日刊IWJガイド・共通版「本日で6月も終わりIWJの今期第13期も残り1ヶ月! 累積不足額を少しでも減らせるよう、緊急のご支援をよろしくお願いいたします!!」2023.6.30号~No.3942号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~本日で6月も終わり、IWJの今期第13期も残り1ヶ月です! 6月は28日までの28日間で、106件、196万4000円のご寄付をいただきました。ありがとうございます! これは、月間目標額390万円の約50%にあたります。月間目標額の達成にはあと50%、193万6000円が必要になります。6月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成したいと思います! また累積の不足額を少しでも減らしたいと願っています! ちなみに8月から5月まで10ヶ月間の累積の不足額は、1868万2900円となりました! 6月末のラスト1日、緊急のご支援・ご寄付・カンパを、どうぞよろしくお願いいたします!!

■【中継番組表】

■【本日のニュースの16連撃! 第1弾! Tass、27日】6月27日の早朝、ベラルーシのルカシェンコ大統領、プリゴジン氏がベラルーシに到着したと明らかに!

■【本日のニュースの16連撃! 第2弾! NHK、27日】プリゴジン氏、テレグラムでモスクワへの進軍の目的を「ワグネルの解体を阻止し、特別軍事作戦で、甚大な数の過ちを犯した者たちに、責任を負わせること」「政権転覆を目的には掲げていなかった」と弁明、ベラルーシのルカシェンコ大統領が「ワグネルが合法的に活動するための解決法を模索しようと申し出てくれた」と明らかに!

■【本日のニュースの16連撃! 第3弾! RT、27日】「モスクワへの進軍を続ければ、虫けらのように潰されるだろう」ベラルーシのルカシェンコ大統領がプリゴジン氏との交渉内容を明らかに! ベラルーシへのワグネル受け入れと安全も保証!

■【本日のニュースの16連撃! 第4弾! ロイター、27日】ワグネル受け入れで「戦争経験を学びたい」とルカシェンコ大統領が受け入れの「動機」を表明!

■【本日のニュースの16連撃! 第5弾! スプートニク日本、27日】ルカシェンコ大統領、「ベラルーシでは『ワグネル』の兵員募集は行われない。また、ベラルーシでの核兵器の保管にワグネルは関与しない」と表明!

■【本日のニュースの16連撃! 第6弾! RT、27日】プーチン大統領、「民間軍事会社」のワグネル戦闘員への賃金として、国が年間862億6000万ルーブル(約1500億円)支払っていたと明らかに!

■【本日のニュースの16連撃! 第7弾! ニューヨーク・タイムズ、28日】ベラルーシの首都ミンスクから200キロの軍事施設にワグネルの拠点を設営か!? 近くに移転した部隊は、核搭載可能なイスカンデル・ミサイルをベラルーシで唯一保有!

■【本日のニュースの16連撃! 第8弾! ニューヨーク・タイムズ、27日】『ニューヨーク・タイムズ』、米政府当局者が「スロヴィキン軍事作戦副司令官がプリゴジン氏の反乱に賛同していた」と明らかにしたと報じるも、クレムリンは「憶測の一つ」と一蹴!

■【本日のニュースの16連撃! 第9弾! モスクワ・タイムズ、28日】ロシアの非政府系メディア『モスクワ・タイムズ』は「スロヴィキン氏が逮捕された」と報道!『朝日新聞』がこれをそのまま報じるが、『モスクワ・タイムズ』は、「プリゴジンの乱」が起きた当初、プーチンが飛行機でサンクトペテルブルクへ逃亡したと捏造の「前科」が!!

■【本日のニュースの16連撃! 第10弾! RT、27日】ワグネル武装解除が始まる! ロシア国防省、ワグネルからの重火器引き渡し計画を確認と発表!

■【本日のニュースの16連撃! 第11弾! ロイター、27日ほか】『ロイター』は、米国政府と一体になって、アフリカでのワグネル=悪党、資金源を断つのは当然という図式で報道! しかし、アフリカ諸国は「プリゴジンの乱」に動揺もせず、「ベートーヴェンやモーツァルト」も受け入れる!

■【本日のニュースの16連撃! 第12弾! SPUTONIK日本、27日】プーチン大統領がワグネル反乱未遂について演説!「ワグネルグループの戦闘員や指揮官の圧倒的大多数もまた、ロシアの愛国者であり、国民と国家に忠誠を誓っている」!

■【本日のニュースの16連撃! 第13弾! SPUTONIK日本、27日】プーチン大統領が国防省、国家親衛隊、内務省などの部隊に演説!「人々や軍、国民は反乱者の側には立たなかった」!「武装反乱時に特殊軍事作戦地域の部隊を呼び戻すことはなかった」!

■【本日のニュースの16連撃! 第14弾! ウォール・ストリート・ジャーナル日本、28日】「西側当局者」は、プリゴジン氏は当初、ショイグ国防相らが南部を訪問した際に拘束する計画だったが、ロシア連邦保安局が事前に情報を把握したため、武装蜂起を前倒ししたと分析!

■【本日のニュースの16連撃! 第15弾! 産経新聞、29日】ベラルーシのルカシェンコ大統領、自国に配備した戦術核の発射の権限は自国にあると主張! ロシアはロシアに権限があると主張し対立!? ワグネル調停で成功し、ルカシェンコ大統領、強気になったか!?

■【本日のニュースの16連撃! 第16弾! ロイター、28日】ルカシェンコ大統領、プーチン大統領は一時プリゴジン氏「抹殺」を企図していたと暴露!

■<IWJ取材報告>この現代における諸矛盾の一番犯罪的なものは何か?「『政治を変えないといけない』というアバウトなことではなく『政治家を変えないといけない』」と足立正生監督!!~6.16映画『REVOLUTION+1』上映後の足立正生監督トーク
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■はじめに~本日で6月も終わり、IWJの今期第13期も残り1ヶ月です! 6月は28日までの28日間で、106件、196万4000円のご寄付をいただきました。ありがとうございます! これは、月間目標額390万円の約50%にあたります。月間目標額の達成にはあと50%、193万6000円が必要になります。6月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成したいと思います! また累積の不足額を少しでも減らしたいと願っています! ちなみに8月から5月まで10ヶ月間の累積の不足額は、1868万2900円となりました! 6月末のラスト1日、緊急のご支援・ご寄付・カンパを、どうぞよろしくお願いいたします!!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 6月も本日で終わり。昨年8月1日から始まったIWJの第13期も、明日からいよいよ最後の1ヶ月となります。

 厳しい経済状況の中、ご寄付をお寄せくださっている皆さま、誠にありがとうございます!

 6月は28日までの28日間で、106件、196万4000円のご寄付をいただきました。ありがとうございます! これは、月間目標額390万円の約50%にあたります。そして、月間目標額の達成にはあと約50%、193万6000円が必要になります。

 ぜひ、皆さま、今月6月こそは、まずは月間目標額を達成できますよう、本日、6月末のラスト1日、どうぞ緊急のご支援をお願いいたします!

 また、今期第13期5月末までの累積の不足額は、1868万2900円となりました。この累積の不足額を少しでも削れるように、引き続き、どうぞご支援をお願いします!

