┏━━【目次】━━━━
┠■はじめに~8月もあと5日となりました! 今月からIWJの第16期が始まりました! しかし今月8月のご寄付・カンパは、月間目標額の9%にとどまり、91%が不足しています! 有料会員登録と、ご寄付・カンパによるご支援を、よろしくお願いいたします!
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┠■トランプ政権の「不公平で、不当で、正当化できない」関税政策が、世界秩序再編の引き金を引いた! インドと中国が雪解け! インドとパキスタンの関係も安定化すれば、ロシア、中国、インドの3つの核大国と、パキスタンという核小国がカルテットを組む!? その西側には、核保有が時間の問題といわれるイランも位置しており、米国・イスラエルを中心とした旧帝国主義諸国の「悪の枢軸」に替わる国際新秩序の形成か!?
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┠■【中継番組表】
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┠■米国は関税政策と制裁政策で自滅か!? 米国は、「2025年ロシア制裁法」でロシア産エネルギー輸入国(主に、インドと中国)に対し、米輸入品に500%の二次関税を課すことを狙っている! しかし、理不尽な関税政策と二次制裁は、米国に次々にブーメランとして戻ってくる! エネルギー、AIチップ、レアアースが、米国産業に刺さる!
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┠■重要!!「ロシアがブダペスト覚書に違反し、ウクライナを侵略した」と主張する米国の『NBC』のインタビュアーに対し、ラブロフ外相は「反ロシアのスローガンを掲げ、公然とナチスと人種差別主義者を権力の座に就かせた、違法な血みどろのクーデターのあと、ウクライナに安全保障を提供する、などということに同意したことは、決してない」と反論!「ブチャ事件」の真相解明を求めない『NBC』のジャーナリストとしての姿勢を問題視! ロシアのラブロフ外相が、米『NBC』のインタビューで語った、西側メディアが報じない、ゼレンスキー氏らの犯罪的な民族浄化の真実!(中編)
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┠■【本日のニュースの一撃!】
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┠■【第1弾! イスラエルがガザで病院を攻撃! 駆けつけた救助隊やジャーナリストらを「ダブルタップ」攻撃で殺害!! ジャーナリスト5人を含む、医療従事者、救助隊員ら少なくとも21人を殺害!!】攻撃を受けたナセル病院は、ジャーナリストの拠点だったことも明らかに! 比類なきテロ国家・シオニスト・イスラエルの残酷さ! かつてはキリスト教のドグマにもとづき、ユダヤ人を弾圧し、その反動で今はパレスチナ人を虐殺するイスラエルを擁護する欧米の身勝手なおぞましさ!!(『アルジャジーラ』、2025年8月25日)
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■はじめに~8月もあと5日となりました! 今月からIWJの第16期が始まりました! しかし今月8月のご寄付・カンパは、月間目標額の9%にとどまり、91%が不足しています! 有料会員登録と、ご寄付・カンパによるご支援を、よろしくお願いいたします!
会員の皆様、ご寄付・カンパによってご支援くださっている皆様、IWJの第15期をお支えいただき、誠にありがとうございました。
8月1日から、IWJは、第16期に入りました!
8月は1日から25日までの25日間で、31件、31万1000円のご寄付・カンパをいただいています。これは、これまでの月間目標額350万円の9%にあたります。ご支援くださった皆様、本当にありがとうございます。しかし、まだ、91%が不足しています!
IWJをスタートさせたのは、15年前の2010年でした。
これまで、ご支援してくださった皆様には、この節目に、あらためて感謝申し上げます。
と同時に、この15年間、あるいはそれ以前から、米国の従属国の地位に甘んじることの危険性に、警鐘を鳴らしてきたことが今、まさに現実になりつつあるのを痛感しています。
もはや『前夜』などではなく、今まさに波濤が砕けるような時が来ていることに、身震いする思いがいたします。
国難は避けられない、としても、大難を小難にとどめて、日本が米国の従属国の地位から離脱して、対米自立を果たし、「敵国」ばかりになってしまった周辺国と和解し、各国と平和条約を結んで、「敵」と戦うのではなく、「敵」と和解して、「敵」を消し去ることができるかどうか。
対米自立と、自力での平和構築に失敗すれば、日本は、大きな試練に直面します。平和の上にしか、繁栄も、日々の穏やかな暮らしも、築くことができません。
トランプ政権から押し付けられた不平等協約の言いなりになって、「対米投資」と称して約80兆円超をむしられ、その使途は米国次第で、日本は口をはさめず、日本が得られる利益はわずか1割で、9割を米国政府がとるという、植民地さながらの搾取に甘んじる屈辱を、このままではこの先も、何度も味わわされることになるでしょう。ついには、国が滅ぶまで吸い尽くされることになると思われます。
そうならないために、日本は、まだ国力のあるうちに、脱米国依存を図らなければなりません! 世界はもはや、米国の一極覇権のもとにありません! 全世界の多極化に向けての流れに、逆行していてはなりません。
間に合うでしょうか。懸念は尽きません。
日本の行末に、深い不安を感じつつも、世界を広く見渡せば、新たな息吹や希望や可能性も見出せます。成長著しい地域や、フロンティアも見出せます。進むべき道の道標は、視野を広げさえすれば、まだまだ、見つけ出せるはずです。
肝心なことは、前向きな希望を信じる力が残っているかどうかではないかと思います。
IWJの経営も、今は厳しくなっています。
残念ながら、昨年8月から今年7月末までの第15期は、12ヶ月間で一度も、ご寄付が月間目標額に達することができませんでした。
