日刊IWJガイド 2015.1.5日号 ~No.845号~


■■■ 日刊IWJガイド 2015.1.5日号 ~No.845号~ ■■■
(2015.1.5 8時00分)

おはようございます!IWJで記事やリサーチを担当している佐々木隼也と申します。
本日から2015年の仕事初めという方もいらっしゃるのではないでしょうか。今年はいったいどんな年になるのでしょうね~。

スタッフはなんとか、年末年始勤務を交代でやりくりしましたが、岩上さんはもちろん完オフなし。年越し蕎麦も、正月のお餅も、事務所で仕事をしつつ食べた模様です。

そんな岩上さんのインタビュー新年一発目として、本日は朝10時から、海渡雄一先生に話を聞きます。
海渡先生には、「饗宴V」のテーマ「3.11から4年、原発と被曝を考える」にもご登壇いただきましたが、そこではお聞きすることができなかった、吉田調書問題について話をうかがう予定です。

3.11の福島原発事故当時、現場で陣頭指揮を執った吉田昌郎所長が、政府事故調の聴取に応じた通称「吉田調書」。非公開のこの調書を入手した朝日新聞が「事故当時、多くの所員が吉田所長の指示に違反して福島第二原発に撤退した」と報じたところ、後に同じく調書を入手した産経新聞と読売新聞がこれを「誤報だ」と糾弾しました。その後、朝日新聞も「間違った記事だ」として謝罪し、記事を取り消し。そして第三者機関である「報道と人権委員会」(PRC)が昨年11月12日に、この朝日の記事取り消しは「妥当だ」とする見解を発表した、というものです。

この吉田調書問題について、多くの人は朝日新聞が大誤報を打った…と、なんとなく感じているのではないでしょうか?
僕も先日、立ち寄ったドトールで、サラリーマン風の男性が、傍らの女性に「朝日は吉田調書で記事を捏造したんだぜ~」と語っていました。
しかし海渡先生はじめ、多くの弁護士は、そんな政府や大手メディア、第三者機関の見方に異を唱えています。

昨年9月26日には、海渡先生を含む弁護士9人が、朝日新聞社とPRCに対し「不当な処分はなされてはならない」「記事全体を取り消さなければならない誤報はなかった」などと申し入れを行いました。
10月10日に、僕は申し入れの呼びかけ人である中山武敏弁護士にインタビューをさせていただく機会を得ました。

中山弁護士は、実際に所員の9割は当時、福島第二原発に移動しており、「客観的な事実」は朝日の報道と大筋では間違っていない、としたうえで、「『命令違反で撤退』という見出しはあくまで『評価』の問題であり、これを取り消すと、これら多くの事実すら無かったと誤解させてしまうことになる」と指摘しています。

そして、東京大空襲訴訟の弁護団長を務めていた中山弁護士はインタビューで、『報道の自由』や『知る権利』が規制され、真実を知ることができずに市民が戦争に動員されていった戦前と今を重ね合わせ、警鐘を鳴らしています。当時、2時間半の大空襲で10万人以上の人が亡くなり、40万人が負傷し、100万人が被災したにも関わらず、大本営が報道を規制し、翌日の朝日新聞も毎日新聞も一切その事実を報道しませんでした。首都・東京で10万人が死んでも、それを当時のメディアが一切報じなかったというのは、僕も正直驚きました。中山弁護士は「戦前もこうだったのだろう。崩壊はいつも内部の自主規制から始まる」と語りました。

このインタビューの動画とテキスト記事は、ぜひ会員となって、全編ご覧いただければと思います。
中山弁護士には、岩上さんもあらためてインタビューすべく、現在準備中です。

・2014/10/10 「吉田調書」朝日新聞記事取り消し問題 「誤報ではない」「厳正な処分は不当」弁護士200人が申し入れ
~呼びかけ人・中山武敏弁護士インタビュー(聞き手:佐々木隼也記者)
http://iwj.co.jp/wj/fellow/archives/8003

そして、この問題を膨大な原資料に当たって分析した海渡弁護士も、謝罪した朝日新聞やPRCの見解に対して、「朝日新聞の当初の『命令違反による撤退』とする報道の方が正確なものであって、誤報とされるようなものではなく、記事全体を取り消した朝日新聞の判断は誤り」と断言しています。

