【IWJブックレビュー】『転校生』の原作者がせまる、戦争を支えた文化たち 山中恒著『少国民戦争文化史』(勁草書房)

 山中恒氏から『少国民戦争文化史』をご恵贈いただきました。

 山中氏は戦争をテーマとする児童文学を数多く執筆されています。本書は、太平洋戦争中に書かれた児童文学作品を通して、その当時の「少国民」がどのような文化環境に置かれていたのかを明らかにしようとしています。

山中恒著『少国民戦争文化史』(勁草書房、2013.10)

 「少国民」というのは子どもたちのことです。この言葉は、子どもたちを一人前の「国民」になるよう教育しようとしていた意図や、そういう対象として子どもを見ていたことを表しているように思います。戦時下の児童文学は、戦争協力のために「過激なメッセージ」を送っていたと山中氏は述べています。

 戦時下の「狂信的な国体原理主義に基づく軍国主義教育」のなかで、青少年向け出版物は、そのイデオロギーを子供たちに刷り込ませるためのものでした。しかし、敗戦によって状況は一変します。

 敗戦後、「戦時下に国家権力の認定の下に出版された国体原理主義的戦意昂揚、戦争協力、軍国主義を煽動・賞賛した図書」は、すべて紙くずとみなされ、さらには抹消されていくことになるのです(この構造は、福島の原発事故によって、それまで刷り込まれていた原発の安全神話が覆されたことと似ている、と著者は指摘しています)。

 山中氏は、抹消されてしまった児童文学を掘り起こし、記録し、分析し、検証していきます。本書には歴史的な出来事の記述と重ね合わせながら、図書がどのように子供たちに影響を与えていたのかが書かれています。

 戦争中の子供向けの図書を読んだ山中氏は「大人たちが子どもたちを戦争に向けて煽り立てる異常な熱意に怯えた」と言っています。この本は、「戦時下の少国民戦争文化状況について実体験で語れる世代が少なくなっていく現在、戦争を銃後の文化面からアプローチしていくことは、戦争の知られざる面を明らかにするためにも、大切だと思う」という思いから書かれたものです。(2013/12/09発行【IWJウィークリー30号】より転載)

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