第15期の期首の2024年8月1日から、期末の本年7月末日まで、当初に予定したご寄付の年間目標額3850万円に対して、実績値は2267万7000円と、大幅なマイナスになってしまいました。
IWJの活動運営費は、約半分が、会員の皆様からの会費によって支えられています。残りの約半分が、ご寄付・カンパによって支えられています。
2025年7月31日時点での会員数は1694名で、うちサポート会員様が654名、一般会員様が1040名です。
会員数は、第15期は、前年度比で、サポート会員が208名、一般会員が375名、合計583名減少していて、会費収入に換算すると、前年度に比べて約930万円の減少となってしまう見通しです。
この会費収入と、ご寄付・カンパの収入と合計すると、収入は予定していた目標値を、3197万7000円も下回ることになってしまいました。
支出については、経費などの大幅な削減に努め、前年度比約1000万円ほど削っています。あくまで現時点の推計ですが、差し引きますと、収支は約2198万円ほどのマイナスです。
非常手段として、万が一の時に備えて、セーフティネットとして積み立ててきた役員生命保険(受取人はIWJです)を解約することを決断いたしました。解約金1640万円を計上して、赤字の穴埋めとします。残りは、558万円のマイナスです。
これは、最後の手段です。こうしたセーフティネットはもうIWJに残されていません。今期も同じ支出、同じ収入ですと、約2000万円の赤字になってしまうだろうと思われます。それではもはやIWJの活動を続けていくことができません。
今回のように、長いこと積み立ててきた保険の解約のような非常手段も、これで最後です。第16期は、支出を思いきって、しぼりこまなければならないと覚悟しています。
しかし、IWJも、岩上安身も、めげてはいません! 先述したように、状況は厳しくても、希望は失われてはいないと、信じるからです。そう信じている世界中の人々の存在を、今は中央集権的なマスメディアに頼らなくても、見出すことも、つながることもできます!
困難は、迫ってきています。向こう10年以内が、東アジアでも、全世界においても、第3次世界大戦に巻き込まれるか否かの正念場です! しかし、それを乗り越えれば、そのような無謀な試みはできなくなるでしょう。
今期16期もIWJは、プロパガンダにのみこまれず、事実にもとづく真実をお伝えするというポリシーは一切変えず、より質の高い情報をお届けしつつ、経営面では、黒字転換をめざし、累積していた借金も返済していきたいと思います!
そのためにも、経営面では、思い切った改革、支出の削減を、断行します!
どうぞ、ご支援のほど、よろしくお願いいたします!
損益に直接の関係はありませんが、私からの会社への貸付金は、IWJからの返済が滞っていて(逆の言い方をすると、自分への返済を後回しにしていて)、2025年6月30日現在の貸付残高が、約1150万円あります。
また、コロナ期に融資を受けた金融機関からの借入金残高は、2025年6月30日現在で、約1870万円となっています。こちらは、毎月、必ず返済していかなければなりません。この連帯保証人は、私、岩上安身1人です。事実上、IWJの代表取締役である私が借りて、私が返済する借金です。
したがって、今期の収支とは無関係に、私の負っている借金は現在3000万円ほどになります。これらは、今期の赤字とは、また別の借金となります。
今期の最終的な収支は、決算を終えないとわかりませんが、機材の故障のため、新機材の購入でまとまった出費が必要になるなど、突発的な出費がない限り、おおよそこの予測からは、大きく外れることはないと思われます。最終的な数字が固まり次第、皆様にご報告をさせていただきます。
どうか、皆様のご寄付・カンパ、そして会費の納付によって、今月の目標額を達成し、さらには、赤字額を少しでも減らすことができれば、と存じます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
岩上安身 拝
※以下は、IWJの活動へのご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です(各金融機関ごとに口座名が非統一ですが、どれも、各銀行の仕様に従ったもので、間違いではありません)。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします!
みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル
城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル
ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
IWJホームページからも、お振り込みいただけます。
※ご寄付・カンパのお願い
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html
※会員の再開、新規会員登録はこちらからお願いします。
(会員登録済みの方)https://iwj.co.jp/ec/mypage/login.php
(新規会員登録の方)https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php
年会費をまとまってお支払いいただければ、12ヶ月中2ヶ月分がサービスとなります。即ち、一般会員が月1100円で、年間だとその12ヶ月分1万3200円のところ、一括払いなら、1万1000円(消費税込み)となります。
同じくサポート会員が、1ヶ月3300円で、毎月支払ってゆくと、12ヶ月で3万9600円のところ、一括払いですと、3万3000円(消費税込み)ですみます! 2ヶ月分おトクです! ぜひ、ご検討ください!
■トランプ政権の「不公平で、不当で、正当化できない」関税政策が、世界秩序再編の引き金を引いた! インドと中国が雪解け! インドとパキスタンの関係も安定化すれば、ロシア、中国、インドの3つの核大国と、パキスタンという核小国がカルテットを組む!? その西側には、核保有が時間の問題といわれるイランも位置しており、米国・イスラエルを中心とした旧帝国主義諸国の「悪の枢軸」に替わる国際新秩序の形成か!?
