【声明文#13】安倍政権の国会運営と「安全保障関連法案」の強行採決に反対する! 出版人の緊急アピール

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 「憲法と表現の自由を考える出版人懇談会」という会があります。当会は、2007年10月23日、言論・表現の自由および憲法の国民主権・平和主義の原則を守るために、学習、懇談の場をもち、ひろく出版関係者の意見交換などの活動をすすめる。また、必要に応じてアピールなどのとりくみを行う。という趣旨のもとで発足しました。以降、その時々の出版・言論・表現の自由に関わる課題について勉強会などを開催してきました。事務局員が中心になり、下記の共同よびかけ人のもとに活動をしております。

 この度、安倍政権の立憲主義を無視したクーデターとも呼ぶべき政治に反対し、緊急アピールを発しました。
よろしくお願いいたします。

<共同代表世話人> 岡本 厚(岩波書店)
菊地 泰博(現代書館)
清田 義昭(出版ニュース社)
嶋田 晋吾(イー・アイ・シー)
篠田 博之(創出版)
山 了吉(小学館)
吉田 仁(講談社)


<出版人の緊急アピール>
安倍政権の国会運営と「安全保障関連法案」の強行採決に反対する!

2015年8月17日

 安倍内閣は国会の会期を史上最長に延長して、「安全保障関連法案」を衆議院で強行採決し、何が何でも同法案を今国会で成立させようとしている。そもそも「日本国民の生命と平和な暮らしを守るため」に、アメリカとの軍事協力関係をさらに密にする必要があるのか。いたずらに中東や東アジアの危機を煽ることはかえって緊張関係や紛争を招くことになりかねない。

 日本国憲法は、第二次世界大戦の極めて苦い経験を経て誕生した人類の宝ともいえるものである。とりわけ憲法9条がノーベル平和賞の候補になったことをみても、軍事力に頼らない平和主義は、今全世界が学ぶべきものとして期待と注目されているものである。

 敗戦後の日本は「立憲主義の民主主義国家」として、70年間、戦闘で一発の銃弾も撃たず、“戦争で殺さず、殺されず’を守り抜いている。一時の首相や政治勢力の思惑で勝手な憲法解釈をして、「戦争をする国」に変えることは絶対に許されるものではない。今こそ真の「立憲主義」が問われており、その意味するところである「憲法によって時の政権の恣意的な権力行使を制限する思想や制度」(『大辞泉』より)を現実政治で再確認すべき時だといえよう。

 「安保法制」について歴代の内閣法制局長官や多くの憲法学者は、「日本国憲法に反する立法だ」との立場を明確にしている。にもかかわらず、多数で押し切る国会運営で強行採決へと突き進む姿勢は常軌を逸している。しかも「まだ国民の理解は進んでいない」ことを知りながらである。

 私たちは2014年の「特定秘密保護法」制定反対に続いて、「安全保障関連法案」をめぐる国会運営、強行採決に反対の意思を明らかにする。私たち出版人は、戦前の治安維持法下で起きた言論弾圧事件=横浜事件を記憶している。権力による言論統制で表現活動が規制され、報道や出版の自粛を強いられた過去がある。多数の獄死者を出し、抵抗をしながらも戦争を止められなかった。我々はその反省から戦後の出版活動を再開した。今、出版に携わる者として、言論・出版・表現活動の自由を保障する憲法を守り、立憲主義・民主主義と平和に繋がるすべてを否定する「安全保障関連法案」に反対するとともに、急速に広がる運動との連帯を心から訴えるものである。

以上


よびかけ出版人・賛同人
淺野純次(元東洋経済新報社社長) 今村正樹(偕成社社長) 岩崎弘明(岩崎書店社長) 内田剛弘(弁護士) 大竹永介(講談社顧問) 大谷充(出版労連中央執行委員長) 岡本厚(岩波書店社長) 菊地泰博(現代書館社長) 北村肇(『週刊金曜日』発行人) 清田義昭(出版ニュース社代表) 坂井京子(童心社会長) 篠田博之(月刊『創』編集長) 嶋田晋吾(EIC代表) 白井勝也(小学館最高顧問) 田島泰彦(上智大学教授) 中川進(大月書店社長) 元木昌彦(元講談社) 山了吉(出版倫理問題研究会) 吉田仁(講談社)

<連絡先:「憲法と表現の自由を考える出版人懇談会事務局 文京区湯島2-31-10-202>
Eメール:kenpoueighty21@yahoo.co.jp
 
※安保法制に反対する団体の声明文はこちら