 また、現状の会員数をお知らせします。

 5月末時点での会員総数は2648人(前年同日比:1113人減)でした。会員の方々の会費と、ご寄付が、IWJの運営の二本柱です。ご寄付も、連日お伝えしているように、目標額を下回っていますが、会員数も会費も減少しています。

 経営は本当に赤字が連続し、厳しい運営状況が続いています。

 どうぞ、皆さま、IWJを知人・ご友人、地域の皆さまへIWJの存在をお知らせいただき、独立系メディアの意義と、米国に忖度する日本政府、大手主要メディアの「情報操作」の恐ろしさについて、広めてください。

 IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、IWJにつなぎ融資をいたしました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けて、まだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。近いうちに、また私がIWJにつなぎ融資をしなければならない見込みですが、本当に貯金が底を尽きます。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、会費も減少し、ご寄付までもが急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。

 ウクライナ紛争に続き、「台湾有事」を口実とする米国の「代理戦争」が、東アジアで画策されている今、私、岩上安身とIWJは、破滅的な戦争を回避すべく、また、ウクライナ紛争報道で明らかになった、偏向マスメディアの不誠実な「情報操作」に代わるべく、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるよう走り続けたいと存じます。

 その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために、今後も全力で頑張ってゆきたいと思います。

 日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として立つべきです。同時に、エネルギーと食料の自給ができず、資源をもつ他の国々からの海上輸送に頼らなければならない、孤立した「島国」であるという「宿命」を決して忘れず、国外にそもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?

 皆さまにはぜひ、マスメディアが真実を伝えない、こうした問題について、IWJが追及を続けてゆくために、どうか、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

 下記のURLから会員登録いただけます。ぜひ、会員登録していただいてご購読・ご視聴お願いいたします。

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 ぜひとも、サポート会員様におかれましては、会員をそのままご継続いただき、一般会員様におかれましては、サポート会員へのアップグレードをお願いします!

 また、無料で日刊IWJガイド非会員版を読み、ハイライト動画を御覧になっている無料サポーターの皆さまにおかれましては、有料の一般会員登録をぜひともお願いいたします。

 また、休会中の皆さまは、メールやお電話をいただければ、すぐに会員を再開できます。一度退会された方でも、改めて申し込みをいただくことで再び会員になっていただくことが可能です。

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※以下は、IWJの活動へのご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします。

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

 IWJホームページからも、お振り込みいただけます。

※ご寄付・カンパのお願い
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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

 岩上安身

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◆中継番組表◆

**2023.6.30 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】11:30頃~「林芳正 外務大臣 定例会見」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 林芳正 外務大臣 定例記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた外務大臣関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E5%A4%96%E5%8B%99%E5%A4%A7%E8%87%A3
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【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_areach5

 「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee

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◆中継番組表◆

**2023.7.1 Sat.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】13:45頃~「改悪入管法の廃止と入管の収容・送還停止、在留特別許可を求めるデモ(品川駅→入管)」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 「収容ではなく安心安全な暮らしを」呼びかけのデモを中継します。これまでIWJが報じてきた入管法関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%85%a5%e7%ae%a1%e6%b3%95

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■【本日のニュースの16連撃! 第1弾! Tass、27日】6月27日の早朝、ベラルーシのルカシェンコ大統領、プリゴジン氏がベラルーシに到着したと明らかに!

 27日付けロシア『タス』は、ベラルーシのルカシェンコ大統領が、ワグネル創設者のプリゴジン氏について、この日ベラルーシに到着したことを確認したと明らかにした上で、「安全の保証は提供されている」と語ったと報じました。

※Лукашенко подтвердил приезд Пригожина в Белоруссию(Tass、2023年6月27日)
https://tass.ru/mezhdunarodnaya-panorama/18131079

★私兵であるワグネルを率いてモスクワへ進軍し、その後、進軍をやめてから45時間もの間、消息不明となり、世界中の耳目をひきつけたプリゴジン氏が、ベラルーシへ到着した時には、泥酔状態でした。

 アルコール中毒は、ロシア圏(ウクライナも含めて)における、不治の社会病理のようなものです。かつて、ソ連を崩壊させ、民主ロシアの大統領となり、「時の人」となったエリツィン大統領も、しばしば公の席に酔っ払って登場し、顰蹙を買いました。

 長い間、権力の席にあり、人目にさらされていながら、酔っ払って醜態をさらしたことが、これまでにほとんどない、プーチンという人は、ロシアでは例外的に「生真面目」で隙を見せない人物なのでしょう。好き嫌い、評価する、しないとは、もちろんまた別の話です。(IWJ)

■【本日のニュースの16連撃! 第2弾! NHK、27日】プリゴジン氏、テレグラムでモスクワへの進軍の目的を「ワグネルの解体を阻止し、特別軍事作戦で、甚大な数の過ちを犯した者たちに、責任を負わせること」「政権転覆を目的には掲げていなかった」と弁明、ベラルーシのルカシェンコ大統領が「ワグネルが合法的に活動するための解決法を模索しようと申し出てくれた」と明らかに!

 27日付け『NHK』は、ワグネル創設者のプリゴジン氏が、26日夜にクーデター未遂終結後はじめて、テレグラムチャンネルに投稿した音声メッセージの全文日本語訳を報じています。

 プリゴジン氏は「陰謀と軽率な決定により、この部隊は2023年7月1日に解体されることになっていた」とした上で、「国防省との契約に同意する者はいなかった」と述べる一方、「国防省に入ると決めた戦闘員はすでに移ったが、その数はほんの僅か、1、2%だ」とも語っています。

 プリゴジン氏は、ワグネル閉鎖に伴い「6月30日に車列を組んでロストフへ向かい、特別軍事作戦の司令部の近くで、公衆の面前で(ワグネルの)兵器を引き渡す」という決定をしたが、「私たちはミサイル攻撃を受け、その直後にヘリコプターが飛んできた。ワグネルの戦闘員およそ30人が死亡し、けがをした者もいた」と表明。これに対して「私たちは決して攻撃するつもりはないが、もし攻撃されたら、私たちをせん滅しようとする試みだとみなし、対抗措置をとる」という声明を出したとのこと。

 また、モスクワへの進軍については、「地上では1人の兵士も殺されることはなかった」が、「航空機を攻撃せざるを得なかったことは残念に思う」と述べ、「ワグネルの戦闘員のうち、数人が負傷し、みずからの意思で(ワグネルに)加わった国防省の軍人2人が死亡した」とも語っています。

 プリゴジン氏は、モスクワへの進軍の目的を「ワグネルの解体を阻止し、自らの専門性に欠ける行動により特別軍事作戦で、甚大な数の過ちを犯した者たちに、責任を負わせること」だったと表明。モスクワまで200キロの地点で方向転換を決定したのは、「ロシア人の血を流したくなかった」ことと「抗議のデモのためで、政権転覆の意図はなかった」からだと語っています。

 プリゴジン氏によると、この時、「ルカシェンコが手を差し伸べ、今後、ワグネルが合法的に活動するための解決法を模索しようと申し出てくれた」とのこと。

 プリゴジン氏は、「特別軍事作戦が始まった2022年2月24日に、ワグネルのように訓練され士気が高く、任務遂行に向けた覚悟が整っている部隊が活動していたなら、特別軍事作戦はおそらく24時間で終わっていただろう」と述べ、ワグネルの進軍に対して、沿道の住民が「ロシアの国旗と、ワグネルのエンブレムや旗を持って歓迎してくれた」「多くの人が、いまだに支援のメッセージを送ってくれるし、私たちが止まったことに落胆した人たちもいる」と語り、「政権転覆を目的には掲げていなかった」と強調しています。

※【音声メッセージ全文】プリゴジン氏は何を語ったのか(NHK、2023年6月27日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230627/k10014110611000.html

