サピオ編集部柏原様から『戦争をしない国』をご恵贈いただきました。
『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』の著者・矢部宏治氏の新著です。「平和国家・日本」関して最も深い思索をめぐらしてこられた今上天皇によるメッセージを、写真家須田慎太郎氏の美しい写真とともに紹介されています。
矢部宏治 著、須田慎太郎 写真
『戦争をしない国 明仁天皇メッセージ』
小学館、2015.7
著者は、平成27年元日の明仁天皇による「新年の感想」を引用し、歴史をさかのぼり、事実にもとづいた議論をすることが重要であると訴えています。
「本年は終戦から70年という節目の年となります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々、広島、長崎の原爆、東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、いま、極めて大切なことだと思っています」。-平成27年〔2015年〕1月1日/新年の感想」
著者は、明仁天皇がとくに「満州事変」という固有名詞を出していることに注目し、その具体的な歴史について、「海外に駐留する軍隊が、本国の指令を聞かずに暴走し、勝手な謀略をめぐらして、海外の広大な領土を占領したという出来事です」と、わかりやすく解説しています。
その上で、「軍部が勝手な暴走を始めたときに、本当はそれにどうブレーキをかけるべきだったのか。その問題をまさにいま、私たちは考える必要があるのです」と、主張しています。
また、付録「世界はなぜ、戦争を止められないのか」では、日本というひとつの国の中に「あらゆる軍事力を放棄した憲法9条2項」と「日本から自由に出撃して戦争する在日米軍」という巨大な矛盾を生み出したのか、その理由についても詳しく解説しています。
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