昨日もお伝えした、インドの外交方針の転換ですが、ロシアとの関係を深めると同時に、これまで、国境紛争で必ずしも関係の良くなかった中国との関係も深めています。
※米国のエゴによって、地政学的大変動が起き始めた! トランプ政権の理不尽な関税政策のターゲットになったインドが、素早く、新しい外交枠組みの形成に動き始めた! ロシア、中国との協力によってトランプ関税問題の克服をめざす! 21日には、クレムリンでプーチン大統領とラブロフ外相とインドのジャイシャンカル外相が会談! 年内にはプーチン大統領がインドを訪れ、モディ首相と会談! さらに、インドと中国は国境紛争問題を抱えていたが、それを克服し、インド、ロシア、中国の三国間協議を再開させる!(日刊IWJガイド、2025年8月26日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20250826#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55045#idx-1
インド外務省は、8月22日、モディ首相が、2025年8月31日から9月1日まで中国を訪問し、天津で開催される上海協力機構(SCO)首脳会議に出席すると発表しました。
この首脳会議のかたわら、モディ首相は複数の出席国首脳との二国間会談を行う予定です。
※Prime Minister’s visit to Japan and China (August 29 ― September 01, 2025)(インド外務省、2025年8月22日)
https://www.mea.gov.in/press-releases.htm?dtl%2F40042%2FPrime_Ministers_visit_to_Japan_and_China__August_29__September_01_2025=
天津で開催される上海協力機構(SCO)に出席予定の首脳は、20ヶ国以上の首脳と10の国際機関の代表です。
具体的には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、中国の習近平国家主席、インドのモディ首相の他、イランのマスード・ペズェシアン大統領、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、パキスタンのイシャク・ダル副首相、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相、エジプトのムスタファ・マドブリ首相、ベトナムのファム・ミン・チン首相、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領、モンゴルのウフナーギーン・フレルスフ大統領、国連のアントニオ・グテーレス事務総長、ASEANのカオ・キム・ホーン事務総長、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の金立群(ジン・リーチュン)総裁などとなっています。
※Leaders of over 20 countries, 10 int’l organizations to attend SCO Tianjin Summit(新華社通信、2025年8月22日)
https://english.news.cn/20250822/33fac07d5c1f41f2a80bff01d0d02788/c.html
注目されるのは、「クアッド」の構成国として親米・反中国的と見られてきたインドと、インドとの間に国境問題を抱える中国、そしてインドが中国以上に警戒する隣国のイスラム教スンニ派のパキスタン、イスラエルと「12日間戦争」を戦ったイスラム教シーア派のイランも参加することです。
文明も、人種も、文化も、宗教も、利害も異なる国々が一堂に会するわけです。西欧文明諸国と、そのコピーの日本で構成されるG7とは、だいぶ違います。
パキスタンは、中国とは「鉄の同盟」と呼ばれる関係にあり、また、ロシアからも武器供給を受けてきました。
中国、インド、パキスタン、ロシアの4ヶ国関係が安定すると、その先にイランや、それ以西の、イスラエルまで陸続きのイラク、シリア、レバノンなどの国々とのつながりすら見えてきます。
いずれも、イスラエルを異常に偏愛し、擁護する米国と、イスラエル自身によって破壊されてきた国々です。
ロシア、中国、インド、パキスタン、イランまで、関係が緊密になると、これらの国々の間の亀裂を利用しようとする米英イスラエルの軍事戦略家や情報機関も、工作が難しくなります。
パキスタンは、イスラム教諸国の中で、唯一、核兵器を保有しているとはいえども、大国とはいえません。
中国やインドのような人口・経済大国ではないし、ロシアのようにいくたびも大戦争をサバイバルしてきた経験も足りません。
ロシアも、中国も、シオニズムへの反感と、イランへのシンパシーはあるにはあるのですが、直接国境を接していないので、スムーズな応援をしにくいのが現実です。
しかし、ロシア、中国、インドの3つの核大国と、パキスタンという核小国がカルテットを組むと、イランまでひとつながりとなります。
先述した通り、イランの西側には、米国とイスラエルに破壊されたイラク、シリア、レバノンと続きます。
「対テロ戦争」名目で破壊されたこの回廊を、復旧していけば、極東の中国・ロシアから、イスラエルに迫る中東までのベルトラインの形成が可能になります。
インドの外交政策の転換は、米国とイスラエルと、日本と欧州を含むその従属国が、異様な差別意識と暴力とドルの力で牛耳ってきた第2次大戦後の世界秩序を大転換する可能性を秘めています。
