私の専攻は、ドイツ現代政治と平和研究です。かつてナチスが独裁政権を打ち立てた「全権委任法」は、「政府が議決した法律は憲法に違反できる」と定めていました。現在の安倍政権の軍事化政策は、「閣議決定は憲法に違反できる」とばかり、まさに一昨年麻生副首相が述べたように、「ナチスの手口」を地で行くものです。
また、平和研究においては、戦争・テロといった直接的暴力の克服を目指す「消極的平和」、飢餓・貧困・差別・搾取といった構造的暴力と、それらを肯定・容認する文化的暴力の克服を目指す「積極的平和」という概念があります。言うまでもなく、安倍首相が唱える、軍事一辺倒の「積極的平和主義」は、私たちの学問的営為を冷笑・冒涜するものです。「戦争は平和である」と言わんばかりの現政権の反知性主義は、この国を破滅に向かわせるものであり、私は「安保法案」の廃案を強く求めます。
(木戸衛一 安保法案の廃案を求める大阪大学人の会)