【安保法案反対 特別寄稿 Vol.354】 “壊憲クーデター”を許すな―“開戦直前”のファシズムに抗して 「安全保障関連法案に反対する学者の会」賛同者 鹿児島大学教員(平和学)木村朗さん

 いまの日本は「新しい戦前」「開戦前夜」といっても過言ではない戦後最大の危機に直面しています。安倍政権の暴走は、2013年12月の特定秘密保護法の制定と日本版NSA(国家安全保障会議)の設置、2014年7月の集団的自衛権行使を容認する閣議決定に続き、今年5月の安倍首相訪米での日米ガイドライン再改定合意と5月14日の「戦争法案」である安保法案の閣議決定、7月15日・16日、衆議院特別委員会、衆議院本会議での立て続けの強行採決などなど、止まることを知らない勢いです。そして、「60日ルール」を前提に会期を9月27日まで大幅に延長して何としてでも今国会で安保法案を成立させる構えです。

 この安保法案は、これまで大多数の憲法学者や歴代の内閣法制局長官、元最高裁判事が指摘しているように内容的にも手続き的にも違憲(立法)であることは明らかです。衆議院の憲法審査会で安保法案の違憲性を明言した小林節慶大名誉教授が「憲法を無視した政治を行おうとする以上、独裁の始まりだ」と安倍政権を糾弾しているように、いま私たちの目の前で生じている動きはまさに憲法や国会の存在、主権者国民の意思をまったく無視した事実上の壊憲クーデター、選挙を通じた数の暴力による「委任独裁」「立憲独裁」です。2013年7月に麻生太郎副総理が「(改憲をうまくやるためには)ナチスの手口に学ばねば」と言ったことの意味があらためて想起されます。いまの日本は「従米ファシズム」への道、すなわちアメリカへの従属を深めつつ、本格的なファシズム国家になりつつあるといって過言ではないと思います。

 安保法案の成立を目指す政治勢力は、日本が米国の属国・奴隷国家であることを露呈させました。砂川判決を集団的自衛権合憲の根拠としていることがそのことを物語っています。また、戦争法案の成立を前提に新ガイドライン(日米軍事協力の指針)を実施するための詳細な計画を自衛隊統合幕僚監部が進めていることが明らかになっています。日本はもはや民主主義(法治主義)国家でも、独立した主権国家でもありません。そのことを証明しているのが、9月27日までに何が何でも安保法案を成立させようとする国会での数の力を背景としたあまりにも強引な議事運営であり、沖縄での民意をまったく無視した普天間基地問題をめぐる辺野古新基地建設の強行です。

 安倍政権はいったい日本をどこに向かわせようとしているのでしょうか。安倍首相が目指しているのは、「新しい富国強兵策」(浜矩子氏の言葉)による列強への仲間入り、すなわち「戦争に強い国家」に他なりません。安倍首相らが口にする「この道しかない」は戦前日本が経験した「いつか来た道」であり、再び日本を破滅の淵に追いやる悲惨な結果を生むことは、火を見るより明らかです。

 しかし、私たちはこうした企みをみすみすと許すことは絶対にできません。沖縄では、「沖縄を再び戦場にするな! これ以上の沖縄差別は許さない!」をスローガンに辺野古新基地建設阻止闘争に多くの人々が立ち上がっています。

 私たちは決して少数派ではありません。実際に、消費税増税や原発再稼働、TPP参加にも、そしてもちろん「戦争法案」や改憲の動きに対しても過半数以上の圧倒的多くの人々が反対しています。また、心ある多くの自衛隊員やその家族の方々も、自衛隊を米軍の補完部隊・傭兵として差し出す「戦争法案」に反対していることも忘れてはなりません。

 いま現在、「もうこれ以上は黙っておけない!」と若者や子どもを持つ母親など多くの人々が立ち上がっています。特に、日本の自由民主主義の伝統を守るために、従来の政治的枠組みを越えたリベラル勢力の結集を求めて立ち上がったSEALDs(「自由と民主主義のための学生緊急行動」)の活動は多くの市民に大きな勇気を与えています。政権支持率の急速な低下にも示されているように、自民党と連立を組んで「戦争法案」を推進する公明党に対して、支持母体である創価学会からも平和を求める心ある会員たちが抗議の声を上げ反旗を翻すという新しい動きも出て来ています。

 いまからでも決して遅くはありません。実際に追い詰められているのは私たちではなく、抗議の声を上げはじめた怒れる民衆の力におびえる安倍政権です。いまこそ私たち一人一人が立憲主義と三権分立を否定して暴走する安倍政権に心の底から怒りの声をぶつけるときです。私たちは沖縄の人々と連帯して、あくまでも反対の意思表示をして「戦争法案」を廃案にし、日本を平和国家から戦争国家へと根本的に作り変えようとしている安倍ファショ政権の退陣を実現させなければなりません。

 皆さん、戦争法案の廃案・撤回を実現するまで最後まで諦めずに声を上げていきましょう! ストップ戦争法! ありがとうございました。

(「ストップ戦争法!大集会のスピーチ(2015年8月23日、中央公園)」でのスピーチより)

木村朗 鹿児島大学教員(平和学)

 
安倍政権の集団的自衛権にもとづく「安保法制」に反対するすべての人からのメッセージ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です