海渡弁護士が「朝日は誤報ではない」とする根拠は何なのでしょうか? また苛烈な朝日叩きの狙いや、そもそも吉田調書の本質的な問題点とは何なのでしょうか?
岩上さんが、朝10時から、朝10時とは思えない熱いテンションで迫ります。ぜひ、ご覧ください!!!
…(後半へ続く)

◆中継番組表◆

本日のIWJの中継番組表を送ります。
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もありますのでご了承ください。

**2015.1.5 Mon.**

【Ch2】17:30~「東電会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=2
※東京電力の定例会見

【Ch1】10:00~「岩上安身による海渡雄一弁護士インタビュー」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
※「饗宴V」にもご登壇いただいた、海渡雄一弁護士へ岩上安身がインタビュー。「饗宴V」でお聞きできなかった、吉田調書問題を中心に、お話をうかがいます

【Ch4】12:00~「再稼働許さん!経産省前集会」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※経産省前で行なわれる、原発再稼働に反対する集会

【Ch4】12:40~「だまし討ち結審許さん!地裁前集会」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※東京地裁前で行なわれる、経産省テント裁判の結審に抗議する集会

【Ch4】13:30~「1.5 経産省前テント新春記者会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※経産省前テントで行なわれる記者会見。テント弁護団・団長の河合弘之弁護士や、大口昭彦弁護士、青木秀樹弁護士、 広瀬隆氏(ノンフィクション作家)らが登壇予定

【年末年始再配信・Ch5】18:00~「【饗宴アフター企画17】東京電力株主代表訴訟記者会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=5
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/5061
※2012年3月5日に行われた、「東京電力株主代表訴訟 記者会見」を再配信します。本訴訟の弁護団団長を務める河合弘之弁護士は「東電の集団無責任体制の是正し、個人の責任を問うためにこの訴訟を起こしました」と挨拶しています

【年末年始再配信・Ch6】20:00~「【饗宴アフター企画18】『検察は、巨悪を逃して被害者をバカにした』 東電幹部ら全員の不起訴処分に対して、告訴団から怒りの声 ~第57回 日本の司法を正す会」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=6
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/101345
※2013年9月13日に行われた、「第57回 日本の司法を正す会」を再配信します。河合弁護士は、東電幹部らが、福島第一原発事故以前から津波による原発事故が発生する可能性を察知しながら対策を取らなかったことを指摘し、「刑事責任がある」と述べました

(前半の続き)…
本日は、海渡弁護士と河合弘之弁護士が関わり続けている、「東電の事故責任追及」に関連する2本の再配信をお届けします。

IWJは、公共性に鑑み一定程度記事や動画を公開していますが、そうはいっても会員の皆様に支えられているという事情から、基本的には一定期間を過ぎると記事・動画を格納しています。
しかし、「見逃してしまった」「重要なコンテンツはできるだけオープンにして欲しい」という声が多いのもまた事実です。そうした声に応えるべく、その日その日のトピックに関連する過去の重要な動画を再配信しています。
今年は、この再配信の本数をこれまで以上に増やし、よりタイムリーな関連動画を持ってこれるように工夫していきたいと思っています。

今後もできるだけ、運営ギリギリで公益性を確保していきたいと考えていますので、ぜひ、会員となり、そうした僕らの取組みを応援していただければと思います。
http://iwj.co.jp/join

そして、さらにここで大事なお知らせがあります。
かねてからの課題であった、IWJサイト・トップページの表示及び検索システムを改良しました!
IWJの記事は、その本数・情報量ともに膨大であるため、分かりやすいカテゴリ分けや、いわば「陳列棚」の整理整頓が急務でした。
今回、Ustreamアーカイブの保存プロジェクトにともない、すべての記事を総覧し、キーワード別に分けていく作業を進めました。

IWJのトップページの右上、緑色の背景で書かれている「NEW!!カテゴリーメニュー」の下に並んでいるキーワードにマウスを合わせると、左にキーワードが出ます。
アンダーラインのあるキーワードをクリックすると、そのキーワードの記事一覧ページをご覧いただけます。
今出来上がっているのはまだまだプロトタイプ。常に改善を重ね、より分かりやすくできるよう随時更新いたしますので、ご期待ください。

・岩上安身とWeb班からの大事なお知らせです。検索がしやすくなりました!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/222639

さてさて…IWJもみなさんも走り始めた2015年。冒頭で、今年はどんな一年になるのでしょうね~と呑気に挨拶しましたが、自民党は今年、改憲に向けた準備を本格化させる構えのようです。
つい先日行われた衆院選の結果を受け、「信を得た」とばかりに。

