日刊IWJガイド「追い詰められた安倍政権がすがりつく◯◯とは!?」 2015.4.13日号~No.943号~


おはようございます!IWJで一番生わさびが好きな、佐々木隼也と申します。

最近は板わさを食べるために蕎麦屋に行きます。
昔は、わさびなんてただの刺激物だ!と思っていたのに、今は常に体がわさびを欲しています。わさびで浄化しなければならない何かが体にたまっているのでしょうか…。わさびのピリッと引き締まったところが、詰めの甘い僕には必要なのでしょうか。

さて、昨日は、統一地方選の投開票が、全国で一斉に行なわれました!
該当する地域のみなさま、投票にはいかれましたでしょうか?

【ガイド目次】
■現職再選のオンパレードだった統一地方選、野党はどこへ…?
■「リニア×原発×戦争=?」問題だらけのリニア新幹線、ジャーナリスト樫田秀樹氏に岩上安身がインタビュー!!
■【中継番組表 〜本日のIWJの配信番組はこちら】
■追い詰められた安倍政権がすがりつく「◯◯」とは!?
■「元祖ヘイトスピーカー」としての福沢諭吉の実像を暴いた安川寿之輔さんインタビューを、IWJ特報で発行!!
■安川先生、小林節先生が明かす、安倍政権の正体は「饗宴5」DVDで!!!
■安倍総理の野望を端的にあらわした「憲法改正草案」の中身を、『前夜』で!

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■現職再選のオンパレードだった統一地方選、野党はどこへ…?

昨日行なわれた前半戦では、北海道、神奈川、福井、三重、奈良、鳥取、島根、徳島、福岡、大分の10知事選すべてで現職が再選しました。札幌、相模原、静岡、浜松、広島の5政令指定市長選でも、新人対決となった札幌を除く全てで現職が再選を果たしました。

つまり、現状維持。今の体制を何一つ変える必要はない、と国民の審判が下ったことになります。

自民党・民主相乗りや、自共一騎打ちが目立った前半戦。事実上の与野党対決となった北海道と大分県の知事選は、共に与党系が制し4選。そんななか、政令指定市長選では自民党内で分裂した札幌で、野党系が自民が推す本間奈々氏を破りました。

【IWJブログ】生活保護世帯の子どもは「根が腐る」!? 札幌市長選の自民党候補が過去にヘイト発言連発

とてつもない現職の再選ラッシュですね…。それも自民党に推された現職の。つまり現状維持。今の体制から何一つ変える必要はないですよ、と国民の審判が下ったわけですね。北海道、神奈川、福井、三重、奈良、鳥取、島根、徳島、福岡、大分の方の大多数は、今の安倍政権の諸々の施策、自身を取り巻く経済状況、政治状況に、特段変える必要のある所はない、今のままでいい、とお墨付きを与えたことになります。

こんな事を書くと、いや、私は違う!勝手に決め付けるな!とお叱りの声をいただきそうです。このガイドをご覧のみなさんの中には、この結果に納得がいかない、悔しい、やるせない思いを抱いている方もいらっしゃるでしょう。

一応要因のひとつとしては、自民党と民主党の相乗りが非常に多かったこと、さらに相乗りすらなく、自民党と共産党の一騎打ちが多かったことなどがあげられます。共産党が候補を出していなければ、無風状態で自民党系候補が不戦勝を収めていた選挙区が山ほどあるのが実状なのです。

つまり、民主党が元気ない、というか、民主党が与党と一体化しつつある、ということ。そして、その他の少数野党は対立候補を出す力が削がれてしまっている、という今の日本の政治の実態が色濃く反映された選挙結果ですね…。

ただ、野党の力不足のせいだけにできないのが、41の道府県議会議員選挙の結果です。

定員計2284のうち、自民党は追加公認を除いて1153議席となり、定員全体の過半数の議席を24年ぶりに獲得したそうです。さらに自民党は、大阪を除く40の議会で第1党を維持し、このうち24の議会で過半数を獲得しました。