★「政権転覆の意図はなかった」と繰り返しても、どうしても後出しジャンケンの感がぬぐえません。それならば、モスクワへの進軍を始める前、または始めた際に、「この進軍は抗議のデモンストレーションであり、政権転覆の意図はない」と宣言してから、行動に移すべきでした。「政権転覆の意図はなかった」と、行動後に、過去形で語っても、時すでに遅し、です。

 行動してから、状況を見て、ロシア軍内部から、同調する味方が出てくれば、一気に政権を覆そうとしていたのではないか、との疑念は、今後も晴れることはないでしょう。

 逆にウクライナや西側諸国の中には、「プリゴジンの乱」によって、ロシア内部での亀裂が露わになることを期待した向きが多数いたはず、と思われます。そうした人々は、今回の事件の顛末に大いに落胆していることだと思われます。

 プリゴジン氏がロシア軍幹部への不平不満を口にしだした時に、ひそかにプーチン政権の土台が割れて分裂する、という夢想を抱いて、その願望を膨らませたメディアや識者らは、少なくなかったと思います。

 彼らは「プリゴジンの乱」の勃発に、願望が一気に成就すると色めき立ち、その1日後、ロシア軍の中で、誰もプリゴジンの呼びかけに呼応する者がいなかったことを知って、落胆するだけでなく、「ロシアはいずれ、分裂、自壊、自滅する」という、自らが繰り返してきた「信条」を、改める必要があると感じたのかどうか、それが気になります。ものの見方の基底部に、現実をありのまま見ない、偏向のフィルターをさしはさみ続けていることに気づくよい機会なのですが。(IWJ)

■【本日のニュースの16連撃! 第3弾! RT、27日】「モスクワへの進軍を続ければ、虫けらのように潰されるだろう」ベラルーシのルカシェンコ大統領がプリゴジン氏との交渉内容を明らかに! ベラルーシへのワグネル受け入れと安全も保証!

 27日付けロシア『RT』は、ベラルーシのルカシェンコ大統領が27日の会見で、ロシアで反乱を起こしたプリゴジン氏と直接仲介交渉を行った際の内容を詳しく語ったと報じています。

 『RT』の記事によると、プーチン大統領は、プリゴジン氏が誰とも話すことを拒否していると語ったにも関わらず、ルカシェンコ氏はプリゴジン氏との接触に成功したとのこと。

 また、ルカシェンコ大統領は、「最初30分はプリゴジン氏が興奮状態にあり、会話のほとんどが罵りだった」とした上で、プリゴジン氏が単に正義を求めて、ロシアのショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長の排除を求めていると主張したことに対し、このままモスクワへの進軍を続ければ「虫けらのように潰されるだろう」と警告したとのことです。

 この『RT』の記事によると、ルカシェンコ大統領は、プリゴジン氏に「必要に応じてモスクワを守るために、軍事旅団を派遣する準備ができている」と警告したとのことで、『RT』は、騒乱がロシアからベラルーシに波及する可能性も懸念していたと、ルカシェンコ大統領が明らかにしたと報じています。

 また、ルカシェンコ大統領は、仲介を受け入れたプリゴジン氏に対し、ロシア連邦保安庁(FSB)にワグネルを攻撃しないよう連絡し、ベラルーシでのワグネルの受け入れと、安全を保証したとのことです。

※Lukashenko details talks with Putin and mediation that ended mutiny(RT、2023年6月27日)
https://www.rt.com/russia/578810-lukashenko-details-talks-putin-mutiny/

★ルカシェンコ大統領相手に、30分も罵りを続けたというプリゴジン氏は、おそらくこの時点ですでに酔っ払っていたのだろうと思われます。進軍も、泥酔状態での決断でしょう。それでも、「虫けらのように潰される」ぞと、自分達を待ち受けているロシア軍との圧倒的な力の差を、ルカシェンコ大統領に突きつけられた時には、一瞬、酔いがさめたのでしょうか。

 それにしても、もともと、アウトローで、これだけの酔っ払った状態にあるプリゴジン氏を、よく説得できたものです。ルカシェンコ大統領という人物について、スポットライトが当たることはこれまでもほとんどありませんでしたが、どのような人物なのか、今後、大きな鍵を握る人物として、注目を集めそうです。(IWJ)

■【本日のニュースの16連撃! 第4弾! ロイター、27日】ワグネル受け入れで「戦争経験を学びたい」とルカシェンコ大統領が受け入れの「動機」を表明!

 前述のルカシェンコ大統領の27日の会見内容について、27日付け『ロイター』は、国営ベルタ通信を引用して、ルカシェンコ大統領が「ワグネルの指揮官がベラルーシに来れば学べることは多いとし、ワグネルから戦争経験を学びたいと述べた」と報じました。

※ベラルーシ、ワグネルから戦争経験学ぶ=ルカシェンコ大統領(ロイター、2023年6月27日)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-lukashenko-wagner-idJPKBN2YD160

★ルカシェンコ大統領は、「窮鳥懐に入る」とばかりに、プリゴジン氏を「温かく」迎え入れたり、このように謙虚に、腰低く、「ワグネルの経験を学びたい」などとお世辞を言えるあたりも、ただ者ではない、「寝業師」的な老獪さを感じさせます。ますます要注目です。

 もちろん、プリゴジン氏という面倒くさい人物と、ワグネルを引き受けたのは、情けばかりではないでしょう。プーチン大統領にも、プリゴジン氏らにも恩を売ることができた上、もし、プリゴジン氏が言うことを従順に聞いて、ウクライナとの間の国境線を守り、実戦でも役立つようであれば、もうけものです。そのくらいの打算は働いたことでしょう。

 あとは、プリゴジン氏に支払う報酬の問題です。プリゴジン氏がロシア軍幹部に不満を抱いた原因は、弾薬が送られてくるのが遅い、などという話でしたが、弾薬は確実に届いており、そんなことだけが理由ではないはずです。彼も立派な「オリガルヒ」なのですから、金の問題がからんでいて、不満を抱いたのではないかという疑いが、当然浮上するはずです。

 こんなあわただしい状況の中で、ベラルーシに「亡命」してきたのですから、当然、カネの面まで、条件をつめた話はできていないでしょう。プリゴジン氏が酔いからさめたあと、本格的に交渉に入ることになると思います。

 国軍ではなく、民間軍事会社は、民間企業なのですから、売り上げ、利益第一で、当然のはずです。民間軍事会社は、米国が先行して使いましたが、支払い金額を含めた条件次第では、どちらに転ぶことになるかわからない、危うさを秘めていることが、このたびの反乱で、明らかになった気がします。(IWJ)

■【本日のニュースの16連撃! 第5弾! スプートニク日本、27日】ルカシェンコ大統領、「ベラルーシでは『ワグネル』の兵員募集は行われない。また、ベラルーシでの核兵器の保管にワグネルは関与しない」と表明!