このカルテットは、地政学的にも、経済ブロック的にも、人類の人口の過半数を占め、経済力の大きさ、技術力の高さだけでなく、4ヶ国とも核保有国でもあります。軍事力も、世界一の軍事力をもつとされる米軍に圧倒されてはいません。
イスラエルと米国に言いがかりを付けられて、全土をイスラエルに奇襲攻撃され、核施設まで攻撃されたイランの核保有は、おそらく時間の問題ではないかと思われます。
核保有した北朝鮮に対して、米国はイランのような扱いはしていないし、できないのです。イランが核武装したとしたら、それは間違いなくイスラエルと米国の責任です。
こうした非欧米圏の諸国の興隆と連携は、BRICSやSCOの結成などによって、徐々に形成されてきていました。
ただし、その中間に位置し、インド洋に面する大きなピースであるインドが、欧米側と、非欧米側との間で、どっちつかずの状態でした。
しかし、トランプ政権の「不公平で、不当で、正当化できない」関税政策が、インドを非欧米側へと傾かせる引き金を引きました。
インドのジャイシャンカル外相が、ロシアを訪問する直前の8月18日、インドのモディ首相は、プーチン大統領と電話会談を行っています。
その会談の後、モディ首相は、プーチン大統領を「我が友人」と呼びかけ、X(旧ツイッター)にこうポストしました。
「我が友人、プーチン大統領、ありがとうございます。
お電話をいただき、アラスカでのトランプ大統領との会談に関するご見解を共有してくださったことに、感謝申し上げます。
インドは、ウクライナ紛争の平和的な解決を一貫して呼びかけており、この点に関するあらゆる努力を支持しています。今後とも、交流を楽しみにしています」。
※モディ首相のXへのポスト(2025年8月18日)
https://x.com/narendramodi/status/1957410517053477314
さらに、その翌日の8月19日には、今度は、中国の王毅外相が、これまで関係が良好とはいえなかったインドを訪問し、モディ首相と会談しています。
米国の代表的な経済紙であり、中露に対する否定的バイアスの比較的強い『ブルームバーグ』は、「米国離れ」という言葉を見出しに用いて、8月19日付で、「インドのジャイシャンカル外相は王氏との会談後、両国は関係改善を望んでいると述べ、米国の貿易政策が不透明な中で中国に歩み寄る姿勢を示した」と報じています。
※プーチン氏は「友人」とインド首相、中国とも関係強化―米国離れ示唆(ブルームバーグ、2025年8月19日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-08-19/T17L47GOT0JK00
さらに8月20日付『人民日報』は、今回のモディ首相と王毅外相の会談の重要性とともに、ロシアが舞台を設定した昨年の中印の首脳会談が、中印が互いを「対立国」から「パートナー」へと転換するきっかけとなったと、間接的にロシアの「仲介者」的な役割についても触れた上で、次のように伝えています。
「モディ首相は、昨年10月にロシアのカザンで行われた両国の首脳会談について、両国関係の改善と発展への転換点になったと指摘。
『インドと中国は、対立国ではなく、パートナーであり、発展の加速という共通の課題に直面しており、交流を強化し、理解を深め、協力を拡大すべきだ。
両国はまた、国境問題を適切に管理・コントロールする必要があり、見解の相違を紛争に発展させることがあってはならない。
インドと中国の国交樹立から、今年で75年になる。
双方は、長期的視点で両国関係をとらえる必要がある。
両国が手を携えて共に歩むことは、世界の発展への貢献となり、全人類に幸福をもたらす』とした。
王氏は『中印関係は起伏を経てきたが、その経験と教訓は銘記に値する。
どのような状況に直面しても、両国は対立国ではなく、パートナーであるという互いの正しい位置付けを堅持し、見解の相違の適切な管理・コントロールを堅持すべきであり、国境係争が両国関係の大局に影響を与えることのないようにすべきだ。
現下の国際情勢において、中印関係の持つ戦略的意義は一層明確となり、中印協力の持つ戦略的価値はより顕著となっている。
我々は、両国首脳間の重要な共通認識を真剣に実行に移し、各分野で交流や協力を強化し、中印関係の長期安定的発展を推進し、両国民により良く幸福をもたらし、人類進歩の事業に中国とインドという二大文明としてしかるべき貢献を果たしていく』とした」。
※インドのモディ首相と王毅氏が会談(人民日報、2025年8月20日)
https://j.people.com.cn/n3/2025/0820/c94474-20355305.html
このように、中国とインドは、5年前の国境地帯での衝突を乗り越えて、関係改善に大きく舵を切ったのです。
この歴史的変化を、日本政府も、日本の主要メディアも、ネットを含めた日本の一般的な世論も、あまりにも軽く見過ぎています。
自身に都合が悪く、今までの思い込みと違いすぎる変化を頑なに受け入れない、硬直した態度です。
インド北東部とパキスタン北西部にあたるカシミール地方は、インドとパキスタンが激しく領有権をめぐって対立していることで知られていますが、同時に中国もまたこのカシミール地方に国境を接しています。
1947年に英国によるインド帝国の植民地支配が終わり、インド帝国は、ヒンズー教徒の多いインドと、イスラム教徒の多いパキスタンの2つの国に分かれて独立しました。
カシミール地方の住民は、イスラム教徒が多かったのですが、時の藩王がヒンドゥー教徒であったため、インドに帰属することを選びました。
以来、インドとパキスタンはカシミール地方の領有権をめぐって、1947年から1948年、1965年、1971年と3次に及ぶ戦争を行っています。
一方、中国とインドは、3500kmに及ぶ国境線をめぐって対立してきました。
インドから見て、北東部に位置するマクマホン・ライン南部地域とシッキム地方、北西部のカシミールの北に位置するラダック・アクサイチンをめぐって、それぞれ領有権を争ってきました。
