンテンツのアップロード・更新・管理作業もしていただく方も、大募集しています!

  記者、Webスタッフの応募条件はそれぞれ、スタッフ募集フォームをご参照ください!

※ スタッフ応募フォームはこちら!
http://bit.ly/1ALJypQ

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 最後に、IWJスタッフのなかでは、随一の読書家で、ヒマさえあれば、混迷の昭和初期時代に思いを馳せているという、平山茂樹記者より、「今日は何の日」のコーナーです!

■わとはぷ~What happened today?

 おはようございます。IWJでテキスト関連の業務を担当している平山と申します。

 本日は2月26日です。1936年のこの日、陸軍青年将校によるクーデター未遂事件である「二・二六事件」が発生しました。

 当時、大日本帝国陸軍内部では、東条英機らが率いていた主流派の「統制派」に対し、荒木貞夫、真崎甚三郎に率いられ、天皇親政による国家改造のために直接行動も辞さないとしていた「皇道派」と呼ばれるグループが存在していました。この「皇道派」の一部青年将校が、政財界の「腐敗」を除去し、天皇親政を目指して「昭和維新・尊王討伐」のスローガンのもと、蹶起。高橋是清大蔵相、斎藤実内大臣など、政府の要人が襲撃され、死亡しました。

 さらに、蹶起した青年将校は、陸軍省及び参謀本部、朝日新聞東京本社も襲撃。永田町、霞ヶ関、赤坂、三宅坂の一帯を占領しました。

 この事態を受け、政府は翌27日に戒厳令を施行。高橋是清、斎藤実といった信頼する大臣を失った昭和天皇は青年将校の蹶起に激怒し、反乱部隊を「賊軍」と呼んで早期の鎮圧を指示したと言われます。28日、戒厳司令部は武力鎮圧を命令し、陸軍が反乱軍を包囲しました。

 29日、「下士官兵に告ぐ。勅命が発せられたのである。既に天皇陛下のご命令が発せられたのである。軍旗に手向かふな」と記されたビラが反乱軍に対して撒かれ、昭和天皇の意志を知った青年将校らは投降。3日にわたったクーデターは終結しました。事件を主導した安藤輝三、磯部浅一、また将校らの思想的バックボーンとなった北一輝らが、「叛乱罪」で処刑されました。一方、「皇道派」のリーダーだった荒木貞夫と真崎甚三郎の2人は、事件は青年将校に主導されたものだったとして、軍法会議で無罪となっています。

 昭和史血痕を残すように刻まれたこのあまりに有名なクーデター事件を、ちょうど80年目を迎える今年、改めて私たちは思い起こしてみる必要があります。

 この日刊IWJガイドでは既にお伝えしていますが、自衛隊最高レベルの作戦計画策定に当たり、防衛省内で制服組自衛官を中心とする統合幕僚監部が、背広組防衛官僚が中心の内部部局(内局)に権限の大幅移譲を要求していることが分かりました。今のところ、背広組はこれを拒否しているといいます。共同通信が2月22日に第一報を伝え、その後、各紙も後追いで報じました。

※制服組自衛官が権限大幅移譲要求 防衛省、背広組は拒否(共同通信、2月22日【URL】http://bit.ly/1Umxe9u

※自衛隊の作戦計画策定 制服組が権限移譲を要求 防衛省、背広組は拒否(東京新聞、2月22日【URL】http://bit.ly/1XOddbT

 争点となっているのは、特定秘密に指定されているという「統合防衛及び軽微基本計画」。次の作戦計画策定の際、昨年4月に改定された日米新ガイドラインと、集団的自衛権行使容認にもとづく安全保障関連法の内容が初めて全面的に反映されることになります。

 仮に、作戦計画の策定が内局(背広組)から統幕側(制服組)に一元化されるようなことになれば、戦後日本社会の大前提である「文民統制」(シビリアンコントロール)を揺るがす事態になりかねません。

 この「静かなクーデター」ともいうべき事態に対して、安倍政権の「軍事国家化」路線をもろ手をあげて称え続ける産経新聞は、2015年3月20日付の「”歪んだシビコン”誤りをまき散らす防衛省設置法改正『批判勢力』」と題する記事の中で「自民党国防族の一人は『軍事は軍事の専門家に任せなければいけない』という」などと、唖然とするコメントを無批判に掲載していました。軍事を軍事の専門家にまかせたら、シビリアン・コントロールは完全に喪失します。銃から安全装置を外すようなものです。軍を制するべき政治家自らが、その役割を放棄する発言をしているのですから、何をか言わんやです。

 日本の「軍事国家化」に突き進む安倍政権の正体が、このようなところから明らかになってきています。こうした「軍事」への急速な傾斜や、「緊急事態条項」の創設など、現在の安倍政権は戦争遂行の準備を着々と進めているようにしか私には思えません。

 こうした動きを逐一チェックし、報じ続け、その当否を論じ続けていくのがメディアの使命だと思います。IWJでは、この問題を引き続きレポートしますので、どうぞご注目ください!