この結果は、国民が自民党にお墨付きを与えた、と言われても誰も反論できません。自民党は早速、「後半国会では、アベノミクスの推進とあわせて、安全保障法制の関連法案などの重要法案の早期成立に全力を挙げる」などと、意気揚々です。

今回、統一地方選の知事選で初めて平均投票率が50%を割り込み、過去最低だったようです。各道府県議選でも過去最低を記録しています。多くの人が、薄っすらニヒリズムの影をまとって棄権したのでしょうね。

しかし、政治の腐敗、国の腐敗は、国民の無知・無関心が最大の追い風となります。その結果は確実に、国民に降りかかってきます。

4月26日の後半戦、そして来年に迫った参院選で、国民による、国民への審判が下ります。その先はもう、憲法改正や安保法制、労働法制改正などなどのオンパレード。日本が、今の日本ではなくなっているのでしょう。

マスメデイアが圧力と懐柔で黙らされてしまって、様々なテーマが「タブー化」していっているのが現状ですが、僕らは小メデイアなれども、タブーを恐れず、果敢にチャレンジし、一人でも多くの人に、この状況の危険性を訴えていきます。

戦争と奴隷的な労働強化、そんな未来はごめんです。全力で、みなさんと頑張っていきます。

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■「リニア×原発×戦争=?」問題だらけのリニア新幹線、ジャーナリスト樫田秀樹氏に岩上安身がインタビュー!!

さらにもう一歩、二歩先の未来予想図を見据えると視野に飛び込んでくるのが、リニア新幹線というテーマです。これまた現在のメディア状況下では、「タブー」となっているテーマです。

前代未聞の掘削工事による付近一帯の水枯れ、前代未聞の難工事による予算超過、電磁波による健康問題、ウラン鉱床に当たったら場合の掘削残土の行方、誰も中身のわからない予算規模(しかも自治体の試算はどんぶり勘定)、地震が起きたら地中深いトンネルから逃げられる? 活断層を貫くトンネルは、火山活動が活性化したらどうなる? 果ては原発推進との連動性も!?――。

調べてゆくと問題だらけ、夢どころか悪夢しか浮かばないリニア新幹線計画ですが、安倍政権の強力なブレーンである葛西敬之・JR東日本名誉会長の大号令のもと、あたかも「国策」であるかのように強気で強行中です。

4月3日発行の本ガイドの「わとはぷ!」コーナーでも触れましたが、1989年8月、山梨県へのリニア実験線の誘致が決まったとき、東電広報担当者の「リニアが走るにも膨大な電力が必要。近い将来(山梨県は)全国有数の原発消費県になる」とのコメントが新聞に掲載されました。山梨にあるリニアの実験線では、柏崎刈羽原発で造られた電気が大量に消費されています。つまり、リニアと原発はセットだったんです。

こうしたリニアにまつわる問題を追及し、「リニア実現のためには、原発の稼働が不可欠となる可能性が高い」と指摘している本が、『“悪夢の超特急”リニア中央新幹線』です。この本の著者であり、ジャーナリストの樫田秀樹氏に本日19時、Ch1で岩上さんがインタビューを行います!

原発や米軍基地、がれき、その他諸々、IWJが取材してきた反対運動は数々ありますが、リニア問題だけは不可思議なほど、その運動が報じられません。

なぜなのでしょうか?

