【安保法制反対 特別寄稿 Vol.218】 憲法を越えた日米軍事同盟は日本破壊の道 「安全保障関連法案に反対する学者の会」賛同者 明治学院大学名誉教授(言語論)・工藤進さん

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 私は「安全保障関連法案」に反対する。

 昭和 59年4月から 60年6月にかけ、アメリカとの安保条約を締結した安倍晋三の祖父、岸首相に反対するデモにわれわれ学生の多くは参加した。「安保」は締結され、その10年後この条約は見直しされず、決定的なものとなって現在に至っている。これまでの内閣はこの条約に直接関係する憲法第九条を必ず気にかけ、最小限、立憲主義の立場をとってきた。ところが現・安倍首相は、憲法学者の大多数が違憲とするこの法案を、法学部を出ながら立憲主義の何たるかを学んで来なかった不出来な補佐官(礒崎某)に立案させ、衆議院を通過させた。日本はトンデモナイ国になりつつある、というのが実感である。

 軍事同盟はつねに危険である。世界平和を名目にしても、他国との軍事協力は、かならず戦争に巻き込まれる。英国との同盟は、結局、ヨーロッパを中心とした第1次大戦に巻き込まれた。ムッソリーニ・イタリアとヒットラー・ドイツとの同盟は、太平洋戦争における日本壊滅の一つの太い導火線となった。世界で始終戦争をしているアメリカとの、憲法を越えた軍事同盟により、日本は「アメリカの戦争」に確実に巻き込まれることになる。

 2003年にはじまったイラク戦争は現在の世界紛争の直近の元になっている。この明らかに不正な戦争に日本は参加協力した。日本は太平洋戦争の総括を自分の手で成し遂げることができなかった。このイラク、アフガン戦争協力の総括(政府の責任追及)もされていない現在、アメリカとの同盟関係の強化は、川内原発再稼働とは違った次元で、日本破滅の道であると私は思う。

 私が反対するのは「安全保障関連法案」だけではない。安倍内閣が昨年制定した「秘密保護法案」、「原発再稼働」方針、大学での「文科系学科の縮小」方針、どれ一つ取っても、将来、国の大きな禍根となるものばかりだ。文科系学科の縮小はもってのほかだ。文・理の区別は究極的に存在しないのが現代の学問・科学の現実である。むしろ、技術的に狭くなり過ぎた理系学科に、文科系の幅広い観点をもたらすべきである。

 学生団体「シールズ(SEALDs)」は、私がこれまで勤めて来た大学の学生が中心となって生まれた。全国の「シールズ(SEALDs)」賛同者に大いに頑張って欲しい。

明治学院大学名誉教授 工藤進(言語論)

安倍政権の集団的自衛権にもとづく「安保法制」に反対するすべての人からのメッセージ