 ロシア『スプートニク』の日本語版は27日、前述のルカシェンコ大統領の会見での発言概要を、以下のように、箇条書きで報じました。

 「・我々の世代は強さを試されてきた。我々の土地にはだかるどんな脅威よりも我々は強くあらねばならない。西側からまた脅威がくる。

・ベラルーシは技術的に、西側の脅威に対抗する能力がある。

・ベラルーシの反体制派は、ロシアの出来事を背景に自らの武装反乱のシナリオを実行しようとしたが、『フライング』が起こった。

・30年間戦争を準備してきたと私を非難する声もあるが、我々が今、平和な空の下で暮らせているのはそのおかげだ。

・ベラルーシの国境警備隊は、毎日のように北大西洋条約機構(NATO)諸国との国境で挑発的行為を確認している。

・ベラルーシでは『ワグネル』の兵員募集は行われない。また、ベラルーシでの核兵器の保管にワグネルは関与しない。

・ルカシェンコ大統領は『ワグネル』代表のベラルーシ入りを確認した。

・『ワグネル』代表は25日のルカシェンコ大統領との交渉で、当初の要求項目を取り下げており、ショイグ露国防相の退陣も求めない。

・私の立場は『ロシアが崩壊すれば我々はばらばらになり、死に絶えてしまう』というものだ」

※戦闘準備を整えるよう軍に命令していた=ベラルーシ大統領(スプートニク日本、2023年6月27日)
https://sputniknews.jp/20230627/16382895.html

★西側諸国にほとんど知られていない、「ベラルーシの国境警備隊は、毎日のように北大西洋条約機構(NATO)諸国との国境で挑発的行為を確認している」という点が目を引きます。

 また、それと関連して、「ロシアが崩壊すれば我々はばらばらになり、死に絶えてしまう」は、ルカシェンコ大統領の本音と思えます。その洞察は正しいのではないでしょうか。

 ベラルーシは、ウクライナと同様、ソ連時代の核保有国としての国際的な地位を継承していません。核保有国としての地位を継承したのは、ロシアだけです。ロシアと寄り添っている兄弟国、という以外に、ベラルーシには、核戦力を最終兵器とした強大な軍事力もなく、経済大国でもなく、ロシアのような資源超大国でもありません。ロシア経済に依存しつつ、政治面も、経済面でも社会主義体制を今なお維持しており、財政は常に破綻寸前の綱渡りが続いている国でもあります。

 ロシアが軍事的に倒されたら、ベラルーシの現体制はひとたまりもなく、倒されるでしょう。ルカシェンコ大統領の30年に及ぶ独裁体制は終わり、名目だけの「民主主義」とセットで押し入ってくる西側の資本に国富を盗まれ、暴力と不正で富をかき集めるならず者のオリガルヒ(新興財閥)が再登場するという悪夢が待ち受けています。(IWJ)

■【本日のニュースの16連撃! 第6弾! RT、27日】プーチン大統領、「民間軍事会社」のワグネル戦闘員への賃金として、国が年間862億6000万ルーブル(約1500億円)支払っていたと明らかに!

 27日付けロシア『RT』は、この日、クレムリンで行われたプーチン大統領とロシア国軍司令官との会合で、プーチン大統領が「民間軍事会社」のワグネルについて、「国家の支援に全面的に依存していた」と明らかにした、と報じました。

 『RT』の記事によると、プーチン大統領は「ワグネルの戦闘機は国防省と国家予算によって供給されている」と語ったとのことで、「2022年5月から2023年5月にかけて、ロシア当局がワグネル戦闘員の賃金と報奨金として、862億6000万ルーブル(10億4000万ドル/約1500億円)を支給したと明らかにした」と、『RT』は報じています。

 この『RT』の記事によると、プリゴジン氏はその一方で、軍に食料品を供給するケータリング会社のオーナーとして、年間800億ルーブル(9億6000万ドル/約1390億円)を国から受け取った」と、プーチン大統領が語ったとのことです。

 この『RT』の記事は、プーチン大統領が「これら(契約)を履行する間に、誰も何も盗まないことを願っています。当局は間違いなく、それを徹底的に調べるだろう」と語ったと報じています。

※Wagner Group was fully funded by Russia – Putin(RT、2023年6月27日)
https://www.rt.com/russia/578797-wagner-fully-funded-russia-putin/

★プリゴジン氏が、「男気」だけで、手下を連れて、激戦地に赴き、ウクライナ軍と死闘を戦ったわけではないことが、このロシアの国家予算からの報酬の大きさを見ればわかります。兵士を調達して戦わせるだけではなく、軍内部で食料の供給を行うケータリングサービスまで請け負って、懐はかなり潤ったのではないでしょうか。

 海千山千の「商売人」としてのプリゴジンの素顔が、浮かび上がってきます。『RT』の記事の最後のくだり、プーチン大統領が「契約を履行する間に誰も何も盗まないことを願っています」という言葉は、プリゴジン氏が、本来、彼に入るべき以上の金額を懐に入れたり、彼のもとで兵士を束ね、実質的に動かす司令官達が兵士への報酬を横領する可能性があると警告しているのかもしれません。それともベラルーシへ行ってしまったことで、ベラルーシにおいて金を途中で盗まれる可能性がある、ということなのか、今のところは不明ですが、どれもありうることではあります。(IWJ)

■【本日のニュースの16連撃! 第7弾! ニューヨーク・タイムズ、28日】ベラルーシの首都ミンスクから200キロの軍事施設にワグネルの拠点を設営か!? 近くに移転した部隊は、核搭載可能なイスカンデル・ミサイルをベラルーシで唯一保有!

 28日付け『ニューヨーク・タイムズ』は、民間企業「プラネットラボ」がベラルーシで撮影した衛星画像で、ベラルーシの首都ミンスクから約130マイル(約209キロ)にある、アシポヴィチ近郊の軍事施設内の約8エーカー(約3万2000平方メートル)の広場に、「大きなテントのような仮設物と思われるものが少なくとも6列並べられている」とした上で、ワグネルの戦闘員たちの滞在場所の可能性があると報じました。

 この『ニューヨーク・タイムズ』の記事によると、「ロシアの独立系報道機関『ヴェルストカ』は26日、ワグネル戦闘員の収容場所として、アシポヴィチを初めて報じた」とのことで、「ルカシェンコ大統領が27日の声明で、ワグネル戦闘員の収容場所について述べた詳細とも一致している」とのことです。

※Satellite images show rapid construction at a deserted military base in Belarus. Is it Wagner’s new home?(The New York Times、2023年6月28日)
https://www.nytimes.com/2023/06/28/world/europe/belarus-military-base-wagner-photos.html

★この『ニューヨーク・タイムズ』の記事は、以前この軍事施設を使用していて、2018年にアシポヴィチ近くの別の場所に移転した旅団は、ベラルーシで唯一イスカンデル・ミサイルを保有する部隊だと報じています。イスカンデルは通常弾頭と核弾頭の両方が搭載可能なことから、この記事は、「ベラルーシでの核兵器の保管にワグネルは関与しない」と表明したルカシェンコ大統領の発表に対し、ワグネルの駐屯地とベラルーシの核ミサイル基地の距離が近いことを指摘して、ワグネルが核に関与しないというのは疑わしいとほのめかしているようにも読めます。(IWJ)

■【本日のニュースの16連撃! 第8弾! ニューヨーク・タイムズ、27日】『ニューヨーク・タイムズ』、米政府当局者が「スロヴィキン軍事作戦副司令官がプリゴジン氏の反乱に賛同していた」と明らかにしたと報じるも、クレムリンは「憶測の一つ」と一蹴!

