榊原千鶴様から『皇后になるということ 美子と 明治と 教育と』をご恵贈いただきました。
本書の主題は、明治天皇の后、美子(はるこ)です。幕末から、美子が編纂を命じた『婦女鑑』の成立(1887年)までを対象に、美子が受けてきた教育、女性教育に果たした役割、体現した『皇后』としてのありかたを明らかにすることで、結果的に美子が、天皇の絶対化を支える存在として、国民の教育にもあたったことを示そうと試みています。
著者は、1961年名古屋市生まれ。現在、名古屋大学男女共同参画センター教授で、専門は、日本文学、日本の中世から近代にいたる女性教育史です。2017年11月、名古屋大学にジェンダー・リサ-チライブラリーが創設された際に、個人的蔵書を寄贈されました。
その中でもあまり知られていない書物を紹介しようと、同人誌『象』に連載『明治期女性教育書に見る日本の近代化』を始めたそうです。するとそれを読んでいた三弥井書店の方から、皇后について書いてほしいと申し出があったのが、本書のきっかけになったということです。
漢学と和歌の力を武器に明治維新期の熾烈な権力闘争に知略で挑んだ美子の生きざまに迫り、彼女が編纂を命じた道徳書『婦女鑑』に込められた意図とはどのようなものだったのかを解き明かします。
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