┏━━【目次】━━━━
┠■はじめに~10月も早くも24日です! 10月は1日から24日までで、月間目標額の22%、39件、78万3500円のご寄付・カンパをいただきました。しかし、月の3分の2が過ぎて月間目標額の78%が不足しています! 財政的にはとても厳しい状況が続いています。真実を伝えていく活動の困難を痛感しています! 有料会員登録と、ご寄付・カンパによるご支援を、どうぞ皆様、よろしくお願いいたします!
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┠■【中継番組表】
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┠■自民党と維新が12項目の政策合意!(その2)日本版CIAやスパイ防止法、緊急事態条項など、民主主義の根幹である国民主権を危うくする悪法がてんこもり! 外交・安全保障政策は、米国との一体化をさらに加速! 憲法改正は、第9条の形骸化一本やり!
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┠■ハマスによる人質20人の解放後も、イスラエルは「ハマスによる停戦破り」との言いがかりで、「報復」と称して空爆と封鎖を続行し、ガザでは停戦後も97人が死亡! イスラエルのベン・グヴィル国家安全保障大臣は、「戦闘を再開し、ガザを征服せよ」と明白に約束を破る要求! さらにクネセト(国会)では予備審議でヨルダン川西岸併合法案が可決! 国際司法裁判所はイスラエルの人道支援制限を国際法違反と断罪するも、イスラエルは判決を無視し、UNRWAの活動を拒否!
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■はじめに~10月も早くも24日です! 10月は1日から24日までで、月間目標額の22%、39件、78万3500円のご寄付・カンパをいただきました。しかし、月の3分の2が過ぎて月間目標額の78%が不足しています! 財政的にはとても厳しい状況が続いています。真実を伝えていく活動の困難を痛感しています! 有料会員登録と、ご寄付・カンパによるご支援を、どうぞ皆様、よろしくお願いいたします!
おはようございます。IWJ編集部です。
第16期がスタートした8月は、ご寄付・カンパによるご支援は、月間目標額の16%、9月は14%にとどまりました。10月は、1日から24日までの24日間で、39件、78万3500円のご寄付・カンパをいただいています(暫定)。これは、月間目標額350万円の22%にあたります。ご支援くださった皆様、本当にありがとうございます。しかし、残り8日で78%が不足しています。厳しい状況に変わりはありません。
IWJを2010年にスタートさせてきてからのこの15年間、あるいはそれ以前から、私、岩上安身は、機会があるごとに米国の従属国の地位に甘んじることの危険性に、絶えず警鐘を鳴らしてきました。
自民党の新総裁、そして第104代の内閣総理大臣に高市早苗氏が就任することが決まりました。
中国との戦争の話を絶えず繰り返し、「米軍が中国軍の矢面に立つのではなく、まず日本が正面に立つ」などということまで、テレビの地上波で発言してきた高市早苗氏が総理に決まって、いよいよ日本が「代理戦争」の捨て駒となる懸念が、今、まさに現実化しつつあるのを痛感しています。
東西冷戦の終わりによって、世界大戦の危機、とりわけ核戦争の危機は遠ざかったと安堵して、約35年が経ちますが、現在、冷戦後で最も戦争の危機が近づいていると感じられます。
軍事力を支える、肝心の工業力が空洞化してしまっている米国にのみ、頼り、米国の戦略に従って、対中国との戦争の矢面に立て、と言われて、「代理戦争」の駒とされる、そんな危機に直面しているのに、政府も、与野党も、メディアも、いつまでも、現実を否認しているように感じられます。
今、日本に必要な指導者は、好戦的な指導者ではなく、戦争回避能力に長けている、外交力のある指導者です。核保有国に対して戦争で挑もうとするような、勇ましい言葉を吐く指導者ではありません! 日本を第2のウクライナに、日本の首相を第2のゼレンスキーにしてはいけないのです!