 27日付け『ニューヨーク・タイムズ』は、ロシアの航空宇宙軍総司令官で、昨年11月から今年1月までウクライナへの特別軍事作戦の総司令官を務めたセルゲイ・スロヴィキン上級大将が、プリゴジン氏の反乱に賛同していたことを、米情報局から情報を受けた米当局者らが明らかにした、と報じました。

 ただし、『ニューヨーク・タイムズ』は、28日、この記事に対して、クレムリンのペスコフ報道官が、「ロシア軍も国民も、全員がプーチン氏を中心に団結した」と述べ、「さまざまな憶測の一つだ」と否定したことも報じています。

 この『ニューヨーク・タイムズ』の記事は、米当局者が、「プリゴジン氏は反乱を実行するのに十分な武器とロシア軍内部からの賛同があると信じていたに違いない」との見方を示したと報じていますが、「スロヴィキン氏がプリゴジン氏を積極的に支援したかどうかは明らかではない」とも語っているとのことです。

※Russian General Knew About Mercenary Chief’s Rebellion Plans, U.S. Officials Say(The New York Times、2023年6月27日)
https://www.nytimes.com/2023/06/27/us/politics/russian-general-prigozhin-rebellion.html

★煮え切らない記事です。スロヴィキン氏がプリゴジン氏と通じていて、同調しようとしていたか、それも曖昧なまま書かれているので、どこまでが事実なのか、評価のしようがありません。現実には、「プリゴジンの乱」の際、呼応して同調し、表立って行動した、ロシア軍の部隊や指揮官は1人もいませんでした。

 それでも、「プリゴジンの乱」が、実はロシア軍内部にひそかに同調者を生み出しており、これから先、プーチン政権に対して、反乱や裏切りが起こりうると、期待や願望を代弁しているかのようにも感じられます。(IWJ)

■【本日のニュースの16連撃! 第9弾! モスクワ・タイムズ、28日】ロシアの非政府系メディア『モスクワ・タイムズ』は「スロヴィキン氏が逮捕された」と報道!『朝日新聞』がこれをそのまま報じるが、『モスクワ・タイムズ』は、「プリゴジンの乱」が起きた当初、プーチンが飛行機でサンクトペテルブルクへ逃亡したと捏造の「前科」が!!

 ロシアの非政府系メディア『モスクワ・タイムズ』は、28日、「匿名のロシア国防省に近い2人の情報筋」の話として、スロヴィキン氏が逮捕されたと報じました。

 『モスクワ・タイムズ』の記事は、スロヴィキン氏が公の場に姿を現していないと指摘し、「ロシア国防省はスロヴィキン氏の逮捕容疑について、まだコメントしていない」と報じています。

 記事によると、2人の情報筋のうちひとりは、「彼(スロヴィキン氏)の状況は『大丈夫』ではなかった」と語り、もうひとりは「どうやら彼(スロヴィキン)は、蜂起の際にプリゴジン側を選んだようだが、窮地に追い込まれた」と語ったとのことです。

※Russian General Arrested Following Wagner Mutiny – MT Russian(The Moscow Times、2023年6月28日)
https://www.themoscowtimes.com/2023/06/28/russian-general-arrested-following-wagner-mutiny-mt-russian-a81685

★スロヴィキン氏に関する一連の報道の時系列を整理しておくと、『ニューヨーク・タイムズ』が27日、米当局者の情報として、「スロヴィキン氏が、プリゴジン氏の反乱に賛同していた」と報じ、クレムリンが即座にこれを否定。

 一方、28日に『モスクワ・タイムズ』がロシア国防省に近い人物の情報として、スロヴィキン氏が逮捕されたと報じました。

 この『モスクワ・タイムズ』の報道は、『朝日新聞』をはじめ、日本の多くのメディアが、そのまま取り上げています。

*副司令官逮捕めぐり乱れ飛ぶ臆測 ワグネル反乱、不透明「決着」で(朝日新聞、2023年6月29日)
https://digital.asahi.com/articles/ASR6Y6HGVR6YUHBI02Y.html

 しかし、『モスクワ・タイムズ』は、ワグネルのクーデターの際、「プーチンがサンクトペテルブルクへ逃亡した」と誤報を出しています。直近のこの誤報で、信頼性が地に落ちたのに、『朝日新聞』はなぜ、また、検証することもなく、『モスクワ・タイムズ』の記事をピックアップするのでしょうか!? モスクワ支局もあるのですから、裏取りくらいはできたはずですし、裏が取れなかったら、取れないで、せめてその事実も含めて、まだまだ真偽不明な「飛ばし情報」の可能性もあると、読者に断りをいれるべきではないでしょうか。

 『朝日新聞』のブランドを、まだなお信じていて、ハイクオリティーだと思っているファンの人が、最近はこのような手ぬかりな報道姿勢で記事を出し、見出しをつけているとわかってしまうと、落胆もひとしおだと思うのですが、どうでしょうか?

 『ニューヨーク・タイムズ』は、スロヴィキン氏がプリゴジン氏の反乱を事前に知っていたと報じていますが、事前に知っていたのが彼だけとは限りません。

 プリゴジン氏は不穏な発言を昨年のうちからしていたので、軍も情報機関も用心してマークしていたはずです。ウクライナ軍と内通していたことも、早い時期から把握していた可能性は高いと思います。

 ロシア側が事前に備えていたのは、まず間違いありません。

 この乱の結果、ウクライナと内通していたプリゴジンとワグネルを、スムーズに外科的処置で、取り除けたことは、ロシア軍にとってはプラスでした。

 乱が起きるのを待って、一連の対処をした、とも考えられます。世界中の一般の人々は、不意をつかれて驚かされましたが、ロシア政府が、プリゴジン氏を、泳がせていた可能性は否定できません。(IWJ)

■【本日のニュースの16連撃! 第10弾! RT、27日】ワグネル武装解除が始まる! ロシア国防省、ワグネルからの重火器引き渡し計画を確認と発表!

 27日付けロシア『RT』は、「ロシア国防省は、ワグネルから国軍への重火器の引き渡しの準備計画を確認したことを発表したが、それ以上の詳細は明らかにしなかった」と報じました。

 この『RT』の記事によると、「ワグネルは現在、戦車、対空システム、攻撃機など、正規軍と同じ兵器を多数保有している」とのこと。

 また、この記事は、プリゴジン氏の反乱が「無血」ではなく、「ワグネル兵士らが数機のロシア軍機を撃墜し、車列がM4高速道路を転がり落ちた。これらの損失の詳細は依然として不明瞭だが、ウラジーミル・プーチン大統領は月曜日の国民向けの演説で軍パイロットの死亡を認めた。プリゴジン氏が、殺害された軍人の家族に補償金を支払うと申し出たという、未確認の主張もある」と報じています。

※Wagner to hand over heavy weapons – Russian MOD(RT、2023年6月27日)
https://www.rt.com/russia/578783-wagner-troops-weapons-handover/

★「プリゴジンの乱」において、死者が出ているならば、裁判にかけるべきである、というのが一貫してIWJとして主張しているところです。無罪放免にすべきではないし、暗殺という手段を取るべきでもない。ロシアは「法の支配」がまだまだ弱い国であることは事実です。しかし、だからこそ、西側のメディアは、センセーショナルに「暗殺か!?」「プーチン政権の終わりか!?」とはやし立てるだけではなく、あるべき姿を具体的に説くべきではないでしょうか。

■【本日のニュースの16連撃! 第11弾! ロイター、27日ほか】『ロイター』は、米国政府と一体になって、アフリカでのワグネル=悪党、資金源を断つのは当然という図式で報道! しかし、アフリカ諸国は「プリゴジンの乱」に動揺もせず、「ベートーヴェンやモーツァルト」も受け入れる!