マクマホン・ラインとは、英領インドとチベットの間で1914年に設定された国境線です。
しかし、中国は、チベットの独立を認めていないため、マクマホン・ラインを認めておらず、その南部約6万5000平方キロメートルの土地の領有を主張しています。
中国とインドは、1962年(インド北東部)、1967年(インド北東部)、1987年(インド北東部)、2020年(インド北東部・北西部)、2022年(インド北東部)と繰り返し、国境紛争を重ねてきました。
2022年の紛争は、米軍とインド軍が、中国との国境線近くで軍事演習を行ったことが契機となって引き起こされました。
現在、インドはラダックとジャンムー・カシミール、そしてマクマホン・ライン南部地域とシッキム地方を実効支配しています。
中国は、アクサイチンとカラコルム回廊(シャクスガン回廊)を実効支配しており、インドとの間では、ラダックとアクサイチンの間で、実効支配線(LAC、1993年に中印で正式に承認)が設定されています。
パキスタンは、アザド・カシミールと北部地域を実効支配しています。
2020年5月5日、中国軍はラダック州(インド北西部)などに軍部隊を展開しました。
きっかけは、インドが実効支配し、中国が領有権を主張しているラダック州のガルワン川流域に、インドが道路建設を進めたことだとされています。
5月、シッキム州(インド北東部)とラダック州(インド北西部)の実効支配線において、中印両軍の部隊が対峙し、殴り合う事件が発生し、緊張が高まりました。
同年6月15日には、ラダック州のガルワン渓谷において、中印両軍の部隊が激しく衝突し、インド側だけで死者20名が出たと公表されています。また、少なくとも76名の負傷者が出たとも報道されています。
この2020年の中印の国境紛争を調停したのが、ロシアでした。
ラブロフ外相が主催する形で、インド、中国の外相との間で電話協議を開催し、同年9月、モスクワで中印の国防相会談と外相会談が開催されました。
両外相は「国境地帯の現在の情勢は、双方の利益に合致しない。双方の国境部隊は対話を続け、早期に撤退して距離を保ち、緊張を緩和すべきだ」という認識で合意しました。
※<解説>中印国境問題(防衛省、2025年8月27日閲覧)
https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2021/html/nc005000.html
※中印の国境巡る衝突、なぜ再び起きているのか ─ QuickTake
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-17/QC1SKVT1UM1I01
※2020年の露中関係:「一帯一路」と中印国境紛争に対するロシアの姿勢を中心に(日本国際問題研究所、2021年2月3日)
https://www.jiia.or.jp/research-report/post-36.html
中国、インド、パキスタンという3つの核保有国がにらみ合う国境線・領有権問題は、常に一触即発の緊張状態にあり、カシミールは「世界で最も危険な紛争地域」とも言われてきました。
ですので、この3ヶ国の間で、緊張が緩和され、さらに共通の安全保障をも念頭においた協調が進むことは、まさに歴史的なターニングポイントといえるわけです。
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◆中継番組表◆
**2025.8.27 Wed.**
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◆中継番組表◆
**2025.8.28 Thu.**
調整中
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◆昨日アップした記事はこちらです◆
万博工事未払い追及全国集会 維新よ、国よ、”いのち”を奪うな ―登壇:西谷文和氏(フリージャーナリスト)ほか
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528917
◆昨日テキストアップした記事はこちらです◆
ほとんど報じられていないが、アラスカでの米露首脳会談の裏で、NATO軍は対露最前線のポーランドとリトアニアで部隊を増強し、大演習でロシアを挑発! ロシア、ベラルーシも、迎え撃つ演習をしている! 岩上安身によるインタビュー第1204回ゲスト 一水会代表木村三浩氏 第2回(前編)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528875
「戦後80年で、外国の軍隊が、いまだに日本に駐留している。自分の国は自分で守る。これは、軍備だけじゃなくて、外交も含めて、東洋的な哲学や姿勢で、日本の理念を、今、出すべきだ!」「日本はG7に入っているけど、BRICSにも入ってもいいんじゃないか。東洋と西洋の架け橋が日本だ!!」岩上安身によるインタビュー第1204回ゲスト 一水会代表木村三浩氏 第2回(後編)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528876
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■米国は関税政策と制裁政策で自滅か!? 米国は、「2025年ロシア制裁法」でロシア産エネルギー輸入国(主に、インドと中国)に対し、米輸入品に500%の二次関税を課すことを狙っている! しかし、理不尽な関税政策と二次制裁は、米国に次々にブーメランとして戻ってくる! エネルギー、AIチップ、レアアースが、米国産業に刺さる!
