■■■ 日刊IWJガイド 2015.1.12日号 ~No.852号~ ■■■
(2015.1.12 8時00分)
おはようございます!IWJで記事やリサーチを担当している佐々木隼也と申します。
昨日13時頃、「在特会」周辺のグループ20人ほどが、「サザンオールスターズの桑田佳祐氏が紫綬褒章をオークションにかけるような『不敬』をはたらいた」として、サザンの所属事務所「アミューズ」前で抗議行動をしました。
桑田さんといえば、昨年末の紅白歌合戦で、サプライズで登場し、『ピースとハイライト』を歌ったことで、その歌詞が「ヘイトスピーチや安倍政権を批判するものだ」と解釈できることから、大きな波紋を呼んでいます。
IWJも記事にまとめているので、こちらをご覧ください。
・【IWJブログ】NHKでサザンがヒトラーの「チョビ髭」、タモリが「憲法改正」を疑問視―自主規制によってひたすらトボケ続けるメディアの中で、政府の暴走に国民的著名人堂々プロテスト発言
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/223444
この抗議行動では、例によって在特会関係者から「IWJは中継するな!」などと凄まれました。しかし現場に行ったのはIWJの女性記者たった1人。それに対して男3人で囲んで凄むとはいただけない。紳士マナー違反です。
もちろん、取材させてもらいました。IWJは脅しには怯みません。この抗議行動の模様は以下、急ぎ記事化しましたのでぜひご覧ください。
・2015/01/11 サザン・桑田氏へ在特会らが抗議デモ 排外デモで日本の「品格」を貶める在特会がサザンに「品格」を語る矛盾
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/224324
在特会は「不敬罪」の復活を主張しています。「不敬罪」とは、王族や皇族など、いわゆる「君主」の名誉や尊厳を害するあらゆる行為を裁く、というもので、絶対君主制の残るサウジアラビアなどに存在しています。
2013年秋の園遊会で、天皇陛下に直接手紙を渡した山本太郎議員に対しても、「不敬罪だ!」などと批判する声がネトウヨ界隈からあがりました。その後、山本議員宛に脅迫状と刃物が送りつけられると、宮内庁長官が、「それを知った天皇陛下が心配されている」とのコメントを出しました。「不敬罪」を理由に暴力が横行することをあってはならないこととして、今上天皇はことのほか心配されているようです。天皇の尊厳を守るためとして、暴力の行使を正当化しようというんですから、天皇陛下にしてみれば、暴力のだしに使われるようなもの。たまったものではないでしょう。
在特会は、「皇族は批判に対して反論できない」として、「不敬罪」の復活を主張しているようです。アミューズへの抗議では「国体破壊だ」という声もあがりました。
天皇陛下のお心とは関係なく、勝手に天皇陛下を戦前の「国体」と同一視して、その名誉と尊厳の威をかりて、他者に非難や脅しを浴びせかける。こちらの方がよっぽと「不敬」ではないかと思います。
天皇陛下は今年の年頭のご感想で、「満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」とおっしゃっています。
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/gokanso/shinnen-h27.html
日本が「国体」の名のもとに戦争に突き進んでいった先の大戦と、今の日本を重ねあわせて考えるとき、ヘイトスピーチが横行し、集団的自衛権や武器輸出緩和、PKOの武器使用緩和、憲法改正などで「戦争のできる国」にしようとする安倍政権を危惧している、と「解釈」できる内容なのですが、こうした天皇のメッセージも彼らは「不敬」と批判するのでしょうか。それとも、こうした解釈をする僕の方を「不敬」と罵るのでしょうか。かくも「不敬」とは便利な言葉です。
彼らのこうした言論弾圧、表現の自由への圧力には、個人的に、気持ち悪い、という感情以上に、寒気がします。ただ、なんとなく彼らの奥底に流れる歪んだメンタリティも理解できます。かくいう僕も、学生の時に、いわゆる「ネトウヨ」だった時期があるからです。
まあ、この話は、長くなるので稿をあらためて書くとして…
「表現の自由」への圧力・弾圧は、在特会だけでなく、安倍政権も着々と推し進めています。安倍政権が2015年、本腰を入れて取り組む本丸、憲法改正です。
自民党が公開している改憲草案では、「表現の自由」「言論の自由」、そして「基本的人権」すらも抑制し、規制しようとしています。「表現の自由」の幅をどんどん狭めることで、「表現の自由を逸脱している(だから罰する)」というロジックが今以上に使いやすくなりますね。
一昨年、梓澤和幸弁護士と澤藤統一郎弁護士と岩上さんの3人で、この自民党の憲法改正草案についての鼎談をおこない、逐条で、徹底的に中身を議論しました。それはもう徹底的に。
合計12回にわたり、おこなわれた自民党の憲法改正草案についての鼎談シリーズのアーカイブはこちらからご覧いただけます。必見です。
→ http://bit.ly/1jWh3da
さらに自民党の憲法改正草案についての鼎談を分かりやすく書籍にまとめた『前夜~日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』も、超オススメです。こちらから、ぜひご購入ください!
