7月10日に投開票が行われた参議院選挙では、自民党、公明党、おおさか維新の会の「改憲勢力」があわせて77議席を獲得。非改選の議員と、改憲に賛成の意向を示している無所属の4議員をあわせると、参議院で3分の2議席に達することになりました。安倍総理の「宿願」である改憲に向けて、いよいよ秒読み段階に入ったと言えます。「国民投票」まで、もう時間がありません。
既存大手メディアは、選挙結果が判明するまでは、自公と足並みそろえて「争点隠し」に加担していたにも関わらず、「改憲勢力」の3分の2議席到達が明らかになった途端、改憲について報じ始めました。「手遅れ」になったタイミングで一応、批判のポーズをとる。絶妙すぎるアリバイ報道です。政権の顔色をうかがい、迎合しつつ、アリバイ作りもちゃっかりと行う既存大手メディアには、もはや「ジャーナリズム」を名乗る資格はないと言っていいのではないでしょうか。
そこでIWJでは、有識者の方々、IWJ会員の皆様、サポーターの皆様、さらには広く一般市民の皆様から、この参院選の結果を受けて、目前に迫った改憲への危機感について、寄稿を募りたいと思います。
特に参院選では、全国各地でそれぞれ色模様の異なる選挙戦が展開されたはずで、全国各地の一般市民の方々の、見た、聞いた、参加したという政治参加の体験・経験もおりまぜて、ふり返りのレポートをしていただけたら、と思います。
また、自民党改憲草案について、まだまだ理解していない、という人がかなりいることも明らかになっています。
※京都新聞 2016年07月11日 国会発議「急ぐべきでない」半数 憲法改正テーマに緊急調査
抽象的な「改憲」の是非ではなく、今、問われているのは、具体的に示されている、自民党の改憲草案です。安倍総理は選挙の翌日には、「現行憲法を前文からすべて変えたい」と発言しました。ぜひ、現行憲法と自民党の改憲草案と、全部読み比べてください!この場合、「全取っかえ」されて、「新憲法」となるのは(少なくとも安倍晋三氏とその仲間たちの頭の中では)、自民党の改憲草案に他なりません。
※【増補改訂版】『前夜 日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』
参院選で自公を筆頭とする改憲勢力に3分の2を許してしまった、その結果として、改憲の発議が可能になり、国民投票に持ち込まれてしまう可能性が出てきたのですから、私たちはこの参院選の記憶と改憲の問題をひとつながりで考えないわけにはいきません。時の流れは早く、しかも私たち日本人は非常に大きなものごとを次々と忘れてゆく癖があるので、なおのこと、参院選の記憶がまだ生々しいうちにふり返りつつ、目の前の「改憲」圧力を凝視しなくてはいけません。
今回の選挙とその後の報道ではじめて「改憲」というテーマに気づいた、というのんびりした人も少なくありません。NHKを素朴に信じているような、のんびりした人たちにどうやってこの危機を伝えてゆくのか、ということも大事なテーマです。
地域ごとの温度差もあるでしょう。視野を広げて、他地域の事情を知ることも意味があると思います。「改正」の圧力を凝視するとは、日頃はなかなか意識することがない憲法の価値や平和の大切さ、人権の意味を改めて意識することでもあると思います。
ぜひ、さまざまな立場、世代、地域からご寄稿いただければと思います!長短は問いません!皆さまの声をお寄せください!よろしくお願いします!