【安保法案反対 特別寄稿 Vol.321】 我々がこれからどのような生活を送りたいのかが深く問われている 「安全保障関連法案に反対する学者の会」賛同者 獨協大学教授(言語学)安間一雄さん

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 多くの方が指摘しているように、根本的には選挙で国民の意思を反映させなければなりません。急進右翼政治の台頭には多くの国民がだまされたと感じているとしても、現実に自民党に票が入るのはその政策を支持する有権者がいるからです。原発を廃止し、蝋燭に火をともしてつましい生活をするのと、地球環境が多少悪化しようが国民が多少戦場で死のうが経済が潤って豊かな衣食住を享受できるのとでどちらの選択肢を選ぶでしょうか? 

 戦後日本人はアメリカ渡来の物質文明の恩恵に目が眩んでしまったようです。あるいは、この傾向は「近代化」そのものにあるのかもしれません。便利で清潔でリッチな生活…求めれば求めるほど電力が湯水のように消費されます。その結果、汚いエネルギー源の原発に頼るか、ホルムズ海峡経由の原油を当て込む…そうだ! エネルギー源は自分たちで守らなければ。かくして、辻褄が繋がっていなくても、経済優先の政党に支持が集まってしまいます。

 今回の事変から我々が考えなければならないのは、単に憲法問題や政権の正当性ではありません。我々がこれからどのような生活を送りたいのかが深く問われています。「ぜいたくは敵だ!」…戦時中のスローガンをまさかここで自分が口にしようとは思ってもみませんでした。

 夏は冷房があると快適に思うか? 家電や車や衣料品をまだ使えるのに買い換えてはいないか? 残飯を平気で捨ててはいないか? 好きな時に届けてくれる通販生活は、買物の手間が省けて楽か? …かくいう私もマンションは24時間換気で、腐らないように食洗機を時々回さなければなりません。

 今回多くの大学生・高校生が運動に参加してくれたのは、心強い限りです。有事法制も原発問題も教育問題もすべて根っこの部分で直接自分たちの生活に繋がっていることを、我々は次世代および後に続く全ての世代に責任を持っていることを、学生たちに明確に伝えて行きましょう。

安間一雄 獨協大学教授(言語学)

 
安倍政権の集団的自衛権にもとづく「安保法制」に反対するすべての人からのメッセージ