【安保法案反対 特別寄稿 Vol.306】 安倍首相をフランコ将軍にしてはならない 「安全保障関連法案に反対する学者の会」賛同者 龍谷大学経済学部専任講師(スペイン現代史)安田圭史さん

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 安倍政権が昨年の特定秘密保護法に続き、現在安保関連法案の審議の過程で、マスコミに情報を流すのをためらっているのは非常に気になります。衆議院での法案審議がテレビ中継されないこともありましたが、これは政権側に何か後ろめたいことがあるからではないでしょうか。

 私は、スペインの20世紀の歴史研究を専門としていますが、スペインにはフランコ将軍という独裁者が1939年から75年までの36年間、国を支配しました。この間、フランコ政権は出版業界や放送業界において厳しい検閲を実施し、テレビ局も国営放送のみしか認めませんでした。36年もの長い間、スペイン国民は画一化された少量の情報しか得られず、スペインはその間、他国に比べて政治的にも文化的にも非常に停滞しました。

 またフランコ政権は、政権に抵抗する人々に徹底した弾圧を行い、拷問などで数多くの人々を殺害しました。その事実は、最近まで決して公にされることはありませんでした。

 安倍政権が国民に十分に情報を与えず、安保関連法案を力ずくで可決しようとしている様は、フランコ独裁政権の手法とよく似ています。日本も今のままでは、当時のスペインのようになってしまうのではと危惧しています。そうならないために国民が様々な情報を問題なく入手でき、政権を厳しく監視できる社会が続くよう努力しなければなりません。

安田圭史 龍谷大学経済学部専任講師 (スペイン現代史)

 
安倍政権の集団的自衛権にもとづく「安保法制」に反対するすべての人からのメッセージ