知られざる「JRタブー」とは何か。多くの謎が満載の、このリニア問題。岩上さんが、隅々まで詳細にうかがいます。

…(後半へ続く)

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◆中継番組表◆
本日のIWJの中継番組表をお送りします。
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

**2015.4.13 Mon.**

【Ch2】17:30~「東京電力 定例会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=2
※東京電力の定例会見

【Ch5】11:30~「盗聴法・刑事訴訟法等改正を考える ―超党派国会議員と市民の勉強会」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=5
※「法制審『新時代の刑事司法制度特別部会』答申と政府提案をどう見るか」と題し、小池振一郎弁護士が講演。そのほか、「盗聴法の拡大のもたらすプライバシーの危機」と題して、海渡雄一弁護士が講演を行なう。

【「残業代ゼロ法案」閣議決定 進行する労働法制の悪化・再配信シリーズ
第9弾・Ch6】15:00~「日本弁護士連合会主催 労働者派遣法改正に反対する院内学習会」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=6
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/134103
※2014年4月10日に行われた、「日本弁護士連合会主催 労働者派遣法改正に反対する院内学習会」を再配信。日弁連からの報告や、沼田雅之氏(法政大学法学部講師)による基調報告などが行われました。

【グローバル大企業の悪行に迫る!第14弾 再配信・Ch4】17:00~「『TPPの「ISD条項」は国家主権の侵害につながる』有志の弁護士318名が政府に撤退を求める要望書を提出 ~TPPに反対する弁護士ネットワーク設立記者会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/93613
※2013年7月29日に収録した、「TPPに反対する弁護士ネットワーク設立記者会見」の模様を再配信します。
このネットワークは、日本のTPP参加に懸念を示す弁護士14名が結成を呼びかけたもの。
川口弁護士は、「自民党にもTPP反対議員が大勢いる。我々が反対議員を後押しし、TPP反対の声を顕在化させていきたい」と今後の抱負を語りました。

【Ch1】19:00~「岩上安身による『“悪夢の超特急”リニア中央新幹線』著者 樫田秀樹氏インタビュー」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
※『“悪夢の超特急”リニア中央新幹線』の著者であり、ジャーナリストの樫田秀樹氏へ岩上安身がインタビュー!「夢の超特急」と呼ばれている「リニア中央新幹線」。そのリニアの問題点について、お話をうかがいます。

~関連記事はこちら~
2015/04/04 川の水枯れ、大量の残土、電磁波、そして原発との関係…問題山積みのリニア中央新幹線計画について、ジャーナリスト・樫田秀樹氏が講演

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(前半の続き)…

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■まだまだ!岩上さんのインタビュー予定、これだけあります!

他にも、現段階で確定しているインタビューの予定はこちらです!

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【4/18(土)18時30分~20時30分:西尾正道氏・黒田洋一郎氏インタビュー】
※北海道がんセンター名誉院長の西尾正道氏、『発達障害の原因と発症のメカニズム』の著者であり、「ネオニコチノイド」など農薬が人体・脳に与える影響の問題に詳しい黒田洋一郎氏と、三者鼎談を行います。ここにも、化学物質と健康被害、とりわけ子供の発達に大きなマイナスの影響を与えているという「タブー」にチャレンジします!

【4/21(火)14時~16時:宋文洲氏インタビュー】
※中国出身の経済評論家であり、日本で現在コメンテーターとして数多くのテレビ番組に出演されている宋文洲さんに、AIIBの衝撃、中国の描く「一帯一路」構想についてうかがいます。

【4月24日(金)18時~20時:柯隆(くりゅう)氏インタビュー】
※中国出身のエコノミストで、富士通総研経済研究所主席研究員。2000年〜2009年にかけて、大蔵省にて外国為替審議会の委員など、政府関連の要職を務めてきた柯隆(かりゅう)さんに、インタビューします。テーマはもちろんAIIBと、今後の中国をめぐる情勢の行方です!