トランプ政権と中国との関税戦争は、現在、一時休戦状態となっています。
米中両国は、4月から5月初旬にかけて、互いの品目に100%を超える関税を設定していました。米国側から仕掛けられた関税戦争に対して中国側が、「売られた喧嘩は買う」という姿勢を示したのです。
しかし、このチキンレースに対して、米国側が、先にブレーキを踏みました。
8月11日、トランプ大統領が、中国に対する大幅な関税引き上げを延長する大統領令に署名して、関税発効の新たな期限は11月10日となっています。
中国側もまた、これに応じて、対米関税の一時停止を延長すると発表しました。
※Trump extends China trade truce, setting stage for more ambitious talks(ポリティコ、2025年8月11日)
https://www.politico.com/news/2025/08/11/trump-china-trade-tariffs-truce-bessent-00503898?utm_source=chatgpt.com
7月14日、トランプ大統領は、ロシアが50日以内に停戦に合意しなければ、ロシア産石油を購入している国々(主に、中国とインド)に対して100%の関税と二次制裁を課すと脅しました。
これは、ロシアの友好国を脅すことで、戦線で有利に立っているロシアをひるませようという企みでした。
※Trump backs Kyiv in war with Russia through weapons and threats to Moscow(ワシントン・ポスト、2025年7月14日)
https://www.washingtonpost.com/politics/2025/07/14/trump-ukraine-weapons-sanctions/
しかし、この脅しは、ロシアに対しても、中国とインドに対しても、効きませんでした。
この話題は、約1ヶ月後の、8月15日の米露会談や、その後のワシントン会談でも、主たる議題になりませんでした。
制裁を受けているにもかかわらず、石油を輸出しているロシアに対して、トランプ大統領は釘を刺すことができなかったのです。
ロシア産原油を輸入しているという同じ理由で、インドに対しても「制裁」を課し、対印関税を2倍の50%に引き上げています(発効は8月27日)。
米国内では、実は、今、共和党のタカ派のリンゼー・グラム上院議員と民主党のリチャード・ブルーメンソール上院議員が推進している、とんでもない法案「2025年ロシア制裁法」が上院で審議されているのです。
これは、ロシア産エネルギー輸入国(主に、インドと中国)に対し、米輸入品に500%関税を課す二次関税を含む制裁措置を法制化するものです。本当に馬鹿げています。
※Will the US really impose 500% tariffs on India and China for trading with Russia?(ファーストポスト、2025年7月2日)
https://www.firstpost.com/explainers/us-500-percent-tariffs-india-china-russia-trade-ukraine-sanctions-13902276.html
こんな狂った法案が万が一でも可決されれば、インドと中国だけでなく、連鎖的に世界中の国々に悪影響をもたらします。
世界的な貿易戦争やエネルギー市場の混乱、米国内のエネルギー価格上昇なども予想されます。
米国が主導して築いてきたグローバルな自由貿易体制が、米国自身の手で今まさに死に瀕しつつあるのです。
こうなれば、世界は「米国抜き」で自由貿易体制を維持するしかありません。
矛盾したことに、米国自身は、現実にはウランやパラジウムなどをロシアから輸入しており、その量は増えています。米国は、自国をも罰するのでしょうか?
6月24日の『ワシントン・ポスト』は、「ロシアに対抗しようとする上院の善意にもとづく動きは、どうしようもなく混乱している」というオピニオン記事を配信しているのです。
※A well-intentioned Senate move against Russia is hopelessly messy(ワシントン・ポスト、2025年6月24日)
https://www.washingtonpost.com/opinions/2025/06/24/lindsey-graham-senate-sanctions-russia/
『ワシントン・ポスト』は、本気か、おもねりか、「上院の善意にもとづく動き」などと見出しを打っていますが、どう考えても、こんな法案のどこにも「善意」はありません。
ちなみに、法案提出者のリンゼー・グラム議員は、ウクライナ紛争が起きてから、「あの男(プーチン大統領)を殺すしかない」と、暗殺の煽動までした男です。これは、他国の国家元首に対するテロルの教唆です。
万が一、「善意」だと本気で思っているなら、自らの知性と道徳心を真剣に一から問い直した方がいいでしょう。なんならば、精神鑑定も必要かもしれません。
狂っているのは、トランプと、前任のバイデンの2人だけではありません。米国の支配層やマスメディアの多くも、狂っている可能性があります。
しかし、この「2025年ロシア制裁法」に対して、中国もインドも、黙って米国の奴隷のように、言いなりになっているわけではありません。
インドは、「親米」的な姿勢を捨てて、米国を非難し、ロシア、中国との関係を取る方向に舵を切りました。
中国は、同じレベルの関税をかけると、正面から受けて立つ姿勢を見せています。
中国は、米国製半導体の大型顧客です。
さらに、レアアースの米国への最大の供給国でもあります。
手持ちのカードがあるのは、米国の方ではなく、中国の方だったのです。
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■重要!!「ロシアがブダペスト覚書に違反し、ウクライナを侵略した」と主張する米国の『NBC』のインタビュアーに対し、ラブロフ外相は「反ロシアのスローガンを掲げ、公然とナチスと人種差別主義者を権力の座に就かせた、違法な血みどろのクーデターのあと、ウクライナに安全保障を提供する、などということに同意したことは、決してない」と反論!「ブチャ事件」の真相解明を求めない『NBC』のジャーナリストとしての姿勢を問題視! ロシアのラブロフ外相が、米『NBC』のインタビューで語った、西側メディアが報じない、ゼレンスキー氏らの犯罪的な民族浄化の真実!(中編)