国難は避けられない、としても、大難を小難にとどめることはできるはずです。日本が対米自立を果たし、「敵国」ばかりになっている周辺国と和解して、各国と平和条約を結び、「敵」と戦うのではなく、「敵」と和解して、「敵」を消し去ることができるかどうか。
対米自立と、周辺国との自力での平和構築に失敗すれば、日本は、大きな試練に直面します。平和の上にしか、国家としての繁栄も、国民としての日々の穏やかな暮らしも、築くことができません。
間に合うでしょうか。懸念は尽きません。
肝心なことは、リアルな現実をまず直視することです。大小問わず、ほとんどのメディアが、現実直視を避けています。
IWJは現実を直視し、お伝えし続けています。しかし、現実は苦いものです。苦い現実を直視したくない心理が働くからこそ、甘い嘘をつくプロパガンダに人は騙されてしまうのです。
ウクライナ紛争以降は、特に、西側諸国はプロパガンダの洪水が続いているような状態です。
我々はプロパガンダの波にのまれることなく、ジャーナリズムの本道を歩み、リアルを伝えるという、当然のことを、貫いています!
そうやって、苦いリアルな現実を直視した上で、なお、前向きな希望を信じる力が残っているかどうかが問われています。
IWJは、厳しい経営が続いています。そのIWJの行方は、リアルと対峙してなお希望をもてるかどうかだと思います。
IWJの活動運営費は、約半分が、会員の皆様からの会費によって支えられています。残りの約半分が、ご寄付・カンパによって支えられています。
困難は、迫ってきています。向こう数年以内が、東アジアにおいて、日本が、「代理戦争」の駒として使われてしまうかどうかの正念場です! そうした事態は、絶対に回避しなければなりません!
そのリスクは、高市氏が総理大臣となり、小泉進次郎氏が防衛大臣となったことで加速する可能性があります!
今期16期もIWJは、日本だけでなく、西側に広がるプロパガンダにのみこまれず、真実をお伝えしていきたいと思います!
どうぞ、緊急のご支援のほど、よろしくお願いいたします!
岩上安身 拝
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みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
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店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル
ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
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◆中継番組表◆
**2025.10.24 Fri.**
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◆中継番組表◆
**2025.10.25 Sat.**
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◆中継番組表◆
**2025.10.26 Sun.**
調整中
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■自民党と維新が12項目の政策合意!(その2)日本版CIAやスパイ防止法、緊急事態条項など、民主主義の根幹である国民主権を危うくする悪法がてんこもり! 外交・安全保障政策は、米国との一体化をさらに加速! 憲法改正は、第9条の形骸化一本やり!
昨日お伝えした、自民党と維新の政策合意12項目のその2です。
※自民党と維新が12項目の政策合意! 日本版CIAやスパイ防止法、緊急事態条項など、悪法がてんこもり! 日本版CIAである対外情報庁(仮称)は、自衛隊の統合司令本部のケースとまったく同じように、本家のCIAの出先機関になる!?(日刊IWJ、2025年10月23日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20251023#idx-3
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55182#idx-3
