【声明文#1】「東京大学人、緊急抗議集会」実行委員会

このエントリーをはてなブックマークに追加

 東京大学が戦争法案に反対するアピール出しました。

 『男はつらいよ』の寅さんだったらこう言うかもしれません、『なにい東京大学? てめえ、さしずめインテリだな』って。

 もちろん東京大学には閉鎖的なところもあるし、官僚や財界に人材を送りだしている責任はけっして少なくない。だけど、いま全国の大学で、地方議会で、まさに日本の津々浦々いたるところで、戦争法案に声を挙げる人たちが出てきている。東京大学にいる僕らだって、もうガマンならず声を出している。

 だから寅さん、全国の怒りの声を挙げている大学人のみなさんにこう言ってもらえませんか、『戦争反対? いいってことよ』って。

 安倍政権の立憲主義と平和主義の蹂躙に対してこう言ってもらえませんか、『安倍さん、それをいっちゃあおしめえよ』って。

 戦争法案に反対する・少なくとも違和感を感じる日本のすべての人へ思いを込めて、このアピールを捧ぐ。


趣意文
安倍政権による安全保障関連法案成立の動きに際して
「東京大学人、緊急抗議集会」実行委員会
呼びかけ趣意書

 戦後70年が経とうといういま、政府によって日本の国のかたちがおおきく変えられようとしている。日本はどのような道へ進むのか、われわれはその決定的な岐路に立っている。

 政府が今国会中にも成立させようとしている「平和安全法制整備法」および「国際平和支援法」は「切れ目のない」対応という名目のもと、戦争に対して日本がいかなる姿勢をとるのか、その致命的な変更をもたらすものである。われわれはこの法案に対し「安全保障関連法案の今国会での成立に反対する」という一点のもとに共同し行動することを、東京大学のあらゆる構成員に呼びかける。

 本法案の争点は多岐に及び、われわれは多くの疑問や危機感をいだいている。憲法改正の手続きを経ぬまま、従来確立されていた自衛隊の最も基礎的なあり方さえ一時の政府の憲法解釈変更と法案の強行採決によって変更する、これは明らかに立憲主義に反するのではないのか? 法案にあるような後方支援を拡大すれば、自衛隊が本格的な戦闘をおこなうことになるのではないか? すでに武力行使ではないなどとは言えないのではないか? この法案が通れば本当に日本はより安全に近づき国際的な平和にも貢献できるのか? 疑問は尽きない。国会の審議における政府答弁は政治的責任に応えたものではなく、様々な識者の意見によっても問題は積み重なるばかりである。われわれはこの法案に対して、抗議の声を上げずにはいられない。

 東京大学には、戦前、軍国主義の波に飲まれ、学問の自由を失い、多くの学徒を戦争に動員された痛苦の歴史がある。ふたたびその歴史を繰り返さぬために力を合わせ、平和と民主主義の破壊を止めることは、われらが先人への誓いであり、未来の世代への責任である。今こそ、自らの教育・研究を通じて「世界の平和と人類の福祉」に貢献するという決意(東京大学憲章・前文)を発揮し、全東大人の平和への意思を示すときではないだろうか。

 われわれは具体的な実施計画として次のことを提起する。

一)「安全保障法制の今国会での成立に反対する」の一点で結集する集会に向け、集会への参加の呼びかけとともに、その主張にたいする賛同・メッセージを、東京大学の学生、職員、教員、OBOGの各方面に募る。

二)集会において、各登壇者がスピーチをおこない、また募集したメッセージをもとに作成した集会アピールを採択に付す。

三)以上の結果を政府、国会議員、メディアに訴え、広範かつ有効な波及をねらう。 四)この度のたたかいは、今国会が9月下旬まで延長されることを考慮し、学生・研究者はその本分たる学業学問の両立も鑑みつつ、集会後も持続した行動をとることを確認する。

 いまこそ、われわれはどこから来て、どこへ向かうのか、その問いに向き合わなければならない。法案阻止を確信し、即座に行動を開始してゆきたい。

2015年6月29日
安保法案 東京大学人緊急抗議集会・アピール実行委員会

◇呼びかけ人(7月1日現在)

(理科Ⅰ類2年)
(法学部3年)
(理科Ⅰ類1年)
(法学部4年)
佐藤和宏(人文社会系研究科博士課程)
市野川容孝(総合文化研究科教授 社会学)
小森陽一(総合文化研究科教授 日本近代文学)
横山伊徳(史料編纂所教授)外5名

※安保法制に反対する団体の声明文はこちら