【声明文#22】弘前大学教員有志

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安保関連法案の法制化に反対します
弘前大学教員有志アピール

 今、国会で安保関連法案が成立しようとしています。法案が成立すれば、平和国家・日本の根幹が揺らぎかねません。

 今回の議論の手法は、あまりにも乱暴です。多くの国民が慎重に審議することを求めています。憲法学者の大多数だけでなく、複数の元内閣法制局長官ですら違憲であると指摘しています。そもそも、この法案がなぜ必要なのか、この法案が成立することによって自衛隊員や日本の人々が攻撃対象になりやすくなる可能性はないのかについて、十分かつ誠実な説明がなされたとは言えません。

 国会で多数の議席を占めていると言っても、主権者や専門家の声に耳を傾けず、野党の質問をはぐらかして誠実に説明しようとしない姿勢は、立憲主義や民主主義の精神とは相容れるものではありません。

 この法案が成立すれば、自衛隊の役割が大きく変わり、海外での自衛隊の活動範囲や活動内容が大幅に広がる可能性があります。国際関係が決して良好とは言えない東アジアでは対立があおられることも考えられますし、自衛隊が活動する地域でも日本に対する感情が悪化する可能性があります。この法案によって、日本の人々がかえって危険にさらされるおそれがあります。

 これまで長年積み重ねられてきた政府解釈に従えば、今回の法案は憲法9条に違反します。したがって、憲法改正の手続を経てもいないのにこの法案を成立させることは、許されません。私たちは、真理を探究し教育を担うものとしてこの法案を憂慮する多くの人々の声に耳を傾けるものであり、世論はこの法案に強い懸念を持っていることを感じています。平和だからこそ大学の研究や教育は成り立ちます。そのため、戦後日本が守ってきた専守防衛を逸脱させ、憲法9条に反するこの法案を撤回することを求めます。

2015年8月1日

呼びかけ人

石川隆二(農学生命科学部教授)
今田匡彦(教育学部教授)
河合正雄(人文学部講師)
木立るり子(保健学研究科教授)
高瀬雅弘(教育学部准教授)
永瀬範明(理工学研究科准教授)
長谷河亜希子(人文学部准教授)
羽渕一代(人文学部准教授)
平野潔(人文学部准教授)
深作拓郎(生涯学習教育研究センター講師)
宮﨑秀一(教育学部教授)
宮永崇史(理工学研究科教授)
 
※安保法制に反対する団体の声明文はこちら