→ http://bit.ly/1tHZPM6
ちなみに僕は、この本をなんやかんやで3回通読しました。あと300回くらいは読めたらな、と思っています。それくらい頭に叩き込み、目を光らせないと、油断も隙もないですから。
…(後半へ続く)
◆中継番組表◆
本日のIWJの中継番組表を送ります。
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もありますのでご了承ください。
**2015.1.12 Mon.**
【IWJ_SF】7:15~「サンフランシスコ・第30回月例11日原発反対集会」
視聴URL:http://www.ustream.tv/channel/iwj-sf
※現地時間の11日15:15から、サンフランシスコ総領事館前で行われる、原発再稼働反対を訴える抗議集会。「No Nukes Action」が主催
【再配信・IWJ_SF】13:00~「サンフランシスコ・第30回月例11日原発反対集会」
視聴URL:http://www.ustream.tv/channel/iwj-sf
※本日、午前7時15分から行われる「第30回月例11日原発反対集会」の模様を再配信します
【Ch4】14:00~「第三回 沖縄の地鳴りを聞く 『辺野古アセスメントの不当性』 ―桜井国俊・沖縄大学名誉教授」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※「普天間・辺野古を考える会」が主催。桜井国俊・沖縄大学名誉教授が、 「辺野古アセスメントの不当性」をテーマに講演する
【再配信・Ch5】17:00~「人類の宝、辺野古・大浦湾の豊な自然を次世代に継承しよう ─海洋学者キャサリン・ミュジック氏講演」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=5
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/171299
※2014年9月26日に行われた、「人類の宝、辺野古・大浦湾の豊な自然を次世代に継承しよう ─海洋学者キャサリン・ミュジック氏講演」を再配信します。キャサリン・ミュジック博士、稲嶺進・名護市長、真喜志好一氏、東恩納琢磨氏らが登壇しました
【Ch1】20:00~「佐賀県知事選に地元農協が担いだ山口氏が当選、売られる日本農業がついに『一揆』か!? ~日本農業新聞元論説委員の緒方大造氏インタビュー再配信!」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/69472
※2012年4月4日に行われた、「日本農業新聞元論説委員の緒方大造氏インタビュー」を再配信します。緒方氏は「どの国もGDPの数%の一次産業が国を支えている」とし、「日本は上流から荒れる。森が豊かでないと、ミネラルが流れず、海も荒れ、連鎖が壊れる」としました
(前半の続き)…
そして、安倍政権による圧力・弾圧はこれだけではありません。辺野古基地移設をめぐる、沖縄への圧力・弾圧も問題となっています。
昨年11月の沖縄県知事選で、沖縄の圧倒的民意を背に、基地移設反対を掲げて圧勝した翁長新知事。昨年12月下旬、翁長氏は早速、基地問題について安倍総理や山口俊一沖縄担当相などと話し合うべく、上京しました。しかし、安倍政権から返ってきた答えは、「誰とも面会できない」というものでした。
さらに今年1月に上京した際も、安倍政権総出で無視。いつもなら沖縄県知事に参加してもらっている、次年度の沖縄振興予算を話し合う自民党沖縄振興調査会にも、今回は「出席させない」と、またも無視(というか嫌がらせ)。そしてテレビ朝日報道によると、政権幹部は翁長氏が出席できなかったことについて、「当たり前だ。立場をわきまえろ」と言い放ったそうです。