(その1)では、スパイ防止法や日本版CIAが、日本の国益ではなく、米国の国益のために、利用される可能性が高いことをお伝えしました。
戦後80年間に渡って、日米安保条約体制や日米合同委員会、日米地位協定、安保法制、自衛隊の米軍への指揮権統合などの諸制度によって、米国の「使い勝手のいい属国」へと、日本は作り替えられてきました。
その大きな転換点になったのは、高市早苗政権がモデルとする安倍晋三政権でした。
第一次安倍政権(2006年9月~2007年9月)は、「戦後レジームからの脱却」を掲げ、憲法改正を最重要課題としました。教育基本法改正、防衛庁の「防衛省」への昇格(2007年)などを実施しています。
教育基本法の改正では、前文や第二条(教育の目標)で「公共の精神を尊び」や「伝統を継承し」、「郷土を愛する」などが追加され、個人を越えた国家や公共、伝統といったものへ、個人を統合していくことが、教育の前面に出るようになってきました。ナショナリズムを偽装した、個人より大きなものへの統合とは、せんじつめれば、国家の安全保障を握っている米軍・米国への隷従です。
※改正前後の教育基本法の比較(文部科学省、2025年10月23日)
https://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/06121913/002.pdf
第二次安倍政権(2012年12月~2020年9月)では、2012年の政権発足直後、「憲法改正」を自民党の党是として再明記し、改正草案(2012年4月公表)では、第9条第2項の削除と「国防軍」創設を明示しました。ただし、改正発議には至っていません。
さらに、「集団的自衛権の行使は憲法9条で禁止される」という従来の憲法解釈を変更し、2014年7月1日 の閣議決定で、(米国との)集団的自衛権の行使を容認しました。これによって、日本が攻撃されていなくても、同盟国(主に米国)を防衛できるようになりました。この結果、自衛隊の海外派遣・米軍支援の法的基盤が拡大されました。この解釈変更を法的に正当化したのは、内閣法制局です。
内閣法制局は発足以来、長官には、総務(自治)、財務(大蔵)、経済産業(通産)、法務の4省出身者が交代で就くとともに、法制次長から長官に内部昇格する原則もあり、これによって、内閣がかわっても、一貫した憲法解釈を維持していた面があるとされます。
当時の当時の山本庸幸(つねゆき)内閣法制局長官も、安倍政権側から、解釈変更の可能性を聞かれ、2度にわたり「できません」と回答したと『朝日新聞』は報じています。すると、安倍政権は、次の長官に、駐仏大使の小松一郎氏を充てるという異例の人事を、2013年8月に閣議決定しました。
小松長官は解釈変更への動きを進める中、体調を崩して退任。後を継いだ横畠裕介内閣法制次長が、長官として解釈変更を認めました。
※解釈変更は「できません」 2度拒み、長官は代えられた(朝日新聞、2021年1月14日)
https://digital.asahi.com/articles/ASP165W7XND1UTFK014.html
戦後初めて「憲法9条の運用」を根本的に変えるもので、「日本が米国の戦争に巻き込まれる国へ転換した」と批判されました。これほど、重要な憲法の解釈変更を、国会ではなく内閣の閣議決定と内閣法制局という一官僚部門だけで行ったのです。内閣独裁に近いことを、残念ながら国会と、国会や官邸前に集まった反対デモの群衆も、強行採決を防ぐことができませんでした。
この閣議決定の直前の5月30日には、内閣人事局を設置し、官僚機構を官邸が人事権をもって一元的に統制できる体制を作っています。心ある官僚がいても、人事を握られてしまうと、国全体が誤った方向へ向かっても、抵抗することができません。
2014年の憲法解釈変更(集団的自衛権の容認)を受けて、2015年に具体的な法律として体系化した一連の安保関連法案が可決・成立(与党が強行採決)します。
安倍政権が2014年に閣議決定で「解釈改憲」した内容を、法的制度として確定させたのがこの安保法制です。
第二次安倍政権下での制度変更を改めてまとめると、次の通りです。
・2013年、国家安全保障会議(日本版NSC)設置(米国型の安全保障意思決定機構を導入)
