昨年行われた、イスラエルによるガザ地区への攻撃が記憶に新しい、パレスチナ情勢。本書は、第2次大戦後、現在に至るまで激しい対立が続くイスラエルとパレスチナとの間に、歴史学の観点から「共生」の橋を架けることを試みます。
イラン・パペ 著(語り)
『イラン・パペ、パレスチナを語る─「民族浄化」から「橋渡しのナラティヴ」へ』
つげ書房新社、2008.3
本書で語り部を務めるイラン・パペ氏は、イスラエル生まれのユダヤ人でありながら、シオニズムを批判する立場からの研究を積み重ねる歴史学者。そのパペ氏を、パレスチナ問題を研究する東京経済大学准教授の早尾高紀氏が所属するUTCP(東京大学 共生のための国際哲学交流センター)が招聘し、3回にわたり講演会を開催しました。本書は、その講演と、パペ氏と会場とのセッションを記録したものです。
パペ氏は、1948年のイスラエル建国と同時に、あらかじめ計画されていたパレスチナ人に対する、まぎれもない「民族浄化」が実行されたのだと指摘。ユダヤ人にとって輝かしい1948年の記憶を、パレスチナ人の視点から更新することを試みます。
さらにそのうえで、イスラエルとパレスチナを、「抑圧者と被抑圧者」という図式から開放し、両者の間に「橋渡しのナラティブ(語り)」を実現することを提案します。それは具体的には、国家によって管理されている文書を民衆が書き換える(「テクストの人間化」)ことで、歴史の意味を多数化・複数化し、イスラエルとパレスチナとの間にハイブリッドな歴史観を築くことを意味します。それはすなわち、イスラエル人とパレスチナ人が、互いの差異を認め合った上で、共生することに他なりません。
こうした他者との共生可能性は、日本人である私たちが、今まさに突きつけられている問題であると言うことができます。隣国である、中国や韓国との間に、歴史認識の問題で摩擦が生じている今、いかにして「橋渡しのナラティブ」を実現し、歴史観のすりあわせを行うか。歴史修正主義などに自閉することなく、隣国と共生するためのヒントを、本書は与えてくれます。
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