おはようございます。IWJ記者のぎぎまきです。
昨日は真夏日の日差しに身体が溶けそうになりましたが、いつの間にか、夕暮れ時はどこか秋の気配さえ感じる時期になりました。
8月もそろそろ終盤を迎えます。来月の半ばからは約3ヶ月におよぶ秋の臨時国会が始まると見られ、野党は5兆円超えの年金積立金損失の問題やTPP、甘利明前経済再生担当相の証人喚問を要求する予定とか。そしてもちろん「気配」といえば、憲法改正の足音が一日一日と大きく聞こえて来ています。安倍首相らは、衆参の憲法審査会でどの項目から改正するか、逐条審査を始める方向で動いているようです。
一度、議論が始まれば、いくら国民が異を唱えても、数の力で押し切られ、政府・与党のいいように事が進んでしまう危険性が高い。個人的には、民進党の岡田克也代表が7月14日の会見で述べたように、安倍総理が「立憲主義を順守する」との条件を守らない限り、改憲の議論には応じないという強い姿勢を、9月7日に就任する民進党の新代表にも貫いてほしいと思います。
いずれにしても、「改憲」の議論から私たちが逃れることは、もはやできません。IWJでは今、読者の皆さまから「みんなで語る『改憲への危機感』~Talk about Democracy and Constitution」と題し、寄稿文を寄せていただいています。お互いの考えを共有しあうことで、さらに議論を深める手助けになればと、本ガイドでも連日、ご紹介しています。
今日は京都大学で教員を務める、駒込武さんから届いた「『安倍総督』による改憲戦略の危うさ」の一部をご紹介いたします!
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安倍政権による改憲への志向にはさまざまな問題点があるが、なかでも懸念されるべきは緊急事態条項の新設であろう。昨年夏から今年にかけて「安保法案は憲法違反」とする運動が高まったが、改憲されて緊急事態が宣言されてしまったら、「安保法制は憲法違反」と批判すること自体が「憲法違反」とされてしまう可能性すらある。
安倍首相は、緊急事態条項について「世界中どこの国でも似たような規定を設けているのだから、日本でも当然だ」と語ってきた。こうした言い方に騙されてはいけない。
そもそも、アメリカのように大統領制をとる国と、日本のように議員内閣制をとる国では状況が異なる。議会の多数派が内閣を構成する議員内閣制では、議会による内閣のコントロールがききにくいという問題がある。「世界中のどこでも」という言い方では、そうした違いすら無視している。
同じ議員内閣制のドイツと比較しても、重要な違いがある。
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【駒込武さんのご投稿全文は、こちらからお読みいただけます!】
http://iwj.co.jp/wj/open/consti-msg/1-026
日本と同じ議員内閣制をとるドイツが、憲法で制定している「緊急事態条項」と、自民党が新設を目指している「緊急事態条項」はどう違うか、3点において比較し、改憲草案の杜撰さを指摘しています。
駒込さんによるもう一つの重要な指摘は、日本が台湾や朝鮮を植民地支配下においていた時代、植民地では議会は設けられず、総督の命令(律令、制令)は法律としての効力を持つとされていたという点。これはまさしく自民党改憲草案における緊急事態条項の「政令」そっくりです。過去を都合よく忘れてしまっている日本人の「歴史的健忘症」に漬け込んで、安倍総理は当時の仕組みを再び日本で復活させようとしているのでは、と警鐘を鳴らしています。ぜひ、駒込武さんの分析をご一読いただきたいと思います!
まだまだ寄稿文は募集中です。みなさまからのご投稿を心よりお待ちしております!
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