・2013年、特定秘密保護法成立(米国との軍事・情報共有の前提整備)
・2014年、閣議決定により「集団的自衛権」容認(憲法解釈を変更し、日米共同防衛を可能に)
・2014年、防衛装備移転三原則が確立、武器輸出三原則(1967年)を廃止(日本の軍需産業が米欧との共同開発・輸出に参加できるように)
・2015年、安全保障関連法(安保法制)成立(自衛隊が米軍を防護・後方支援できるようになった(事実上の「一体運用」)
・2015年、新ガイドライン(日米防衛協力の指針)改定(地理的制約(「日本周辺」)の撤廃、日米の指揮・運用の統合化を明文化、有事・平時の区別なく、自衛隊と米軍が「シームレス」に連携する枠組み)
・2017年以降、防衛装備移転・宇宙・サイバー分野での協力拡大(米国主導の軍事ネットワークとの接続強化)
このように、第一次安倍政権と第二次安倍政権は、戦後日本の国家のあり方を、根本的に変えてしまったと言ってもいいのです。
その変り方は、明らかに、米国から見た日本国家の使い勝手の良さを基準としています。
安倍政権の後継者である高市早苗総裁の自民党と日本維新の会は10月20日、連立政権を樹立することで合意しました。
この両党の連立合意文書に記された12項目の政策には、安倍政権との連続性が見て取れます。
※自由民主党・日本維新の会 連立政権合意書(2025年10月20日)
https://storage2.jimin.jp/pdf/news/information/211626.pdf
その1つが、安倍政権の悲願と言っていい憲法改正です。
憲法改正は、政策合意の12項目の3番目に記されています。
・日本維新の会の提言「21世紀の国防構想と憲法改正」を踏まえ、憲法9条改正に関する両党の条文起草協議会を設置する。設置時期は、25年臨時国会中とする。
・緊急事態条項(国会機能維持および緊急政令)について憲法改正を実現すべく、25年臨時国会中に両党の条文起草協議会を設置し、26年度中に条文案の国会提出を目指す。
・可及的速やかに、衆参両院の憲法審査会に条文起草委員会を常設する。
・憲法改正の発議のために整備が必要な制度(例=国民投票広報協議会の組織および所掌事務などにかかる組織法ならびにCM規制およびネット規制などにかかる作用法など)について制度設計を行う。
日本維新の会の提言「21世紀の国防構想と憲法改正」は、21世紀の国防構想として、以下の3点を目指すとしています。
1. 憲法9条2項削除及び国防条項の充実
2. 日米安全保障条約改定による相互防衛義務の設定
3. 海洋国家連合及び四海同盟(日米豪比同盟)の締結
※2025年9月18日(木)21世紀の国防構想と憲法改正(日本維新の会、2025年9月18日)
https://o-ishin.jp/news/2025/09/18/17454.html
憲法9条2項とは、1項の具体的な実現手段を構成する条文で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」とする戦力と国家交戦権を放棄する条項です。
第二次安倍政権でも、第9条第2項の削除と「国防軍」創設を明示しました。
維新の憲法改正と安倍政権の憲法改正は、憲法9条2項削除し国防条項を加えるという点で、全く一致するものです。
さらに、12項目の政策合意では、「緊急事態条項(国会機能維持および緊急政令)について憲法改正を実現」と謡っています。
国会の機能をフリーズさせる点が批判されたためか、わざわざカッコ内に(国会機能維持および緊急政令)とありますが、緊急政令が、国会の議決を経ずに出されることは確定です。でなければ、このような条項は必要ありません。
緊急事態条項の導入によって、緊急事態とみなせば、内閣の緊急政令を法となすことができるため、国権の最高機関である国会をスルーすることができます。これは三権分立と国民主権を空洞化させ、内閣の独裁体制を作り上げることが可能になります。
憲法9条の改正を訴えているのに、さらにその上をいく、「大日本帝国」においてもありえなかった戦時内閣の独裁が可能になります。
この緊急事態条項の危険性については、繰り返し、IWJは警鐘を鳴らしてきました。
※【特集】これこそ「ナチスの手口」!9条を含めすべての現行憲法秩序を眠らせ、日本改造を行う「緊急事態条項」 この上ない危険性!!
