7月31日に投開票が行われた東京都知事選挙では、野党統一候補の鳥越俊太郎氏が、小池百合子氏に約160万票の差を付けられて破れました。このことから、民進党内では、「野党共闘」という枠組みを見直す議論が活発化しています。
昨日8月5日、民進党代表選への立候補を正式に表明した蓮舫参議院議員は、記者会見で「政策の違う政党とは、政権を担うことはできない」と述べ、共産党を含めた「野党共闘」に対して消極的な味方を示しました。
※2016/08/05 民進党 蓮舫代表代行 代表選出馬に関する記者会見
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/323530
民進党代表選には、他にも「野党共闘」に消極的な党内保守系の前原誠司衆議院議員や長島昭久衆議院議員らが出馬を模索していることから、新しい民進党代表のもとで、共産党を含めた「野党共闘」の枠組みは解消されてしまう公算が大きくなっています。
しかし、衆参両院で自民・公明・おおさか維新・日本のこころら「改憲勢力」が3分の2議席を占めてしまった今、野党は今こそ「憲法改正反対」の旗印のもと、一致結束した共闘態勢を築くべきではないでしょうか。野党が足並みを揃えて世論を喚起しなければ、あっという間に、改憲の発議、そして国民投票へと持ち込まれ、あの危険な自民党憲法改正草案が現実のものとなってしまいます。
このように目前に迫った改憲の危機に際し、IWJでは「みんなで語る『改憲への危機感』〜Talk about Democracy and Constitution」と題して、市民の皆様からの寄稿を募集し、IWJのウェブサイトに掲載することにいたしました。「Talk about Democracy and Constitution」という副題には、上段がご紹介した”TALK ABOUT DEMOCRACY”Tシャツとのコラボレーションという意味合いも込められています。
※【特集】「国民投票」で自民党改憲草案が現実に!? みんなで語る「改憲への危機感」Talk about Democracy and Constitution~寄稿文特別掲載!
http://iwj.co.jp/wj/open/consti-msg
本日は、投稿者である小川晶子さん(日本語教師)の「緊急事態条項と日本の現状に抗うために」と題した寄稿を紹介させていただきたいと思います。
「緊急事態条項には『前夜』を拝読したときから、『戒厳令』という言葉とともに恐ろしさを感じていました。重大な『緊急事態条項』を含む『改憲』を、選挙戦ではあえて隠してきた現政権の卑劣さには、言葉がありません。
『緊急事態』を国が宣言したときには、『何人も法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体、及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公的機関の指示に従わなければならない』とあります。
これは、一見国が私たち国民を守ってくれるかのような錯覚を覚えますが、騙されてはいけないのだと思います。この宣言により、人権も自由も極端に制限され、体制側に都合の悪い人間は逮捕され、まさにナチス・ドイツがワイマール憲法下の『緊急事態宣言』を利用し行った行為が日本でも起こります。
そして、『緊急事態』が続く間は、『衆議院は解散されない』とあります。独裁政権であってもそれがずっと続くというのです。それは、憲法に乗っ取っていても事実上の『無法状態』と言えるのではないでしょうか」
※みんなで語る「改憲への危機感」寄稿文 Vol.32 緊急事態条項と日本の現状に抗うために 日本語教師 小川晶子さん
http://iwj.co.jp/wj/open/consti-msg/1-032
小川さんがご指摘されているように、自民党憲法改正草案第98・99条に明記されている「緊急事態条項」は「戒厳令」に他なりません。「緊急事態宣言」が一度発令されてしまえば、現行の憲法秩序が一時停止され、権力者が好きなように振る舞うことができるようになってしまいます。まさに、「万能のジョーカー」であると言うことができるでしょう。
小川さんは、『前夜~日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』をお読みいただいたとのこと(ありがとうございます!)。岩上さんと梓澤和幸弁護士、澤藤統一郎弁護士の3人が、鼎談形式で現行の日本国憲法と自民党憲法改正草案を逐条で読み解いた『前夜』は、全国の書店やAmazonをはじめとしたネットショップの他、IWJのウェブサイトでもご購入いただけますので、この機会にぜひ、お買い求めください!
※【増補改訂版・岩上安身サイン入り】『前夜 日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=171
お寄せいただく原稿は、短いメッセージでも、例えば短歌や川柳のようなものでも、どのような形式でも構いません。下記のフォームより受け付けていますので、「改憲への危機感」について、皆様の思いをどしどしお寄せください!
※投稿フォームはこちらから
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