 米国務省のミラー報道官は27日、ロシアの民間軍事会社ワグネルの責任を追及する措置を週内にも発表する見通しと述べました。ただ、週末にロシアで起きた武装蜂起に関してではなく、アフリカでのワグネルによるこれまでの活動に絡むものと説明しました。

 米政府は27日、ロシアの民間軍事会社ワグネルと創設者エフゲニー・プリゴジン氏に関連する企業4社と個人1人に制裁を課しました。

 米財務省のウェブサイトに掲載された文書によると、制裁対象とされた企業のうち2社は中央アフリカ共和国の鉱山会社。残りの2社は卸売会社で、1社はアラブ首長国連邦(UAE)、もう1社はロシアの企業としています。

 不正な金取引が、ウクライナやアフリカの一部諸国で、ワグネルが武装勢力を維持し拡大する資金源になっていると指摘しました。

 ネルソン財務次官(テロ・金融情報担当)は声明で「ワグネルは中央アフリカ共和国やマリなどの国々で天然資源を搾取し、残忍な活動の資金に充てている」とし、「ウクライナやアフリカ諸国などにおけるワグネルの拡大と暴力を衰退させるため、米国は今後もワグネルの収入源を標的にする」と述べました。

※米、ワグネルの責任追及へ アフリカでの活動巡り 反乱とは無関係(ロイター、2023年6月27日)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-usa-wagner-idJPKBN2YD1OA

※米、ワグネル創設者関連企業に制裁 アフリカ鉱山会社など(ロイター、2023年6月27日)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-usa-sanctions-idJPKBN2YD1O4

★『ロイター』は、米国政府と一体になって、アフリカでのワグネル=悪党、したがって資金源を断つのは当然という図式で報道していますが、当事国であるアフリカ諸国側の見方は、米国や『ロイター』とは異なっています。

 中央アフリカ共和国のファウスティン・アルチェンジ・トゥアデラ大統領は、2020年の反乱未遂事件を鎮圧した後、ワグネルの傭兵のおかげで生き延びることができました。

 このトゥアデラ大統領の最高顧問であるフィデール・グアンジカ氏は、こう述べているのです。

 「もしモスクワがワーグナーではなく、ベートーヴェンやモーツァルトを送り込むと決めたら、私たちはそれを手に入れるでしょう」

 つまり、治安の悪さ、政治的な不安定性という、構造的な要因がアフリカの側にある限り、良いか悪いかはともかく、ワグネルのような民間軍事会社がアフリカの権力者に必要とされ続けるのです。

※Wagner’s future in Africa in question after Russian mutiny(FINANCIAL TIMES、2023年6月28日)
https://www.ft.com/content/93381925-9b2e-4c57-b669-7c592536cffc

 また、24日のプリゴジン氏の反乱で、アフリカは動揺していない、という判断を、ラブロフ外相は示しています。

 「アフリカ諸国のロシアとの関係にパニックや変化の兆候は見られない」とラブロフ外相は26日付『RT』に語っています。

※No panic in Africa over Wagner revolt, Lavrov tells RT(RT、2023年6月26日)
https://www.rt.com/news/578740-lavrov-wagner-african-nations/

 アフリカのワグネルの今後に関して、一つの興味深い見方を28日付『FINANCIAL TIMES』が伝えています。

 「『プリゴジンは、アフリカにおけるロシアの政策の顔であり、原動力になりたかったのです』とサミュエル・ラマニ氏(英国王立防衛安全保障研究所のフェローで、『アフリカのロシア』の著者)は言う。しかし、プリゴジンが解任されたり、殺害されたとしても、ワグネルのアフリカ事業は存続しうる、と彼は付け加えた。

 また、ワグネルの事業は、ロシアの巨大エネルギー企業であるガスプロムが運営する民間軍事会社のような、他の民間軍事会社に引き継がれることも考えられる、とラマニ氏は付け加えた」

 ワグネルの兵士らは、ロシアにとっても、アフリカにとっても、利用価値があり、需要もあるのですから、ワグネルのオーナーが変わるだけ、というシナリオもあり得るのではないでしょうか。(IWJ)

■【本日のニュースの16連撃! 第12弾! SPUTONIK日本、27日】プーチン大統領がワグネル反乱未遂について演説!「ワグネルグループの戦闘員や指揮官の圧倒的大多数もまた、ロシアの愛国者であり、国民と国家に忠誠を誓っている」!

 プーチン大統領は6月26日夜、24日のワグネルの武装反乱未遂について、国民に向けた演説を行いました。

 27日付け『スプートニク』日本語版は、このプーチン大統領の演説要旨を箇条書きにして、次のように報じました。

 「1.プーチン大統領は、武装反乱はいずれにしても鎮圧されたはずだと語った。大統領は、反乱の組織者たちは適切な判断能力を失っていたものの、このことに気づかないはずはなかったと指摘した。

2.反乱未遂が開始されるや否や、プーチン大統領の直接命令で、これ以上の流血を防ぐ試みが行われた。発生した脅威を無力化し、憲法秩序と国民の生命と安全を守るために必要なあらゆる決定が直ちに下された。

3.『ワグネル』グループの戦闘員や指揮官の圧倒的大多数もまた、ロシアの愛国者であり、国民と国家に忠誠を誓っている。彼らは戦友たちに対して盲目的に反乱を起こすよう利用されるところだったが、なんとか最後の一線で思いとどまることができた。

4.『ワグネル』の戦士の中で兄弟同士の殺し合いに迎合しなかった者たちには国防省と契約を結んで兵役を続けるか、帰宅するか、ベラルーシへ出るかの選択肢がある。

5.プーチン大統領は、殉職した英雄的なパイロットらの勇気と自己犠牲が悲劇的な破滅の危機からロシアを救ったと指摘した。

6.プーチン大統領はまた、この数日の間に決定的な役割を果たし、最大の困難の試練を共に乗り越えることを可能にしたのは、まさに国民の愛国的な気概と社会の団結だったと指摘した」

※流血の回避の決断を下した=プーチン大統領(SPUTNIK日本、2023年6月27日)
https://sputniknews.jp/20230627/–16380788.html

★反乱軍の兵士に対し、4番目の項目のように、国防相と契約して国軍の兵士になるか、帰宅するか、プリゴジン氏の背中を追って、ベラルーシへ行くか、という3つの選択肢がある、と示したのは、岩上安身による孫崎享氏へのインタビューでもご紹介しましたが、これは超法規的で、異様なまでに寛大な処分です。本来なら、全員が取調べの対象になるはずですが、戦時下にある国家としては、そんな呑気なことはしてられない、ということなのでしょうか。(IWJ)

※【ライブ配信】岩上安身による 元外務省国際情報局長 孫崎享氏インタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=vaoOxSMsRDc&t=529s

■【本日のニュースの16連撃! 第13弾! SPUTONIK日本、27日】プーチン大統領が国防省、国家親衛隊、内務省などの部隊に演説!「人々や軍、国民は反乱者の側には立たなかった」!「武装反乱時に特殊軍事作戦地域の部隊を呼び戻すことはなかった」!

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は27日、24日の武装反乱の試みの最中に法秩序の守り手となった国防省、国家親衛隊、連邦保安庁、内務省、連邦警備庁の部隊を前にクレムリンで演説しました。

 27日付け『スプートニク』日本語版は、このプーチン大統領の演説要旨を箇条書きにして、次のように報じました。

 「1. ロシアの将兵は国にとって困難な時期に、無秩序を招きかねない混乱に立ち向かった。

2.将兵らは内戦を止め、正確で秩序だった行動をとった。

3. 武装反乱時に特殊軍事作戦地域の部隊を呼び戻すことはなかった。

4. 24日に戦死した飛行兵らは名誉ある任務を果たした。

5. 人々や軍、国民は反乱者の側には立たなかった。

6. 軍、法執行機関、特殊機関の隊員全員の勇気とロシア国民に対する忠誠に感謝の意を表す。

7. 将兵らの決意と勇気、社会の団結が反乱鎮圧に決定的な役割を果たした」

※プーチン大統領、クレムリンで演説 反乱時に法秩序守った部隊へ(SPUTNIK日本、2023年6月27日)
https://sputniknews.jp/20230627/16383744.html

★危機に陥ったときにこそ見られるロシア社会の団結心(平時はこのような団結心はそうそう見られない)、法秩序を守った兵士たち、プーチン体制が、そう簡単には揺るがないことを、この演説でプーチン大統領は国内外に見せつけたかったのでしょう。

■【本日のニュースの16連撃! 第14弾! ウォール・ストリート・ジャーナル日本、28日】「西側当局者」は、プリゴジン氏は当初、ショイグ国防相らが南部を訪問した際に拘束する計画だったが、ロシア連邦保安局が事前に情報を把握したため、武装蜂起を前倒ししたと分析!