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狭心症の発作に倒れてから約2ヵ月、岩上さんは復帰後、仕事のペースをぐんぐん上げています。しかし、狭心症が寛解したわけではなく、薬を飲み続けて症状を抑え込んでのカムバックです。

血圧を計り、もしもの時のニトログリセリンを常にペンダントに入れて首から下げ、どこで発作が起きて救急で運ばれようとも大丈夫なように(大丈夫なわけではないですが)、これまでの医療記録やカテーテルの画像データを常にカバンの中に入れています。

いつ胸の爆弾が爆発するかは誰も分からない。僕らもハラハラしながら見守っています。そんな状況でも、やはりジャーナリストとして前線に立たざるをえない局面があり、安倍政権という爆弾が大爆発しそうな今の日本の状況においては、さらにです。

僕らも、なんとか岩上さんの負担を軽減しようと、日々試行錯誤、奮闘の日々です。その過程で、僕らは多くの方々に支えられて、こうして毎日現場に立ち、記事を書き、仕事ができているんだな、と実感を深くしています。

みなさまの温かいお言葉、叱咤激励、ご指摘ご意見、会員としてのお支えや寄付・カンパ、中継市民の方々の奮闘、食材の仕送り、そのすべてが励みになり、もっと頑張ろうと奮い立たせてくれています。本当に、いつもありがとうございます。

今後とも、岩上さん、IWJ、僕らスタッフ、そして全国で今も頑張ってくれている中継市民を、どうぞよろしくお願い致します。

※会員登録はこちら
http://bit.ly/1zCebcF

※カンパのお願い
http://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

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■追い詰められた安倍政権がすがりつく「◯◯」とは!?

前述した岩上さんの今後のインタビュー予定でも分かる通り、連続して中国の知識人をお招きして、深いお話をうかがっていきます。IWJとして、このAIIB(アジア投資インフラ銀行)の衝撃について、徹底的に追っていくつもりであることがお分かりいただけると思います。

世界は今、劇的な構造変化の只中にあります。潮流は、是非もなく、中国を中心に動いていきます。4月10日(金)に岩上さんがインタビューした矢吹晋さんが示した様々なデータからも、それは明らかですね。

繰り返しますが、是非もなく、否応にもです。「中国が覇権を握るなんて嫌だ!」と子供が駄々をこねるように叫んでも、その事実は変わりません。問題は、事実を事実として受け止めつつ、僕らはさて、どうすべきか、真剣に考えるということです。

2015/04/10 勃興する中国経済のインパクト AIIB不参加で日本は世界で孤立――現代の「シルクロード」構想に日本はどう対応すべきか?~岩上安身による横浜市立大学名誉教授・矢吹晋氏インタビュー

しかし、そんな常識を無視し、ガラパゴス化して世界から取り残されようとしているのが、日本(というか安倍政権)です。先日、某省庁に勤める友人(僕と同世代の若手キャリア)と話したのですが、その友人も、日本がAIIBに参加しなかったことに激しく焦りを感じていました。しかし、いくら現場で危機感を持っても、「上」の鶴の一声で、そうした思考も捨て去らないといけないんだ、と嘆いていました。

エリート若手官僚も黙らされてしまっている。これが現実の一端なのです。

岩上さんが以前言っていたのですが、日本はユーラシアの東端という絶好のポジションに位置する。しかも、世界で最も経済的なダイナミズムがあり、成長著しいのは、間違いなく東アジアです。日本からしてみたら、今は、中国・ロシア・韓国・東南アジアという巨大なユーラシアの市場、そして日本が喉から手が出るほど欲しい資源の、そのどちらも手に入れることができる、絶好の機会なんですね。日本が国際的孤立さえしなければ、の話です。

矢吹さんの言葉を借りれば、「一銭の得にもならない」尖閣問題で、嫌中感情を暴発させ、自らもそれに自縄自縛されている安倍総理の(世界から見たら)自爆プレーで、日本の国益はどれほど損なわれているのでしょうか。日本はわざととしか思えないオウンゴールを重ねています。何をしているんでしょうか。

年金資金まで投入して株高を演出していますが、この先、出口は見つけられるのでしょうか?

