【安保法案反対 特別寄稿 Vol.348】 戦後の日本国憲法とは 「安全保障関連法案に反対する学者の会」賛同者 筒井純子さん

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<憲法前文>

 未来の子どもたちのために、諸国との平和な協力関係をしっかり作り、自由のありがたさが国のすみずみまで確実に行き渡って国民の人権が保障されるようにし、国によって戦争という惨い災いを再び引き起こさせないようにすることを決意した。日本国民は、これらを実現するために、国の政治の在り方を決める力が国民にあることを宣言して、この憲法を作った。

 そもそも国の政治は、国民が代弁者にそれぞれの思いを託して行われるものである。そのため、それは国民を源(みなもと)とするものであり、その権力は政治に携わる人々が国民の代弁者として行使するものであり、そこからもたらされる幸福や利益は国民が受けるものでなければならない。この民主主義の考え方は人類すべてに通用するものであり、この憲法も、この考えに基づく。私たちは、この考え方に反するあらゆる法を憲法を含めて一切認めない。

 日本国民は、平和がいつまでも続くことを強く願い、隣人愛や信頼関係、平和的な共存関係のような人間同士の関係を支配する気高い理想がいかに大切かを十分に心に刻んだ。このことから私たちは、自分たちの安全と命を守る手段を武力に求めるのではなく、平和を愛する諸国の人々の公正さと約束を守る態度を信じることに求めることを決意した。

 今や世界は、平和を維持し、国内では国民を奴隷のように扱う専制政治を、また国際社会では他国への圧迫と利己的な国家主義を、それぞれ地上から永遠になくそうと努力している。私たちも、さきの決意を実現していくことにより国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う。

 そう考えて私たちは武力を放棄したが、世界各国がこれにならうようになれば、世界中の人々が、紛争や暴力などの恐怖から逃れ、貧困や飢えなどの欠乏から逃れることができる。私たちは、世界すべての人々がそのような平和な環境の中で生きてく権力をもつことを確認する。

 世界各国は、「自分の国さえよければ他の国はどうなってもいい」という利己的な国家主義に陥ってはならない。お互いが協力しあうルールこそが、世界のすべての国と人とを拘束するものである。他国に対して自国の独立性を主張し、対等な関係に立とうとする各国は、このルールに従う責務があると信じる。

 日本国民は、国の名誉にかけて、この全文に記した気高い理想と目的を全力で達成することを誓う。

【感想】
 この日本国憲法の前文に、大切なことはすべて含まれている。日本は、「私たちは、自分たちの安全と命を守る手段を武力に求めるのではなく、平和を愛する諸国の人々の公正さと約束を守る態度を信じることに求めることを決意した」とあるように、何があっても武力に頼ることなく、過去を深く反省し、諸国との平和協力によってルールを守り、自立した世界唯一の原爆被曝国日本として、世界に通用する倫理を示さなければならない。

 安倍晋三首相の目指す政治は、明らかに憲法違反であることは、この日本国憲法前文がすべて否定している。

筒井 純子

 
安倍政権の集団的自衛権にもとづく「安保法制」に反対するすべての人からのメッセージ