 6月28日、『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、「ワグネル創設者、国防相らの拘束計画していた」と報じました。

 プリゴジン氏は当初、ロシア軍指導部の、セルゲイ・ショイグ国防相、ワレリー・ゲラシモフ連邦軍参謀総長らが南部を訪問する際に、両氏を拘束する計画でした。

 しかし、「西側当局者」によれば、ロシア連邦保安局(FSB)は実行予定日の2日前に、プリゴジン氏の計画を把握していました。プーチン大統領直属の治安部隊「国家親衛隊」のビクトル・ゾロトフ隊長も、反乱が起きる前に、当局がプリゴジン氏の計画を認識していた、と話しています。

 ゾロトフ氏は27日、ロシア国営メディアに「プリゴジン氏の陣営から、6月22~25日に反乱を開始する準備についてのリークがあった」と話しています。

 「西側当局者」は通信傍受や衛星画像の分析によって、プリゴジン氏の計画を事前に把握し、当初の予定通りにプリゴジン氏の計画が進めば、成功していた可能性が高い、と分析しています。

 「西側当局者」によると、プリゴジン氏はロシア軍の一部も反乱に参加すると考え、セルゲイ・スロヴィキン将軍に自身の計画を伝えていました。プリゴジン氏は大量の弾薬と燃料、戦車、装甲車、高度な無線防空機器などを準備していたということです。

※ワグネル創設者、国防相らの拘束計画していた(ウォール・ストリート・ジャーナル、2023年6月28日)
https://jp.wsj.com/articles/wagner-s-prigozhin-planned-to-capture-russian-military-leaders-e4e9453d

★ウクライナ紛争の機微に関わる情報のソースが明示されることは多くはありませんが、国名すら示さず、「西側当局者」という表記はかなり秘匿度が高いと言わざるを得ません。

 ショイグ国防相とゲラシモフ連邦軍参謀総長らが、プリゴジン氏の直接のターゲットであったことは、1月以降のプリゴジン氏の言動からも疑う余地はなさそうです。両氏が南部管区を訪問する機会に蜂起するという当初の計画は、モスクワまで進軍するよりも、成功する確率が高そうです。

 プリゴジン氏の計画では、南部管区に所属するロシア軍の協力が必要なことは明らかであり、ウクライナ戦線の副司令官であるセルゲイ・スロヴィキン将軍に話を通していた可能性は十分にあります。

 「弾薬をくれ!」とずっと叫んでいたプリゴジン氏に、「大量の弾薬と燃料、戦車、装甲車、高度な無線防空機器」を調達する能力があるとは思えません。この記事は、ロシア軍、とくにスロヴィキン将軍がプリゴジン氏の計画に賛同していたという印象を与えたいのかもしれません。

 『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、「スロヴィキン氏は、23日に武装蜂起をいち早く非難し、プリゴジン氏に停止を呼びかけた軍高官だ。スロヴィキン氏の率いる部隊がワグネルの隊列に対する空爆を実行した」と付け加えています。

 反乱軍への空爆を指揮した指揮官が、反乱に加担して逮捕されるはずはありません。本日の連撃でご紹介した『ニューヨーク・タイムズ』や『モスクワ・タイムズ』では、プリゴジン氏に加担し、スロヴィキン氏が逮捕されたなどと報じられており、まったく報道内容が違います。どちらかがまちがっていることは、ほぼ確実でしょう。

 『ガーディアン』のライブアップデートを振り返ると、スロヴィキン将軍は、24日早朝、プリゴジン氏が「ワグネル部隊がロストフに入った」と宣言した前後に、ワグネルの戦闘員に対して「プーチン大統領に従い、モスクワの指揮官を受け入れ、拠点に戻る」ように演説ビデオで指示しています。このスロヴィキン将軍による素早い対応が、兵士らの動揺を防いだとされています。(IWJ)

■【本日のニュースの16連撃! 第15弾! 産経新聞、29日】ベラルーシのルカシェンコ大統領、自国に配備した戦術核の発射の権限は自国にあると主張! ロシアはロシアに権限があると主張し対立!? ワグネル調停で成功し、ルカシェンコ大統領、強気になったか!?

 ロシアがベラルーシに配備した戦術核兵器について、ベラルーシのルカシェンコ大統領が「我が国はロシアの同意なく核兵器を使用できる」との認識を示しました。

 ロシアは核兵器の使用権が自国にあるとしており、齟齬(そご)が浮かび上がっています。

 ルカシェンコ大統領は、ワグネルの武装反乱を調停したことで強気の姿勢に出ている可能性があり、両国の確執に発展することも考えられます。

 プーチン大統領は、ベラルーシへの核配備について「譲渡ではない」と説明してきましたが、ルカシェンコ大統領は、3月の年次教書演説で「核の運用と管理はベラルーシが行う」と発言し、食い違いを見せていました。

 ショイグ露国防相は5月下旬、ベラルーシを訪問し、核の使用権がロシア側にあると定める共同文書に署名しています。

※ベラルーシ、ロシアと核で齟齬 ワグネル調停で強気か(産経新聞、2023年6月29日)
https://www.sankei.com/article/20230629-FVAKNAN4NFLYFIOXLCNDPSMHQM/

★これまで、「プーチン大統領の言いなり」と、常に「格下」に見られていた、ルカシェンコ大統領が、「プリゴジンの乱」を調停したことで、一気に強気に出ている、という情報です。

 ルカシェンコ大統領は、ワグネル部隊の招聘にも積極的で、「ベラルーシ軍の使っていない基地を提供しよう」、「ベラルーシ軍を訓練してくれたら嬉しい」などと述べています。

 ベラルーシの軍事費は7億6300万ドルとされ、ロシアの659億800万ドルの100分の1ほどですが、「戦術核兵器」が国内に配備されたことで急に強気になったのでしょうか。

 「プリゴジンの乱」には、ロシアを滅ぼす力はありませんが、ベラルーシに運んだ戦術核兵器の発射ボタンと発射の権限が、ベラルーシに完全に握られたとしたら、ベラルーシはロシアを滅ぼす力を掌中にしたことになります。西側は、ルカシェンコ大統領へ接近し、寝返るよう誘いをかけるかもしれません。

 もちろん、ロシアから提供させた戦術核を、ロシアに向けたなら、ベラルーシは、ロシアによって滅ぼされることも覚悟しなければなりません。めまぐるしいチキンゲームのような展開が続きますが、発射の権限はロシアにあるのか、ベラルーシにあるのか、どちらに落着するのか、ベラルーシに配備された戦術核をめぐる情報は、目を離すわけにはいきません。(IWJ)

■【本日のニュースの16連撃! 第16弾! ロイター、28日】ルカシェンコ大統領、プーチン大統領は一時プリゴジン氏「抹殺」を企図していたと暴露!