https://iwj.co.jp/wj/open/%E7%B7%8A%E6%80%A5%E4%BA%8B%E6%85%8B%E6%9D%A1%E9%A0%85%E7%89%B9%E9%9B%86
9条のみならず、憲法そのものを徹底的に形骸化できるようにする、その先にあるのは、米軍と自衛隊のさらなる一体化です。これは、安倍政権の外交・安全保障の完全に延長線上にあります。
12項目の政策合意では、4として、外交・安全保障を掲げています。
4.外交・安全保障
・戦後最も厳しく複雑な戦略環境の変化に伴い、戦略3文書を前倒しで改定する。
・国際社会における平和を構築する新たな外交手段を涵養(かんよう)する観点から、25年度中に、外務省に和平調停にかかる部署を創設する。
・わが国の抑止力の大幅な強化を行うため、スタンド・オフ防衛能力の整備を加速化する観点から、反撃能力を持つ長射程ミサイルなどの整備および陸上展開先の着実な進展を行うと同時に、長射程のミサイルを搭載し長距離・長期間の移動や潜航を可能とする次世代の動力を活用したVLS(Vertical Launching System=垂直発射システム)搭載潜水艦の保有にかかる政策を推進する。
・自衛隊の運用にかかる組織の効率化および統合作戦司令部の一元的指揮統制の強化のため、自衛隊の区域統合および中間結節点の簡素化などを着実に実施する。
・防衛生産・技術基盤を強化する観点から、26年通常国会において「防衛装備移転三原則の運用指針」の5類型を撤廃し、防衛産業にかかる国営工廠および国有施設民間操業に関する施策を推進する。
・自衛官の採用状況に関する深刻な情勢に対する危機感と、処遇改善を含む人的基盤の抜本的強化、自衛官の自衛官たる矜持を向上するための施策の必要性を共有し、現下の状況を打破するための抜本的な改革を目指して、自衛官の恩給制度の創設を検討する。また、現在の自衛隊の「階級」「服制」および「職種」などの国際標準化を26年度中に実行する。
「わが国の抑止力の大幅な強化を行うため、スタンド・オフ防衛能力の整備を加速化する観点から、反撃能力を持つ長射程ミサイルなどの整備および陸上展開先の着実な進展を行うと同時に、長射程のミサイルを搭載し長距離・長期間の移動や潜航を可能とする次世代の動力を活用したVLS(Vertical Launching System=垂直発射システム)搭載潜水艦の保有にかかる政策を推進する」は、果たして現実的な構想なのでしょうか?
「スタンド・オフ」とは、軍事用語の文脈では、「敵の射程圏外まで離れて立ち、その外から攻撃できる」ポジションであり、この場合だと「長射程ミサイル」のことを指します。
要するに、敵の攻撃の間合いを外し、遠隔から攻撃することを意味します。
しかし、日本および米国が「仮想敵国」としているのは、ここに明示されていませんが、中国です。中国は日本列島全体を射程におさめる中距離ミサイルを多数、すでに実戦配備しているとされます。
敵基地攻撃能力を備えようが、どうしようが、この「距離の近さ」と、物理的な国土の面積の違いは、どうにもなりません。米太平洋軍のハリー・ハリス司令官が、「中国は2000発以上の弾道ミサイル・巡航ミサイルを保有している」と米議会で発言し、そのうちの95%以上が中長距離ミサイルであると明らかにしたのは、2017年当時です。今から8年前のことであり、中国はそれ以降も、ミサイルの開発と配備を、質量共に進めています。
中国の国土は日本の約26倍です。仮に、日本が、中国のミサイル基地をすべて突き止め、大増産するなり、米国から買うなりして、同数のミサイルを保有したとしましょう。(IMFの推計に用いられている購買力平価換算での中国のGDPは、2025年時点で日本の約4.5倍なので、同数をそろえるだけで、日本経済への負担は過負荷になり、実際には現実味はない)。しかし、日本の国土は狭く、可住面積は限られており、人口密度が高く、軍事基地と主要都市に集中して攻撃を受ければ、すべて迎撃することはできません。