昨日のこの『日刊IWJガイド』でお伝えした、米『NBC』によるロシアのセルゲイ・ラブロフ外相への独占インタビューの中編です。
IWJは、このラブロフ外相の明晰な説明は、歴史的事実にもとづいており、非常に重要だと考えています。
前編は、以下のURLからご一読ください。
※重要!!「ゼレンスキー氏は、アンカレッジ会議で、トランプ大統領とプーチン大統領が合意したすべてに『ノー』と言った!」「ロシア語を禁止し、ロシア語、ロシア文化、ロシア教育、ロシアメディア、そして正統なウクライナ正教会を根絶する、2019年に制定された一連の法律の廃止にも、『ノー』と言った!!」「どうして、地球上で言語を禁止した唯一の国の指導者を装う人物と会えるのか!?」「ゼレンスキー氏は、ウクライナ憲法によれば、法的文書に署名する、正当な政権指導者ではない!」ロシアのラブロフ外相が、米『NBC』のインタビューで語った、西側メディアが報じない、ゼレンスキー氏らの犯罪的な民族浄化の真実!(前編)
(日刊IWJガイド、2025年8月26日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20250826#idx-5
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55045#idx-5
ロシア外務省は、8月24日、このインタビューをテキストで公開しました。
※ Foreign Minister Sergey Lavrov’s interview with NBC, Moscow(ロシア外務省、2025年8月24日)
https://mid.ru/en/foreign_policy/news/2042813/
ウクライナ紛争をめぐる、ラブロフ外相の発言の内容は、米国や欧州、日本など、西側諸国の主要メディアで報じられているストーリーとは、まったく異なるものですが、IWJや、他国の独立メディア、独立した知識人の認識とは、大きくずれてはいません。
このラブロフ外相のロングインタビュー自体も、日本の大手メディアなどは、偏った立場から、発言の一部をつまみ食い的に報じているだけです。
実は、インタビュー後半では、『NBC』のインタビュアーとラブロフ外相との激しい応酬が繰り広げられました。
インタビュアーが繰り返し、「ロシアは2022年に、ウクライナを侵略したのか?」との1点で問い詰めようとする一方、ラブロフ外相は、2014年のユーロマイダン・クーデター以降の、西側諸国やウクライナ政府によるロシア語話者住民への弾圧から住民を保護するための「特別軍事作戦」であると主張し続けました。
インタビュアーが、被告を問いつめる検事であるかのように、「侵攻」という言葉を引き出そうと、「イエスか、ノーか」と迫れば迫るほど、ラブロフ外相は「歴史を忘れてはならない」と、歴史的背景の説明を重ねました。
インタビュアーは、「トランプ政権の発足後、ロシアによるウクライナへの攻撃が倍増している」と指摘。さらに「プーチン大統領は、『トランプが大統領なら戦争は起きなかった』と述べているが、それならば、なぜ現実には激化しているのか?」と、問い詰めるように質問しました。
これに対しラブロフ外相は、メディアによる「物事の単純化」を批判し、以下のように、説明を始めました。
「トランプ大統領が、『自分が当時大統領だったら戦争は起きなかっただろう』と言った時、それは、2014年2月にウクライナの正当な大統領(ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領)を倒すクーデターを、米国が準備し、資金を提供し、組織しなかっただろう、ということを意味すると、私は考えています。
当時の(ヤヌコーヴィチ)大統領と野党の間で合意が成立した翌日、欧州連合(EU)、ドイツ、フランス、ポーランドなどが保証する合意が成立しました。ところが翌朝、野党は合意を破りました。
合意とは、挙国一致政府を樹立し、早期選挙を実施することでした。そして、正当な大統領がこれに同意し、野党は署名しました。EUはこれを保証しました。
翌朝、クーデターが起こりました。そして、挙国一致政府ではなく、野党は『勝者の政府を樹立した』と宣言しました。
あなたは、このことを聞いたことがありますか?
聞いたことはないでしょう?
彼らは、すべての政府庁舎を占拠するとすぐに、『ロシア語の地位を剥奪することが、最初の行動である』と宣言しました。そして、軍隊を派遣して、クリミア議会を襲撃しました。
これがすべての始まりでした」。
その上で、ラブロフ外相は、「トランプ氏は、米国第一を掲げる常識的な政治家であり、外国の正統な政府を転覆させるような行為には関わらなかっただろう」と、強調しました。
インタビュアーは、「だが、現実に攻撃は倍増している。なぜ、トランプ大統領の和平への取り組みを阻害するような行動を取っているのか?」と、繰り返し追及すると、ラブロフ外相は、「我々は、(ウクライナ国内における)数百万のロシア系住民を守っている」と、ウクライナ国内のロシア語話者の人権の擁護について語り出し、以下のように反論しました。
「私達は、(ウクライナの独立と、ソ連邦の解体時に)ウクライナ国民になることを望んだ、何百万人ものロシア系住民とロシア語話者を保護しています。ウクライナで権力を握ったクーデター指導者達は、彼らを『テロリスト』と宣言しました。
ゼレンスキー大統領は、特別軍事作戦のずっと前に、西側メディアのインタビューで、『クーデター後に、政権が自分達の利益を代表していないと判断し、政権と戦っている者達は、人間ではなく「種族(species)」だ』と述べました。
さらに、『もしウクライナに住んでいながら、ロシア文化、ロシアの歴史に属していると信じているなら、子供達や孫達の安全のために、ウクライナから出て、ロシアに行くべきだ』とも言いました」。
ラブロフ氏の語っていることは事実です。ゼレンスキー氏は、前任のポロシェンコ大統領も含めて、ウクライナ国民であるロシア語話者を追放すること、そのために、国民としての基本的人権を奪うこと、軍をさしむけて攻撃をすることをためらいませんでした。「嫌なら出ていけ。しかし土地は我々のものだ」というわけです。