 ベラルーシのルカシェンコ大統領は28日、プーチン大統領が武装反乱を起こしたプリゴジン氏の「抹殺」を一時企てたが、自分が説得して思いとどまらせた、と主張しました。

 プーチン大統領が「抹殺を意味するロシアの犯罪者が使う俗語」を用いたのに対し、ルカシェンコ大統領は「プーチン氏に性急に動かないよう促し、プリゴジン氏や部下の指揮官らと話をしてみようではないかと提案した」と説得したと述べています。

※プーチン氏は一時プリゴジン氏「抹殺」を企図、ベラルーシ大統領が会話内容明かす(ロイター、2023年6月28日)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-lukashenko-putin-idJPKBN2YF00B

★プーチン大統領は、ルカシェンコ大統領に「それ(プリゴジン氏の説得)は無駄だ。プリゴジン氏は電話にさえ出ない。誰とも話したくないのだ」と返したということですが、ルカシェンコ大統領は見事にプリゴジン氏の説得に成功しました。

 説得に成功した自信が、自国に配備された戦術核を自分のものだと主張する根拠になっているとしたら、ルカシェンコ大統領は、野心を秘めた相当なタヌキ親父であるといえそうです。(IWJ)

■<IWJ取材報告>この現代における諸矛盾の一番犯罪的なものは何か?「『政治を変えないといけない』というアバウトなことではなく『政治家を変えないといけない』」と足立正生監督!!~6.16映画『REVOLUTION+1』上映後の足立正生監督トーク

 2023年6月16日、午後7時15分より、東京都小金井市の小金井・宮地楽器ホールにて、映画『REVOLUTION+1』の上映会、および、上映後、足立正生監督とのトークライブが行われました。

 主催は小金井平和ネット、小金井市を中心として、戦争のない平和な世界を目指して、主に、憲法問題やパレスチナ問題をテーマに上映会や講演会などを開催している有志団体です。

 当日券もほぼ完売となり、会場は超満員。『REVOLUTION+1』の上映後のトークライブでは、参加者から事前に集めた質問に足立監督が答えるかたちで質疑応答が行われ、会場は、足立監督の声に聴き入る参加者の静かな熱気に包まれました。

 「『REVOLUTION+1』という映画のタイトルは何を意味しているのか?」との質問に対して、足立監督は次のように答えました。

足立監督「3つの意味を込めていまして、1つは、山上さんがやったことは革命行為でも何でもない、と。革命行為からは違うものであるというのがありまして、その含みをもたしたこと。

 それから、実際に、山上さんがやったことで、何か革命が起こるのかといったら、そういうこともない。むしろ、革命をやるんだったら、例えば、山上さんがこういう事件を起こさざるを得なかったことを反映した、私たちに問われたことからしか始まらないだろうという思いですね。

 それから、多少、私的なことを言いますと、私もテロリストとか何とか言われて長くやっております。私も、革命をやめたつもりはまったくないというのがあります。ただし、これまでのやり方では、何の前進も作れなかったという反省もあります。

 ですから、『+1(プラス・ワン)』、これから新たに一歩を進めよう、つまり、そういったものを全部込めたんですね」

 主人公の「川上」は、作品の中で「星になる」という表現を頻繁に口にする。その「星になる」ということについての質問もいくつかありました。

質問1「山上徹也は今、救われたと思いますか? 星になったのか?」

質問2「『星になりたい』という思いは、足立さん世代の『男』の発想のような気がします。山上君は、むしろ『灰になりたい』、『最悪の事態を0(ゼロ)に戻したい』という思いだったというふうに思えます。山上君は『革命』からは遠い存在なのではないでしょうか?」

 足立監督は、これらの質問への回答の中で、次のように述べました。

足立監督「山上さん自身は、自分をどういう具合に言っていいのかわからない。そういうところで星になれるのか。星っていうのは、何億年も前の光の反映の現在、つまり、自分も見つけられないときに、何もわからない抽象的な存在としての星。

 なおかつ、その星はこんなに(たくさん)あるわけですよね。その中のどこに行っていいのかわからないって、そのぐらい、何もわからない閉鎖状況。その中で、徐々に自分を見つめていく、あるいは、自分がなぜこうなっているのかを見ていく、というところから、なぜ、山上さんのお兄さんがまた自殺せざるを得なかったのか。そういったことに対して、お母さんがどうやっていたのか。っていうようなところで、『星になる』というのはね、ボロクソ言われましたよ。(中略)

 実は、途中まで、映画のタイトルは『星になる』というものだったんだけど、有名なジャーナリストとかが、『今の若者にそんなロマンチックなことは通じないですよ』という具合に批判されたけれども、それはテーマとして残したというのがあります」

 作品の最後に登場する「妹」についての質問もありました。足立監督は、この「妹」について、次のように自身の考えを述べました。

 足立監督「最後に、山上(作品内では「川上」)が銃撃を起こした後、逮捕されるニュースを見て妹の言うセリフは、私(足立監督)そのものが吐くようなセリフです。つまり、山上さんが、自分に、本当に、正面から向かい合った結果起こしたことであると。事件そのものは、犯罪として同意できないけれども、『自分に向き合って生きる』ということを選んだことを尊敬する、と。

 ただし、この問題を起こしたのは、統一教会とか、そういう問題を出す前に、そういったことを全部許していた、この現代における諸矛盾の一番犯罪的なものが何かというところで、『政治を変えないといけない』とか、そういうアバウトなことを言うのではなくて、妹のセリフとして僕が込めたのは、『政治家を変えないといけない』という言い方を選びました」

 また、足立監督は、映画の上映の仕方、つまり、映画作製側と観客とのコミュニケーションの仕方について、次のように述べました。

 足立監督「この映画を全国の映画館35館くらいは上映するんですが、その中で、私も、日本の今の映画の上映の仕方って非常に硬直しているんですが、監督とか主役の人がいて、舞台挨拶をして、上映して終わって…、僕はそれはやらない。

上映したあと、アフタートークで観た人の話を聞きたい。そこから勉強しよう、と。それから、アフタートークをやってもらっているんですが、アフタートークで話しにも来ない、ずっと待っている人たちがいるので、(そういった人たちに)聞くと、『自分は宗教二世である』と。そういう人たちが本当にたくさんいました。

 それから、そういう人たちが言いたいのは、正面から描いてくれて非常にありがたかった、と。自分の問題として見ることができたということ。(中略)

 それから、ついでに言いますと、この武蔵小金井で、この映画を上映してもらっている重要さ。僕は、主催者の側に、もっと声を大にして聞いてほしいんですね。この中央線沿線、統一協会の地方支部がいっぱいあります。本当に苦労している、十把一絡げで、そういう見方をしてはいけないんですが、宗教二世の人たちはいっぱいいます。

 そういう人たちがいる中で、映画館ではなくて、こうやって『開かれた場所』で上映するということの意義を僕は非常に重要だと思って、今日、皆さんの中に参加させてもらっています。僕が何をできるわけでもないけれども、そういう具合に、今日こうやって観てもらった人の意見を聞きながら、話すっていうのは非常に重要なことだったなと思っています」

 トークライブの詳細については、ぜひ全編動画にてご確認ください。

※この現代における諸矛盾の一番犯罪的なものは何か?「『政治を変えないといけない』というアバウトなことではなく『政治家を変えないといけない』」と足立正生監督!!~6.16映画『REVOLUTION+1』上映後の足立正生監督トーク
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516647

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 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、尾内達也、浜本信貴、前田啓)

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