対して中国の国土は広く、大都市も分散されています。ミサイル基地に至っては、国土に広く点在していて、地下にあると想定されています。イランとイスラエルの「12日間戦争」を見ていてもわかるように、国土が狭小なイスラエルは、ほぼ全土にミサイルが降り注いでいるイメージでした。同様のことが日本と中国にもあてはまります。
質の問題は、極超音速ミサイルを開発・保有している中国と、頼みの綱とする米国もいまだ極超音速ミサイルを開発できていないという点がひとつ。そして何よりも最大の違いは、核を保有しているかいないかの違いです。核弾頭ミサイルを、極超音速で撃ち込まれたら、迎撃できず、日本になすすべはありません。原発に撃ち込まれてもアウトです。
気がかりな点は、ここに垂直発射ミサイルの潜水艦の保有というプランが掲げられています。この潜水艦から撃つミサイルに核弾頭を備える可能性があるかどうか、です。
安倍政権が歴代最長を記録するまで、最長の記録を保持していたのが、佐藤栄作政権でした。佐藤栄作は、安倍晋三元総理の叔父にあたります。佐藤栄作は、「核弾頭を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を宣言して国会決議し、その功績によってノーベル平和賞も受賞しました。
しかし他方、その裏で、佐藤栄作は、若泉敬を密使として米国に派遣し、ニクソン大統領との間で、沖縄への核持ち込みを認める密約をかわしていました。
民主党政権時代に、この密約の調査が行われ、その確認が取れ、日本政府も認めるに至りました。このことからわかるのは、日本が自前で核を作らず、もたなくても、米国から核弾頭を供与されれば、潜水艦を海底深く潜ませて、万が一、中国(あるいは北朝鮮、ロシア)から核攻撃を受けても、核報復の第2撃を、日本が撃ち込めるようになる、ということが考えられます。これであれば、幻の「核の傘」、即ち、日本が核攻撃されたら、米国が核報復をする、という、非現実的な核抑止力に頼らずとも、日本が核抑止力を持てることになります。
しかし、これは相手国に、通知しなければ意味がありません。同時に、国民の反発は大きなものとなるでしょう。その時点で、「密約」のような形での核の持ち込みは不可能となります。
しかも、その核ミサイルが、万が一にでも米国へ向けられることがないよう、米国は発射について、すべて管理するでしょう。米国の本土が核報復を受けないように、日本に持たせ、日本の責任ということで発射して、その報復は日本がすべて引き受ける、ということになります。
また、このような生殺与奪の核抑止力まで米側に握られたら、日本は米国の半永久的な属国となります。主権は、日本国民のものではなく、日本国家のものでもなく、米国に握られてしまいます。
しかも、同盟とは永遠ではありません。トランプ大統領とゼレンスキー氏が、ホワイトハウスの舞台裏で大ゲンカを始めたように、ウクライナを保護国、捨て駒にし、米国が利用していても、トランプ大統領がプーチン大統領の言葉に耳を傾けていけば、米露の敵対関係や緊張が緩和され、逆にウクライナが孤立することがありうるように、日本も、将来的に、米中関係が変化すれば、取り残されてしまう可能性もあります。
繰り返しますが、永遠の同盟も、永遠の敵対関係も、ありえません。どこの国とも、つかず離れずの関係であっても、戦争という敵対関係に至らないように注意し、同時にのみ込まれないようにしつつ、同盟の名のもとに依存し過ぎず、自立を保ち続けることが、安全保障の要となります。
架空の想定で筆を走らせましたが、日本にも米国にも、核の持ち込みの思惑がないのなら、この潜水艦に搭載するミサイルは通常弾頭のみ、ということになります。それはそれで、中国全土にミサイルを降らせることなどできず、圧倒的に非対称な日中の戦力バランスはいいけどなんのために?という疑問がわきます。
だいたい有人の潜水艦という構想や着想が古すぎます。今、ウクライナとロシアの間では、ドローン戦が繰り広げられていますが、ドローンの鍵となるのは通信技術です。通信技術についていち早く5Gを実用化し、6G、さらにその先へと、世界の先端を走っているのが中国です。AIの開発競争、そして量子通信、量子コンピューター、ステルス戦闘機のステルス性を剥ぎ取ってしまう量子レーダーも、先端を切っています。