・国民の支持、低い中…自民、改憲へ準備本格化(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015010302000105.html

「信を得た」??? あれ、この前の衆院選の争点って、確か「アベノミクス」のはずじゃあ…
いえいえ、これが自民党の信の得かたなんです。いわゆる「行間を読んでね」というやつです。

2012年の衆院選、2013年の参院選でも、自民党は同じようなカラクリを仕込んでいます。
2012年の衆院選で自民党は「TPP反対!」を掲げていました。実際は、その後前例の無いほどの前のめり姿勢で、TPP交渉に参加しました。
しかし、当時の自民党のポスターを見ると、小さくこう書かれていました。「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します」と。

つまり、「聖域なき関税撤廃を前提にしなければ、TPP交渉に参加します」という意味です。で、その後米国側に「『前提』にはしないけどね(交渉の場で持ち出さないとは言っていない)」とむりやり確認を取り、晴れて交渉参加となりました。

さらにこの「聖域」に関しても、「永久に関税を守る」という意味ではなく、「即時に撤廃は避けたいが、いずれはゼロにすることもありうる」という意味なのです。
これは、自民党・大西英男議員が、岩上さんが2013年5月14日に行ったインタビューで、ポロッと暴露しています。

・【岩上安身の「ニュースのトリセツ」・加筆バージョン】JAが「殺される」理由
~TPP参加で「聖域」の関税を守る気のない自民党と、それでも安倍政権を支えるJAの不条理
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/222188

つまり、自民党の「TPP反対!」は、「TPP反対!(条件が揃えば交渉に参加するし、関税撤廃に反対というわけではない)」と、行間を読まなければならなかったのです。
自民党が掲げる公約を見る時には、「何が語られていないか」が大事なんですね…。

・こうした自民党の公約トリックについてはこちらの記事にまとめました。
→【参院選2013争点解説 TPP】TPPのデメリットを報じない大手メディア
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/90916

ちなみに集団的自衛権の行使容認についてですが、公約には一文字も入っていません。しかも菅官房長官は衆院選前に、争点にはしない、と断言していました。
しかし、安倍総理は衆院選で勝利した直後、「有権者の理解を得られた」と豪語しました。

で、今回の改憲についてですが、実は自民党はしっかり公約の中に盛り込んでいるんです。
政権公約の最後にこっそりと、「憲法改正原案を国会に提出」と書いているんですね。
TPPや、集団的自衛権で、ここまでアクロバティックに公約の深読みを国民に強いる安倍政権ですから、こっそりなりに公約に書いている以上、いつにも増して「改憲は国民の信を得た!!!」と大見得を切れるわけです。

「聞いてないよ~!」と国民から総ツッコミを浴びせられても、「いや、ちゃんと(小さく)書いてある」「言ってないけど、『やらない』とは言ってない」と逆ギレを国民に浴びせられる布石を、ちゃんと打ってあるんですね。

そして、自民党が狙う憲法改正の中身についても、もうすでに自民党は国民に公開しています。
とはいえ、ほとんどの国民は知らないでしょう。しかし、「知らなかった」では取り消してくれないのが、今の安倍政権です。

一昨年、梓澤和幸弁護士と澤藤統一郎弁護士と岩上さんの3人で、この自民党の憲法改正草案についての鼎談をおこない、逐条で、徹底的に中身を議論しました。
拷問を容認したり、基本的人権を抑制したり、表現の自由を規制したり…、「本当にここは日本か!?」と言うべき驚きの中身です。

合計12回にわたり、おこなわれた自民党の憲法改正草案についての鼎談シリーズのアーカイブはこちらからご覧いただけます。必見です。
http://bit.ly/1jWh3da

さらに自民党の憲法改正草案についての鼎談を分かりやすく書籍にまとめた『前夜~日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』も、超オススメです。
こちらから、ぜひご購入ください!
http://bit.ly/1tHZPM6

…新年一発目の挨拶文とあって、少し気合が入りすぎてしまいました。
果たしてここまで読み進めていただいた方はいらっしゃるのでしょうか。
読み進めていただいた方は、ありがとうございます!!

今年も一年、IWJをどうぞよろしくお願い致します。
そして再来年もこうしてみなさまに新年のご挨拶ができますように。

それでは今日も1日、2015年もまるまる1年、張り切っていきましょう!!!!

IWJ 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
岩上安身サポーターズクラブ事務局
公式サイト 【 http://iwj.co.jp/

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