もしも、安倍政権が行き詰まった場合、その行き着く先は、どこなのでしょうか。

岩上さんは、昨日深夜にアップした「ツイ録」で、暴走した安倍政権の根底にあるのは明治以来の独善的な「野蛮に対する文明の戦争の肯定」という危険思想にある、と指摘しました。その危険思想の中核をになっていたのが、福沢諭吉です。

【岩上安身のツイ録】追い詰められた安倍政権がすがりつく、福沢諭吉の「文明と野蛮の戦争」

慶応義塾大学の創始者にして、一万円札の顔である福沢は、裏の顔を持っていました。それが、「元祖ヘイトスピーカー」としての顔です。むしろ、当時は自身が創った「時事新報」上で、ヘイトスピーチを煽りまくっていたので、表の顔ですね。

岩上さんが今回「ツイ録」で紹介していたのは、今は親日国として日本でも馴染みの深い、台湾へのヘイトスピーチです。福沢は、当時日清戦争で日本が割譲した台湾現地の抵抗に対し、「他国に無遠慮に押し入り、その土地を奪え」と堂々と侵略を煽り、台湾の住民を「土人」と蔑み、「経済的利益を手に入れろ」と書いているのです。

挙句の果てには、反抗する住民は「一人残らず殲滅せよ」と、ジェノサイドを煽る始末です。詳しくは、以下のツイ録をぜひ、ご覧ください!

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■「元祖ヘイトスピーカー」としての福沢諭吉の実像を暴いた安川寿之輔さんインタビューを、IWJ特報で発行!!

福沢のヘイトスピーチは、台湾人、朝鮮人、中国人にとどまらず、日本人にも向けられました。といっても、それは貧乏な日本人に対してです。貧乏人は奴隷になるか、死ね、ということですね。

こうした日本人の貧乏人、町人、百姓、女性差別については、3月29日に岩上さんがインタビューした、帯広畜産大学教授の杉田聡さんが、詳しく紹介しています。経団連の榊原定征会長は先日、残業代ゼロ法案の適用範囲を、「制度が適用される範囲をできるだけ広げていただきたい」と政府に要請しました。

福沢諭吉が「是」とした、貧乏人差別、というか、裕福な一部の特権層以外は皆奴隷となるべし、という精神が今、復活しようとしています。

岩上さんからはよく、「今の若い人たちは、8時間労働制が当たり前だと思ってないか? 労働法制改変の動きに、なぜもっと声をあげようとしないんだ?」とハッパをかけられています。岩上さんの立場は一応経営者。しかし僕らは労働者です。労働者が労働者の権利が風前の灯であることに敏感でなくてどうする!と叱咤されているわけです。

そうは言われても、普通選挙権が当たり前であるように、8時間労働制も週に1日、2日の休みがあるのは当然の権利とまったく疑わないで、これまで生きてきました。生まれた時からあったもので、それが崩れるなんてにわかにイメージし難いわけです。

しかし、過去の身分差別や貧乏人差別と、その裏側にひそむ労働者の搾取の歴史についても知るにつけ、不勉強な僕も、だんだんと事態の恐ろしさが分かってきました。

岩上さんによると、「8時間労働制」は、世界中の労働者がメーデーなどでストを重ねて弾圧されても実現できなかった要求で、これが国の法律として書き込まれ、公認化されたのは、1917年のレーニン率いるボリシェビィキによるロシア革命以降だそうです。ソ連で実現したため、西側各国でも8時間労働制が実現していったとか。いやー、知らなかった。天与の権利、空気と水と同じくらい当たり前に感じていた8時間労働制は流血の革命を経なければ実現できなかった権利なわけですね。

せっかく勝ち取ったその権利が、今、一瞬で奪われようとしているのです。残業代ゼロとか、定額働かせホーダイとか、労働時間の法的制限の撤廃とか、恐ろしい提案が政財官界から聞こえてきます。

考えてみると、労働時間の制限が撤廃されたら、大変なことです。一日あたり同じ賃金をもらっても、8時間労働ではなく15時間労働になったら、時給半額と同じことです。しかも過労死しかねない。今回の岩上さんのハートアタックは、働きすぎとストレス過多が原因ですから、過労死寸前、過労死未遂だったことになりますが、僕ら一般の労働者も、ハードワークのあげく疲れ切って、過労死してしまうかもしれないのです。