日本も、世界最大級の量子コンピューターを、富士通と理化学研究所が開発しましたが、この分野も、米国、中国と抜きつ抜かれつの競争となることでしょう。
軍事ドローンは、今後、戦闘機であれ、ミサイル発射型駆逐艦であれ、潜水艦であれ、有人ではなく、無人のドローンに置きかわってゆくことが、現実的に模索されています。やはり中国が、このロボット化された兵器の分野でも、開発の先頭を切っていると見られます。
中国に先んじても、少子化・人口減少が進み、特に兵士になりうる若年人口が決定的に不足してしまっている日本こそが、兵士の損耗を避けなければいけないのは当たり前のことであり、長期的な戦略であるべきですが、そんなことは何も書かれていません。
「自衛隊の運用にかかる組織の効率化および統合作戦司令部の一元的指揮統制の強化のため、自衛隊の区域統合および中間結節点の簡素化などを着実に実施する」は、自衛隊を米軍の指揮系統に組み込む統合化を、さらに推し進める前提として考えられたものであることは、安倍政権からの流れを見れば、一目瞭然です。
(この項続く)
■ハマスによる人質20人の解放後も、イスラエルは「ハマスによる停戦破り」との言いがかりで、「報復」と称して空爆と封鎖を続行し、ガザでは停戦後も97人が死亡! イスラエルのベン・グヴィル国家安全保障大臣は、「戦闘を再開し、ガザを征服せよ」と明白に約束を破る要求! さらにクネセト(国会)では予備審議でヨルダン川西岸併合法案が可決! 国際司法裁判所はイスラエルの人道支援制限を国際法違反と断罪するも、イスラエルは判決を無視し、UNRWAの活動を拒否!
10月10日にイスラエルとハマスの停戦が発効し、10月13日に、ハマスが生存する最後のイスラエル人の人質20人を解放しました。
※ハマスが生存する最後のイスラエル人の人質20人を解放! トランプ大統領はイスラエル国会で「偉大なる調和と永続的な平和の幕開け」だなどと大絶賛! ジェノサイドの共犯者が主犯を礼賛する異常な光景! しかし、イスラエル側はガザへの支援を半減させ、ラファ検問所の閉鎖を継続、パレスチナ人の殺害を現在も継続中!(前編)(日刊IWJガイド、2025年10月16日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20251016#idx-5
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55167#idx-5
※ハマスが最後の人質20人を解放! トランプ大統領はイスラエル国会で「平和の幕開け」だなどと、ネタニヤフ首相を大絶賛! 日本でも及川幸久氏がトランプの交渉力を手放しでほめる! しかし、 これは罠だった! イスラエル側はガザへの支援を半減させ、ラファ検問所の閉鎖を継続、パレスチナ人の殺害を現在も継続中!(後編)『グレイゾーン』のマックス・ブルメンタール氏は、「合意違反をしているのはイスラエル!」トランプ大統領の再建計画は「新植民地主義的な計画! と断言! ミアシャイマー教授は、『ニュールンベルグ裁判を開けば、トランプ大統領とネタニヤフ首相は、ジェノサイドの罪で有罪となり絞首刑だろう』と断罪!
(日刊IWJガイド、2025年10月17日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20251017#idx-5
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55171#idx-5
ところが、イスラエルによるガザへの空爆や砲撃は、その後も続いています。
10月20日付『アルジャジーラ』は、ガザ当局の発表として、「10日の停戦発効以来、少なくとも97人のパレスチナ人が死亡した」と報じています。
「死亡」というより、イスラエル軍によって「殺害」された、というべきでしょう。イスラエルのユダヤ人が、停戦後に攻撃を受けて、97人も殺されたら、どんな騒ぎになることか。
トランプ大統領が、「ガザの停戦を含め、いくつもの戦争を止めたのにノーベル平和賞をもらっていない」などと愚痴を言っていますが、停戦など、現実には実現していないのです!