これは明白な民族浄化です。イスラエル政府がガザでパレスチナ人に対してやっていることと同じであり、違いは、隣に同じ民族の国家が存在し、ウクライナ国内の民族浄化を許さず、武力に対して武力で戦っている点だけです。
今も、ゼレンスキー氏は、「領土は譲らない。しかもロシア語話者の権利である、ロシア語の再公用語化も認めない」と明確に、あらゆる機会で主張し続けています。西側は、3年半も経ちながら、この言葉を理解しません。
ラブロフ外相は、続けて、ウクライナ政府とイスラエル政府という、2つの政府が行っている民族浄化を、世界で唯一認めている米国の民主主義に疑問を投げかけます。
「米国が支持する民主主義とは、いったい何なのでしょうか?」。
これに対して『NBC』のインタビュアーは、「プーチン大統領は、今年6月、『私は、ロシア国民とウクライナ国民を一つの国民とみなしている。ウクライナは全体が我々のものだ』と言った」と指摘し、「では、ウクライナには存在する権利があるのか?」と、突きつけました。
これに対してラブロフ外相は、「いいえ、それは事実ではありません」と述べ、次のように断言しました。
「ウクライナには、存在する権利があります。ただし、人々を解放しなければなりません。
彼らが『テロリスト』と呼び、『種族』と呼ぶ人々は、ノヴォロシア、ドンバス、クリミアで行われた住民投票で、『自分達はロシア文化に属する』と決めました。
しかし、クーデターの結果政権を握った政府は、ロシア的なものすべてを根絶することを最優先事項としています」。
ここでインタビュアーが、「ロシアがウクライナに侵攻したことを認めるか?」と、またしても繰り返し迫ると、ラブロフ外相は、「侵攻ではなく、特別軍事作戦」であり、それは、「ゼレンスキー政権とその前任者(ペトロ・ポロシェンコ大統領)に、人間扱いされなかった人々を守るための行動だ」と説明しました。
その答えに納得しないインタビュアーが、「これは、イエスかノーかの質問だ」と迫ると、ラブロフ外相は、「政権が『テロリスト』や『敵』だと宣言し、爆撃していた人々を守るための特別軍事作戦だ」と繰り返し、両者の緊張が一気に高まりました。
(以下、後編に続く)
■【本日のニュースの一撃!】
■【第1弾! イスラエルがガザで病院を攻撃! 駆けつけた救助隊やジャーナリストらを「ダブルタップ」攻撃で殺害!! ジャーナリスト5人を含む、医療従事者、救助隊員ら少なくとも21人を殺害!!】攻撃を受けたナセル病院は、ジャーナリストの拠点だったことも明らかに! 比類なきテロ国家・シオニスト・イスラエルの残酷さ! かつてはキリスト教のドグマにもとづき、ユダヤ人を弾圧し、その反動で今はパレスチナ人を虐殺するイスラエルを擁護する欧米の身勝手なおぞましさ!!(『アルジャジーラ』、2025年8月25日)
イスラエル軍は8月25日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスのナセル病院を攻撃しました。
この攻撃は、「ダブルタップ」攻撃というもので、最初の攻撃によって、被害者が出て、救助隊員やジャーナリストらが集まってきたところへ、2回目の攻撃を行うという、医療従事者や救助隊、ジャーナリストらの殺害をも意図的に行う、きわめて卑劣なものです。まさしくテロ攻撃です。
8月25日付『アルジャジーラ』は、「イスラエルは、ジャーナリスト5人を含む、医療従事者、救助隊員ら少なくとも21人を殺害した」として、以下のように報じています。
「月曜日(25日)の攻撃では、『アルジャジーラ』、『ロイター』、『AP通信』などの通信社に勤務するジャーナリストが殺害された。これは、約2年にわたる大量虐殺攻撃の過程で、病院とメディア関係者の両方を標的としたイスラエルの多数の攻撃の中で、最も死者数の多いものの一つだった。(中略)
1発目の攻撃の直後に、2発目の攻撃が続く『ダブルタップ』攻撃の最初の攻撃は、ナセル病院の建物の最上階を襲った。
数分後、(プレスであると識別できるように)、オレンジ色のベストを着たジャーナリストと救助隊員が外階段を駆け上がると、2発目の弾丸が着弾したと、小児科部長のアハメド・アル・ファラ医師は述べた。
殺害されたジャーナリストの中には、『アルジャジーラ』のモハメド・サラマ氏、『ロイター通信』のカメラマン、フサム・アルマスリ氏、当時『AP通信』で働いていたフリーランスジャーナリストのマリアム・アブ・ダッカ氏、アハメド・アブ・アジズ氏、モアズ・アブ・タハ氏などが含まれていた。(中略)
この攻撃は、イスラエルがガザ地区でパレスチナ人ジャーナリストを繰り返し標的として殺害していることに憤慨する報道の自由団体や人権擁護団体を含む世界中の幅広い非難を浴びた。
『アルジャジーラ』は、この攻撃を『真実を隠蔽しようとする明らかな意図』だと非難した」。
※Israel bombs hospital, kills journalists, medics, dozens more across Gaza(2025年8月25日)
https://www.aljazeera.com/news/2025/8/25/israel-bombs-hospital-kills-journalists-medics-dozens-more-across-gaza
『毎日新聞』は、8月26日付で、攻撃を受けた病院から中継中に、2度目の攻撃を受ける瞬間の映像を、YouTubeで配信しています。
※ガザ病院に「ダブルタップ」攻撃、記者ら20人死亡(毎日新聞、2025年8月26日)
https://youtu.be/og9SotAybeA
イスラエル軍による攻撃のセンセーショナルな瞬間は、この動画から十分伝わりますが、しかしなぜこの攻撃が、この外階段という場所をめがけて、どういう意図で行われたのか、何も解説がないのでわかりません。
外階段が狙われたのは、実は意味があります。
十分に事前準備をしていた上での、「ハマスとの戦い」などとは、まったく関係のない、意図的なプレスに対するテロ攻撃であったことは確実です。
★8月26日に配信されたYouTube番組『ナポリターノ判事の自由の審判』で、ゲストにスコット・リッター氏が呼ばれた際、番組の冒頭で引用された米『MSNBC』のリポーターは、攻撃を受けたのが、このナセル病院の階段部分で、ここは「戦争初期から、ジャーナリスト達がWi-Fiの電波を得るために集まっていた場所」だったと、次のように語っています。
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