安全保障関連法案については、それが違憲であるという判断を多数の憲法学者が行っているという理由で今回は廃案にすべきだと考える。
学問とはすべからく社会的な存在である。多数の憲法学者から違憲判断が出ている(そして少数の政府に近しい学者のみが合憲判断をしている)状況においては、今回の法案は社会科学的に見て違憲だと考えている。にも関わらず、政治判断は政治家がするという現在の与党の姿勢は、すべての学問の否定もしくは科学(社会科学、自然科学を含む)の否定であると考える。
それはたとえるなら、医学会で否定された科学的根拠のない治療法を、(たとえばそれが企業に利益をもたらすという理由で)政治判断で推進するようなものだ。
私は個人的には安全保障についての何らかの「備え」は必要であると思っている(その備え自体が戦争を引き起こすこともありうるのだが)。そのために与党が法案を通そうとしている気持ちもわからないではない。与党も戦争をしたいと思っているわけではないのはわかっている。
しかしながら、今回の法案が成立するということは、それは学問の否定であり、憲法の否定である。この点において、今回の法案は一度廃案とし、あくまで憲法違反のないかたちでの「切れ目のない備え」としての法案を作るべき(もしくは賛成はしないが、憲法改正をすべき→それ自体は憲法違反ではないので)と考える。
(杉浦健)