※Israel continues deadly Gaza truce breaches as US seeks to strengthen deal(ALJAZEERA、2025年10月20日)
https://www.aljazeera.com/news/2025/10/20/israel-continues-deadly-breaches-of-gaza-truce-as-us-seeks-to-salvage-deal
この『アルジャジーラ』の記事によると、米国のトランプ大統領の停戦案では、イスラエルが撤退するべき境界線が設定されていますが、ガザの住民にとっては、廃墟の中で境界線が明確に示されていないため、この境界線を超えて、イスラエル軍の駐留する地域に接近してしまうということが起きています。もちろん、武装したハマスの戦士ではなく、無防備で、飢えて衰弱したパレスチナの一般市民です。
こうしたパレスチナ人に対して、イスラエル軍は、「過激派がイスラエル兵に脅威を与えた」などと言いがかりをつけて、発砲しているのです。
さらに、10月19日には、ガザ地区南部のラファで、イスラエル軍が「ハマス戦闘員から攻撃を受け、兵士2人が死亡し、3人が負傷した」と主張し、報復として「数十ヶ所の標的に、大規模かつ広範囲にわたる一連の攻撃を実施した」と発表しました。
イスラエル軍のこの攻撃により、少なくとも42人のパレスチナ人が殺害されました。
しかし、ハマス側は、「ラファ地域で起きた事件や衝突については、我々は一切知らない。ここはイスラエル占領下のレッドゾーンであり、今年3月に戦争が再開されて以来、そこに残る我々のグループとの連絡は遮断されているからだ」と、19日のイスラエル軍への攻撃について、あらゆる関与を否定しています。
一方、イスラエル側は「ハマスによる停戦違反」を理由に、停戦合意の一環であるガザへの人道支援物資の輸送を、再び停止しました。「懲罰」としてでも、パレスチナの一般市民の飢餓をつのらせることが許されるはずはありません。
※Israeli strikes kill dozens as both sides say the other breached Gaza truce(ALJAZEERA、2025年10月19日)
https://www.aljazeera.com/news/2025/10/19/israeli-strikes-kill-15-in-gaza-as-both-sides-say-the-other-breached-truce
こうした中、イスラエルでネタニヤフ首相と連立政権を組む極右政党「オツマ・イェフディット(ユダヤの力)」の党首であるイタマール・ベン・グヴィル国家安全保障大臣は、20日「(生存していた人質が戻ってきたのだから)直ちに激しい(ハマスとの)戦闘に戻る必要がある」「(ガザを)征服し、打ち負かし、勝利する」と、戦争の再開を訴えました。予想していた通り、「本音」をむき出しにしてきたのです。
※‘Conquer, crush, win’: Israel’s Ben-Gvir calls for return to war in Gaza(ALJAZEERA、2025年10月20日)
https://www.aljazeera.com/video/newsfeed/2025/10/20/conquer-crush-win-israels-ben-gvir-calls-for-return-to-war-in-gaza
ベン・グヴィル国防大臣の発言からは、「人質さえ帰ってくれば、もうこっちのもの」という姿勢が、ありありと見て取れます。
トランプ大統領の和平案では、人質全員が返還された後、平和共存と武器廃棄を約束したハマス構成員には、恩赦が与えられることになっています。また、ガザからの脱出を希望するハマス構成員には、受け入れ国への安全な移動が提供されることになっています。
しかし、10月18日付『タイムズ・オブ・イスラエル』は、ベン・グヴィル氏が「ハマスを解体し、テロリストに死刑を執行する」ことを、ネタニヤフ首相に約束させた、と報じています。降伏してきた兵士の命を保証する、というトランプ大統領の和平案など、靴底で踏みにじっているような態度です。
※Ben Gvir says he gave PM deadline to dismantle Hamas, enact death penalty for terrorists(THE TIMES OF ISRAEL、2025年10月18日)
https://www.timesofisrael.com/ben-gvir-says-he-gave-pm-deadline-to-dismantle-hamas-enact-death-penalty-for-terrorists/
上記の10月16日付『日刊IWJガイド』の記事中で、「シオニストによる、卑劣でおぞましいジェノサイドは、まだこれからも続きそうです。否、人質というストッパーがなくなって、逆に残酷さに拍車がかかるのかもしれません」とお伝えしましたが、この暗い予感は的中してしまいました。
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