しかし、労働法制が変えられてしまったら、声を上げることすらできなくなるわけですから。岩上さんの過労死寸前の姿を見てしまった今、この恐ろしさがじわじわと迫ってくるのを感じています。

そういう意味でも、杉田さんのインタビューに触れることで、「では現代に生きる我々はどうしていくべきか」を考える、重要な機会になると思います。

2015/03/29 「天は人の下に人を造る」 元祖「ヘイトスピーカー」で元祖「新自由主義者」の福沢諭吉の実像に迫る ~岩上安身による帯広畜産大学教授・杉田聡氏インタビュー

そしてもう一人、この危険な福沢の実相を暴き続けているのが、『福沢諭吉のアジア認識』『福沢諭吉と丸山眞男』『福沢諭吉の教育論と女性論』など、福沢に関する数多くの研究を発表している名古屋大学名誉教授の安川寿之輔さんです。

「腐儒の巣窟」「奴隷の群衆」「牛馬豚犬」…在特会も尻尾を巻いて逃げ出すほどの侮蔑発言を、それも公の場で繰り出す福沢の危険なイデオロギー。そして、それを許容する明治の「時代精神」の危うさを、安川先生は岩上さんのインタビューで膨大な一次史料をひとつひとつ紹介しながら、その正体に迫っています。

なぜ今、改めて福沢諭吉と明治という時代にこれだけ注目するかというと、このイデオロギーを改めて継承しようとしているのが、安倍政権であるからです。安倍総理の2013年2月28日の所信表明演説は、冒頭から福沢諭吉の引用で始まりました。

以前、岩上さんがインタビューした小林節さんが、IWJの年末イベント『饗宴5』でおっしゃっていましたが、とある自民党議員は、ノートパソコンの壁紙に明治天皇の肖像を貼っていたそうです。これが、今の自民党に蔓延するメンタリティーなんですね。

だからこそ、今後の安倍政権がもたらす最悪な未来を見据えるためにも、この明治の危険なイデオローグの素顔で迫る必要があります。

膨大な情報量となったこのインタビューを、IWJは全編テキスト化し、とにかく読みやすくリライトし、さらに分かりやすいように注釈を入れ、全7篇にわたり、4月中にメルマガ「IWJ特報!」で発行予定です。

すでに一昨日、「その1」と「その2」を発行しました。

【IWJ特報最新号発行!】知られざる福沢諭吉 侵略の肯定、そしてヘイトスピーチ ~名古屋大学名誉教授・安川寿之輔氏インタビュー

【IWJ特報!のご購読はこちらから】
http://www.mag2.com/m/0001334810.html

「IWJ特報!」は有料メルマガですが、初月無料です。今、4月中に購読申し込みをしていただければ、すでに発行した「その1」「その2」を含め、全7篇をすべてご覧になることができます。さらには、スマホやipadなどで読みやすくした「epub版」も最後についてきます。

ぜひ、試し読みをしてみていただければと思います!!

また、安川先生へのインタビューは、IWJ会員の方であれば、いつでも、全編視聴することができます。ぜひこの機会に、IWJの会員となり、他にもまだまだある、福沢諭吉の正体に迫るインタビューをご覧になって欲しいと思います。

【安川先生インタビューの動画記事はこちら↓】
2014/09/03 「奴隷の群衆」「牛馬豚犬」…”元祖ヘイトスピーカー”としての福沢諭吉を徹底検証~岩上安身による名古屋大学名誉教授・安川寿之輔氏インタビュー

【福沢諭吉と明治の時代精神の正体に迫るインタビューはこちら↓】
2015/03/29 「天は人の下に人を造る」 元祖「ヘイトスピーカー」で元祖「新自由主義者」の福沢諭吉の実像に迫る ~岩上安身による帯広畜産大学教授・杉田聡氏インタビュー

2013/08/02 陸軍兵站総監が指令した「ことごとく殺戮すべし」~戦慄の殺戮作戦自体を陸軍公式の「日清戦史」から抹消した参謀本部~岩上安身による井上勝生氏インタビュー

2013/02/16 旧日本軍による朝鮮侵略の真実 岩上安身による奈良女子大学名誉教授・中塚明氏インタビュー

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■安川先生、小林節先生が明かす、安倍政権の正体は「饗宴5」DVDで!!!