この発言が事実であれば、「立場をわきまえろ」という言葉は、翁長氏だけでなく、当選させた沖縄県民にも向けられた言葉であると言えます。政治家は、民意によって選ばれるものです。政権も、民意に寄って立ちます。この暴言を吐いた政権幹部こそ、自身の立場を履き違えているのではないでしょうか。
さらに驚くべきことに、沖縄振興費について安倍政権は、「沖縄関連の予算は今後、振興から基地関連にシフトする」という方針を打ち出しました。要は、沖縄振興費の「減額」です。
さらに、さらに驚くべきことに、防衛省関係者は、今後移設に関する政府調達では「安全保障に関わる調達の品質を確保するため」として、知事選で翁長氏を支援した県内業者を排除する可能性にも言及している、とのことです。
ここまで露骨な「翁長新知事いじめ」「沖縄いじめ」を、堂々と行える安倍政権の神経には、唖然とします。
今後も、この「沖縄問題」について、IWJでは翁長氏への岩上さんのインタビューや、辺野古移設をめぐる重要なシンポジウムを、どんどん緊急再配信していきますので、ぜひ、ご覧ください!
また、IWJの会員であれば、(一般会員は1カ月間、サポート会員であれば無制限に)アーカイブをいつでもご覧になることができます。
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しかして、そんな露骨な虐めに対し、国民が黙っているわけはありません。
昨日行われた佐賀県知事選で、過去最低の投票率ながら、元総務省官僚で新顔の山口祥義(よしのり)氏が、自民・公明推薦の樋渡(ひわたし)啓祐氏を破ったのです。
今回の山口氏の勝利のカギとなったのが、農協の動きです。今回、JA佐賀の政治団体「佐賀県農政協議会」は、樋渡氏への支援を見送り、山口氏を推薦。山口氏は、「TPP反対」を明言しました。
・2014/12/29 【佐賀県知事選】無所属・山口祥義候補が農協・漁協の要請に対し「TPP参加反対」を明言するも「原発」「オスプレイ」については事実上の質問拒否
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/220751
・2014/12/25 【佐賀県知事選】自民党陣営分裂 カギを握る農家票の行方 争点は原発再稼働、オスプレイ、そしてTPP
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/217262
かくして、TPP加盟や農協改革を踏まえ、全国農業協同組合中央会(JA全中)を「岩盤規制」の象徴と位置づけ、解体に動いている自民党・安倍政権と知事選を介した全面戦争となりました。そして、民意は「安倍政権にNO!」を突きつけました。
しかし、県内の「原発再稼働」と「オスプレイ配備」については明言を避け、IWJが直接質問したものの、「時間がない」と打ち切られました。原発とオスプレイについて、安倍政権の政策に追随するのかどうか。この点については注視が必要です。
ただ、沖縄に続き、県知事選で与党推薦候補が敗北する、という結果は、今の安倍政権のやり方に、多くの国民が懸念を示しているということをあらわしています。今後、全国各地で同様の「ターンオーバー」が繰り広げられていくでしょう。IWJは、とことん追い続けます。
それでは本日も、IWJをよろしくお願い致します。
ちなみに、この日刊ガイドの挨拶文は、ネーミング案を今、募集中です。
僕は、「IWJドロップス」がいいんじゃないかと思っています。
みなさんも、ネーミング案をお寄せください!
IWJ 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
岩上安身サポーターズクラブ事務局
公式サイト 【 http://iwj.co.jp/ 】
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