【安保法制反対 特別寄稿 Vol.47】 非暴力不服従運動のすすめ 「安全保障関連法案に反対する学者の会」賛同者 帝京大学名誉教授・山下甫さん

このエントリーをはてなブックマークに追加

※7月22日、加筆しました。

 憲法に違反し国民を危険にさらす安保法制に断固反対!

 強行採決するなら、我々国民は「非暴力不服従運動」で対抗するしかない。具体的には、すべての業務を放棄して国会を包囲すること。

 「非暴力不服従運動」と言えば、かつてマハトマ・ガンディーが提唱し、イギリスの植民地支配に対して、インドの民衆がその抵抗手段として展開した。この運動が高まりをみせていたのは、半世紀以上前の話になるが、この「非暴力不服従運動」を今もなお実現させている国がある。

 あらゆる不当な権力に対して抵抗の意を示すこの方法を、ネパールでは『バンダ』と呼ぶ。バンダは日本語で「ゼネスト」と訳されているが、全国的に実施されるネパールバンダの日には、軍・警察を除くすべての事業が活動停止するという、国民的大衆行動だ。商店街では、食料品をはじめひとつ残らず店が閉まり、公共交通機関を含む自動車・バイクのすべてが姿を消して、普段渋滞するはずの道路が子どもたちの遊び場に変わる。すべての学校も会社も休みになるという徹底ぶりだ。

 つまり、バンダが決行されると、国家の経済活動のほぼすべてがストップし、麻痺状態に陥る。このため民衆の生活も不便になるが、目的が明確なら誰も不満を言わないばかりか、スト破り的行為をする者には制裁を加えることもある。

 人口3000万人にも満たない小国ネパールでは、2006年、絶対王政に反対する10万人もの人々が王宮を取り囲み、バンダ、デモを行った。この国民的大運動が非常に大きな影響をもたらし、2008年、240年続いた王政が廃止され、ネパールは連邦共和制に移行した。これは、国民が自らの力で王政を打倒するとともに、国民主権を勝ち取った「革命」であると言える。国家権力に対して、これ以上、効果的な抵抗の力を示せる行動は、世界に類を見ないだろう。

 日本では、ここまでの大行動に発展させるのは難しいだろうが、もはやネパールに倣うしか、道はないかもしれない。署名運動やデモだけでは効果に限度があり、フランスでも有効な抵抗行動はストライキだとされている。我々も憲法と平和を守る実力行使に踏み切る時ではなかろうか。

帝京大学名誉教授 山下甫
(※ シャプラニール、日本ネパール会に所属。「安全保障関連法案に反対する学者の会」 、「NGO非戦ネット」に加入。「安全保障関連法案に反対する学者の会」の呼びかけに賛同署名。89歳とご高齢のため、ツイッター、フェイスブックなどの寄稿にて、反対運動を行なっている。)

 
安倍政権の集団的自衛権にもとづく「安保法制」に反対するすべての人からのメッセージ