安川先生は、昨年末の「饗宴5」にも、ゲストスピーカーとして登壇していただきました。そこでも出るわ出るわ、福沢諭吉のヘイト発言の数々。会場で息を飲んで聴き入っていた参加者の一人の方も、「ショックだった…全然知らなかった…」と衝撃を受けていた様子でした。

そして安川先生はこの講演で、明治政府が、いかにこの福沢の言説と一体となって、諸々の政策を進めていったのか、その時代背景にも詳しく迫っています。この安川先生の講演を、ぜひ、お茶の間で、家族や知人と一緒に観ていただければと思います。

この安川先生の他に、先ほども触れた小林節先生、その他総勢16人の豪華先生方の講演も、「饗宴5」のDVDに、すべて収録されています。予想を大幅に超えて多くの方から購入申し込みが殺到したため、当初は発送が遅れていましたが、プレス体制を増強し、現在では、お早めに発送することが可能となりました。

発送が遅れてしまった方には、ご迷惑をおかけ致しました。

この「饗宴5」のDVD、ぜひお買い求めになっていただき、多くの方と議論の材料にしていただければ幸いです!

【「饗宴5」DVDご購入、またはどんな内容かチラ見されたい方はこちら】
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=69

※DVDは、岩上さんのサイン入りもございます。
http://bit.ly/1c7Crji

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■安倍総理の野望を端的にあらわした「憲法改正草案」の中身を、『前夜』で!

昨日のガイドでも、石川記者が紹介しましたが、安倍政権は憲法改正について、2016年夏の参院選後に改正しやすいものからやると明言しています。2016年…ってもう来年ですね。

福沢諭吉の危険思想、そのもののような内容を、きっちり詰め込んだ自民党の憲法改正草案。いよいよ、それを現実のものにしようと、統一地方選で一安心した安倍政権の面々は、張り切っていることでしょう。

とにかくヤバイ、これはヤバイぞ、とうっすら感じている方。しかし、どうヤバイのか、具体的にどうなってしまうのかを知らなければ、警鐘を鳴らすこともスムーズに出来ませんよね。

そんな時にぜひ読んでいただきたいのが、この自民党改憲案を隅々まで検証し、分析し、批判した書籍『前夜』です。

2012年暮れから、岩上さんと梓澤和幸弁護士、澤藤統一郎弁護士は、自民党の憲法改正草案についての鼎談を行いました。その数なんと計12回。とてもじゃないけど全ては観きれない、という方のために、その鼎談を一冊にまとめたのが、書籍『前夜 ~日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』です。

【『前夜』ご購入はこちらから】
http://bit.ly/1D7pb98

※こちらも岩上さんのサイン入りもございます。
http://bit.ly/1Go2P4R

【自民党の憲法改正草案についての鼎談、むしろ動画で全部観たいという方はこちらから】
http://bit.ly/19gNdlN

「前夜」というより、もはや「夜」に突入している気もしますが、まともな「夜明け」にするためにも、必見の一冊です。

そういえば、2012年の衆院選で自民党が大勝した時、こんなエピソードがありました。安倍総理が喜びの会見をしようとした際、会見場の照明が消えてしまうトラブルが起こりました。真っ暗闇から、パッと照明が着いた瞬間、安倍総理は「これが日本の夜明けです」と言ったんですね。

全身に鳥肌がたったのを覚えています。間違っても、日本の夜明けが「明治時代」にならないように、IWJはこれからも走り続けます。今日もみなさま、よろしくお願い致します!(佐々木隼也)