安倍政権に不満を抱く有権者の投票先は?〜野党共闘するも、受け皿になり得ず
選挙戦3日目となった12月4日、大手新聞社は一斉に、自民優勢を伝えた。朝日新聞社は2日と3日、約6万人の有権者を対象に電話調査を実施。朝刊で、「自民300議席超える勢い」という見出しを打った。
現時点では①自民は単独で300議席を超える勢いで、公明とあわせて定数の3分の2(317議席)を上回る可能性がある②民主は公示前の62議席から上積みするものの、伸び悩み、100議席には届かない公算が大きい③維新は公示前の42議席から後退、次世代も公示前の19議席から1ケタになりそう④共産は公示前の8議席から倍近く増える見通し――であることが分かった。(朝日新聞 12月4日 自民300議席超える勢い 衆院選・序盤情勢調査)
読売、東京、日経、時事についても、見出しは横並びだ。
- 東京新聞(12月4日)自民 過半数から大幅増も 衆院選序盤情勢
- 読売新聞(12月3日)自公、300議席超す勢い…衆院選序盤情勢
- 時事通信(12月4日)自民、緩み警戒=民維、伸び悩みに危機感(以上、サイト削除)
- 日経新聞(12月3日)自民、300議席うかがう 衆院選序盤情勢
しかし、安倍首相は同日、自身のFacebookで「油断したら負ける」とコメントを投稿し、全国の候補者に釘を刺した形。応援演説に手を緩める気配はなく、連日の応援で、安倍首相と官房長官がそろって官邸を留守にするなど、異例の態勢が続いているという。
歴代政権では、選挙期間中も官房長官は官邸にとどまるのが慣例だった。菅氏も昨年の参院選では、官邸で定例の記者会見をこなした後や休日に遊説を行っていた。だが、今回は、定例の記者会見も参院議員の世耕弘成官房副長官に代行させ、各地を飛び回っている。政府内からは「官邸の『ツートップ』が不在では、災害などの初動対応に思わぬ遅れが生じる恐れがある」(外務省幹部)との懸念も出ている。
- 読売新聞(12月4日)官邸「ツートップ」異例の不在…応援飛び回る
まだ投票態度を明らかにしていない有権者も3割〜4割以上。情勢が変わる可能性もあるが、自民優勢の動向について、生活の党小沢一郎党首は4日、日本外国特派員協会の記者会見で、次のようにコメントしている。
「自民党に代わり、政権担当ができる受け皿を作れば、野党の統一体を選んだと思う。残念ながら今回はできなかったので、報道されるようなことに当然の結果としてなるんだろうと思う。各党で個別に戦う以外にないという現状なので、それを大幅に打開する状況はなかなか難しい」
内閣不支持率47.3%から一週間、一転、自民党圧勝の気配も!?
しかし、思い返せば、11月末に共同通信社が実施した有権者の支持動向によれば、内閣不支持率は47.3%だった。支持率43.6%を上回り、安倍政権に対する国民の不満がうかがえた。また、「望ましい選挙結果については」という問いに対しては、「与野党伯仲」が53.0%と過半数超え。多くの国民は、一強多弱の国政運営を好んでいないことが伝えられた。
それから1週間も経たないうちに、「300議席超え」の見出しが踊った選挙戦3日目。安倍政権と拮抗する勢力になれていない、野党の共闘態勢の乏しさが明確になったといえる。(東京新聞 11月29日 内閣不支持が逆転、共同世論調査 比例自民28%、民主10%)
公明党・山口代表、軽減税率「8%」具体的な政策訴えへ
他には、軽減税率導入に重点を置いて支持を訴えてきた、公明党の山口那津男代表が4日、初めて「8%」という具体的な数字を示した。聞こえはいいが、具体的な内容が見えないと、他党から指摘を受けていたからだ。
公明党の山口那津男代表は4日、BSフジの番組で、生活必需品の消費税率を抑える軽減税率について「現実に8%で機能しているので一つの基準になる」と述べ、税率になるとの認識を示した。同氏が具体的な税率に言及したのは初めて。
自民、公明両党は2017年4月に消費税率を10%に引き上げる際、軽減税率を同時に導入することを検討している。山口氏は、対象品目の線引きや税率は「税収との相関関係で、総合的な検討が必要だ」と述べた。
酒と外食を除くすべての飲食料品を軽減税率の対象にし、税率を8%にした場合、財務省の試算では9800億円の税収減になる。(毎日新聞 12月5日 <軽減税率>「8%が基準」…公明代表、対象は検討課題)
選挙戦序盤とは言え、今回の選挙は短期戦だ。残り10日間しかない。自民優勢のまま、安倍政治に信任を与えていいのか。この風向きを変えるには、安倍政権にNOを突きつけてきた個人が、最後まで「選挙へ行こう」と呼びかけるしかない。今後もIWJでは選挙戦を可能な限り可視化していきますので、引き続き、ご覧ください。
議席予測そのままに選挙当日を迎える可能性があります。
争点は山盛りで、増税、集団的自衛権、TPP、原発再稼動については、聞かれたら反対だけど、現政権でもいい、「そこまで深く考えない」と判断停止してしまう、それはその実、矛盾ですから、このままでもいいという結果になりかねません。
安倍賛新聞は、そうした曖昧さにある「参画の種子」をうまく摘み取りますね。
来年以降、野党は「与党の戦略失敗・代替案なし」を争点に、自浄力のない与党に代わる準備をして、今回の選挙の敗北しても、解党しないことをめざすほうが賢明と思います。