【献本御礼】横地徳広著『超越のエチカ――ハイデガー・世界戦争・レヴィナス』(ぷねうま舎)

 横地徳広様から『超越のエチカ』をご恵贈いただきました。

横地徳広著
『超越のエチカ』
ぷねうま舎、 2015.8.25

 アウシュヴィッツでのユダヤ人の大虐殺という「決して起きてはならなったこと」を現実の歴史の中に刻んでしまった後に、「なぜ人を殺してはならないのか」という、この根源的な問いに答えることは可能なのでしょうか? 本書は、ドイツの哲学者のマルティン・ハイデッガーと、その子どもたちと称されるユダヤ人哲学者のハンナ・アレント、そして、フランス人哲学者のエマニュエル・レヴィナスを通して、この根本的な倫理を語る根拠を探してゆきます。

 ナチス親衛隊の中佐アドルフ・オットー・アイヒマンは、ユダヤ人を虐殺場に強制移送する列車の運行を管理し、移送業務を仕切っていました。彼にはいかなる「責任」があったのかという問題について、アレントは哲学思考を行っていきます。

 「『悪は凡庸でありえた。このことが見過ごし得ない現象の一つとして、法廷でもひたすら事実的な水準において話題となる。……自分の昇進に役立ちうることであれば、何でもする熱心さが常軌を逸していたことのほかには、彼にはそもそも動機はなかった。こうした熱心さも、それ自体はまったく犯罪的ではなかった……俗な言い方をすれば、彼は、自分が本当にやったことを決して思い描きはしなかっただけである』(中略)アレントに恐れられたアイヒマンの凡庸さがよく示された場面である。自分が絶滅収容所や強制収容所への強制移送を仕切ったがゆえに、ユダヤ人は移送先で虐殺されたことを思い描く能力が、アイヒマンには欠けていた。アレントが『思考の欠如』と呼んだ事柄の一端である」(同書より引用)

 著者は1972年生まれ。専攻は倫理学・現象学。2007年に東北大学大学院文学研究科博士後期課程を修了し、現在は弘前大学人文学部准教授を務めています。本書は、2007年に東北大学文学研究科に提出した課程博士論文『超越の倫理――ハイデガーとレヴィナス』に、4章を加筆し修正を行っています。

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